どれも重要。ひと波越えるとやならなければならない無数の波が目に入る。
どの波を最初に乗り越えるべきか見極める前に溺れる。
今日はまず関係ないことを書いて緊張をほぐす。
「水資源開発促進法 立法と公共事業」筋経由で
記者の方から最近のダム問題についてレクチャーをして欲しいという。
ダム問題に強い記者は増えて欲しい。快諾する。
週刊金曜日11月30日号と月刊世界1月号を読んできていただけると
話が早いですと携帯メールを打った。
本と合わせて3つをしっかり読んでいただければ、そうした事実を直視しない
「今後の治水のあり方に関する有識者会議」に象徴される
「官僚支配」の状況に話を集中することができる。
きちんと書いてくれるなら記者さん向け講座いつでもお受けします。
実は、私がジャーナリストになったのは、
他の職業を持ちながらパソコン通信やネットで個人的にダム日記なるものを書き
木頭村という村を応援していたとき、
日本中のダム問題にたまたま詳しくなってしまったことがきっかけだ。
なぜか多くの記者に情報を整理してお話する(レクチャーする)ようになり
しかし、話した内容そのままが記事になってもクレジットもでない、
話した内容の10分の1も書かれないということに気づいて
これなら自分がジャーナリストになった方が早いじゃないかと思った。
同様に、御用学者に文句を言っている間に
自分が学者になった方が早いんじゃないかと思ったのでまずは学位を取得した。
車で言えば免許証のようなものだと師匠は言う。
免許証をとったというのは、車を運転する資格を得たというだけの話。
ようやくスタート地点に立っただけ。これからがんばるぞ!
さて、ジャーナリストとしてだが、今になって再び、
勉強(取材)時間を短縮するための便利屋として記者に使われるのは
いいのだか悪いのだかわからないが、とにかく、きちんと書いてくれるなら、
不遜に聞こえるかもしれないが、記者さん向け講座いつでもお受けします。
次の政府(または国会)がやるべきことは山盛りある。
その一つは設置法に基づく所掌事務の仕分けだと思っている。
以前から「政策ごとの仕分け」を提唱(というと偉そうだが)してきたが
そのやり方を明かしたことはあまりなかった。
先月、ある場所で「水資源開発促進法 立法と公共事業」にちなんで「公共事業」について話をすることになり、頭で描いていることの一部をアウトプットした。
設置法に基づく所掌事務(仕事)の仕分けだ。
たとえば国土交通省の場合は、第4条に128もの所掌事務が並んでいる。
パワーポイント1枚におさめてみると一文字一文字が芥子粒のように小さい。
この128の所掌事務には、それぞれ法律(政策)、予算、部署と人員、地方機関、執行機関(独法など)、受注事業者(公益法人、民間企業)がピラミッド的にぶら下がっている。それを全部テーブルに載せる。一挙にではない。1所掌事務ごとに。
これをひとつづつ以下の3つに分類する。
1)社会の変化に伴い役割を終えたので設置法から削除する仕事
2)国として行ってきたが地方に任せることにして設置法から削除する仕事
3)国の役割として残すもの
4)その他(たとえば独立行政法人に振り向けている仕事)は1)2)3)のどれかに該当させる。
生ぬるい判断はしない。原則すべて1)をベースに考える。
たとえば、国土交通省設置法(所掌事務)第4条の1項から5項までを例に挙げると次のように書かれている。
一 国土計画その他の国土の利用、開発及び保全に関する総合的かつ基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
二 国土の利用、開発及び保全に関する基本的な政策に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。
三 社会資本の整合的かつ効率的な整備の推進(公共事業の入札及び契約の改善を含む。)に関すること。
四 総合的な交通体系の整備に関すること。
五 都市交通その他の地域的な交通に関する基本的な計画及び地域における交通調整に関すること。
これが百二十八項まで続くが、これを以下のように分類する。
一 →1)削除する仕事
二 →1)削除する仕事
三 →1)削除する仕事
四 →1)削除する仕事
五 →1)削除する仕事
なぜか?これらのどれもがもはや役割を終えているどころか、過去にも仕事をきちんと成し遂げたとは言いがたい結果が目の前に広がっているからだ。調整をするはずが、空港も道路も新幹線も鉄道も港湾もあれもこれも、と地方に作りに作って借金を作った。今も続けている。ろくな国土計画でも開発でも整合的な交通の整備でも調整でもない。鉛筆なめを認めた元官僚もいる(この辺は本で触れた)。いわば職務違反だが、誰も責任を取っていない。これは所掌事務一~五の失敗だ。このような権限(所掌事務)は官僚から問答無用で取り上げるべきなのだ。
