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2013年12月

2013年12月31日 (火)

298.10大ニュースの残り8つ

前のコマとその前のコマで書いた、今年の10大ニュース(私から見てですが)の続きを相方の実家に向かう車中にて続けます。(ブチブチ接続がきれてなかなか困難)

3.スーパー堤防の急発進により、お正月気分になれずに「除却」の進んだまちで年を越す方々がいること。

4.沖縄県仲井真知事が辺野古埋め立てを承認したこと。

5.長崎県が県営石木ダムを推進するために土地収用手続きに乗り出し、ここにもお正月気分になれずに過ごされる方々がいること。

6.八ッ場ダム住民訴訟判決に一日校長事件なる判例が使われたこと、諫早干潟干拓判決が行政の行為是正につなげられなかったことなど、司法と行政の関係がおかしなものになり、三権分立の意義を問い直さなければならなくなったこと。

7.東京電力福島第一原子力発電所事故以降、18歳未満の子どもたちに甲状腺ガンが多発しているのに、現時点に至るまでほとんどのマスコミが大事件として調査報道をしていないこと。

8.廃止されるべき水資源機構やその根拠法である水資源開発促進法が、今年も独立行政法人評価を生き残り、一方で「防災・減災」の文言を冠した国土強靭化基本法のような時代錯誤な法律が成立したこと。

9.大学生を対象に書かせていただいた「四大公害病」を読んで最初に取材に来てくれたのが中学生で、その質問がびっくりするほど鋭かったこと。

10.上記の大半に通じるのが、ガラパゴス化してしまったとも言える日本の環境影響評価制度であり、私にとって新しい意味で「環境影響評価制度」元年となったこと。

上記のほぼすべてに通じるテーマで、この2年の間に形にすべきでできなかったことを中心に、来年は集中して取り組みたい。

このブログにアクセスしてくださった方に心から感謝します。よいお年を!

297.権力の濫用を慎み、地域(人々)の力を引き出すのは誰か(山形の場合5)

ここからの続報。山形県による漁業権免許を背景にした「配慮」の強要についてです。
 
「言った」「言わない」に持ち込めば、権力を持つ側が勝つ。しかし、そうさせてはいけない。
 
 
 
 
しかし、2013年12月25日、山形県庁10階会議室で開催された山形県内水漁業管理委員会を傍聴してみて、そもそも漁業権が切れる数日前、しかも御用納めまであと2日という時にゴタゴタすること自体が、漁業法を逸脱した行政行為だということがはっきり分かった。
 
この日、内水漁業管理委員会の議題の中心は第1号議案。これは、2014年1月1日から10年間の山形県内17漁協が申請した各河川における漁業権の免許に関するものだった。
 
漁業法第14条に基づく申請者の適格性について。基本は1年に90日以上漁業を営む組合員の世帯数が、その地域で90日以上漁業を営んでいる世帯数の3分の2以上いるかどうかなど。
 
受付で受け取った資料をザザザっとめくった時点で、今回問題になっている申請の中身つまり漁業計画については1号議案に「適格性判定用個別資料」として含まれていたので、緊張して聞き入った。
 
しかし、11人の委員中9人が参加して始まった内水漁業管理委員の一人から出た質問と事務局からの回答には、後述する重大な問題をはらんでいたものの、それを除けば、あっけないほど、「ご異議ありませんか」「異議なし」ということで、申請者に適格性があるとの答申が出た。
 
それもそのはずで、この1号議案は、14条の3分の2条項を満たしているかどうかを確認するだけの手続きであり、満たしていることを示す具体的な「調書一覧」が示され、適格性があることは誰の目にも明かだった。
 
にわかに報道で騒がれた申請の中身、つまり漁業計画については、実際はすでに3月の公聴会を経て、5月10日に公示され、手続きは済んでいる(問題となった漁業権はこちらのP.614~615)はずだった。これ以上でも以下でもない。
 
この中身について、「申請者」である各地の漁協が申請し、その適格性が14条で確認を受けて申請する、単にそういう手続きだった。
 
問題となったのは、公聴会にも公示内容にも具体的に示されず、漁業法の手続きで想定されていないこと、山形県が小国川漁協に対し説明したからだ。
 
このことに関して、ここで書いたことを2点を加筆させていただきたい。
 
まず一つは、「免許を付与する権限を持つ側の県から、免許される側の小国川漁協に対し、今になって、免許の剥奪や消滅をほのめかす条件の提示が行われている」と書いたことについて。
 
これは、実際に聞いてみると、漁協側が「公益上必要な行為について十分配慮しなければならない」とは一体何か、ダムに賛成しなければ免許しないということかと尋ねると、配慮とは「県からは組合の方で考えること」だと言われた、つまりはっきり何も聞いていない。はっきり言わないからこそ、漁業権が免許されない危機感を覚えたというのだ。
 
これは12月20日、NHKも報じたことを草島進一さんが記録している。
 
もう一つは、「公益上必要な行為」は、その他に書いた「最上小国川においてダム建設工事」をすることであり、「十分配慮」とは、(1)説明に応じること、(2)話し合いに応じること、(3)測量を妨げないことだと言うのだ。
 
これは、よく聞いてみると驚いたことに漁協には提示されてもおらず、山形県の阿部次長が12月17日の県議会の答弁の中で初めて示したことだった。県議に「公益上条件として必要な行為」について聞かれ、次のように答弁した。
 
「公益上の配慮というのはどういうものだと言うことになると思いますが、基本的にはですね。漁業法の中ではダム建設云々というのはですね、漁業法自体は漁業振興を目的とするとうことでございますので、それを直接的には明示されていないとはなりますが、34条の中でですね、公益的な配慮をしていただけるという事を前提に、免許審査を行うということは可能でありますので、その公益的な配慮につきましてはですね。具体的に申しますと例えば、そういう計画がある場合に話合いにきちんと応じていただくとかですね、意見交換を十分に受けて頂くさらに例えば計画を樹立する上で測量とかですね、そういったものについてきちんと配慮していただくということをですね、どんなかたちで漁協さんが意図していただけるかその担保となるようなものをですね、きちんと提出していただきたいということでですね、県内17漁協に伝えているものであります」と遠回しに答えている。
 
県はまた、漁協に対して説明をしていない「配慮」の中身について12月9日に記者会見を開いている。http://www.youtube.com/watch?v=q082rLsBdvU (Yuta Satoさん配信)
 
これらに漁協が不安を覚えて報道される事態になっていった。
 
その結果、12月25日、山形県内水漁業管理委員会の冒頭には、県の若松正俊農林水産部長からは「委員の皆様にご心配をおかけしました」との挨拶があった。(実際に心配したのは免許を受ける側の漁協だったのだが。)
 
さて、このあっさりと免許すべしとの答申を出した委員会で行われた「重大な問題をはらんでいた」質疑とは何かと言えば、県議会と記者会見でしか説明をしていない公益性とは何かについて一人の委員から質問が出て、内水面漁場管理委員会事務局長である五十嵐和昌水産課長が、漁場計画の中で34条に基づく制限または要件として名示もしていない3要件を答えたことだ。(実際には質疑回答とも、あまりにも小さな声で途切れ途切れにしか聞こえなかったが、録音を繰り返し聞いてようやく判明した)
 
これについては、漁業法11条34条に反して明文化されず、3月の公聴会でも5月10日の公示でも明かにされていないことは明かだった。
 
そして今回、委員会終了後の内水面漁場管理委員会の伊藤健雄会長に対するぶら下がり取材において、会長ですら聞いていなかったということがハッキリした。↓漁業法の手続きによらない後出しだったのだ。→ http://www.youtube.com/watch?v=J5_Vdei0Lqo(38秒目から)
 
 -条件について3つ挙げられていましたけれども。
伊藤会長「これは県が挙げたことですね」
 -はい。それは3月に公聴会が行わったりした時点ではなかったことですね。
伊藤会長「そうですね」
 
このぶら下がり取材のあと、上記の五十嵐水産課長に、公示内容にないことを口頭でこの段階で言い出すのはどういうことなのか、見解を尋ねたが、逃げるので追いかけていくと男子トイレに逃げ込まれた。
 
また、文書により確認を取ろうと、県義、県民の方、他の記者と共に内水面漁場委員会の公聴会前後の議事録の縦覧をさせてもらったが(ご担当の皆様遅くまで有り難うございました)、3要件は一切ないことも確認できた。
 
一方で、小国川漁協の沼澤勝喜組合長は、「いままでダムありきでダムにたよらない治水の提案をしても話し合いにならなかったから、これからが話し合いの始まりだと考えます」と、少しほっとした声で語った。
 
それでも、委員会の答申を受けた実際の知事による免許までは心配していることを、組合長の言葉の端から察せざるをえず、免許権を持つ者と、免許される側の関係で、「言った」「言わない」が、如何に免許される側にとって不利であり、だからこそ、行政手続きは文書主義、制限や要件についてはほのめかしではなく文書によらなければならないことを実感した。
 
そして、この次の日、御用納めの一日前、知事は漁業権を免許した。
 
 
同日、知事は、問題となったダム建設について陳情を受け、ダム推進発言を繰り返した。http://www.youtube.com/watch?v=luDAoT7LQRE&feature=youtu.be 
 
漁業法は漁業を守るためにある法律であり、ダム計画を了承することを公益と呼んで、漁業者に配慮させるための法律ではない。だからこそ、県側は、3要件を書き込むことができなかったのであり、だからこそ、口頭でギリギリのタイミングでほのめかした。その意味で悪質な職権濫用ではないか、というのが、今回の一連の私の感想だ。
 
この件はお察しのように、一件落着したわけではない。ぶつかる公益を調整する制度を諸外国では発達させてきた。ところが日本ではいまだに、「開発」をゴリ押しする脆弱な制度と職権の濫用が目立つ。もっと力を付けなければ、守りたいものを守れない。
 
これが、今年の10大ニュースの一つだった。
 
 
 
 

2013年12月30日 (月)

296 理念なき改憲ありきの安倍政権の復活

今年の10大ニュースの形で順不同で書いていきたい。
一つは安倍政権の復活である。
 
.2013年11月27日、国家安全保障会議設置法の成立、
.2013年12月6日、特定秘密保護法の成立、
.2013年12月23日、国家安全保障会議と持ち回り閣議を経て、政府は同日、内閣官房長官談話lによって国連要請のもとで他国において他国に対し武器提供を決定したことを発表した。
 
 
これらは集団的自衛権を盛り込んだ憲法改正への大きなステップ台に他ならない。
 
安倍晋三首相はNHKの『「証言ドキュメント」永田町・権力の興亡 そして"自民一強"に』*1)で、集団的自衛権と憲法改正は自分のライフワークであり、あと衆参の解散まで3年あると語っている。
 
 
は、既存の安全保障会議を拡充したものだが、60人という大所帯の事務局ができあがる。
 
 
は、昭和29年にできた「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」(通称MDA法)から始まって、国家公務員第100条、自衛隊法第59条、さらには情報公開法第5条の非開示事由で十分に秘密国家体制ができあがっているところ(下表参照)、今回はそれをさらに強化して国家公務員のプライバシーにも踏み、公益通報を萎縮させてYesマンを生産し、国民のための公務員ではなく国家のための公務員製造を促進する性質を持っている。
 
 
Photo
 
 
こそは、この体制がどのような危険をはらんでいるのかを早くも明らかにした。
 
 
安倍首相が狙う集団的自衛権と憲法改正が実現してもいないうちに、どのような情報操作によって日本が間違った戦争に突入しうるかを明らかにした。
 
 
安倍首相は、特定秘密保全法審議の際、衆参両院の本会議などで同僚自民党議員に問われて、少なくとも5回(国会議事録検索2013年12月29日)、次のように答弁していた。
 
 
「新たに設置される予定の国家安全保障会議の審議をより効果的に行うためにも、秘密保全に関する法制が整備されていることが重要であると認識しております」。
 
その前提として、「情報漏えいに関する脅威が高まっている状況や、外国との情報共有は情報が各国において保全されることを前提に行われていることに鑑みると、御指摘のとおり、秘密保全に関する法制を整備することは喫緊の課題であります」と語っているが、情報漏えいに対する処分は以下のようにすでに対処できる法律はあり、その他に立法事実(法律を作らなければならない事実)は説明されていない。
 
 
 
安倍氏の言葉をそのまま取れば、国家安全保障会議を秘密にするために作った法律であると極論することもできる。では11月27日にできたこの国家安全保障会議はこれまでに何をやったか?
 
