« 378. 水産庁は開発と漁業の関係を見直すべき | トップページ | 380.畑中尚さん「仲立ちをするのが国でなければならない」 »

2014年8月30日 (土)

379.穴詰まり対策協議による既成事実化

 山形県では、最上小国川ダムに向けた既成(誤変換失礼しました)事実化がますます進んでいる。8月28日、小国川漁協、山形県、最上町、舟形町が行った協議で、穴詰まり対策案が示された。以下のように報道されている。

■穴詰まり対策 評価/小国川ダム(朝日新聞山形版 2014年8月29日)http://www.asahi.com/articles/CMTW1408290600001.html
■最上小国川ダム、県が協定案提示 漁協、2町と意見交換会(山形新聞2014年08月29日)
http://yamagata-np.jp/news/201408/29/kj_2014082900587.php
■最上小国川ダム:県、漁協など5者協議 治水と漁業振興、協定締結目指し /山形
(毎日新聞山形版 2014年08月29日)
http://mainichi.jp/area/yamagata/news/20140829ddlk06010202000c.html

これに対し、河川工学者である今本博健・京都大学名誉教授は、「最上小国川ダムの穴は小さいだけに穴づまりの懸念は簡単には解消できません。またこれだけの対策をすれば維持管理が大変です」とした上で、次のような見解を明らかにした。
 以下、そのままを転載する。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

山形県が平成26年8月28日に示した「穴づまり対策」について

 山形県は、漁協の意見・提案等、すなわち、
・洪水後の水が引いてからの流木等の撤去作業時に水を濁す懸念があるため、機械化による流木撤去
・流木を捕捉するため上流の砂防堰堤の活用
・穴づまりした場合などのバイパスとして転流工の活用
を受け、以下の多重的な対策案を実施するとしている。

①砂防堰堤の活用
・既設の砂防堰堤(流水型ダムより上流約100m地点)を改良し流木捕捉工として活用する。
②鋼製流木止めの設置
・流水型ダムより上流約2km地点へ流木捕捉工として新設する。
③仮締切堤の活用
・本体工事で使用した仮締切堤に通水路(スリット)を設け、流木捕捉工として再活用する。
④鋼製スクリーンの設置
・穴の上流側に鋼製スクリーンを設置し、洪水時の流木等による閉塞を防御する。
・通常の流れは阻害しないようにスクリーン下部の水深1m程度は常時開口状態とする。
⑤可動式穴づまり防止装置(維持管理板)の設置
・流木等が堆積した場合、また、万一、穴が閉塞した場合、維持管理板を上げ、通水断面確保や
 堆積物を流下させる。

 最上小国川ダムの常用洪水吐は1.7B×1.6Hと小さく、穴づまりの可能性が大きい。そのことを認識して多重的な対策案を実施するとしたのであろうが、その効果には疑問が多い。

 ①の砂防堰堤の活用については、すべての流木を完全に捕捉することが不可能なうえ、砂防堰堤の設計では上部に流木捕捉工を設置することを想定しておらず、流木を捕捉することにより砂防堰堤自体が破壊される恐れがある。

 ②の鋼製流木止めの設置については、流木止めより下流で発生する流木はそのままであり、上流からくる流木を完全に捕捉することは不可能である。

 ③の仮締切堤の活用については、巨礫の捕捉工としての効果は期待できても、浮遊して流下する流木の捕捉は期待できない。

 ④の鋼製スクリーンの設置については、他の穴あきダムでも採用されているが、スクリーンの前面に巨礫が堆積すれば穴が詰まったと同じ状態になる。スクリーンを設置することにより、それがなければ流下する土石まで捕捉されることになり、穴づまりの可能性を大きくしかねない。

 ⑤の可動式穴づまり防止装置(維持管理板)の設置については、自然放流の穴あきダムに流量調節ゲートをつけたことになり、どのように操作するかが問題になる。穴が閉塞した場合、ゲートを上げることで堆積物が流下するとは限らない。

 以上のように、ここに示された対策はいわば「思いつき」程度のもので、穴づまりの懸念を解消するものではない。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

« 378. 水産庁は開発と漁業の関係を見直すべき | トップページ | 380.畑中尚さん「仲立ちをするのが国でなければならない」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1651265/57224226

この記事へのトラックバック一覧です: 379.穴詰まり対策協議による既成事実化:

« 378. 水産庁は開発と漁業の関係を見直すべき | トップページ | 380.畑中尚さん「仲立ちをするのが国でなければならない」 »

2015年6月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
無料ブログはココログ