この政策ネットワークこそが「ムラ」であり、学問や研究者の世界もそれに毒されている。政治家にはそのムラに属する企業からの献金が行く。広告費はいわば報道界への企業献金の役目を果たす。よく言われる政官業学報の互助会で、富める者への福祉政策、税金の悪循環となっている。
本来は、競争原理や合理性では解決・実行できないために基本的人権を擁護するために税の再配分によって行われるのが「福祉」である。しかし、このムラ社会では、富める者が持続可能な富を維持するために必要性や合理性とは無関係に「福祉」のように現状を維持する倒錯した構造ができあがっている。
こうした所掌事務をムラごとカットするということは「政策→官僚→企業→政治家・報道・学者→政策」と、悪循環を続けてきた血税の流れに終止符をうつことを意味する。
余った人材はどうするのか?人間が足りない分野に配置転換をすればいい。介護、介護、介護。新しいエネルギーへの転換。作り続けたハコモノの整理。森の手入れ。たくさんある。未来世代への人材と仕事のニーズのミスマッチの調整作業・・・。
と書きかけで下書きに入っていたが、このまま送ってしまおう。
知人がブログで紹介してくれるとのことで、短く自分の本の紹介文を書きました。
それに少し手を加えて一足先にこちらでも自書紹介をさせていただきます。
拡散・転載・転送歓迎です。
「水資源開発促進法 立法と公共事業」(築地書店)は、半世紀前にできた法律名を冠し、平易で一気読みができるように書いた、無駄な事業が何故止まらない?止められない?に答える種明かしの本です。
「無駄な公共事業」の代名詞となった「長良川河口堰」が1995年に運用開始してから17年が経ちます。しかし、未だに一滴も使われない工業用水を抱えるその長良川に、今度は、隣の揖斐川に2008年に完成した「徳山ダム」から導水する「木曽川水系連絡導水路事業」という計画が存在します。ところが、長良川と同じ名古屋市などが受益地である徳山ダムの水が要るはずもありません。
国の借金が刻々と1000兆円に近づく今、何故、このような無駄(*)が止まらないのでしょうか。その謎を明らかにしたのがこの本です。
こうした事業を必要としているのは他でもない。事業を行っている独立行政法人水資源機構そのものでした。建設事業費を地方に負担させ、本社や支社にいる無用な職員給与を捻り出すマネーロンダリングのような行為を行っています。この秘められたカラクリを黒塗り資料等を元に取材で明らかにしました。
問題の所在はすでに1980年代から会計検査や行政監察によって繰り返し指摘されていました。しかし、役割を終えた法律(政策)に終止符を打つ廃止立法を成立させるべき国会の役割が果たされてきませんでした。本書には「水資源開発促進法」を廃止すべき立法事実を淡々と列挙しました。
「水資源開発促進法」は、利根川、荒川、豊川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川の7水系の水資源(ダム)開発のためだけに作られたものです。ところが、それを根拠に設立された特殊法人水資源開発公団(現、独立行政法人水資源機構)は、歴代の国土交通官僚トップである「技監」の天下り指定席を確保しつづけ、全国の一級河川109水系のありようを左右しています。
出典:新理事長紹介(独立行政法人水資源機構)2011年10月(多分間もなくリンク切れするかと・・・)
http://www.water.go.jp/honsya/honsya/pamphlet/kouhoushi/2011/pdf/1110-03.pdf
この法律の廃止とそれを根拠に持つ組織の解体は、河川ムラのためにある河川行政から未来の国民のための河川行政へと向かわせるために不可欠なプロセスです。全109水系で行われている数々の無駄な事業に終止符を打つことにつながります。また、この法律の廃止はその他の役割を終えた公共事業政策にも波及すると考えています。
それだけにこのプロセスには激しい抵抗が予想されます。ご一読いただければ幸いです。
まさのあつこ(政野淳子)
(*)血税を吸う水資源機構がこれから新たに建設しよう、建設を続けようとしている事業には、関東では思川開発事業(栃木県)、霞ヶ浦開発事業(茨城県)、関西では丹生ダム(滋賀県)、川上ダム(三重県)、中部では木曽川水系連絡導水路事業(岐阜県~愛知県)、九州では小石原川ダム(福岡県)などがあります。また、水資源開発促進法を根拠にしている自治体や国土交通省の事業には、安威川ダム(大阪府)、設楽ダム(愛知県)、八ツ場ダム(群馬県)などがあります。(本書ではその一部を例示してあります)
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