12月17日に開催され、「国家安全保障戦略について」、「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について」及び「平成26年度から平成30年度までを対象とする中期防衛力整備計画について」を決定した。
 
次に決定したのが、12月23日、国連要請による南スーダンで韓国PKO隊に武器提供したことだった。
 
 
前のコマで書いたとおり、要請は国連から来たことであり、自国の自衛隊(日本のPKO部隊)に対し日本政府は確かめもせずに、「人道的、緊急的」だと言って、小銃弾約1万発を韓国PKOに提供した。
 
12月24日の官房長官会見によっても、それは明らかだ。 22日午前に国連、22日午後に韓国あった要請によるとする。日本政府は自国の情報源である自衛隊に確かめていないのだ。(確かめていれば、韓国PKOが緊迫した状態にあるかどうかはわかり得る。常識で考えれば確かめた上で決定する。自衛隊を情報源として思いも付かず確かめてもいないのであれば政府の意思決定として大問題であるし(少なくも私の取材に対し防衛省広報担当は自衛隊からは聞いていないと述べた)、確かめたのに確かめたことを言わないとすれば何か意図があると考えたくなる)
 
 
共同通信記者が次のように聞いている。「韓国国防省の報道官が予備量を確保するために臨時で借りたものだ、銃弾をですね。で銃弾は不足していないと言ったんですけれども、これについて日本政府の説明と食い違うんじゃないか」。返却することをどう思うかという質問の中でである。
 
 
これに対し、菅官房長官は、「日本政府は、国連からの正式な要請、また韓国からの要請があった。それがすべての事実です(笑)」という。
 
 
 
そして別の記者からの質問で「『韓国』とは具体的にはどこの部署か」と尋ねられ、控えている官僚の方に顔を向けて、向けられた官僚が「これは在京の大使館を通して」というのをオウム返しにして、官房長官が記者に「在京の大使館」と答えている
 
 
 
もう一度、官房長官談話を振り返ってみるが(*2)、この中で、英語で出ている情報と比べて確からしいのは、UNMISS(国際連合南スーダン共和国ミッション)で南スーダンにいる韓国PKOに対し、日本の自衛隊が持ち込んだ小銃弾約1万発を提供したという事実だけしかない。
 
 
 
 
官房長官は12月27日に再び会見で問題にされて、次のように答えている。
 
 
 
 
「国連さらに韓国から要請があったものですから、政府としては、ギリギリの武器輸出三原則という中でですね、これ、徹夜をして、答えたいという形の中でですね、○○検討した結果ですね、まさに人道的、緊急的なという形で協力をさしていただきまして、まあ、それに尽きるんだろうと思います(笑)」
 
 
この件に関する細かいことを答える際、官房長官はまずったなという表情で文書(談話)を読み上げるが、「要請があった」ということだけを強調して「それがすべての事実です」「それに尽きるんだろうと思います」というときには必ず笑顔を見せる。
 
 
官房長官は計2回も「22日」に「徹夜で考えた」と答えているが、それなら韓国のどこからどのような要請があったかは、その徹夜の場で話が出て、それを真剣に吟味して議論するだろう。ところが、不意を突く気すらない記者からの単純な事実確認に対して官房長官が自ら答えられなかった。これは何を意味するのか?
 
 
 
PKO法にも書かれておらず、武器輸出三原則を破らなければならない要請を国連が日本に要請してくること自体が奇異だが、それが本当だとしても、日本政府として、あらゆる角度から情報を収集し、その確かさをもとに、一歩を踏み込むかどうかを決定するだろう。
 
 
 
この単純な質問に官房長官が答えられなかったのは、そのような緊迫した議論が徹夜をしている中でまったく行われなかったからではないか。
 
 
挙げ句に、12月27日の会見で、官房長官は提供した弾薬が「使われたのか使われなかったのか、わかりませんけども(略)現場は大変な状況だったんだろうと思います」とも語っている。そんな無責任なことがあるだろうか。
 
日本の納税者によって買われた武器によって、誰が誰をどのような状況で威嚇もしくは殺害もしくは韓国政府が言うように予備として使われずに返却を受けたのか受けなかったのか、政府には説明責任がある。
 
韓国の新聞や英文メディアの報道を総合して言えば、韓国部隊は約280人からなり、エンジニアや医療関係者から構成されている韓国ヘラルドは、おもにエンジニア(道路などを敷設するための土木技師と考えるべきだろう)だと報じている。そもそも日本の自衛隊同等もしくはそれ以上に、緊迫した状況に対応することが想定された部隊ではなかったことは明らかだ。
 
官房長官談話では「韓国隊」としか書いていないが、誤解させる表現により私も前のコマで韓国軍と書いたし、各紙も「韓国軍」と報じた(*3)。
 
 
決定のプロセス、中身を振り返ると、今回のことは、集団的自衛権を既成事実化する絶好のチャンスとして安倍政権が利用したと考えれば理解しやすい。
 
 
そうでないならば、どこからのどのような情報をもとに意思決定をどう行ったのか、「徹夜」の議論の中身をつまびらかにするべきだ。
 
 
「国家安全保障会議の審議をより効果的に行う」ためにその議論を秘密にすれば、「効率的」は単に「独善的」に陥り今回のようにPKO法も想定していない武器提供に歯止めも検証も効かなくなる。
 
歴史は小さなことの積み重ねと弾みで歪んでいく。今回の重大事を隠すためなのかどうなのかは不明だが、現役首相が靖国参拝を行うというニュースで、結果的にこの武器提供事件は闇に葬られようとしている。
安倍政権は早くも2013年度補正予算と2014年度予算を一体で審議するとバカなことを言っているが(14年度と同じタイミングの成立でいいなら、「補正」の意味はない。補正予算の意味や根拠法すら理解していないことになる)、行政を監視し、シビリアンコントロールをすべき国会は、予算審議が始まる前に、この官房長官談話によるPKO法破りと、武器三原則破りを徹底追及して、責任者に責任を取らせて欲しい。
 
(*1)
この番組はこちらで拝見→「皆さまのNHKから政府御用達・安部晋三様のNHKに大変貌をとげた番組でしたね~!」。このようにこの番組を揶揄するブログが存在感を増すことは、日本社会の健全性を表しているのではないか?
 
(*2)
「現在UNMISSは、同国中部のジョングレイ州ボルに所在する韓国隊宿営地において、反政府勢力等による争乱行為等により発生した避難民約1万5千名を受け入れている。」
 
「このような状況を受け、今般、国際連合から日本国政府に対し、緊急事態に対応し、韓国隊の隊員及び避難民等の生命・身体を保護するために、我が国施設部隊がUNMISSの活動に際して持ち込んだ小銃弾のうち、約1万発の提供について要請があった。」
 
「今般の要請については、我が国も参加するUNMISSが行う活動の一環として行われるものであるところ、韓国隊の隊員及び避難民の生命・身体を保護するために一刻を争い、また、UNMISSに派遣されている韓国隊が保有する小銃に対して適用可能な弾薬を保有するUNMISSの部隊は日本隊のみであるという緊急事態であり、緊急の必要性・人道性が極めて高いことに鑑み、UNMISSへの5.56mm普通弾1万発の物資協力については、当該物資が韓国隊の隊員及び避難民等の生命・身体の保護のためのみに使用されること及びUNMISSの管理の下、UNMISS以外への移転が厳しく制限されていることを前提に、武器輸出三原則等によらないこととする」

(*3)各紙は次のように報じた。
東京新聞「政府、初の武器提供 南スーダンPKO 韓国軍に銃弾1万発」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013122402000121.html
朝日新聞「陸自弾薬、韓国軍に提供 南スーダン、PKOで初」
http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312230201.html
毎日新聞「南スーダンPKO:日本、韓国軍に弾薬提供」
http://mainichi.jp/select/news/20131224k0000m010034000c.html

2013年12月24日 (火)

295.官房長官のお喋りと持ち回り閣議で武器を韓国軍に提供する呆痴国家

東京新聞のこの記事を手がかりに
 
東京新聞 2013年12月24日 朝刊
 
藪から棒に防衛省広報課に電話取材をして事実関係を確かめました。  
 
国連から日本政府への求めに応じて、南スーダンにいる自衛隊が
韓国軍に武器を提供したことが分かりました。  
 
●右から左へと聞き流してはいけないニュースです。  
 
良識ある法曹界、関係各界の自律的言動を期待して、
事実関係確認後の防衛省広報課とのやり取りを公開します。  
 
質問1)韓国軍に銃弾1万発を送ることを判断したのは誰か?  
 
質問2)「南スーダン東部ジョングレイ州に派遣されている韓国軍が活動拠点と
している国連施設に避難民が逃げ込み、対立する武装勢力が接近している状況」
のニュースソースはどこか?国連からということだが、自衛隊の独自情報ではな
いのか?なぜ政治的に「国連」から「日本政府」経由なのか?  
 
質問3)法的根拠は何か?PKO法に特例措置は書かれているのか?
書かれていないのなら違法行為ではないのか?  
 
答え1)判断は日本政府、防衛省だけではない。人道的な判断だ。  
 
答え2)情報は国連から日本政府、自衛隊から直接来た情報はない。  
 
答え3)PKO法にはない。内閣官房長官談話だから違法ではない。  
 
再質問1)なぜ国家安全保障会議ができた途端そうなるのか。医薬品じゃあるま
いし。自衛隊が撃てないから、韓国軍が足りないといえば、あげちゃうのか。  
 
再質問2)自衛隊からもどんな状況か情報が何も来ないのに、国連から政府への
連絡だけで武器を韓国政府にあげちゃったのか。  
 
再質問3)内閣官房長官がお喋りだけでPKO法に書いていないことをするのは
違法ではないか。  
 
答え3)内閣官房長官の談話は、普通の人の談話、お喋りとは違う。  
 
再々質問3)そうですよ。内閣官房長官のお喋りだからこそ、法で縛られる。
PKO法に書いていないことをするのは違法ではないか。  
 
再回答3)PKO法ではなく、内閣官房長官の談話に基づいた武器提供です
 
 
再々々質問3)ですから、なんの法的根拠もない。なんでそんなことするんですか。  
 
再々々回答3)官房長官に聞いて下さい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  
 
この後、防衛省はどう考えているんですかと聞いても、官房長官談話を繰り返すだけ。
東京新聞記事によれば「持ち回り閣議」とされていて、ろくに議論もされていないことが分かります。
 
「このくらい」と許せば、あっという間に「憲法改正」につながることが、
毎日のように少しづつ起きています。このままでは日本国民総「茹で蛙」です。
 
こうやって「先の戦争」は準備されていったのではないでしょうか。

294.権力の濫用を慎み、地域(人々)の力を引き出すのは誰か(八ッ場ダムの場合1)

2013年12月21日(土)、八ッ場ダム住民訴訟が始まって9周年の報告集会があり、会場近くの最寄り駅(水道橋駅)前で、ダム中止と生活再建法案の制定を求める署名活動が行われるとのことで行ってきた。

Photo

写真を撮るだけでは飽き足らず、関係チラシを掲げて道行く人の反応も見てみた。

足早に通り過ぎる人が大半だが、
チラシに目を留めながら歩いて行く人が少なくない。
目を見開いて強い目力(めぢから)で世の中を見ている人がたくさんいる。

八ッ場ダム中止を唱えた政権ごとひっくり返った今、地元はどうなっているのか。
事業推進に必要な用地買収がまだ進んでいない。
http://www.pref.gunma.jp/06/h5210024.html

12月4日には、群馬県議会で、八ッ場ダム関連事業を受注している南波建設前社長・南波和憲県議(自民党)(現社長は南波夫人)が、その進捗状況について質問したことを八ッ場あしたの会がレポートしている。

国に負担金を払わせられている1都5県の議会は、この八ッ場ダムの完成予定を2015年から2019年に延期するという国の変更手続きについに異議を唱えなかった。

現時点において、八ッ場あしたの会以下のようにこの件を伝えている(太字は筆者)。

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八ッ場ダムの基本計画は1986年の中曽根政権下で告示されました。この最初の基本計画における八ッ場ダム事業の工期は1967年度~2000年度、事業費は2110億円でした。

しかしその後、2001年に工期が2010円度に変更され(第一回変更)、2004年に事業費が4600億円に増額されました。この二度目の計画変更により、八ッ場ダは全国一高額なダム事業であることが明らかとなり、八ッ場ダムの名が次第に知られるようになっていきました。

2008年に2015年度に延長された工期は、今回四度目の計画変更により、2019年度に延長されることになりました。1967年度に始まった八ッ場ダム事業は、完成に少なくとも52年を要することとなり、八ッ場ダム事業は工期においても不名誉な全国トップとなりました。
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過去4回の計画変更により、
 当初事業費2110億円は4600億円に倍増、
 工期は19年もずれ込んでいる。

(続く)

冒頭の集会については以下のブログで紹介されている。↓
 八ツ場ダム判決は「あこぎなウナギ屋」
 http://kurakurasakura.blog.fc2.com/blog-entry-540.html
 報告*12/21八ッ場ダム住民訴訟9周年報告集会
 http://yambasaitama.blog38.fc2.com/blog-entry-2643.html

 

 

 

 

293.権力の濫用を慎み、地域(人々)の力を引き出すのは誰か(山形の場合4)

目が離せない最上小国川の漁業権問題の続報です。
今朝は高速バスで山形県庁に着いているはずだったが、ワケあって自宅にいる。
 
地元紙は以下のように報じている。
 漁協「公益に配慮」 漁業権更新へ県に回答書 最上ダム計画
 河北新報2013年12月24日
 
漁業権が更新されるには、漁業法に基づいて、内水面漁場管理委員会(法律では「海区漁業調整委員会」)にその内容が諮問されることになる。
 
==============================
(漁業の免許)
第十条  漁業権の設定を受けようとする者は、都道府県知事に申請してその免許を受けなければならない。
(海区漁業調整委員会への諮問)
第十二条  第十条の免許の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見をきかなければならない。
==============================
 
現時点(2013年12月24日9:00現在)で、「諮問内容を調整中」というのが
山形県内水面漁場管理委員会事務局の説明だ。
 
(平成24年6月22日以来、情報公開が止まっている同事務局

2013年12月22日 (日)

292.増税して、リニア減税?

