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2014年8月 3日 (日)

375.役割を失った水資源機構の德山ダムと導水事業

 
 見ると、確かに今年の5月15日から「徳山水力発電所2号機」の営業運転を開始していたので、そのように訂正してお詫びしたが、こちらでも改めて中部電力のプレスリリースにリンクを張って、その詳細を書いておく。
 
2014年5月27日の中部電力のプレスリリース
「徳山水力発電所ですが、2つの発電機を備えた発電所で、このたび、営業運転を開始した2号機の出力は22,400kWです。徳山ダムからの河川維持に必要な放流水を利用して常時運転する、高稼動な電源となります。一方、1号機(出力131,000kW)につきましては、2015年6月の営業運転開始を目指し引き続き建設を進めてまいります。」
 
構想から57年
 この德山ダムは1957年、揖斐川上流に電源開発促進法に基づく調査区域に指定された。一時期は「揚水ダム」といって原発の夜間電力で汲み上げてまた発電する上下2つで1セットのダムが構想されていたが、下ダムは中止となった。1976年から水資源開発公団(現・水資源機構)が事業を進めてきたが、完成したのは2008年だ。
 
 このダム事業の実態を拙著『水資源開発促進法 立法と公共事業』から一部抜粋する。
 
上げ底4割、年3回の観光放流をする德山ダムの今
「 一九九一年~一九九三年に行われた木曽川水系フルプランの協議では、徳山ダムを進めようとする国土庁原案に対し、建設省以外の関係省が「根拠なき計画は削除すべき」と主張したことが岐阜県図書館に収蔵された「木曽川水系における水資源開発基本計画全部変更協議経緯」と「木曽川水系水資源開発基本計画全部変更基礎資料」に記録されていた。
 
 筆者が二〇〇〇年に岐阜県庁に徳山ダムに関する取材を試みたときには、担当部局を探すことに難儀した。ご当地である揖斐川のある西濃地域は地下水が豊富でダムの水は不要、治水については国が所管しているので分からないという立場だった。岐阜県は受益自治体として財政負担をさせられることが分かっていながら、その理由を説明できる部局がなかった
 
 建設事業費一五〇〇億円の予定が、二〇〇八年に完成したときには三三四一億円に膨れ上がり、岐阜県の負担は二〇パーセントの六八一億円、しかし利息を含めると一一五七億円となり二〇五二年まで払うことになった。これには管理費は含まれない。
 
 最大の受益者である名古屋市は、完成前に水利権の半分を返上した。しかし、長良川の東側に位置し、長良川の水さえ余らせている名古屋市に、その川を西に越えた揖斐川の水がいるはずもない。図表5-5はなんとも虚しい徳山ダムの貯水容量の内訳である。
 
(略)
 
 七番目が発電の二%だが、先述したように上げ底分も加え、四割が発電容量のようなものだ。
 
 「底水」「不特定」「渇水対策」と次々と繰り出された建設の理屈は、水資源開発促進法に基づく「広域的な用水対策を緊急に実施する」目的とは余りにも乖離があり、建前に過ぎず、その歪みは「費用負担」に現れる。
 
 水資源機構中部支社総務課によれば、容量内訳では二割に過ぎない治水が負担の六割をかぶる。容量内訳四割を占める発電を担う中部電力の負担は一・四割でしかない。
 
 建設費から算定する一キロワットあたりの発電コストは、二〇〇〇年七月に故・石井紘基衆議院議員が質問主意書で尋ねたときには、一九八五年の当初予算一五〇〇億円をもとにした単価計算で一キロワットあたり三五万円であると国が試算を明らかにした。当時は揚水式発電が予定され、下ダムの建設費と発電所の建設費も含まれていた。しかし、下ダムの建設は中止され、建設費は倍増したため、単純に計算すれば一キロワットあたり七〇万円以上となる。二〇一二年四月の経済産業省の調達価格算定委員会資料によれば、建設コストで比べると、太陽光(非住宅用)で三二.五万円/キロワット、住宅用で四八万円/キロワット、風力で三〇万円/キロワットとされているので安くはない。
 
 ダム計画と同時期に、一九八二年一二月の第九〇回電源開発調整審議会で電源開発基本計画に位置づけられた徳山ダム発電所の事業主体であった電源開発株式会社は、その後、撤退し、中部電力だけが、最大で唯一と言っても良い徳山ダムの恩恵を受けることとなる。運転開始は二〇一四年となる。このダムを長期にわたって推進した梶原拓元岐阜県知事は元建設官僚だった。」 (P.112~114より抜粋)
 
 抜粋終わり。
 
 そんなわけで、2012年にこの本を出させていただいた際に「2014年」に運転開始されることになっていたる15万3400kWのうち2万2400kW(7分の1程度)の発電がこのリリースにあるような小屋で始まったが、フルに発電してもダムの目的の2%分に過ぎない。
 
 発電と同時に予定され、確保された水道・工業用水は、いまだに一滴も使っていない。もう一度繰り返すが、このダムの根拠法である水資源開発促進法の目的である「広域的な用水対策を緊急に実施する」こととは余りにも乖離しているのである。




 
 
 

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