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2014年8月28日 (木)

378. 水産庁は開発と漁業の関係を見直すべき

最上小国川ダムで問われる水産庁の役割 2014年08月18日 
http://astand.asahi.com/magazine/wrbusiness/2014081700001.html
をウェブロンザに書いたが続報する。実はこ並行して水面下で新たな動きが起きていた。 

8月11日「漁協は漁業補償を求めない」?
それは目を疑うニュースだった。8月12日の山形新聞朝刊が、山形県側が漁協に「漁協は漁業補償を求めない」との内容を盛り込んだ覚書素案を提示したとすっぱ抜いた。

山形新聞の記事について熊本教授は、県は2つの点で間違っていると語っていた。

「第1に、補償を受ける者は、漁業権や財産権を持つ権利者ですから、漁協に補償を求めないよう要請するのは、相手を間違えています。第2に『補償額はゼロ』と示すのならともかく、『補償を求めない』ことを補償相手に要求することは間違いです。」

たとえて言うなら、これは「加害者が、加害行為を行なう前に、被害者に対して『加害行為をしても補償(損害賠償)を求めないことを約束するように』と要請しているということであり、常識的に見ても明らかに誤りです」(熊本教授)と言うのである。

このスクープが出た直後に山形県水産振興課に確かめたところ、8月11日に県と漁協の協議が行われたのは、洪水時にダムの穴に流木が詰まる対策に関するものであり、漁業補償については次回以降になる予定と、屁理屈を言った(ダムの穴の話はダムに同意を与えての話であり、順番がひっくり返っている)。

しかし、山形新聞の記事については、「協議は非公開なのでお答えしかねる。漁業補償については、交渉中である」と口ごもった。とりまとめはダム建設を推進している県土整備部であると水産振興課は述べていた。上下関係で言えば、山形県では「開発」が「水産資源保護」よりも上になってしまっていることを示す。

6月7日「流水型ダムによる治水対策等の受け入れについての件」
冒頭の記事で問題にした通り、水産業協同組合法50条第4項は、漁業権の変更には、漁協組合員の3分の2以上の賛成による「特別決議」を必要とする。

==============================
(特別決議事項)
第五十条  次の事項は、総組合員(准組合員を除く。)の半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上が出席し、その議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上の多数による議決を必要とする。
(略)
四  漁業権又はこれに関する物権の設定、得喪又は変更
===============================

また、次の段階に進むとすれば、漁業補償については組合員全員の同意がいる。

ところが、ダム絶対反対の組合長の自死後、就任した推進派組合長のもとで、組合総代会が開かれ、漁業権侵害が起きる事項にもかかわらず、「流水型ダムによる治水対策等の受け入れについての件」とオブラートに包んで過半数の賛成でよい「普通決議」にかけた。結果は、過半数が賛成(103人中、賛成57、反対46)というものだった。

3分の2にはほど遠い。法律を読むことを得意としない人々を相手に赤子の手をひねるかのごとく、過半数を越えたという「普通決議」でダム建設容認ムードをジワジワ作り、諦めさせ、いかなる手段を使ってもダムを作らせたいという見えない力が見える。

8月27日、やっぱりゼロか限りなくゼロに近い漁業補償

今朝、県と漁協の間で昨日行われた非公開協議の内容を各紙が伝えている。

漁業補償110万 県が試算 小国川ダム協議 2014年08月28日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/local/yamagata/news/20140827-OYTNT50431.html
山形)漁協と県が補償交渉 最上小国川ダム建設 2014年08月28日朝日
http://digital.asahi.com/articles/ASG8W6DVMG8WUZHB00D.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG8W6DVMG8WUZHB00D

「県側は、100万円ほどを県が補償する内容と、金銭的な補償を行わない内容の2案を提示した」とある・・・。

水産庁は、戦後、なぜ、内水面漁業(川や湖沼の漁業のこと)が衰退してきたのかを考える機会とすべきなのではないか。開発とは相容れない海や川の漁業をどう失ってきたのか、なぜ、失ってきたのか。ウナギはなぜ絶滅しかけているのか、考えて見るべきではないか?

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