12月13日、国土交通大臣会見で、まんまと騙された。スーパー堤防についての質問の後、一拍おいて、中央リニア新幹線についても質問をした。

国土強靭化政策大綱にリニアを推進するという意味不明な文言(なぜならば、民営事業だからだ)が入ったので、リニアに国費を投じないという確認をあえてしに行ったら、妙な逆質問を受けた。おかしいな、と思ったら、それよりも半月も前に、与党・政府でリニア減税とも言うべき案を浮上させていた(*)

こうした租税についての取り決めは、業界団体の陳情合戦を背景にした要望によって形作られ、最終的には通常国会で法案となって提出されるが、困ったことにこの法案を丁寧に見る人(議員、マスコミ)はいない。

猪瀬報道の10分の1でもいいから目を向けてくれるといいのだが。

2013年12月13日(金) 11:15 ~ 11:38
国土交通省会見室 太田昭宏 大臣
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin131213.html

(問)リニア新幹線についてですが、JR東海経営者がペイしないということを断言しておられます。今のようなJR北海道のような状況を考えた場合に、まず何を優先させるべきなのかということをお考えかということと、将来ペイしないと言っているリニア新幹線が安全性の点から見て大臣は適切だとお考えになっているかどうかお聞かせ下さい。

(答)私は適切な、今技術水準も高まり、そして試乗も多く外国の方もあって、日本で誇るべきリニア新幹線の技術というものであり、そして多くの人がこれについては望んでいる事業であると思っています。ペイしないという発言ということについては、様々な状況、条件というものがあって、経営上の判断の上である地点ということについて言っているというふうに私は思っておりますから、当然、そういうことも含めてJR東海は判断をしているものだと思います。

(問)国土強靱化政策大綱にリニア(新幹線)が推進ということで盛り込まれますが、国費を投じるという意味では無いということでよろしいでしょうか。

(答)どういう意味ですか。

(問)内閣府で(ナショナル・)レジリエンス(防災・減災)懇談会が行われていまして、そちらで国土強靱化政策大綱というものを国会で国土強靱化法が成立する前に案として12月4日に出されています。法律が通ったのが12月5日未明ですが。その大綱の中でリニア(新幹線)については国として推進するという文言がありました。これは予算を入れるということは書いてありませんので確認したいのですが、JR東海は民間企業ですから国費を投入したりすることはしないということで間違いはないでしょうか。

(答)あなたの言う国費という範疇はどういう範疇のことをおっしゃっているのですか。
通常、誰でもJR東海が行うということは知っている話ですが、何の変更も無い話ですが、その通りでいいのですか。そしたらその通りです。

