2月15日(金)、参議院議員会館で行われた
集会「公共事業ありきの補正予算13兆円!?
そのまま通して予算委員会(いいんかい)?」に
所用から滑り込み(数分アウト)で参加した。
安倍内閣が閣議決定した
「日本経済再生に向けた緊急経済対策」のための
「13兆円」巨額補正予算案を、
衆議院予算委員会では2月7日から賞味4日間にわたり審議、
5日目の14日に通過させた。合計30時間の審議である。
参議院予算委員会では18日に審議を始めるが、
21日に安倍首相が「米国訪問」するという理由で、
その前に可決成立の流れができ始めていた。
なぜ何に13兆円が使われるのかはほとんど誰も知らない。
財務省と各省庁で決めた
「復興・防災」3.8兆円、
「成長による富の創出」3.1兆円、
「暮らしの安心・地域活性化」3.1兆円
というドンブリ勘定が
財務省の「予算スキーム」には書いてあるが、
財源は、税収2600億円の他は皆、借金である。
この「ぼったくりバー」の請求書は
国債償還という形で60年後の孫のひ孫の代まで届く。
60年後の孫、ひ孫世代の「税収」の使い道を
12兆円プラス利子分、「借金返済」で拘束してしまう話である。
そんな「日本国の予算」成立の日程が
首相の訪米日程優先で、決まっていたのである。
日本の国会では、その理由が正当なものであるかのように
方便としてよく使われてきた。
60年後にはボロボロになることがわかっているハコモノを
「建設国債」で建てるという制度破綻を「今」目前にしているのに、
その制度を根本から見直さないうちに、
またぞろ何をやるのか・・という話なのである。
2600万円を持っている裕福な祖父母が、
分不相応のさらなる贅沢をするために、
まだ生まれてもいない孫ひ孫から
12億円を超える借金をする。そんな話なのである。
救いは緊急集会だったにもかかわらず、
90名を越す人々が国会内外から参加し、そのうち、
生活の党(主濱了)、共産党(穀田恵二・田村智子)
民主党(大河原雅子)社民党(福島瑞穂)
(以上、敬称略、挨拶順)のほか、
みんなの党、緑の風、各党からの参加があったことだろう。
(続)
ダム問題に取り組む各地の住民団体から毎日、日替わりで悲鳴が聞こえてくる。
たしかに、今回の選挙に関して言えば、圧倒的に脱原発が最重要テーマだ。
持続可能なエネルギーを地域からどう実現するかを自分も考え、
国民全体に向かっても考えさせられる候補者でなければならない。
自分の住んでいる選挙区にそうした候補者がいるかどうかを、それは誰かを
確かめてから投票することが最重要だ。
地域住民からは、先日紹介したような、へぇ!と参加させてもらいたくなる取り組みも行われている。
しかし、「税と社会保障の一体改革」だと言って増税法案を国会へ上程した後、
公共事業にも使えるよう条文を加えて修正成立させ、
●自民党が「国土強靭化基本法案」
●公明党が「防災・減災ニューディール推進基本法案(骨子)」
●民主党のクーデター組とも言える「新たな戦略的国土地域政策を推進する議員連盟」が
「日本再生計画~ビジョン2030~」
と、民・自・公が、別次元で手を結んでバラマキ政策を抱えている以上、
公共事業も争点であることは間違いない。
国債を紙切れにしてでも、自分の議席を土建票で得たいのか、
こうした利己刹那主義の候補者かどうかは見極めて投票すべきだ。
・・・最高裁に違憲と判断され、是正されていない「一票」を行使する、本来はあってはならない選挙ではあるが。
2012年11月14日、「徳島県自然保護協会」や、徳島の河口干潟をフィールドに活動している「とくしま自然観察の会」が、国土交通省の政策決定者と実務者に対して、那賀川(なかがわ)河口左岸の高潮工事について、「防災と環境配慮の両立」が実現する工法について提案を行っている。
多くの河口や汽水域がそうであるように、那賀川の河口も、シオマネキやウラギクをはじめ絶滅危惧種の「ホットスポット」だからだ。市民団体や研究者による独自の調査だけでなく、国土交通省が実施した水辺の国勢調査によってもそのことが分かっている。
本来は、こうした場所は「地域社会に欠かせない貴重な財産」であり、「海岸や河口域の生態系の破壊は、川や海の自然と人間の関係のあり方に大きく影響する」ため、一見「防災」という人間にとっての「利益」は、長い目で見て本当に「利益」か、失われる永続的な「価値」と並べて考える必要がある。一度失われたら取り戻すことは困難だからだ。
