法律を運用せよ

2012年4月25日 (水)

8.議事録未作成は国家公務員法違反

腹が煮えくりかえることがある。
今日は公文書管理法に根拠を持つ「公文書管理委員会」
(委員長・御厨貴東大客員教授)が開催され、一斉に
「議事録3カ月以内に作成=公文書管理委が提言決定」時事通信、
「議事録未作成問題 原因と改善策案まとまる」テレビ朝日、
「議事録未作成、公文書管理委が再発防止提言」産経新聞、
と、公文書管理委員会の提言を報じたニュースが目に飛び込んできた。

腹が煮えくり返る理由は主に二つ。
一つは提言以前の問題である。

東電原発事故への対応の意思形成過程の記録が、
万が一にも「不存在」とならないよう、
危うさを感じた昨年4月28日の時点ですでに、
政府・東電統合会見で、細野豪志内閣総理大臣補佐官(当時)に
「重要な会議においては、今はICレコーダーというものがありますので、
音で録音をしておいて、しっかりと意思決定の経緯を残しておくということが
重要ではないか。重要ではないどころか、
法律で求められているということについてのご認識を伺いたい」
と釘を刺したのにこうなったからだ。

問いに対する細野補佐官(当時)の認識があまりに頼りなかったので、
あえて公文書管理法の第4条
「行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに
当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、
又は検証することができるよう」
を読み上げて補足し、
それが民主党の修正で盛り込まれたものであることを強調した。

公文書管理法は、
原発事故発生間もない2011年4月1日に施行されたばかりであり、
(そのことも会見で指摘したが、会見録★からははしょられている)
その約2年前、この法案の形成過程に
細野補佐官は関わっていなかった記憶が私にはあり、
法律自体を細野補佐官は熟知していない可能性があった。
 (法案は国会を毎年100本近く通過していくので、
 国会議員はすべての法律を熟知しているわけではないことを
 国会関係者であれば知っている。)

しかし、「総理補佐官」にリマインドしたのであるから
当然、重要事項として内閣全体で、このことは共有されると思っていた。
いや、願っていた。
また「総理補佐官」へのリマインド自体が、念には念を入れた念押しでもあった。

政府・東電統合会見が始まる前に、原子力安全・保安院の会見でも、
西山英彦経済産業大臣官房審議官(当時)に対して、
公文書管理法が施行されたことをリマインドし、条文をあえて読み上げた。
大臣官房審議官であるから、意思形成過程の記録の作成の必要性については
経済産業省全体に徹底されると考えた。いや、願った。

しかし、細野補佐官も西山審議官も、やっぱり、
双方とも職責を果たしてくれていなかった。

実に皮肉なことに、細野補佐官への指摘自体は「行政文書」★として残っている。
それが捨てられる前にすかさず情報公開法に基づいて開示請求したのは、
NPO法人情報公開クリアリングハウス(理事長 三木由希子さん)である。
ここに(http://clearinghouse.main.jp/wp/?p=432)それが張り付けてある。

細野首相補佐官(当時)の頼りない認識については、
その11.04.28合同記者会見記録をクリックしていただき
(クリアリングハウスが開示させた文書の活用で恐縮だが)
P.23の下から6行目から始まる問いに対する答え(P.24の下から15行目)、
および念押しについてはP.25の上から7行目でご確認いただきたい。

なお、この法律を適切に運用しない国家公務員は
国家公務員法違反となる。

公文書管理法案の形成過程における政府への取材で
「法違反に罰則をつけるべきではないのか」との私の問いに、
法案担当者が「この法律に罰則をつけなくても
公務員が法律を守らなければ当然、
国家公務員法違反となるからである」そう答えたからである。

イヌやネコが粗相をしたら、その場で叱るのがしつけだと聞く。
関係閣僚は、公文書管理委員会に丸投げせず、国家公務員法違反として
公文書管理法を遵守しなかった担当官僚たちを告発していただきたい。

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