(問)(リニアについては)これまでと同様、変わりないということでしょうか。

(答)その通りです。JR東海が行う事業です。

~~~~~~~~~~~~~
(*)リニア中央新幹線はゼロベースで見直すべき 
nikkei BPnet 2013年12月11日 
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20131209/376459/?rt=nocnt

この記事によれば、土地取得にかかる不動産取得税と登録免許税を非課税とする案が出ており、実現すれば、「184億円の負担軽減となる」とされている。

これは国費投入となんら変わらない。東京・名古屋間には、新幹線もある、東海道線もある、高速バスもある、高速道路もある、飛行機もある。なぜ今、増税して、国債発行額過去最大となり、その上にリニア減税なのか?????????????????

291.権力の濫用を慎み、地域(人々)の力を引き出すのは誰か(山形の場合3)

2013年12月末に期限を迎える漁業権を更新するという公正明大であるべき手続。ところが、山形県幹部が夜11時過ぎに漁協組合長に電話をかけて翌日の訪問を伝えるという、不透明な闇討ちが繰りされていることを、山形県議の草島進一さんが伝えている。
↓↓↓
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続報。20日に19日の報道を見て「真実と違う」と感じた漁協が19日の夜に20日県に申し入れをし、記者会見をしようと決め、報道機関にその旨を伝えたのが午後10時を回っての話だったそうだ。就寝についていた組合長のところに深夜11時に電話が鳴り、でてみると阿部戦略官。「明日行く」などという。渋々受け入れることになり、朝から待っていると11時過ぎに山形県農林水産部阿部戦略官がやってきて県の言い分を漁協からの意見書にいれたものをもってきたそうだ。結局それによって県庁での記者会見がまたつぶされた。僕はさすがに驚いて農林水産部長に「なに卑怯なことをやっているんですか、阿部次長は何やっているんですか。なんで組合に今日も行っているんですか」と正した。「組合長に呼ばれた」と聞いていると部長。「深夜に電話をして無理矢理行ったんじゃないのか?確認して二人で報告してください」その後、音沙汰なしである。要するに県は2度も続けて漁協が行おうとした行動を阻止した。
=========================
 
そもそも今回問題になっている「漁業権」は「漁業の民主化を図る」ことを目的とした漁業権にその免許の仕方が明記されている。都道府県知事は、期限が切れる3カ月前までに「免許の内容等の事前決定」をして公開の場で、「調整」を行わなければならない。
 
それが、12月下旬になり闇討ちをしていること自体が異常なのだ。
 
漁業法より抜粋~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
(この法律の目的)
第一条  この法律は、漁業生産に関する基本的制度を定め、漁業者及び漁業従事者を主体とする漁業調整機構の運用によつて水面を総合的に利用し、もつて漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を図ることを目的とする。
 
第十一条の二  都道府県知事は、現に漁業権の存する水面についての当該漁業権の存続期間の満了に伴う場合にあつては当該存続期間の満了日の三箇月前までに、その他の場合にあつては免許予定日の三箇月前までに、前条第一項の規定による定めをしなければならない。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
山形県は12月19日に次のような記者会見を行っている(下記)。そして地元記者たちが1時間半にわたって質問をしてもなお、「制限又は条件」の中身が不明確であることが浮き彫りになっている。
 
3カ月前までに公示されていないことをこの期に及んで記者に口頭で説明し、それでも理解されないこと自体が今回の事態のおかしさを明確に表している。
 
漁業権がこのような不透明な政治的な圧力を帯びた行政によって左右されないために書かれているのが漁業法ではないか。闇討ち朝駆けの働きかけで、今回のように漁協の側に文書を提出させるよう求めるなど、ありえない。↓
 
●小国川漁協、24日にも回答書提出 漁業権更新、「公益配慮」県と調整
山形新聞2013年12月21日 09:20
 
二転三転(本音と建て前)、曖昧模糊とした行間に見える県幹部の回答(脅しを含む)を、以下から一部、音起こしをさせていただきます。問題になっているのは「漁場計画案」とも呼ばれる以下の漁業権の事前決定の公示内容についてです。
 
 
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●小国川漁協の漁業権更新に関する県の記者会見 2013.12.19
http://www.youtube.com/watch?v=q082rLsBdvU (Yuta Satoさん配信)
 
●(略)0:25:21~
記者:確認なんですけど、基本的なことで恐縮なんですけどね、今回の漁場計画案に示されている(5)と(7)の取り扱いなんですけれども、「制限又は条件」に「公益上必要な行為について十分配慮しなければならない」これは条件としてついていますね、(7)のその他というのはあくまで現況を説明したものなんですか、それとも?
山形県農林水産部阿部技術戦略官:あくまで現況を説明したものに過ぎません。そういうふうに受け取っていただいて構わないと思います。
 
記者:「公益」というのは(7)を指しているわけではなく、昨日の部長答弁であったように治水と漁業振興の二つということを指していらっしゃるわけですか。
阿部戦略官:(7)も含むということですね。
 
記者:ということはこの漁場計画はいわゆるダムを前提としたものという性質のものですか。
阿部戦略官:そういう計画があるってということを前提に、計画があることが前提、それは漁協の方も認識していただいています。
   
記者:ダムを作るということが公益であるということを前提にしたものでは、確認ですけど、ないですよね。
阿部戦略官:ええ。漁場計画では計画があるということは認識していただいています。
 
記者:これは漁場計画に盛り込まなくても、自明の理で、そういうことは皆さん認識していると思うんですけれども、あえて盛り込んだことの理由っていうのはは、もう一回、教えてもらえますか。
阿部戦略官:本来なら盛り込むことによってですね、漁場計画が、前の10年とこれからの10年はすべて一緒じゃないということをですね、理解していただきやすいようにということです。これは部長の答弁にあったとおり。
 
記者:前の10年と違うというのは、公益の部分にダム計画の概念が入りますよということを明確に示したいと?
阿部戦略官:前から入っていました。前から入っていましたがきちんと明記することによってですね、
(解説:このような文言を入れたのは初めてであると私の取材では五十嵐水産課長は答え、水産庁への取材では、水産庁は知りうる限りは前例を挙げることができていない)
 
記者::ニュアンスを強めた、
阿部戦略官:ニュアンスを強めてお願いした、制限、要件を付けさせていただいたということ
 
記者:言葉遊びみたいになるんですけど、そうすると公益の部分に、さっきの○さんの質問ですけど「ダム計画が公益だ」というふうにとらえられても仕方がないのかなと思うんですけど違うんですか。
阿部戦略官:それも含めてですね
 
記者:県としてはダム計画が公益であると考えていらっしゃるんですか
阿部戦略官:それだけではありませんけれどもね
 
記者:それだけではない。
阿部戦略官:公益っていうのはじゃなんだということは部長が説明していることに尽きると思うんですが、安心・安全の治水対策ということとですね、経済活動としての漁業振興という両方をやることが公益だと、一つだけじゃなくて、トータルで進んでいくということが公益。片一方だけはよくて片一方はダメということではなく、それは流域住民の公益にはつながらないだろうという解釈を私どもはしています。
 
●0:50:00~
記者:昨日、組合長は11月末に知ったと言っています。
阿部戦略官:それは間違いです。
 
記者:間違い?漁協の間違いですか。
阿部戦略官:漁協の勘違いだと思います。多分、違った意味で言ったんじゃないでしょうか?自分が理解していたことと違っていたかもしれないとそういった意味合いでおっしゃったんじゃないかと思いますけれども
 
記者:県が言っていることと漁協が考えていることが。
阿部戦略官:もしかすると完全に一致していなかったのかもしれないとうことを言ったのじゃないかと思います。
 
記者:あえて抽象的に説明したんじゃないですかという意味ですよ。
阿部戦略官:・・・そのことはですね、なんども説明しているんですよ。
 
記者:非公式に
阿部戦略官:はい。
 
記者:もっと言うと、正式にテーブルについてくださいと
阿部戦略官:あの~たぶん相当な回数非公式に話をしておりますので
 
記者:公益にはダム建設も含むということも説明を非公式にはされていますか。
阿部戦略官:してます(なぜか
 
記者:内水面漁場(管理)委員会の議事録を調べたくてもホームページに載っていない。開催についても平成24年で止まっていて、今回いろんな問題が起きてからのご議論の内容を知る手立てがまったくないんですけど、今回、画期的なことをおやりになっているのにですね、隠しているようにとらえられかねないですけど、その辺りを見直すお考えは。
阿部戦略官:できるだけ公開できるものは公開していくと考えております。漁場管理委員会は公開でやることになっておりますので。
 
記者:公開の場で議論していても記者が来ないですからそれは仕方がないですけど、議事録は公開されているものなんですか。
阿部戦略官:これは縦覧に供している。(下で見られるんですか)水産課の方で。
 
記者:見られる。
阿部戦略官:大丈夫です。
 
記者:ホームページでは公開していない。
阿部戦略官:してないです。
 
●0:58~ 
記者:漁協は漁業振興をしていて、治水対策には反対していないわけですよね。ダムによるかよらないかというだけの話で。
阿部戦略官:だから私どもはこういう条件制限するということで何も問題ないと理解していたんですよ。
 
記者:問題はないと思っていたけれども、問題にしているのは県の方ではないですか。
阿部戦略官:いろんな公益上の話し合いに今まではどちらかといえば応じていただけなかった。
 
記者:話し合いのテーブルにつきさえすればいいということですか?今の漁協のスタンスは変えなくても。話し合いの公式のテーブルには座ってその上で反対をすればそれで構わないと。
阿部戦略官:ですから反対とか賛成とかというのは、漁業権の問題では全然なっておりませので、そういう質問されるとですね・・・私どもの判断。
 
記者:でも昨日の確認のときに小国川漁協にだけ会って、他の漁協に会わないのは、ダムの反対
阿部戦略官:それをもとに話し合いに応じていないということなんですよ。
 
記者:だから話し合いにだけ応じればいいってことですか。
阿部戦略官:分かりやすく言えばそういうことになりますね
 
記者:そうです。
阿部戦略官:すべてがそれで代表されるとは思いませんけどね
(後略)
~~音起こし抜粋以上~~~
 
調整を行うのが、本来は、阿部戦略官も「公開で」と述べている内水面漁場管理委員会だ。その場で決着が付かなかったことを今ゴタゴタしているのは何故なのか。
 
上記記者にも尋ねられているように小国川漁協が治水はダムでなくて河川改修でもできるのではないかと提案してきたのは漁協の側であることは見ている人はずっと見てきている
 
長年、その話し合いには応じてこなかった県が、今になって漁業権の免許を盾にダム計画をねじ込んでいる。そんな構図にしか見えないのが今回の事件である。
 
治水対策(*)と漁業振興が両方とも公益であることは誰でも認めている。それがぶつかったときに真っ先に考えるべきは、代替性がないものはどちらなのかを考えることではないか。
 
 
(*)最上小国川ダムという流水型ダム計画がどのような経緯で成り立っている事業か、またそれは国際的な視点から見るとどのように見える計画なのかは、現在、発売中の月刊「世界」で書いています。ご参考いただければ幸いです。
 

2013年12月20日 (金)

290.権力の濫用を慎み、地域(人々)の力を引き出すのは誰か(江戸川区の場合1)

住んでいる方への配慮というのは当然」だという国土交通大臣の見解を得た翌日の12月18日、スーパー堤防の予定地、東京都江戸川区北小岩一丁目へ足を運んだ。

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88軒が暮らしていた一角で、江戸川区は区画整理事業に賛成・反対を問わず、12月16日までに家を壊して出て行けという通知を出している。16日が過ぎても立ち退かずにいる24棟に対しては、取り壊しの督促を行うと報道されていた。

無理やり追い出されるようなことになっていないだろうか。

この地区へ足を踏み入れると、先日、訴訟後集会で挨拶をした宮坂健司さんと江戸川区職員が道ばたで話をしている。周辺の家々は、新築の家も含めて、どんどん取り壊しが始まっている。

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江戸川区職員は、宮坂家に突然来たのだと言う。その話が終わるのを待ち、宮坂家にお邪魔してご夫婦にお話を伺った。宮坂夫妻が今、一番気にかけているのは、「直接施行」についてである。

土地区画整理事業に伴う家の取り壊しは大きくわけると3通りある。

一つは「先行取得」といって土地も建物も施行者に売り渡して、永遠にこの土地から出ていく移転。この場合、取り壊すのは、江戸川区となる。20軒がこの先行取得で出て行ってしまい、「まち作り」と言いながら地域破壊が始まった。

一つは、区画整理事業に同意をしていったん引っ越しをして戻ってくるための移転で、この場合は、建物だけが補償されて土地はそのまま持ち続け、区画整理され換地された土地に戻って家を建てる。陣地取りのようなもので「早い者勝ち」「力がある者勝ち」の性質を持ち、これによっても人間関係がギクシャクする。家の取り壊しは江戸川区に斡旋された業者の中から家主が選んで頼むことになる。

もう一つは、最後まで区画整理事業に同意しなかった場合に行われる「直接施行」で、「土地区画整理事業実務標準(改訂版)」第3版(「社団法人街づくり区画整理協会」策定)には次のように記してある。

「土地区画整理事業における建物等の移転は、法律上施工者が本来行うべき工事であるが、実体上は協議移転がほとんどで、施工者が行う事例はない。しかし、協議が不調となった場合等には、施工者で実施することになる」

つまり、江戸川区が、宮坂夫妻に代わって、家を取り壊すというものだ。もちろん、ある日、突然、ブルドーザーで家をなぎ倒すというものではない。「催告」という手続きを繰り返し踏んで行われる権限の行使である。

宮坂さん達だけではない。この事業には承服できないという立場で裁判を起こし、地裁で却下されても即日控訴をした原告たちは、いわば丸裸で権力の前に立たされている状態だ。

(続く)

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289.権力の濫用を慎み、地域(人々)の力を引き出すのは誰か(山形の場合2)

今回の問題は、小国川漁協(山形県舟形町)が免許されてきた漁業権が2013年12月31日で期限を迎えることを契機に明らかになった。
 
免許を付与する権限を持つ側の県から、免許される側の小国川漁協に対し、今になって、免許の剥奪や消滅をほのめかす条件の提示が行われている。
 
漁業法を読めば明らかだが、漁業権を免許する手続きは公正明大で、最初から最後まで、文書によって明らかにされることが想定されている。
 
川(内水面)の漁業権の場合、11条 で免許の内容を事前に明らかにして、内水面漁場管理委員会の意見を聞き、公聴会を開いて、変更すべきは変更してその内容を知事が公示する。
 
そのときに34条に基づいて、漁業権の制限または条件を付けるのであれば付ける。
 
その内容に対して、免許されたい者は漁業権を知事に申請し、その申請に対して、知事が内水面漁場管理委員会の意見を聞いて免許するが、免許しない場合は13条と14条で書かれている。
 
山形県の場合、五十嵐水産課長の記憶の限り「初めて」34条に基づく制限として「公益上必要な行為について十分配慮しなければならない」という条件を付けて、次のように公示を行っている。
 
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水産庁によれば、制限や要件は、通常、漁具や漁法に関する具体的な記載が多い。34条には「漁業調整その他公益上必要があると認めるときは、免許をするにあたり、漁業権に制限又は条件を付けることができる」とはしているが、なんでもかんでも「公益」を拡大解釈していくべきものではないという考え方を持つ。
 
漁業権の免許は「都道府県の自治事務です」としながらも、「公益上必要な行為」では「あまりに漠然とし過ぎている」というのが、昨日までの水産庁の考え方だった。
 
一方、山形県水産課長は、11条と34条の手続きでは明らかにされなかった三つの条件を今になって漁協に「考えてくれ」と迫った。
 
「公益上必要な行為」は、その他に書いた「最上小国川においてダム建設工事」をすることであり、「十分配慮」とは、(1)説明に応じること、(2)話し合いに応じること、(3)測量を妨げないことだと言うのだ。
 
行政手続や権力の行使は公正明大であるべきで、漁業権については、そのために漁業法で定めてある。
 
免許する権限を持つ側が、公示に明らかにしなかった条件を、免許を与える側に提示し、その条件が満たされない限りは漁業権を付与しないということを、ほのめかすのは「脅し」ではないのか?そう尋ねると水産課長は「私どもはそのようなつもりはございません」と答えた。
 
権力が持っている側がそうは思わなくても、免許を受ける側ではそう取るからこそ、権力の行使はよほど注意をしなければならない。だからこそ行政手続は法律で定められ、文書によって公正明大に行うことになっている。
 