そのため、日本以外の諸外国では、多様な生物やその生息域を侵害してきたことを反省し、絶対に守らなければならない種や生息域を決めて(種の保存法)、その線を越えて侵略しないことを前提として環境影響評価が行われ(環境影響評価制度)、絶対的に回避する、侵略を最小限化する、再生・復元する、やむを得ない場合には代償する、そしてその代償の仕方として「生物多様性オフセット」という手法もさまざま発展してきた。逆に言えば復元も代償もできないなら開発(侵略)を諦めるというルールだ。
ところが、日本には、こうしたホットスポットの「利用」と「保全」の調整制度が欠如している。未完成である。
リフレーズして言うと、「防災」のためにホットスポットを人間様が「利用」するが、人間が生き延びていく上では他の種と共存するためにその生息域を「保全」し、侵害しないことが重要だが、その二つを調整するルールがない。例えば、米国の「種の保存法」は史上最強の環境法と呼ばれることがあるのに対して、日本でできた「種の保存法」はザル法の典型で、環境影響評価を行っても希少種があることが分かってもその手続がアリバイ化されるだけで保全ができない。環境影響評価法もまた同様にしてザル法で、希少な河口を侵害するにも関わらず「堤防」という事業は対象外でザル穴から落ち、そもそも環境影響評価が行われない。
その二重のザル穴から落ちるホットスポットを救うための調整の提案が、今回の「とくしま自然観察の会」らのアクションだ。提案の概要は以下の通り。11月26日までの回答を求めている。要請書はこちら→「20121114nakagawa_hotspot.doc」をダウンロード
1. 工法の検討と変更
河口から1.4km周辺までの埋め立ては最大限回避し、失われる環境については、それ以上の面積を再生することを検討して欲しい。1.4kmより上流は、水辺を保全するために陸地の工事にとどめる工法に変更して欲しい。
2. 上記に伴う調査に関する専門家検討委員会の設置
適切な調査内容、調査法、評価法に関して、生態学・植生学・土木工学等の最新の知見を活用するための県内外の専門家、さらに絶滅危惧種の分布等について地域の状況に詳しい研究者などが、一同を会した形で、話し合いをする場の設置をして欲しい。
なお、付け加えて念を押すと、上記は、国際標準並の至極当然かつ優れた提案で、先述したように諸外国ではこうした参加(利用と保全の調整)の場が法律によって確保されている。日本においても早急に整備しなければならず、つい先日の月曜日(11月19日)にもこの道の専門家が集まった場所でそのような発言が行われたのだが(有益な情報がふんだんに共有されたので時間を見つけて報告またはどこかの紙媒体でいずれ執筆したい)、その具現化が諸外国に最大で43年ほど遅れている。
2012年11月16日、公共事業問題に取り組む113の団体が参加して開催された、「公共事業徹底見直しを実現する集会」の後半その2(最終)である。各公共事業分野別の報告のあと、個々の事業に取り組む人々からこれまた分刻みの報告が続いた。(赤字は訂正箇所)
○泡瀬干潟埋立/小橋川共男さん(泡瀬干潟を守る連絡会)
今年度、事業が進んでいる。国が今、埋め立てをやっている。東埠頭のしゅんせつ土砂をいれる土砂処分場です。必要性も緊急性もない。沖縄市の要望にそった形で埋め立てをしている。2010年の裁判で経済合理性がないという判決を受けた。面積は半分になったが事業費は変わらない。市が立てた計画がうまくいったとしても2億3億の赤字が出る事業。国がムダな税金を使い、沖縄の資源環境を破壊する最たるものだ。
○辺野古埋立事業/安部真理子さん(日本自然保護協会)
今進められているのは日米合意に基づくV字型の案。環境影響評価の補正評価書を作っているところ。有識者研究会が助言をしたが、とんでもない助言だということが明らかになってきた。オスプレイ配備は評価書まで書いてなかった。埋め立て土砂についても書かれておらず、今も分からない。有識者会議は、本土のダムのしゅんせつ土砂を埋めればいいじゃないかというが、どういうつもりなのか!評価書ではジュゴンやウミガメを保存できる保全措置が示されていない。今後の補正評価書で公告・縦覧が行われる。
○成瀬ダム/奥州光吉さん(成瀬ダムをストップさせる会)
1530億円の巨費を使っているが、295億円しか使っていない。検証を一昨年から始まり、第4回検討の場まできたが、コストをメインに検証して成瀬ダムが有利としている。一番腹立たしい目的は「流水の機能維持」。ダムで水を貯めておいて、貯めた水を流すことで580億円の効果を代替案で実現すると専用ダム建設で690億円かかるという論理だ(怒)。
