363.決意、誰のためか
口先で「集団的自衛権」を協議している政治家達に腹が立ってきた。
3.11直後、考えに考えて「福島原発暴発阻止行動プロジェクト」を呼びかけた山田恭暉さんが6月17日に亡くなった。山田さんについて書いた原稿を読み返し、その「決意」の対比で、腹が立ってきた。
立ち向かうべき「闘い」は、遠いシーレーンや飛んでくるミサイルにあるのではない。今、相変わらずそこに続いている危機である東京電力の福島第一原発の後始末ではないか。
「被曝の制限で一〇分、一五分で帰ってこなければならない中ではまともな設備は作れない。三、四時間続けて作業をしなければというのが私たち技術者の実感。ロボットを使うにしても、手で触りながらやらないとできない仕事が残る。誰がそれをやるか。自衛隊がやればいいと言う人がいるが、若い奴にやらせるわけにいかない」。
2011年4月、山田さんは、退役技術者のプライドをかけてプロジェクトを立ち上げた理由をそう語った。その思いを遂げることができずに亡くなったことは、本人にとっては無念、ご家族にとっては安堵なのかもしれない。
「集団的自衛権」を協議している政治家達よ。「福島第一原発」にある危機を、あたかもなくなったものであるかのように振る舞い、作ろうと思えば作れる国家間の平和を脅かし、前世紀の遺物となるべき国家主義を持ち出して、悦に入っている政治家達よ・・・!
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高齢技術者「若い奴にはやらせない」
原発暴発阻止プロジェクト(2011/4/22)週刊金曜日アンテナより 自己抜粋
福島原発を注視する技術者、山田恭暉さん(七二歳)がこのほど「福島原発暴発阻止行動プロジェクト」を呼びかけている。山田さんは住友金属工業で技術者として三〇年勤続した経験をもとに、技術者仲間との議論の末、以下のような決意を呼びかけた。
(1)原発の暴発を防ぐには、一〇年作動する冷却設備を設置しなければならない(2)高度に放射能汚染された環境下での作業となる(3)それができなければ広範な汚染が発生する可能性がある(4)阻止するには、現場作業や技術を蓄積した退役者たちが次世代のために働くしかない。
当然、被曝するわけであり、大半の人間は賛否の判断にとまどう。「人のせいにしているのは気楽なことですけども、我々は原発で作った電気を享受し、それを許してきた」と山田さんは決意の理由を次のように語る。「被曝の制限で一〇分、一五分で帰ってこなければならない中ではまともな設備は作れない。三、四時間続けて作業をしなければというのが私たち技術者の実感。ロボットを使うにしても、手で触りながらやらないとできない仕事が残る。誰がそれをやるか。自衛隊がやればいいと言う人がいるが、若い奴にやらせるわけにいかない」。
実現の道筋も探り始めている。「東京電力に言っても受け付けないでしょう。政治の力を使わない限りこのプロジェクトは実現しない」との認識で政治家と話し、「長期にわたる国の体制として退役した元技能者・技術者のボランティアによる行動隊を作ることを提案」したいと呼びかけ文に記した。「原発専門の技術者に聞くと数カ月なら応急措置でも回せる。その間、作業の訓練を一、二カ月行なう。技術者といっても原発作業の専門家ではありませんから」と実現可能性を追求する。
「反対や批判は承知の上。だけど最悪のシナリオを書いて、やらなければいけないことからやる。これは技術者が心をこめてやらなければ。報酬があってやっちゃダメです」と捨て身である。
五〇〇通のメール、二〇〇〇通の封書で呼びかけを始め、すでに二五人が参加を表明した。この覚悟を東電と政府はどう受け止めるのか。
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「福島原発暴発阻止行動プロジェクト」は後に、公益社団法人「福島原発行動隊」となり、「東京電力株式会社が採用している多重下請けを排し、事故収束から廃炉に至る作業管理及び作業従事者の被ばく管理を一元化したマネジメント体制を確立すること」 など提言活動を続けてきた。
2014月7月29日 憲政記念館で山田さんを偲ぶ会が開かれる。
http://svcf.jp/archives/5022
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