« 2014年12月 | トップページ | 2015年3月 »

2015年1月

2015年1月21日 (水)

392.東電事故による放射線被害を最小限に抑えるために

環境省が設置した「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」が「中間取りまとめ」を行い、同省はそれを踏まえた「当面の施策の方向性(案)」をパブコメにかけた。以下は、私が送った意見です。

======================

意見
1.施策案に最低でも以下の2点を加えるべきです。
(1)放射線防護のために、少なくとも放射性物質汚染対処特別措置法で定める除染特別地域や汚染状況重点調査地域に指摘されている地域の住民に対し、避難する選択肢(権利)を与えること。
(2)健康調査(甲状腺がんを含めて)の範囲を福島県境で区切るのではなく、事故前からあった本来の公衆の被ばく限度1mSvを越えている地域に広げ、疫学調査としても位置づけた上で、妊婦、乳児、幼児、児童・生徒、および妊娠可能な女性に対して行うこと。

2.今回の施策案は専門家会議の「中間取りまとめ」を踏まえていますが、今後もこの専門家会議を継続するのであれば、放射線防護の基本、高線量による確定的影響および、LNTモデルが採用されている低線量被ばくによる確率的影響の双方から人々を防護する重要性と「原発事故子ども・被災者支援法」の第13条等など、専門家会議の設置の意味についてよく理解した専門家のみを選任しなおすべきです。今回の専門家会議の審議の中でも省庁横断的な会議の設置も提案されていました。その案を環境省施策案として採用することが妥当であると思います。

理由
○「除染」と「避難」は放射線防護措置として異質ではあっても同様の効果をもたらします。片方を推進し、片方を推進しないことは、整合性がありません。被災者には最低でも選択肢が与えられるべきです。

○「原発事故子ども・被災者支援法」の第13条2項は、国は、子どもである間に一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住したことがある者(胎児である間にその母が当該地域に居住していた者を含む。)やこれに準ずる者の健康診断は、生涯にわたって実施されることとなるよう措置することを求めています。専門家会議はこのことを議論していません。中間取りまとめにもこれに関する記述がまったくありません。環境省施策案にも一言たりとも触れていません。

○「原発事故子ども・被災者支援法」の第13条3項は、国に対し、被災者たる子ども及び妊婦が医療(東電事故による被ばくに起因しない負傷や疾病を除く)を受けたときに費用を減免するための施策やその他被災者への医療の提供に必要な施策を講ずることを求めています。専門家会議はこのことを議論していません。中間取りまとめにもこれに関する記述がまったくありません。環境省施策案にも一言たりとも触れていません。

======================

このことを巡ってはYahoo!で4回に渡って発信をした。

議員立法「原発事故子ども・被災者支援法」13条の行方(上)
議員立法「原発事故子ども・被災者支援法」13条の行方(下)

誤用情報を根拠に放射線影響を含めた健康管理施策案を環境省がパブコメ(上)
誤用情報を根拠に放射線影響を含めた 健康管理施策案を環境省がパブコメ(下)

1992年に地球サミットで採択された「リオ宣言」第15原則(予防原則)を噛みしめたい。後手後手に回った公害対策が教訓となって生まれた国際的な合意である。今回もすでに後手に回っている中でこれ以上の遅延は許されない。

2015年1月10日 (土)

391.国民の参加を意図的に排除しているとしか思えないパブコメで年が始まる

生まれて初めての体験も含め色々あったにもかかわらず、
肉体的にも精神的にも辛さは意外にも感じない年末年始だった。
一段落ついた夕方から高熱を発し、ほぼ24時間眠り続けて
疲れが全部、抜けきった感触があった。高熱でリセットができた。
 
やっと今年が始まったような、なんでもできる気分で
仕事を片付ける準備運動の気持ちでメールをダウンロードすると
再エネがピンチだ、今日が締め切りだというメールが飛び交っている。
気になってはいたが取材は無理なタイミング・・・。
そういう場合にできることは一国民として1億2千万分の1の責任を果たすこと。
 
中身を除くと
その書きぶりにとムッと来た。日本語として理解不能だ。
そのくせ、書き始めようとすると、
書き方には細かい注文 が書き込みできないPDFでついている。
意見を言いたい該当箇所と意見と理由を、あれば出典をつけよというのだ。
なんと傲慢な!
 
短気なのでカッとしながら以下6点ほどの意見を電子メールで送った。
===========================
新エネルギー対策課
再生可能エネルギー推進室 パブリックコメント担当 宛
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規
則の一部を改正する省令案等」に対する意見【No.1】
[御意見]
・該当箇所
1頁1段落目および2段落目
「複数の一般電気事業者(以下「電力会社」)で回答保留が生じている状況を踏まえ」
「新エネルギー小委員会及び系統WGにおけるこれまでの検討結果を踏まえ」
・意見内容 
国民から意見を引き出すための丁寧な情報提供とともにパブコメをやり直すべきです。
・理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記して下さい。)
1.この問題を追っていない国民からすれば、「複数」とはどこの電力会社なのか不明です。
2.「回答保留」がなぜ起きているのかも、この概要ではわかりません
3.「これまでの検討結果」とは何かも分かりません。それと今回の改正案が一致しているのかしていないのかも分かりません。
4.少なくとも現行の「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則」のURLぐらい「意見公募要領」に含めるべきです。
以上4が掲載されているWGの議事録や資料のURLを示すなどをきちんと示し、国民にとって学ぶ機会とすべきです。国民はヒマ人でもバカでもありません。なぜ、パブコメを国民の理解を深める機会としないのでしょう。
 