今回、このような脅し(ほのめかし)が明らかになったのは、山形県議会でこのことが取り上げられたからであり、そうでなければ、このような不透明、不健全、不当な条件提示を、免許権限を握った側が免許を受ける側に法定外の手続きでやっていることは公にならなかった。
 
日本の漁業は、たとえその地域で漁業を生業としている人たちが守ろうとしていたとしても、このように裏舞台で、免許権を振りかざされ、脅されてつぶされてきたのではないか、そんな漁協が他にもあるのではないか、そんなことを頭がよぎる。
 
権力の濫用を慎み、地域(人々)の力を引き出し、皆が幸せになるように利害を調整する場を確保していくのが行政の役割であるべきところ、そうではない現場が多すぎる。
 
脅された側の漁協が法定外のやり取りを余儀なくされ、対応に追われていることを、地元紙が丹念に報じている。
 
「公益配慮」裏付けで漁業権更新へ前進 小国川漁協、県に回答文書
山形新聞2013年12月20日
 
ここまで書いてきたところで、水産庁からの回答が来た。私が尋ねていたのは2点。山形県から水産庁へ相談があったのは事実か。漁業法で定めた行政手続以外で、免許権限を持つ側が公示された内容にない条件を付して漁協に働きかけをすることは不当な脅しではないかということについての見解。回答は次の通り。
 
1点目。「山形県から水産庁に来られて担当が対応したが、法令についての一般的な解釈について尋ねられた。詳しいことがお知りになりたいのだとは思うが、相談ごとなので、その対応を第三者の方に話すのは適切ではないのではないかということでどこの部分の相談かは言えない。」
 
2点目。「漁業権は自治事務である、現在の時点で考えると、当事者である漁協がいろいろ話し合いが進んでおられるような報道はインターネットでつかんでいるので、その段階で今、水産庁の我々がお話されたようなことをコメントするのは差し控えさせていただきたい」
 
権力・権限が持つ側が注意深くその権限を行使することの重要性を、法律を所管する側が分かっていなければ、守るべきものが守れない。
 
漁業を守るためには何をやらなければならないのか。これは最上小国川の治水と漁協だけの問題ではなくて、私たちの食(自然資源)の問題なのである。この件は続報します。
 

288.権力の濫用を慎み、地域(人々)の力を引き出すのは誰か(山形の場合1)

広き野を ながれゆけども最上川 うみに入るまで にごらざりけり」と若かりし昭和天皇が句を詠んだ最上川の支流「最上小国川」で、その川を濁らす事件が起きている。
 
この句を県歌としている山形県だが、いま、「最上小国川ダム」という流水型ダム(通称、穴あきダム)を計画している。ここは、松原アユで有名で、東北で開かれるアユ釣りトーナメントのほどんどはここで開かれる支流だ。
 
このかけがえのない自然の恵みを生活の糧としている小国川漁協は、治水対策はダムでなくても河川改修で可能であるとして、「最上小国川ダム」建設に反対してきている。
 
ところが、山形県は、「漁業」という公益と、「治水」という公益の調整に失敗。そして今、「漁業権」を人質に、その剥奪をほのめかすというテロリストのようなやり方を始めている。
 
その準備は、2013年12月31日で切れる漁業権の切り替え時に向けて、昨年、水産庁に相談をした上で始まっていたらしい。水産庁からの回答を待ちながら、これを書くことにする。
(続く)
 

2013年12月18日 (水)

287.「国家安全保障戦略」に異議あり

2013年12月17日に閣議決定をされた「国家安全保障戦略」 を見ると、「国益」という言葉がむやみやたらに出てくるような気がして、その定義を探してみた。
 
ここ(P.4)にある。
 
我が国の国益とは、まず、我が国自身の主権・独立を維持し、領域を保全し、我が国国民の生命・身体・財産の安全を確保することであり、豊かな文化と伝統を継承しつつ、自由と民主主義を基調とする我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うすることである。
 また、経済発展を通じて我が国と我が国国民の更なる繁栄を実現し、我が国の平和と安全をより強固なものとすることである。」P.4
 
今度は「我が国」という言葉が気になって、次に言葉の数を数えてみた。
 
「国益」8回に対して、「国民」は13回。しかし、「我が国」という言葉が139回、「日米」が36回、「北朝鮮」15回、「中国」14回、「米国」が11回、「韓国」2回、「諸外国」2回。
 
「我が国」139回、「日米」36回、「国民」は13回
これだけで安倍内閣のスタンスがわかるような「戦略」だ。
 
戦略の表紙には1957年に決定した「国防の基本方針」に代わるものとある。
探してみるとここにある。
その後に付け足された基本政策はここにある。
  
半世紀以上ぶりに「代わる」ことで何が変わるのか、愛国心という言葉はどうか。
  
1957年「国防の基本方針」
民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。
2013年「国家安全保障戦略」
「そのため、諸外国やその国民に対する敬意を表し、我が国と郷土を愛する心を養うとともに、領土・主権に関する問題等の安全保障分野に関する啓発や自衛隊、在日米軍等の活動の現状への理解を広げる取組、これらの活動の基盤となる防衛施設周辺の住民の理解と協力を確保するための諸施策等を推進する。」P.32
  
なんとまぁ。
  
我が国と郷土を愛する心」と
自衛隊、在日米軍等の活動の現状への理解を広げる取組」と
これらの活動の基盤となる防衛施設周辺の住民の理解と協力」を同列に並べ、
諸施策等を推進する」と乱暴に一文に押し込めてある。
 
ガリレオの時代ではない。果てしない海を航海した時代でもない。地球はほんとうに小さな限りある資源そのものだということが分かっている時代である。
 
ところがやろうとしていることは、「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」 と「中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)」を見ても分かるように、増税して軍備増強であり、特定秘密保護法に至っては、これから制度設計を米国で勉強(相談)してくるというオソマツさだ。
 
こんなオソマツな国家安全保障体制に、一人の国民として異議を唱え、「国家安全保障戦略」 の白紙撤回を求めたい。国民の意見を求めるべきだ。
 
沖縄普天間代替施設(辺野古)問題を含む沖縄問題も、そのなかで国民的な議論を起こして国民の間で共有して、その上で決めていくべきだ。
 

2013年12月15日 (日)

284.江戸川区スーパー堤防・区画整理事業の情報隠し

今年の2月22日、通称「スーパ-堤防」、正式名称「高規格堤防」の予定地を巡り歩いたときに撮った写真を再掲する。
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堤防の上から撮影。左が町側、右が川で、いかに川が河川敷の遥か遠くを流れているかが分かる。(クリックして拡大)
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河川敷の幅は200メートルある。
 
 
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上が現在の堤防、川側の堤防斜面で、これをスーパー堤防にする緊急性や妥当性があるのかと問われている。
 
 
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町側の堤防(左の写真奥)はこのようになっている。私がはじめて、この地を取材にいったときには、この角にもまだ家があった。
 
ご留意いただきたいのは、これは今年2月の風景であり、実際にはこの風景もすでに激変していることだ。右が判決にも登場した火事現場の跡だ。
 
「除却」と言って、2013年12月16日までに家を取り壊して出て行けという意味の通知が住民には届いており、現在、反対住民は毎日毎日、周辺の家が取り壊される音の中で暮らしている。
 
この「除却」に関しては、公共事業改革市民会議が、9月30日に江戸川区長宛てに公開質問書を出し、回答が10月16日に届いている。また、同会議はこれに対する再質問を再度11月8日、江戸川区長に提出している。
 
 
この三つを見てわかることの一つは、江戸川区が土地区画整理事業とスーパー堤防事業がを一体で行う「まちづくり」の実態だ。
 
同じ江戸川区が事業主体として別の地域、平井7丁目で4年間をかけて行ったスーパー堤防・土地区画整理事業では、転出~盛土~再転入後に、もとの土地に戻ってきた住民は55%しかいかった。
 
「まちづくり」と言いながら、実際には事業開始とともに、50%は帰ってこず、地域破壊を引き起こしていたことが先行事業で分かっていた。
 
ところが江戸川区長の回答では、地権者74人のうち換地処分(つまり転出まで)合計で3.4名が土地を売却し、その後は把握していないと答えていた(クリック先の4)。あとは野となれ山となれ政策だ。
 
まちづくり事業として破綻したこの事実は、スーパー堤防事業の主体である国土交通省関東地方整備局、その天下り公益法人「リバーフロント整備センター」に委託して行った調査報告書「高規格堤防に関する整備手法検討業務報告書」l に書かれていたが、この事実は江戸川区の回答では隠されていた
 
せっかく行われたスーパー堤防についての検討業務が次の事業に生かされていなかった。調査のための調査、事業のための事業であり、二重三重に税金はムダに使われていた。
 
今回できた国土強靭基本法は、こうした事業を合意形成プロセスなく進めさせることにこれまで以上に根拠を与えかねない法律であり、時代に逆行している。
関係情報
江戸川区スーパー堤防事業取消訴訟判決に対する弁護団声明
 
 

286.江戸川区スーパー堤防裁判

江戸川区スーパー堤防裁判の大江京子弁護士は「不当裁判でした」と怒りをたぎらせてその一言目を発した。
 
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この裁判がどのようなものであったか。大江弁護士の解説にさらに言葉を加えて説明すると、次の通りである。
 
原告は、平成17年から18年あたりから始まった江戸川区の区画整理事業の説明のなかで、スーパー堤防の有用性の話をさんざん聞かされてきた。都市計画決定もスーパー堤防と一体で行われた。
 
しかし、この地域のスーパー堤防は1.4haを盛り土するに過ない。治水事業としてどうなのか。原告は、合理性を欠いていて違法だから都市計画決定を取り消して欲しい、そして決定に基づく執行を停止して欲しいと訴えた。
 
 
通常の常識では、この訴えを真正面からとらえれば、いかにスーパー堤防が有効で、合理性のあるものかという反論になるはずだ。
 
   
ところが被告の反論はそうではない。被告である江戸川区の反論は、区が行うのは区画整理事業であり、スーパー堤防とは関係がないというものだった。争点はずしである。
 
 
そこで原告は「では関係ないとしましょう。それではなぜ盛り土をするのですか?」と主張。
 
この主張には、通常の感覚では、「なぜならば」とその区画整理事業になぜ盛り土をする必要があるのかを答えるものである。
 
 
ところが被告の反論は次の通り。
 
都市計画と事業認定はスーパー堤防を含まないので区画整理事業にはなんら影響を及ばさない、なぜならスーパー堤防事業の主体は国土交通省だからだ。
 
たしかに都市計画決定には区画整理事業とスーパー堤防を共同で行うと書いてあるが、これは被告がやる事業ではない」ということを言い表すために書かれたものだ。したがって違法性の判断にスーパー堤防を入れることは妥当ではない
 
「木で鼻を括る」とはこういうことを言うのだというお手本のような反論だ。ところが、裁判官は判決の中で、この反論を支持して、被告の訴えを棄却した。
 
 
判決はまた、区画整理事業の必要性について、原告らは緊急車両で問題になったことはないというが、昨年平成24年12月26日の火災のときには緊急車両30台のうち2台しか入れていないので、被告の江戸川区が課題があるという主張は誤りではないと、ここでも江戸川区を支持。
 
 
では道を広げてください。なぜ盛り土が必要なんですか、傾斜を付ければ高齢者には辛い、危険であるなどの原告の訴えに対して、判決は、盛り土の危険性を原告が立証していないとした。
 
裁判官は不利益を受ける側の原告が提起した「争点」を逸らした被告の主張だけを支持して、原告の訴えを退けたことになる
 
高齢の住民たちが立ち退きを迫られていることに対して、移転は苦痛だろうが合理性を欠くものではないと切り捨てた。
 
詳しい判決報告は12月23日午後2時にタワーホール船越研修室4階で行われる「スーパー堤防裁判緊急集会」で聞いていただきたい。
 
私がこの裁判を聞いて、奇異に感じたのは、火災のくだりである。一度でも足を運んだことがある者であれば、この区域に2,3台程度の緊急車両しか入れないことは知っているはずであり、そこに30台の緊急車両が集まったのであれば、そのことの方が奇異であり問題だ。ましてや消防を預かる消防署であればなおさらだ。
 
このとき全焼した家は、反対住民の家だった。
 
この判決は裏から読む必要があるのではないか。土地区画整理事業の違法性の判断にスーパー堤防を入れてしまっては、事業の正当性が揺らぎ、裁判官は違法と断ぜざるを得なくなる。
 
2013年12月12日の判決後に参議院議員会館に集まった原告と訴訟支援者に対して行ったこの報告会で、もう一人の杉田弁護士は次のように述べた。
 
「裁判所は誰が見ても行政がへんなことをやっていると分からない限りは行政を負かせない。スーパー堤防がなければ盛り土はしない。住民の苦しみが始まったのはスーパー堤防が原因なのに、そこに目を向けない判決だった。」
 
これは、先日の定例会見で、スーパー堤防の事業主体である太田国土交通大臣が治水事業としての妥当性について尋ねられて、フィリピンやアメリカの災害 を盾にしたのと同じで、そんな理由を持ってこなければならないほどスーパー堤防は地域防災として有効性がないことを曝露しているのではないか。
 
判決を原告の一人がどう受け止めたか、この動画をぜひ、見て欲しい。 
http://www.youtube.com/watch?v=ApWeb-SHcCo (yambatomorrowさん撮影)
 
次のコマで現場がどんなところかをお見せする。
 
Photo_2 会場には100人近い人が訪れた。
Photo_3
「26年かけて1%の進捗の大義ない事業だ」と笠井あきら議員、吉良よし子議員、田村智子議員ら。
 
==========
関連ページ
江戸川区スーパー堤防事業取消訴訟判決に対する弁護団声明
理由なき5秒判決~江戸川区スーパー堤防取消訴訟不当判決
スーパー堤防訴訟・報告集会

285.現地へ行けば不要と分かる江戸川区スーパー堤防

(順不同となったので入れ替えます。2013年12月15日)

昨日(2013年12月12日)出たスーパー堤防裁判の判決を受けて、今朝(12月13日)、太田昭宏国土交通大臣の閣議後の記者会見に行った。

 
「スーパー堤防訴訟について」と質問し始めた途端、大臣の左横から官僚がサッとメモを差し入れ、大臣は、わざわざ「読み上げている」ということが分かる読み方でそれを読み上げた。それから大臣自身の考えを述べたが、それは首をかしげざるをえないものだった。

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Q:スーパー堤防訴訟についてですが。原告はたった1.4ヘクタールを盛り土するスーパー堤防は治水事業として合理性を欠くとして、江戸川区が一体で進めている土地区画整理事業の取消を訴え、裁判所は土地区画整理事業だからスーパー堤防は関係が無いとの被告の言い分を受けて、原告の訴えを棄却しました。それが裁判の本筋ですが、大臣はたった1.4ヘクタールを盛り土する点のようなスーパー堤防を、治水事業として合理性があると思われますか。

20131213_2太田大臣:超過洪水に対して溢水せず安全で快適な空間が創出されて、防災拠点や避難場所となるなど地域の防災力の向上等の効果があり、治水の手段として大きな役割を果たすものだと考えています。今年度に起きましてまち作りの状況や地元の意見を踏まえて、避難場所としての活用など地域の防災の向上に資する地区として江戸川の北小岩一丁目地区、多摩川の戸手地区に着手することとしているところです。

私も話を聴いたり、また昨今の台風などの状況、フィリピンの災害、そして地下街、昨年のハリケーン・サンディ、こうしたことからしますと、防災対策、そして高潮の予防、ということに対する対応、そして全体的な集中豪雨、こういうことから言って、私はスーパー堤防というのは、必要であるという判断をするものです。

Q:200メートルの幅の河川敷があるところに予定されているところですが、それでも合理性があると緊急性があるとお考えでしょうか。

太田大臣:あると思います。

Q:反対している世帯でまだ住んでいらっしゃる方を「除却」するという処分がありますが。

太田大臣:そこは十分、住んでいる方への配慮というのは当然、工事を進める中では大事だというふうに思いますけれども、え~、江戸川区全体の強い要望というのもよく踏まえていかなくてはならない判断であるというふうに思います。

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Photo 

堤防の上には住みたくない!と訴えた「江戸川区スーパー堤防事業取消訴訟原告団」の宮坂健司さん(2013年12月12日、参議院議員会館にて)。東京地裁判決の日、原告と弁護団は二手に分かれ、一方は司法記者クラブで会見、一方は議員会館で訴訟支援者に報告を行った。

Photo_2 ←拡大Photo_3

北小岩一丁目のスーパー堤防予定地をグーグルマップで見て欲しい。

合理性と緊急性があるか?」との私の問いに大臣が「あると思います」と答えたその場所は、A(江戸川駅)と現在の堤防の間に挟まれたわずか1.4ヘクタールの点に過ぎない(Aの面積より小さい)。

見ての通り、この付近でここが最も河川敷が広い地点だ。河川敷に見える白い円は野球のマウンド。予定地は10個近い野球場がスッポリと入る付近でも最も広大な河川敷に守られた場所だ。現地へ足を運べばすぐに「ここだけはスーパー堤防は要らない」ことが分かる場所だ。

