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2014年5月20日 (火)

336.甲状腺がん 速報から1カ月半遅れの3県追跡査結果

先日、環境省の情報公開室で
平成25年度「甲状腺結節性疾患追跡調査事業結果」の開示請求をしたところ、

その当該資料の担当者である環境省 放射線健康管理担当参事官が出席する
「第6回東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」開催中に情報公開室から
開示請求のあった資料がネットで公表されたがどうするか」と電話があった。

つまり、開示請求を取り下げるかという意味だ。

これはもともと、平成26年3月28日に
「甲状腺結節性疾患追跡調査事業結果(速報)について(お知らせ)」
として環境省が「速報」のみ発表したものだ。

この情報は福島のデータとは対象年齢も母数もまったく違っており、本来比較すべきものでもない。

ところが、そのことに気づかなかったらしい報道機関は、
「福島」VS「3県調査」=甲状腺がんの発症率に差がないという報道をしてしまい、
それがそのまま1人歩きするようになってしまった。

不誠実過ぎる。環境省に問い合わせると、放射線健康管理担当の枦山智博・参事官補佐は、「私どもでは、福島で見つかっている子どもの甲状腺がんの発症率と変わらないとの説明は行っていない」と言う。

まるで、マスコミが勝手にそう書いたと言いたげだった。

不正確な報道を誘発する速報を「プレス発表」すらせず、
文書をポイとウェブサイトに載せ、

記者の問い合わせに答えただけです。
それをどう判断して報道するかはご自由です
」と補佐は言ってのけた。

さて、不正確な誤報の1人歩きの素となった調査結果だが、
発注書の仕様書通りに仕事をしたのであれば、
3月末までに落札者である「公益財団法人 原子力安全研究協会」が
報告書を提出し、環境省はそのまま公表すればよい。

ところが環境省は、なぜか、「公益財団法人 原子力安全研究協会」が
報告書を提出する前に「速報」して以来、
「詳細な調査結果については、4月以降に公表する予定です」としたきり、
報告書そのものについては、なかなか公表しなかった。

そこで開示請求をしたのだが、先ほど、ウェブサイトで公表したという。

その公表場所は、トップページ にある「放射性物質対策」ですかと聞けば違う。
報道資料ですかと聞くと、報道発表資料ですらない。

「保健・化学物質対策」という通常業務の中にさりげなく「放射性健康管理
とあり、その中の原子力災害影響調査等事業報告書をクリックせよという。
→ http://www.env.go.jp/chemi/rhm/reports.html → http://www.env.go.jp/chemi/rhm/reports/h2603a.pdf

見て驚いた。速報とさほど変わらない。
1カ月半もの間、どんな情報を括って見えなくしたのか。

私が開示請求をしたのは、
山梨、長崎、青森の地域差を比較できるかどうかに関心があったからだ。
そうでなければ、「福島と比べて差がない」も言えないのではないか。

今回公表した報告書は、3県が一括りになっている。

これは「概要」であって「報告書」とは言えないから
「開示請求を取り下げない」という連絡をしたら、これが「報告書である」という。

だったら、なぜ、1カ月半もの間、
速報と変わらない「報告書」を公表を棚上げしたのか。

情報の小出は何のためか。何かを隠したのか。
そのような疑念を持たれることをまだ学んでいないのは何故なのか。

「報告書」自体の開示請求は取り下げたが、
経済振興のために健康被害を犠牲にした国の歴史は繰り返されても不思議はない。
ここは性悪説に立って監視を続けるしかない。

ちなみに、情報公開クリアリングハウスが、
福島第一原発関係の情報公開を驚くほどに網羅的に行っており
情報の宝庫となっている。↓

http://clearinghouse.main.jp/wp/?cat=17

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