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等」に対する意見【No.2】
[御意見]
・該当箇所
1頁1段落目
「複数の一般電気事業者(以下「電力会社」)で回答保留が生じている状況を踏まえ」
・意見内容 
複数の電力会社で回答が保留しているからといって、一律に改正をすることにどのような意味があるのかという説明と共にパブコメをやり直して下さい。
・理由
松山泰浩(まつやま・やすひろ)新エネルギー対策課長によれば
問題が起きたのは九州、北海道、東北、四国、沖縄で、「東京電力や関西電力、中部電力の管区内はまだ接続余地が十分あり、そこで事業をするのであれば、そうした問題は発生しない。これらの管区だけで全国発電量の6~7割を占める。今までは地価の安い一部地域で投資ラッシュが起きている」と言います。
一律な制度改正をする理由がわかりません。九州などでそうしてことを起きたのをこれ幸いに、第六条(接続の請求を拒むことができる正当な理由)を拡大するのかと思わせられます。
 
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等」に対する意見【No.3】
[御意見]
・該当箇所
1頁 1.太陽光発電・風力発電に係る接続ルール見直し(施行規則第6条第1項第3号イ関係
・意見内容
「(接続の請求を拒むことができる正当な理由)第6条第1項第3号イ」についてとの見出しをつけるべきです。丁寧で正直な説明と共にパブコメをやり直してください。
・理由
「再生可能エネルギーの接続可能量を拡大するため」と繰り返し出てくるので、混乱のもとです。
 
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等」に対する意見【No.4】
[御意見]
・該当箇所
1頁 1.太陽光発電・風力発電に係る接続ルール見直し(施行規則第6条第1項第3号イ関係)(1)太陽光発電・風力発電に対する出力制御の対象範囲の見直し
・意見内容
「再生可能エネルギーの接続可能量を拡大するため」「500kW以上の太陽光発電・風力発電が行うこととなる出力制御について、500kW未満の太陽光発電・風力発電についても対応していただくこと」は意味不明です。丁寧で正直な説明と共にパブコメをやり直してください。
・理由
「再生可能エネルギーの接続可能量を拡大するため」とありますが、実際は、現行では500kW以上の太陽光発電・風力発電に対して行われる出力制御を、500kW未満でも出力制限を行う、つまり出力制御の拡大です。詐欺的なパブリックコメントです。
 
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等」に対する意見【No.5】
[御意見]
・該当箇所
2頁目(2)「30日ルール」の時間制への移行
・意見内容
課長がマスコミに対して答えることとも矛盾します。30日を720時間とすることでどのような意味があるのかを説明すべきです。丁寧で正直な説明と共にパブコメをやり直してください。
・理由
「見直し案では、太陽光発電の接続申し込みが殺到する上記5社及び北陸電力、中国電力において、申し込みが接続可能量を上回った場合、電力会社は現行ルールの上限30日を超えて無補償の出力制御を行うことを前提に接続することが可能になる。」と、拡大されるのは、接続可能量ではなく、制御の日数ではないですか?意味不明です。
 
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等」に対する意見【No.6】
[御意見]
・該当箇所
3頁目6.将来的に系統への接続が可能な枠が増加した場合の対応(新設)
・意見内容
接続可能枠は、原発事故以前30年ではなく、過去3年半を土台に接続可能量として算定した上で定めるべき、その上で、この規則改正は行うべきです。
・理由
――大震災前30年間平均の原子力発電稼働率を前提に接続可能量を決めたことを問題視する意見も多い。との問いに課長は「接続可能量は、将来の原発の稼働状況によって変わってくる。原発依存度が低下すれば、再エネの導入余地は増える。また、電力システム改革によって、今はほとんど活用されていない地域の連系線も活用されてくれば、全国規模で電力の相互融通が可能になる。つまり、長期的には再エネの出力制御が少なくなる方向へ行く」と答えている。
それならば、過去3年半の原発「低」依存度をもとに、原子力基本法、電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法、原子力損害賠償法の改正こそ先に進めるべきです。
 
「パブコメ形骸化は行政手続法違反」
問題はこの後だ。
パブコメメールが飛び交っていたMLに参考になるか分からないけど
一国民として送ったものを共有しますと上記を共有したら、
という記事のURLが送られてきて、見ると
今日の午後5時に締め切って、月曜休日でお休みで、火曜に省令改正を施行する」と
書いてある。ん?今日の5時なんて書いてあったか?と
回復途上の体力を振り絞ってもう一度パブコメサイトを見ると、
やっぱり2015年01月09日としか書いていない。
そりゃ23:59までだろうと思いつつ
もしかして、ともう一度、意見公募要領を見ると
「※FAX、電子メールの場合は午後5時まで」と書いてある。
 
パブコメでも書いたように、パブコメを頼む側は、元の規則の場所も
ワーキンググループのサイトも資料も議事録も何ひとつ丁寧に情報提供しない。
(見たければ自分で探してみろ、という態度で)
 
その上、送る側には、意見公募要領と意見公募様式をわざわざ分けて、手間を増やし、
しかも、「改正の概要」のみ。「正式版」があるのかないのかも分からない。
それで、ご意見ください、の上に、なに?3連休があけたらもう施行?
 
ガックリきた、と思ったら今度は、河野太郎議員のメルマガ
省令改正を1月13日にやると経産省が言ったのは、
自民党の再生可能エネルギーに関する委員会の席上だったことを知る。
 
パブコメ欄には1月中旬と書きながら自民党には13日と。
しかも9日締め切り後、3連休(10,11,12)を経た13日とは!
さらに、河野議員が文句を言うと、それは延期となり、
1月15日朝、自民党の委員会にパブコメの結果を報告するという。
 
狂っている。
この国は狂っている。

« 2014年12月 | トップページ | 2015年3月 »

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