より詳しい継続的かつ速やかな最新情報はこちらへ
●いなみや須美さん
http://inamiya.seikatsusha.me/blog/category/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E5%A0%A4%E9%98%B2/

2013年12月14日 (土)

283.国土強靭化の変遷と自民党構想への回帰⑤

国土強靭化の変遷と自民党構想への回帰の最終回です。

原案 修正法案  要綱  新旧)  という形で成立した「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」ですが、どのように国土強靭化政策は変遷し、どのように自民党の元の構想へと戻っていっているか、そして、どうやったら後ろ向きに戻っていく時計の針を、未来に向けて動かせるようになるかを見極めるために2013年12月12日までの政策形成過程を振り返ります。(多くの余談が挟まります。)

  ***

「NHK? オレ、一言やろうか?」という古屋圭司国土強靭化担当の挨拶で、2013年12月4日、ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会(第9回)が始まった。

古屋大臣は国土強靭化基本法案について「本日、参議院で成立するが、事前に連携をして議論しスピーディに施策を実行するために」内閣府で議論してきたと挨拶した。

総合司会役の持永秀毅内閣審議官が「与野党協議により修正はされたが、骨格はそのままで成立することになる。前提としての手続きとして、法律に基づく方針や指針は別途ありそれに基づいて強靭化計画が策定されていくが、それまでは大綱に基づいて施策を進めていく」と大臣挨拶を補足した。

Photo_2男性だらけの懇談会と傍聴者と取材者

三権分立が完全に壊された。この内閣府の懇談会は2013年3月5日に開始され、12月4日に国土強靭化政策大綱を発表。

一方、国会で「防災・減災に資する国土強靭化基本法案」は審議開始が11月14日(実質は19日)、成立は12月5日未明。

自民党単独案が、公明党案と合体、審議に入って民主党の対案にあった「生活色」を半ば丸呑みするような形で修正したが民主党は反対、なぜか「生活の党」が賛成して成立。

蓋を開ければ、法案の中身はナショナル・レジリエンス懇談会で国土強靭化政策大綱案と大規模自然災害等に対する脆弱性評価の指針(案)が法案成立前に発表され、しかも案を用意したのは、この懇談会の事務局である内閣官房国土強靱化推進室。

そしてその同じ事務局を持つ「国土強靭化の推進に関する関係府省連絡会議」ではすでにそのたたき台が今年4月に出ていた。

唐突に出てきたこれ(これの別紙1)は一体なんなのかと不思議だったが、今になりやっと分かった・・・。つまり、かつては隠れていた二重構造の表出だ。

かつて審議会は「官僚の隠れ蓑」と言われ、表向きは「有識者」に議論をさせ、裏ではすべて官僚が先行してシナリオを書き、テキトウに「有識者」に議論のための議論をさせて良いところ取りをするが、結論はすべて最初から決まっていた。

これが内閣提出法案の特徴だった。

●●余談●●
常々、どれくらい先行して事務方(官僚)は議論をしているのかと思っていた。しかし、今回のこれが従来、内閣で行われていたパターン通りだとすると、結論が決まってから初めて「審議会」を始めていたことになる。つまり、以下のようなプロセスで、赤字のところだけは表からは見えなかった。

===============================
【行政】
官僚による「影の審議会」の結論

大臣の「審議会」への諮問

有識者による「審議会」答申

答申を反映した内閣提出法案閣議決定
↓- -- -- -- -
【行政】
「通過儀式」と言われる国会審議・法案成立
===============================

という政策形成過程を辿った。

ところが、今回は、議員立法であるにもかかわらず、内閣側との境目がない、三権分立の原則すら壊れた構図が表出した形で出てきた。「表出」という理由は、かねてから「自民党の出す議員立法は裏では官僚が書いている」と言われるものがありはしたが、表からはけして見えなかったものだからだ。(とはいえ、議員立法自体も1990年代後半から活発に行われるようになったもので、比較的新しいものだが)

けして表にはでてこなかった倒錯した構図が、表出して政策形成が行われたことになる。次のような過程だと考えられる。

===============================
【立法府】
2012年6月自民党国土強靭化基本法案(大島理森→二階俊博、福井照、脇雅史(敬称略))

【行政】
2012年12月26日 国土強靭化担当大臣設置、
2013年1月25日 内閣官房に国土強靭化推進室設置 (従来型の「表の審議会」の裏方)
 (国土強靱化の推進に関する関係府省庁連絡会議(第1回)資料 より)
  

2013年3月5日~ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会
(従来型の「表の審議会」)

2013年3月19日内閣府「国土強靭化の推進に関する関係府省連絡会議」
(従来は「影の審議会」)

【立法府】
2013年5月~自公「防災・減災に資する国土強靭化基本法案」
2013年12月5日自公生活の賛成で「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」成立

↓ (野党の抵抗により法案成立が1日遅れたが↑
  行政の懇談会は変更すらせず、↓立法より、行政の考える中身が先行)

【行政】
2013年12月4日~ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会第9回
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/resilience/dai9/9sidai.html
国土強靱化政策大綱(案)、脆弱性評価の指針(案)発表

2013年12月12日内閣府「国土強靭化の推進に関する関係府省連絡会議」第6回
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyoujinka/dai6/6sidai.html
国土強靱化政策大綱(案)、脆弱性評価の指針(案)発表

===============================

「国権の最高機関」は名ばかりで、実際には名前を明かさない審議官クラスの官僚が動かしている。その審議官たちが、レジリエンス懇談会の裏方でもある。名無しのゴンベイだが、今回、懇談会終了後に官僚の机の上にその名簿があった。「特定秘密」でもないのでこちらに貼り付けておく。
Photo

ちなみに懇談会修了後、古屋大臣と藤井座長にぶさらがり質問をしたら、それぞれ内閣府官僚に邪魔をされ、「取材は正規にやってくださいよ」と言われた。「正規な取材」は国民の知る権利を確保することですから「邪魔しないでくださいよ」と言わせていただいた。

●●余談終わり●●

隠れ蓑のレジリエンス懇談会
さて、段取りが狂って法律案の成立よりも先に開催された12月4日のレジリエンス懇談会だが、委員はそれぞれ言いたいことを言い放つだけで、司会役を務めた藤井聡内閣官房参与/京都大学大学院工学研究科教授が「二、三、まとめて質問を聞いて」それに持永秀毅内閣審議官が答えるだけで終わった。

合意形成も決定もない。だから「懇談会」だ。もちろん、1問1答ではなくまとめて聞いて官僚が答えるのは、都合の悪い質問は回答漏れをしても、テキトウにあしらっても目立たないからだ。

たとえば、委員のうち尾﨑正直高知県知事は次のような質問を行った。

「強靭化基本計画を作るとあるが、最終的には地方でそれを展開していくことになる(大綱案の)12ページを見ると、地方の人材は防災については学習過程にあると認識されているようだが違う。意識は高い。行革により一人が多くの仕事を0.5人体制でやらなければならない。防災が技術的に発展途上なのではない。技術的支援が欲しいのではない。人を雇うしかないがそれには予算が要る」

ところが、これには総合司会役の持永秀毅内閣審議官が、複数の回答のなかで、チョロっとお決まりの「検討する」で答えている。

そこで、尾崎知事は食い下がり、「市町村は(そうした部署に)一人しか置けない。職員をちょっとしか置けない。県がしっかりバックアップしないと避難計画作りはマンパワーがかかる。人がいなければテンポラリーでも人を雇わなければならない。すると金がいる。地域に入って作らないといけないので、時間もかかる。技術的支援「等」のところにそうした予算上の支援も含めてもらわなければ」と応戦、しかし、また誤魔化されて、結局3度、同じことを繰り返さねばならなった。

●●余談●●
この辺に書いたが、国は平気で次から次へと法律を作るので、地方にはすでに束のような○○計画が存在する。中央官庁にとっては仕事(人事、部署)を簡単に確保し、省益(予算)を守ることに役立ち、一度できた法律や計画は廃止されることなく永続するが、最終的に計画づくりを含めて実行させられるのは地方公共団体だ。

同じような「計画」をいくつも中央官庁の方へ向いて作ることに追われる分だけ、住民本位の行政からはかけ離れていく。中央が命じた計画作りが、そのまちにあっていようがいまいと作らされれば、計画づくりのための計画づくりにムダな税金が使われる。
●●余談終わり●●

さて、結局、「懇談会」と言いながら、他の審議会の例に漏れず、「委員が質問、官僚が答える」だけで、けして委員同士の「懇談」にもなっていない。

お偉い先生らは、口々に、自分が言いたいことを言い放って、官僚とだけやり取りをする。地方行政で住民の命を預かって、政策にもっともダイレクトに影響を受ける知事が「計画づくりには金がかかる」と少なくとも3度意見をいい、官僚にスルーされているのに、誰ひとり、「どうなんだ」と言う人物がいない。

また、地方と国で計画ばかり作って命が守れると思っているのか、と正論を吐く人もいない。

唯一、中林一樹・明治大学危機管理研究センター特任教授が、国土形成計画など他の計画との切り分けはどうなっているのかと質問し、回答漏れに対して、食い下がって二度目を聞いていたが、うやむやで終了。

特筆すべきは、長年、要所要所あちこちの審議会に顔を出してきた(君臨といってもいいぐらいの)森地茂・政策研究大学院大学特別教授がポロリと漏らした昔話だ。彼はこういった。

ハザードマップを昭和50年に政府が議論したとき、国家賠償の対象になるということでできなかった。今はできているが、それは災害の履歴を明らかにすることから始めたんです」

昭和22年のキャスリーン台風などの写真を繰り返し繰り返し使っているのは、そういう発想だったのだ。私が取材者として建設省(旧国土交通省)や自治体に向き合うようになった頃、ハザードマップを作らないのは「地価が下がると反対する住民がいるからだ」と説明を受けたものだ。

しかし、本当は、ハザードマップがはずれて想定外の被害が出て、国家賠償を受けるのがイヤだという「政府」側の事情で、作られなかったものだったのだ。

住民に知らせないことで、政府を守るという「防災」の発想が、今になって明らかにされたが、その本質は今でも変わらないのではないか。

こうして、大綱は一見して、「事前防災」や「災害」を金ズルとした、全省庁の予算ぶんどり合戦リストと言ってもよい事業メニューとなった。それぞれのメニューの最後に省庁名が書いてある。
================================
(個別施策分野) ①行政機能/警察・消防等、②住宅・都市、③保健医療・福祉、④エネルギー、⑤金融、⑥情報通信、⑦産業構造、⑧交通・物流、⑨農林水産、⑩国土保全、⑪環境、⑫土地利用(国土利用)

(横断的分野) ①リスクコミュニケーション、②老朽化対策、③研究開発
================================
特徴的なのは「代替」という言葉が24回にわたって使われていることだ。

「代替」は「事前防災」や「災害」結び付くとあら不思議、「代替輸送」として「リニア中央新幹線」、「新東名高速道路をはじめとする高速道路ネットワーク」が登場する。「二重化」「多重化」という言葉も多い。

いかに自治体レベルで住民に想定外の自然災害に備えさせるかという本当の意味でのソフトな防災ではなく、インフラ整備重視であるか・・・。

最後に、成立した法には、以下の第五条が埋め込まれたままだ。
=================================

(事業者及び国民の責務
第五条 事業者及び国民は、国土強靱化の重要性に関する理解と関心を深め、国及び地方公共団体が実施する国土強靱化に関する施策に協力するよう努めなければならない

=================================

これは、合理性や必要性を失った公共事業を「経済」のためにゴリ押しで進める旧来型の税の使い方を続けること裏打ちしてしまっただけではない。

今自民党が進めようとしている「戦争ができる国作り」の発想と通底しており、この法律にこの第五条を入れ込むことに成功したら、この発想への抵抗感を低め、伝播し、他の法律でも挿入する足がかりとなる危険性がある。

「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」(原案 修正法案  要綱  新旧))は結局、官僚が進める「国土強靭化政策大綱(案)」として自民党案に回帰しただけではとどまらない可能性がある。

成立してしまったこの法律は、他のあまたの「計画」の根拠法とともにスクラップ&ビルドして住民主体で生物の多様性も阻害しない国づくりが行える法体系に移行させていかなければならないと思う。

(この悪法が建設的な議論が多方面でできるきっかけになればいいのだが、急を要する自体が日本各地で起きていることを次のコマ以降、年末まで書き続けていくことになりそうだ)

2013年12月12日 (木)

282.国土強靭化の変遷と自民党構想への回帰④

こうして変遷していった自民党の国土強靭化基本法だが、短時間であれ、その審議過程で、三つの性格を併せ持つことがわかって行った。
 
一つは予想通り、バラマキ根拠法となったこと。
 
防災・減災を謳っていた公明党の高木陽介議員が「脆弱性評価した段階で、高速道路のミッシングリンクした方がいいとか、老朽化について手を打たなければならないとか、代替の輸送路としてリニアが必要であるとかそういうような評価がなされたときに国土強靱化計画の中でしっかりと位置づけられていく」と答弁したことが、その象徴だ。
 
官僚に良識があれば、ミッシングリンクを理由に高速道路ができることを「事前防災」と呼ぶような「脆弱性評価」方法を作りはしないが、答弁による暗黙の政治的圧力(もしくは阿吽の呼吸)でそのような評価方法になっても不思議はない。
 
もう一つは、反省なき中央集権への回帰と「有事」「国防」への転用ポテンシャル。
 
総じて言えば、「敗戦コンプレックス」と「総括なき災害対策」が根底にあるように思う。
 
国土強靭化基本法案の衆議院の参考人質疑では、「有事」「国防」といった言葉が飛び交い、参考人の一人は佐々淳行氏は、次から次へといろいろな意味で驚くことを述べている。
 
「消防というのは、昭和二十二年、マッカーサー司令部が内務省解体を行ったときに、旧内務省の部局にあった消防課が国家公安委員会の指揮下に入って、消防組織法では、その条文上、明文で、消防の行政管理、行政管理というのは人事だとか予算だとか法律ですね、その行政管理や運営管理、運営管理というのは人命救助とか救急活動とか消火、これに対して指揮権は知事にもなければ消防長官にもないとわざわざはっきりと書いてあるんです。 これがありますために、危機管理の、特に消火活動、消防活動における権限が極端に地方分権化してしまったものですから、お気づきのように、あのときに警察もばらばらになって、三千ぐらい、自治体警察が、人口五千以上の、さすがに村はなかったんですけれども、町と市に警察権を与えちゃって、それで知事にも警察庁長官にも指揮権がないという状態、これは今でも同じでございますが、内務省を弱体化させるためにやったGHQの占領行政の一つがまだ消防法に残っちゃっているんですね。」
 
また原子力事故については次のように発言している。
 
「一番最初の事件が原子力船「むつ」。これが、病院でレントゲンを一回撮るぐらいの放射線の漏えいであの大騒ぎになってしまった。これは、当時の自民党政権の対応の仕方が悪かったと私は思っております。」
 
「この「もんじゅ」も、実は、記者会見の失敗なんですね。説明責任を十分果たさなかったために、あんな大騒動になってしまった。あれはナトリウム火災で、原子炉そのものは全く関係ないんです。そういう説明をうまくやればいいのに、科学技術庁担当で技術屋さんが記者会見をやったために、この「もんじゅ」の事件を事象と呼んだんです。事件でもなく事故でもない、事象であると。これは、全く大したことないんだという説明で、どう大したことないんだという説明が下手だったんですね。そのために、いまだに「もんじゅ」が再開できないという状況になっちゃっているわけです。」
 
全体を聞いていくと、災害となったら、市町村長に権限を持たせても何もできないから、戦前のように国に権限を集中させ、中央集権で私権を制限し、情報をうまく制御しようという発想に裏打ちされている。
 
戦前のように国に権限を集中させて、中央集権で私権を制御することができるという発想は、「等」で括る「国土強靭化」の延長に別の意味の「有事」「国防」にも転用され、自民党の構想のパーツとして使われるのではないかという恐れが、そこはかとなく湧いてくる。
 
三つめは、どうしようもない時代錯誤。
 
佐々氏は他の参考人に聞かれた国の役割についてわざわざ自分から手を上げて、次のようにも語っている。
 
「その御質問にぴったりの答えは、フェルディナント・ラッサールというドイツの政治学者がおりまして、これが夜警国家論という論文を発表して一躍問題になるわけです。それは、ビスマルクの時代に出てきた社会主義者なんですけれども、国が果たすべき任務は治安、防衛、外交、危機管理だ。」
 
国際社会では、越境する環境汚染、気候変動、生物多様性の保護といった地球上の共通問題にいかに対応するかという課題に対し国際条約を作り、国内法の整備をいかに迅速に行うかということが問題になって久しい。災害にあってもどのように環境への影響を最低限でとどめようという配慮を始めているというのに、日本をビスマルク時代にまで回帰させるんでしょうか?
 