○最上小国川ダム/草島進一さん(最上小国川の清流を守る会)
最上川の支流でアユで有名な川。年間3万人が来て温泉に泊まり、22億円の経済効果がある。漁協は反対を続けている。9月に住民訴訟を開始し、12月27日に公判がある。たった40軒の旅館や家屋を対象にした治水ダムだが、旅館街は川にせり出している。浸水被害と言ってきたのは内水被害(川からの洪水ではなく、川に排水ができなった被害)。赤倉温泉の中に県が作った堰があり、土砂が貯まっている。県が原因を作り出している!訴訟の中で明らかにしていきたい。
○思川開発事業(南摩ダム)/高橋比呂志さん(思川開発事業を考える流域の会)
南摩ダムは鹿沼市に建設が計画される多目的ダム。水資源機構の事業。科学的な根拠がないとして裁判をしている。八ツ場ダム、湯西川ダムと合わせ3つの訴訟で利水と治水の争点がある。南摩ダムは県南の市と町が参加しているが、計画が存在せず、水道事業の認可を得ていない。ところが栃木県は2分の1の補助金を受けていると判明した。八ツ場ダムでは、足利市などが治水上、利益を受けると10億4千万円の治水負担金を負担しているが、利根川に接してもいない。公開質問状を出したところ、足利市長は貝となって答えない。答えない理由すら答えない。鹿沼市長は南摩ダムの水は買うが使わないと堂々とムダ使い宣言をした!
○八ツ場ダム/渡辺洋子さん(八ッ場あしたの会)
1都5県の議員の会、あしたの会、市民連絡会など3つの会が連携をして進めている。昨年12月、前・前田国土交通大臣が小渕優子の後援会に長野原町で万歳三唱で迎えられ、再開を表明した。しかし川内博史さんが会長、初鹿明博さんが事務局長の議連の監視のもと、八ッ場ダムは本体着工されずに来た。ダム推進派は民主党が八ツ場ダムを政争の具にしていると批判しているが、自民党こそがこの三年間、政争の具にしていた。川原湯温泉駅に降りると4本目の橋ができているが、計画から60年、吾妻渓谷にコンクリートは打ち込まれていない。この地域には、文化遺産が濃密に分布していることが分かった。ダムに代わる代替案として、国の史蹟として保全する遺跡パークを提案していきたい。
○設楽ダム建設事業/市野和夫さん(設楽ダムの建設中止を求める会)
愛知県の一番東の豊川のダムは、「流水の正常な機能維持」が6割のムダなダム。住民訴訟を初めて6年になる。一審は行政裁量を認めた。二審では打破して、勝利判決を勝ち取りたい。12月20日に結審し、3月には判決が出るかと思う。裁判で勝つことを目標にしているが、その他にやれることで地元地権者の協力を得て、立木トラストで頑張っている。
○ 内海ダム再開発/ 藤田恵さん 寒霞渓の自然を守る連合会を代弁
何故反対するか。県は水が足らないというがウソ。平成9年に構想がでたが、平成9年は小豆島で一番大きなダムができ、貯水量は161から390万トンと2.5倍に増えた。四国の早明浦ダムが貯水率が0になったときも70%を越えていた。水は有り余っている。昭和49年と50年の水害で被害がでた。洪水対策で必要だといったが、土砂が家屋を潰しての犠牲であり、川の氾濫では亡くなっていない。強制収用を前提とした事業認定取り消し訴訟で、原告側の証人尋問が年内にあるはずだったが、来年の連休明けにすると言ってきた。
○石木ダム/岩下和雄さん(石木ダム建設絶対反対同盟)
県営の小さなダムだが、13世帯が生活をしている。もう40年になるが計画を変えず、必要性を訴えているが治水も利水もムダなダムだと分かってる。ダム検証で国も継続を決めたが、地域の理解を得るよう付帯意見がついている。県は話し合いをしたいと言っているが、土地の交渉の問題だと言う。それなら、事業認定の申請を取り下げてから話し合いをすべきである。市議会は早く事業認定をせよと言い、このままでは私たちは話し合いはできない。事業認定が認可されると、土地収用法によって家屋敷が取られる。長崎県内外から支援を受けている。
○川辺川ダム/中島康さん(子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る熊本県民の会)
コンクリートから人へと言っていた政権が、人から大きくコンクリートになって消滅した。ダム中止生活再建特措法に期待をかけていた。今までダムを作ればカネになる。これはダムを作らなくてもカネになる法律だった。解散で廃案になったが、もう一度、閣議決定させたい。路木ダムはウソで固められたダム。知事がウソの片棒を担いでいるが、地域住民の無関心が反対運動を阻み、半分、できあがっている。