開会日 : 2013年11月14日 (木)
会議名 : 衆議院災害対策特別委員会 (3時間26分)
興味があれば、1時間ちょっとの時間を作って、この質疑を早回しで聞いてみて下さい。
 
これに比べて、この法案が通らないうちに、2013年12月4日に内閣府で開催されたナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会(第9回)で「懇談」された内容のうち、高知県知事の発言と内閣審議官の発言が、上記のうち1番目と2番目の問題を浮き彫りにさせるものとなったことを、次のコマで記して、ひとまずこの国土強靭化の変遷と自民党構想への回帰シリーズを終わりたいと思っています。

281.国土強靭化の変遷と自民党構想への回帰③

その間、各地で道路、林道、湿地埋立て、スーパー堤防、ダム、リニア新幹線などの問題に取り組み、こうした開発が地域社会・自然環境を破壊し続けていることを訴え続けてる市民団体が「公共事業改革市民会議」を結成して、2013年2月からは、連続して院内集会を行った。
 
 
しかし、こうした声は、国会審議には反映されないまま、法案は、あっけなく11月22日に衆議院災害対策特別委員会、26日に本会義で自民党・公明党・生活の党によるで修正で「強くしなやかな国民生活の実現を図るための国土強靱化基本法案」という名前に変わって成立した。
 
 
賛成は自民党・公明党・生活の党のみだった。かかわった市民団体からは参議院に向けて次のような声明・意見書が各党に送られた。一部を抜粋する。
 
公共事業市民改革会議(2013年12月2日) 
 
1.法案の本質は、いわゆる公共事業バラマキによる既得権益システムの強化である。
2.事業対象が不明確で際限なく広がるため、公共事業利権を増大させる可能性がある。
3.既存の法律と重複する行政組織焼け太り法案である。
4.計画決定過程で情報公開、国民参加の保障がまったくなく、「透明性」「客観性」「重点化」などの実効性に欠ける。
5.国民は国に対して協力する義務を負うだけの存在となることから、国家総動員法に通じる時代錯誤な法律案である。
6.中央集権のトップダウン計画が、地域の求める本来行うべき公共事業を阻害する。
7.過去のムダな事業の検証や反省がまったくない。
8.既存社会資本の維持管理・更新が急務であり、限られた財政事情の中で、新規事業に費やす余裕はない。
9.生物多様性条約締約国会議での国際公約を遵守できない。
 
水源開発問題全国連絡会(2013年12月2日)
 
この法案では、次のような手続で公共事業が決定されていきます。
1 内閣に内閣総理大臣を本部長、国土交通大臣らを副本部長、副本部長以外の大臣を部員とする「国土強靭化推進本部」を設置する。
2 国土強靭化推進本部は、みずから定めた指針に基づき「脆弱性評価」を行う。
3 国土強靭化推進本部が「脆弱性評価」にもとづき、国土強靭化基本計画の案を作る。
4 政府が国土強靭化基本計画を作る。
 これらの手続について、会議の公開や一般住民の参加は保障されていません。ですから、必要性が稀薄、自然環境へ悪影響をもたらす、地域社会を破壊する・・・・として私たちが反対してきたダム事業も、密室で、一部の政治家・官僚の「利権」のために「合法」として強引にすすめられてしまいます。これまでに地元の反対で中止になった事業が、「脆弱性」を克服するとの名目で「復活」する可能性もあります。地方公共団体は、国土強靭化基本計画の案について意見を言うことができますが、「ひも付き補助金」の復活などにより自主的な判断をしにくい立場におかれている地方公共団体が国の動きに「歯止め」をかけることができるのか、心配です。
(略)
 今改めて防災・減災のために国土強靭化法案を成立させる必要があるとするならば、これまでの政策や投資は何だったのでしょうか。今や、既存の施設での老朽化が急速に進み、新規事業に費やす余裕は生態系にも財政にももはやありません。
 
== 抜粋終わり==
 
そして、その法案が参議院本会義を通らないうちに、2013年12月4日、内閣府のナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会(第9回)で、国土強靱化政策大綱と脆弱性評価案が明らかにされた。
 
国土強靱化政策大綱(案)と概要
大規模自然災害等に対する脆弱性の評価の指針(案)と概要
 
そして日、日付が変わった深夜、秘密保護法案の地方公聴会が行われる前のドサクサの中で、参議院本会義で成立した。
 
賛成は自民党・公明党・生活の党のみ。民主は、特定秘密保護法案を巡る委員会審議に抗議して、その後すべての委員会審議に加わらなかったので、本会議でも、賛成・反対の採決に加わることなく終わった。 
 
投票総数 176   賛成票 136   反対票 40 という結果だった。
(続く)

280.国土強靭化の変遷と自民党構想への回帰②

民主党政権があっけなく倒れ、自民党単独の案に、公明党の「防災・減災ニューディール」 の発想が加味され、1年を得て、2013年5月、新たに「防災・減災等に資する国土強靱化基本法案」 として衆議院に提出された。

しかし、これは2013年の通常国会閉会前に趣旨説明が行われただけで、審議未了で終わった。

公明党の「防災・減災ニューディール」というのは、公明党が「国土交通白書によると、建設後50年以上を迎える社会資本の割合は次のようになっています。道路橋は、2020年度には約26%、30年度には約53%が建設後50年以上となります。同様に河川管理施設(水門等)は約37%と約60%。港湾岸壁は約25%と約53%になっています」と老朽化対策に着眼して構想したものだ。

しかし、その実行のため、「投資額は10年間で100兆円規模を想定しており、GDP(国内総生産)を実質2%程度押し上げ、100万人以上の雇用拡大も見込めるなど、経済効果が期待できます」とぶち上げ、以下のようにその着想のもとが説明されていた。

「1930年代、世界的な大恐慌により壊滅的な打撃を受けた経済に刺激を与えるため、アメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領が行なった大規模な公共投資策の総称です。

この政策によって、アメリカは世界恐慌の危機を脱し、新たな雇用が生み出されるなど一定の経済効果がもたらされました。アメリカが現在のハリウッド映画などに代表される文化芸術大国に発展したのも、この政策による投資の成果です。」

1930年代の米国をモデルにした政策だった。自民党と公明党の二つの案は、どちらも根底の発想は、公共投資(インフラ整備)によって経済を発展させるというものだ。

しかし、同時にこうも書いていた。

「1980年代のアメリカでは、1983年に起きたコネチカット州にある片側3車線のマイアナス橋の崩落など、大型の橋が損傷や通行止めが相次ぎ、「荒廃するアメリカ」と呼ばれました。これは30年代に大量に整備された社会資本が、約50年経過したことで老朽化したにもかかわらず、維持管理に対して十分な予算を投入しなかったことが原因といわれています。」

日本では、ムダな公共事業批判のもと、小泉改革以来、約3%づつ一律に公共事業費はへ減らされてきた。2005年にすでにこのままでは維持管理すらできなくなると、国土交通白書はメッセージを発していた(下図)。

Photo 平成17年度 国土交通白書をもとに作成。クリック拡大可能

公明党の防災・減災ニューディールは本来、そうならないためのものであるべきで、これがこの政策の主眼であれば、ただちに新規事業をやめて維持管理に予算を回していこうと肉を断つ改革へ回るべきところだ。

そうでなければ、いずれアメリカと同じ道を辿り、老朽化したインフラにより「犠牲者」が出ることは分かっていた。しかし、その犠牲が出た。

しかも、「笹子トンネル天井崩落事故──生かされなかった教訓」  (月刊世界2013年2月号)に書いた通り、調べて見るとこれは単なる老朽化事件ではなかった。まったく同じ天井崩落事件での死亡事故が米国で起き、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構はそのことを知っていながら防ごうとしなかった事故である。

ところが、公明党の主眼は、「100兆円」という投資による経済効果の方ににあるようで、せっかく国土交通大臣ポストが手に入ったのに、その使い道については、民主党が絞り損ねた公共事業をそのまま踏襲する形で、今からでも止めて老朽化に振り向けることができる予算を相変わらず、「新規」事業に振り向け続ける予算配分を行っている。

まるで、年間5兆円(地方を入れて10兆円)の予算を今後も死守して、それを減らすまいとする輩が戦略を練り、その発想を自民党と公明党に渡し、それぞれ出させた独自案を合体させ、「防災・減災等に資する国土強靱化基本法案」として離陸させる。そんなシナリオを誰かが描いたのではないかと思える展開だった。

自民・公明によるその法案には、「脆弱性評価」をもとに強靭化基本計画を立てるという仕組みが加わった。○○評価というのは、官僚が客観性を装いながら政策を恣意的に運用するための常套手段だ。この法案からは、自民党案にあったオソマツな重複部分が一定程度削除された。しかし、以前として以下のような特徴が残った。

1.他の公共事業長期計画の根拠法との重複があり、屋上屋となっている。

2.自然環境の保全という諸外国では当たり前の仕組みが組み込まれていない。

3.予算措置で可能、増税につながり、焼け太り、バラマキとなるが、自民党案にあった具体的なメニューはすべて削除された。

4.「隣保協同の精神」とか「国土強靱化国民運動(国民の積極的な協力並びに国土の強靱化の推進に関する活動への国民の自発的な参加を促進するための活動)」はなくなった。

しかし、、国民が国土の強靱化に関する施策に「協力」する努力義務(第5条)条項は残った。この1条は自民党の他の構想と相まって、後にとんでもない化け物となる可能性が高いから、最低でも削除を今後、求めていかなければならないものだ。

そして何よりも、「国土強靱化」とは「事前防災」「減災」「その他迅速な復旧復興」「国際競争力の向上」に資する大規模災害等に備えた国土の全域にわたる強靱な国づくりであるということが第一条に括弧書きで示された。

「笹子トンネルの事故」が再発しないようにするには、老朽化対策を怠った責任者を罰することができる規制権限を国交省に付与すればいい。ところが、本来の意味での諸官庁の権限強化はされていないどころか、「国際競争力の向上」というまったく関係のない焼け太り色が濃くなった。

2013年通常国会では審議未了で終わったが、秋の臨時国会も終盤になって、これが審議されることになってしまった。

特筆することがもう一つある。自民党が単独で出したときは、衆議院国土交通委員会に附託された法案だったが、 公明党との共同で「防災・減災」を頭に冠したときには、「災害対策特別委員会」に附託されたことがその特徴だ。

2013年の頭から、永田町で情報収集にあたっていたが、防災マインドの高い「災害対策特別委員会」の議員たちの中からは、「防災」と名がつくので反対しづらいという声が聞かれるようになった。自公の作戦はここでも成功していた。(続く)

 

279.国土強靭化の変遷と自民党構想への回帰①

結局のところ、自民党が2012年6月に単独で提出した「国土強靱化基本法案」は、公明党による「防災・減災」色、生活の党による「生活」色による自民党色薄めを通して、成立した。
 
しかし、最終的には当初の自民党案へと回帰している。次の通りである。
 
●2012年6月自民党が単独で「国土強靱化基本法案」を提出した。
 
これには「国土の均衡ある発展」という20世紀のキーワードが盛り込まれ、次のような時代錯誤的な特徴や性質をはらんでいた。
 
・既存法や予算措置で実行できることを“災害”を理由に重みづけし、予算を確保する。
・環境保全、自然再生、老朽化対策の視点はなく、抑制・縮小してきた新規開発を復活・拡大させる。
・国民は「参加」ではなく、国土強靱化戦略本部(総理)、国民運動本部長(大臣)のもと、国及び地方公共団体が実施する国土の強靱化に関する施策に「協力」するよう努めなければならない。
 
具体的には次の通りだ。(■印が内容に重複のある既存法だ。)
 
1.他の公共事業長期計画の根拠法との重複がある。
(目的)第1条/(基本理念)第2条、
(国土強靱化基本計画)第7条/(広域地方国土強靱化計画)第8条/
(都道府県国土強靱化計画)第9条/(市町村国土強靱化計画)第10条
■社会資本整備重点計画法、国土形成計画法、国土利用計画法
 
2.他の開発法、基本法の屋上屋となっている。
(基本理念)第2条 国土の均衡ある発展
(農山漁村及び農林水産業の振興)第20条/(離島の保全等)第21条
(東日本大震災からの復興の推進)第11条
(基本理念)第2条 大規模災害を未然に防止し/発生した場合の措置
(大規模災害に対し強靱な社会基盤の整備等)第13条、14条
■北海道開発法/首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律/近畿圏整備法/近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律 /中部圏開発整備法/過疎地域自立促進特別措置法/離島振興法/沖縄振興特別措置法/東日本大震災復興基本法、災害対策基本法/被災市街地復興特別措置法/農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律/建築基準法
 
3.予算措置で可能、増税につながり、焼け太り、バラマキとなるもの。
第6条 必要な法制上、財政上及び税制上の措置その他の措置を講じなければならない。
第12条 必要な道路等の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。
第15条 自然エネルギーの利用の促進、原子力発電施設の地震等に対する安全性の確保
第16条 行政機関の業務の継続のために必要な情報システムの整備その他の必要な施策
第17条 大規模災害の危険を分散するための工場その他の事業所の移転の支援
第18条 高速自動車国道、新幹線鉄道等の全国的な高速交通網の構築
第19条 港湾等の社会資本の整備、アジア地域その他の地域との貿易の拡大並びに経済の分野における交流及び連携の促進その他(略)必要な施策
 
4.公共事業改革、説明責任、情報公開、住民参加の発想は皆無
 “国家総動員”“向こう三軒両隣”並みの発想
第22条 隣保協同の精神に基づく国民の自発的な防災活動に対する支援その他の地域共同体
第24条~39条 ○内閣に国土強靱化戦略本部設置(本部長:内閣総理大臣、副本部長:内閣官房長官及び国土強靱化戦略担当大臣、部員:全大臣)。○国土強靱化国民運動本部による国土強靱化国民運動(国民の積極的な協力並びに国土の強靱化の推進に関する活動への国民の自発的な参加を促進するための活動)。○両本部は、関係機関に資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。○地方公共団体は都道府県国土強靱化国民運動本部、市町村国土強靱化国民運動本部を置くことができる。
 
上記1と2の問題は、■印をつけた既存法ですらスクラップが必要な古い法律がたくさんあるのに、さらにこの新しい法律ができれば、「行政コスト」が嵩み、強靭化の仕事をする組織が増えて肥大化する。また、計画作り業務を受注するコンサルが儲かるだけで、付き合いで新たな計画を作らされる「自治体」の財政をさらに逼迫させるだけで、その分、急務であるインフラ老朽化対策が遅れる。
 
上記2で警戒すべきは、民間事業もしくは民営化したはずの事業(原発、高速道路、新幹線)に国がリソース(人材、財源)を振り向ける旧自民党体制への回帰だ。それがなぜダメかは後述する。
 
上記3の第22条の「隣保協同の精神」には驚いた。「国土強靱化国民運動本部」には吐き気がした。これは前のコマで書いた構図 の理念が埋め込まれていた。これが自民党の本音であることが透けて見える。
 
この法案を一読して、自民党が野党だから、衆議院法制局が「どうせ成立すまい」と手を抜いて政治家の言いなりにいい加減なものを作ったのではないかという印象を受けた。すでに既存法で行っていることを複数あとで盛り込むにあたって「基本法」とつけることでごまかしたとしか思えない。閣法ではありえない法律案だろう。
 
なお、当時、この法案の提出を自民党の総務会で決定した日に、茂木敏充政調会長(当時)が、記者発表を行っている。「事前防災」という考え方で作ったこと、二階俊博国土強靱化総合調査会長、脇雅史参院国対委員長、福井照事務総長が中心でまとめたことが語られていた。後ろ二人は元・国交省官僚だ。
 
茂木・現経済産業大臣は、その会見でこの法律案によって必要になる財源について「自然に200兆円積み上がる」と述べた。以下の通りだ。
当時、公共事業予算は年間5兆円。10年間で国費で50兆円となり、地方を含めた事業費は100兆円になる。東日本大震災からの復興10年間計画で23兆円、事業費で30兆円となる。その他、事前防災の対策、インフラ整備、医療、福祉、エネルギーで、「自然に200兆円積み上がる」と言った。(参考画像→http://ajimura.blog39.fc2.com/blog-entry-2288.html )
 
しかし、その復興予算でさえ、現在までに少なくとも1兆円もの予算が、被災地とはなんら関係のない事業に流用され、そのほとんどが返還されていないことが分かっている。
 
この構想が省益と集票が欲しい政官によって「利権のバラマキ」の裏付けとして悪用されることは、法律案が審議されるよりも前に、民主党政権が倒れる前に、明らかになっていた。(続く)

2013年12月 9日 (月)

278.唾棄すべき近未来図

日本が直面している最大の国難は2つある。
 
一つは、福島第一原子力発電所から海洋へと絶えず漏れ続けている放射能汚染だ(*1)。
もう一つは、増え続けている福島の子どもたちの甲状腺ガンの増加だ(*2)。
 
ところが、今、安倍政権が向かおうとしているのは
武器輸出のできる国づくりだ。
 
米国と一緒になってその武器を使い、
他国で戦争ができるようになるための国作りだ。
 
そのために急いで成立させた特定秘密保護法であり