○サンルダム・平取ダム・厚幌ダム/佐々木克之さん(北海道自然保護協会)
サンルダムは国交省の検証が終わり、平取ダムは地勢局の検証が終わって作ることになった。地元は地域振興のためにサンルダムを作るという。平取ダムはアイヌの聖地に作るが、調査費で雇われてしまい、反対ができない。サンルダム予定地の下川町でもダムのダも言えない状況が作られている。ちゃんとした議論ができないのが最大の問題。決まったけど絶対に作らせないという気概でいく。
○当別ダム/安藤加代子さん(当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会)
計画から42年という時をへて完成し、まったくムダなダムが増えた。札幌と石狩と当別の市民が集まり、水道水に関心を寄せてきた。札幌にはすでにダムが3つあり、30%以上の水が余っている。当別ダムも完成したが13年後の2025年までは水は使わない!ところが一滴も水を使わないのに、来年から125億円のうち50億円を札幌市が払う。維持管理費も払う。ダムが完成しても水道料金の値上げはないと言ってきたが、石狩市も当別も値上げする。利水の理由を失った代わりに推進される「豊平川水道水源水質保全事業」もムダ!
○ 東京外かく環状道路/大塚康高さん(外環ネット)
埼玉、千葉、練馬、世田谷、武蔵野など7市等の住民で外環ネットを構成している。全国で交通センサスという調査をやった。東京を含む周辺はすでに交通需要が落ちている。2回連続落ちている。なかでも外環に沿う国道8号線は2割も減っている。その2割をさばくための計画が外環だったはずだった!9月5日に着工式があった。立ち退きを防ぐために地下を通すというが地下に入る道路を三鷹から造るという問題に取り組んでいる。
以上が取材メモ。 関係URLはこちら→http://suigenren.jp/news/2012/11/21/3297/
【まとめ】共通した問題は、1)高度成長期に計画されたが必要性や経済合理性を失い、単なる金食いムシとなった事業であるにも関わらず、2)選挙で選ばれた政治<国と地方の議会>が政策転換をさせられず、3)それどころか辻褄を合わせるために行政機構がつくウソがまかり通ったまま、4)議会はそれを是正させる能力も持っていない。そして5)ほとんどの場合、司法による行政チェック機能も働かない。5)ひたすら官僚機構が前任者の進めた事業を踏襲して、歪みきった社会を維持しようとしている、ということに尽きる。
その解決に向かって動いている人々の分刻みの報告を聴いていて共通しているのは、それぞれの人々は次に何をやるべきかが見えていることだ。その声が「コンクリートから人へ」というスローガンに凝縮されたはずだったが、官僚に囲まれその声が聞こえなくなっていったのが民主党政権だったということになる。そして自民党政権ではハナからその声に耳を傾けることすらしなかったから倒れたのであり、未だにそこ声は届いてはいないのである。
∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞
手前ミソだが、「水資源開発促進法 立法と公共事業」は、「ハコモノ事業推進スキーム」とも言える数々の法律はその使命をとうに終えていることを、その一つの例として描いた本である。その根拠法を廃止しないことには、この法律に連なる政官業学の官民のピラミッド組織は壊れないことを描いてみた。
「公共事業に知識のない人でも2時間あれば読める。面白く、そしてムカツク」と、これを読んだ友人からは感想が寄せられてきた。是非、面白くムカツイて欲しい。一つの時代はとうに終わり、そしてそれを終わらせたくないと考えている構造とはどのようなものかを読みとって欲しい。
そしてそれを壊すには、遠回りのように見えても、実はその根拠法を廃止し、部署(ムラ)を丸ごと閉じて、そのムラに閉じこめられているまだ若い才能ある人たちを開放し、本当に必要とされる次の時代へと送り込むことが必要なのだということに目を向けて欲しい。
衆議院が解散された2012年11月16日は長い1日だったが、すべての毎日がそうであるように未来に続く一日だったと後で振り返ることができるようにしたい。
2012年11月16日の目次:午後1(国交省前)、午後2(集会に訪れた議員達)、午後3(集会に集った弁護士達)、午後4(集会を企画した主催者達)、そしてこのコマ、そして夕方(官邸前)。
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