国家安全保障会議設置法であり、
 
自民党が次に成立を狙うであろう
国家安全保障基本法案 で実現しようとすることのパーツが
特定秘密保護法であり、国家安全保障会議設置法であるに過ぎない。
 
それを補強するために国土強靭化法がある。
この法律は、公共事業および既民営化事業に税をつぎ込む焼け太り法であると同時に、
実は自衛隊法と消防省の改正論の序章でもある。
 
国土強靭化法とは実は国家強靭法であり、
国民はこの法律のもとですでに「国家」の下に置かれてしまった。
これも国家安全保障基本法案の傘化にあると言える。
 
これらのパーツと前々政権までに準備した教育基本法、
有事法制を合わせれば、自民党が作った逆転した憲法改正の中身は
ほとんど実現できてしまう。
 
自民党国家安全保障基本法案と上記の流れを一枚の絵図にすると
以下のようになった。(クリックして拡大してください)
Photo
 
自民党は2016年までにこの絵図を実現しようという考えではないか?
審議、採決を急ぐ理由はそれ以外に考えることができない。
 
武器商人になりさがる下品な国作りに唾棄する。
 
海洋へと絶えず漏れ続けている放射能汚染を完全にコントロールしているとをつき、
子どもたちの甲状腺ガンの増加に心を寄せず対処しようともしない
非常識、非人道的な国会で選ばれた安倍晋三首相に唾棄する。
 
 
(*1)「コントロール不能の汚染水漏れ“六つの危機”」(「週刊金曜日」2013年11月1日号)
 
 
参考 国家安全保障基本法の概要と特徴(2/4)
永山茂樹・東海大学法科大学院教授(憲法学専攻)

2013年12月 5日 (木)

277.やっぱり死んだ、良識の府

上から3番目の条約の採決までで止まっていた議案の残り9本のうち、1本を除くすべてが12日5日0:10開会という異常な参議院本会義で可決成立した。
 
ここで糞詰まっていると秘密保護法案が通せないということなのだろう。
 
早い段階で通しておくべき「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律案」や、婚外子差別を解消する一角となる「民法の一部を改正する法律案」などに一緒に、「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法案」(PDF)までが可決・成立した。
 
原案が衆議院で修正され、参議院でもそのまま通った。
 
原案 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/185/pdf/t051830181830.pdf
修正案(新旧対照)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_annai.nsf/html/statics/housei/pdf/185shu13sinkyu.pdf/$File/185shu13sinkyu.pdf
 
内閣府官僚が昨日(12月3日)、ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会の“有識者”にご説明したように「骨格に変わりはない」。なぜなら、「大規模災害等」を「大規模自然災害等」に限定しました、との口頭説明とは裏腹に、条文を見れば、以下のようになっているからだ。
 
================================
修正前
「この法律は、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある大規模災害等(以下単に「大規模災害等」という。)から国民の生命、身体及び財産を保護し、並びに大規模災害等の国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることの重要性に鑑み、事前防災及び減災その他迅速な復旧復興並びに国際競争力の向上に資する大規模災害等に備えた国土の全域にわたる強靱な国づくり(以下「国土強靱化」という。)の推進に関し、」
 
修正後
「この法律は、事前防災及び減災その他迅速な復旧復興並びに国際競争力の向上に資する国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある大規模自然災害等(以下単に「大規模自然災害等」という。)に備えた国土の全域にわたる強靱な国づくり(以下「国土強靱化」という。)の推進に関し、」
================================
 
「自然」といれようが入れまいが、「国際競争力の向上」など例示を前に持ってきて文書を入れ替えて「等」で丸めただけだ。
そして、衆参委員会審議で提出者(与党議員)がしきりに「アンブレラ法」であると述べたこの空っぽな法案の中身は、蓋を開けてみれば、内閣府で先んじて「省庁横断」でホッチキス止めが進んでおり、昨日、法案成立前に、「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」で、国土強靭化政策大綱(案)として発表された。
 
12の「個別施策分野」として、どうとでも取れるゆるい書きぶりで利権(予算)分配メニューとその担当省庁が並び、国土強靭化政策フレーバーを加える3つの「横断的分野」を添えてできあがりだ。(以下参照)
 
================================
個別施策分野
①行政機能/警察・消防等、②住宅・都市、③保健医療・福祉、④エネルギー、⑤金融、⑥情報通信、⑦産業構造、⑧交通・物流、⑨農林水産、⑩国土保全、⑪環境、⑫土地利用(国土利用)
 
横断的分野
①リスクコミュニケーション、②老朽化対策、③研究開発
================================
 
たとえば「⑧交通・物流」には、「『リニア中央新幹線』に関しては、建設主体であるJR東海が、国、地方公共団体等と連携・協力しつつ、整備を推進する。」(国土交通省)とどうとでもとれる文言が加わった。「④エネルギー」には、自民党の当初の国土強靭化法案には入っていた原発がらみのものは消えたが「石油コンビナート等のエネルギー供給施設の破損」と「等」が入っているから世論次第で復活の可能性もある。「⑪環境」「⑫土地利用(国土利用)」にはあきれたことに愛知ターゲットが記載されていない。「防災」の名で生物の生息域を蹴散らしかねないものだ。
 
なお、成立した法には以下の第5条が埋め込まれたままだ。
=================================
(事業者及び国民の責務
第五条 事業者及び国民は、国土強靱化の重要性に関する理解と関心を深め、国及び地方公共団体が実施する国土強靱化に関する施策に協力するよう努めなければならない
=================================
 
つまり、国民は「国土強靱化」への協力の努力義務が課され、反対すれば、石破さんのような議員にかかれば、テロリスト扱いを受けかねない。間もなく、インターネット上でもそれが公表されることになるだろう。
 
掲げられたメニューは全否定するものではないと思う人が大半だろう。しかし、よく考えてみて欲しい。国土強靭化法ができる前から既存法で進められている(あるいは取捨選択されている)べきものであり、何を今さらというものだ。
 
問題なのは、それらの中に、民営化したJR事業や高速道路事業をドサクサで紛れ込ませて、その必要性の吟味も優先順序の選択も国民にはさせずに、中央集権で実行する裏付けとしてしまうことだ
 
第5条と個別施策分野①~⑫が合体すれば、つまり国土強靭化とは、富国強兵政策であることがわかる。
 
日本が過去半世紀、民主主義国家を目指したはずが実際には、国が中心であたかも社会主義国のように進めてきた「経済成長」となんら変わらない。なんの反省もなく21世紀はすでに13年目を終えようとしている。

2013年12月 4日 (水)

276.死ぬな、良識の府

[良識の府]たる参議院は、
秘密保護法案のかげで、「会期末だから」と
たくさんの議題を昨日、一部最大野党が欠席のまま
委員会附託して9本採決を済ませ、本日の本会義でそれらを含めて12本を議題とした。

しかし、17:12現在、上から3番目の条約のところまでの採決に止まっている。
死ぬな、良識の府、多数決で死ぬな!

ズサンな審議は許されないものが含まれている。

平成25年12月3日(火曜日) 議事日程

○議事日程 第十一号
  平成二十五年十二月四日(水曜日)
     正午開議
第一 社会保障に関する日本国とインド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
第二 社会保障に関する日本国とハンガリーとの間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
第三 障害者の権利に関する条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)

第四 公職選挙法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
第五 東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律案(衆議院提出)
第六 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律案(高階恵美子君外四名発議)
第七 がん登録等の推進に関する法律案(尾辻秀久君外七名発議)
第八 強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法案(衆議院提出)
第九 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案(第百八十三回国会内閣提出、第百八十五回国会衆議院送付)
第一〇 産業競争力強化法案(内閣提出、衆議院送付)
第一一 民法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一二 戸籍法の一部を改正する法律案(小川敏夫君外七名発議)

内閣府に設けられた「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」では、
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/resilience/index.html

今日、9回目を開催し、

内閣府官僚が「衆議院で修正され、名前が変わりましたが、骨格は変わりません
国土強靭化法案が成立しましたら」と繰り返し述べて、ホクホクニコニコと
それに基づく「国土強靱化政策大綱」を“有識者”にご説明していた。

この大綱には、従来と大して変わらない各省庁のプロジェクトメニューが
ズラリと並んでホチキスで留められており、
ある“有識者”はこれを成長戦略と呼んだ。

一体これのどこが老朽化対策で、どこが防災・減災なのか?

国土強靭化法で、国民は協力するだけの存在に位置づけるので、なんのことはない。
これは「富国強兵」政策ではないか。

そのことにも気づかずに、ホクホクと成長戦略だと言う“有識者”の脳天気ぶりに
あきれかえった。

本会議でこの法案が通れば、今日からは、霞ヶ関利権のはじまり。
与党国会議員は釣り竿についた単なるエサ状態である。

その絵図には国民の姿さえないのだ。

(上記懇談の中身は別途お伝えします)

275.秘密保護法案反対ヒューマンチェーン(写真)

内閣府での取材を終えて永田町へと向かった。

国会記者会館の1階喫茶店でご飯を食べていると
隣に座っている人が「人間の鎖」を話題にしていた。

行ってみるとちょうど始まっていた。(クリックで拡大できます)

1 2

官邸前

3 4
官邸~衆議院第一議員会館

5 6
衆議院第一議員会館~第二議員会館

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衆議院第一議員会館~第二議員会館

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第二議員会館~参議院議員会館

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第一議員会館~第二議員会館 参議院議員会館前アピール

13 14

参議院議員会館

15_314:00~、17:00~と、その後も続々と秘密保護法案反対の院内集会が用意されていて、入り口もロビーも人が一杯。

ヒューマンチェーンは官邸から衆議院第一議員会館、第二議員会館、参議院議員会館を周り、国会図書館そして、自民党本部と民主党本部のブロックへと続く角までグルリと取り囲んでいた。

274.名無しのゴンベイ官僚がこの国を秘密裏に強靭化する

●12月1日、こんなリーク記事がありました。
 政府理念、防災は「百年の大計」 国土強靱化大綱案、一極集中回避
 http://www.47news.jp/CN/201311/CN2013113001002189.html

「大規模自然災害に備える基本理念をまとめた政府の「国土強靱化政策大綱」の素案が30日、明らかになった」というもの。おかしいと思いませんか?

●普通の人々なら、普通に、与党の議員立法による「じゅげむじゅげむ国土強靱化」 と連動していると考えるわけですが、実はこんなことは本来おかしいのです。

●官僚も、ものの原理だけは知っているので、これまで内閣府の官僚は、「議員立法とは無関係に進めている」と取材には答えてきました。しかし、これは本質的には「大嘘」です。

●なぜか?この「国土強靱化政策大綱」の出所は、内閣府に設けられた「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」です。

●この懇談会の座長は藤井聡・京都大学大学院工学研究科教授です。そして、自民党の議員立法は、この方による首都圏直下型地震などで被害は最大600兆円規模になるため、「復興」と「防災」のために総額最大200兆円超の投資が必要であるとする主張をベースにできあがってきたからです。

●議員立法で準備していることを、内閣府が先取りして「懇談会」を設けて、議員立法が成立する前にその中身を決めてしまっている。国会は議員立法ですといいながら、実際は官僚にすべてを描いてもらっている。そのおかしさ(不当さ)を官僚こそは知っているから、「議員立法とは無関係」と弁解をする。しかし、無関係ではあり得ません。

●しかも、懇談会では、防災・減災と名付けながらこれまでの防災・減災政策を一切検証することもなく、過去100年を振り返ることなく、第一回目から「百年の大計」語っている。「有識者」にはあるまじき、普段彼らが教育の場で教えているであろうやり方とはまったく違う横着な好き勝手な発表のし合いでした。それはさておき・・・。

この「御用学者」を隠れ蓑に、実際には、
国土強靱化の推進に関する関係府省庁連絡会議

古屋国土強靱化担当大臣をトッピング(トップではない)に
以下の名無しのゴンベイ官僚がシナリオを描き、
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyoujinka/konkyo.pdf
内閣官房副長官(事務)(内閣官房国土強靭化推進室長)
内閣総理大臣補佐官(内閣官房国土強靱化推進室長代理)
内閣官房内閣審議官(内閣官房国土強靱化推進室次長)
内閣府政策統括官(防災担当)
警察庁警備局長
金融庁総務企画局審議官
消費者庁審議官
復興庁統括官
総務省大臣官房総括審議官
法務省大臣官房審議官
外務省大臣官房長
財務省大臣官房審議官
文部科学省大臣官房総括審議官
厚生労働省社会・援護局長
農林水産省農村振興局長
経済産業省大臣官房審議官
国土交通省国土政策局長
環境省大臣官房審議官
防衛省運用企画局長

まとめられたものが、今日、隠れ蓑である懇談会に出てくるというあからさまな構図です。↓

●ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会(第9回)の開催について
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/resilience/dai9/9kaisai.html

1.開催日 平成25年12月4日(水)10:00~11:30
2.開催場所  中央合同庁舎第4号館 6階 共用620会議室
3.議題(予定)
 (1)国土強靱化政策大綱について
 (2)脆弱性評価について

ここまでに乱雑に書き殴ってきたように、
 衆議院災害対策特別委員会でコソコソとたった4時間の審議を経て、
 参議院災害特別委員会ではコソコソ2時間ちょいの審議だけで
議員立法の方は、おそらく今日の本会議で「成立」となる。

しかし、その中身についてはもう官僚が手ぐすねを引いて準備しており、
今日12月4日に、御用学者の懇談会でまとまったことにして、
安倍内閣の閣僚がそれを「100年の大計」として、発表することになるらしい。

それが1日にすでに報道されています。
見事な政官産学報癒着の典型例となりました。

ときに、そういう構図を知らずに(そうではないと否定して)隠れ蓑になる学者と
知っていて隠れ蓑人生を選ぶ学者とがいるのですが、以下の方々はどうなのでしょうか。

ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会委員

(レジリエンス研究) 藤井  聡 内閣官房参与、京都大学大学院工学研究科教授
(高齢社会対応) 秋山 弘子 東京大学高齢社会総合研究機構特任教授
(農林水産業) 浅野 耕太 京都大学大学院人間・環境学研究科教授
(地域社会・コミュニティ) 奥野 信宏 中京大学総合政策学部教授
(地方行政) 尾﨑 正直 高知県知事
(エネルギー) 柏木 孝夫 東京工業大学特命教授
(広報戦略) 金谷 年展 東京工業大学ソリューション研究機構特任教授
(リスクコミュニケーション) 小林誠 立命館大学経営学部客員教授
(産業構造) 佐々木 眞一 トヨタ自動車(株)相談役・技監
(環 境) 中静透 東北大学大学院生命科学研究科教授
(防 災) 中林 一樹 明治大学危機管理研究センター特任教授
(財政・金融) 松原隆一郎 東京大学大学院総合文化研究科教授
(国 土) 森地茂 政策研究大学院大学特別教授
(情 報) 山下徹 (株)NTTデータ 取締役相談役

「100年の大計」ならば、地方公聴会を全国津々浦々で開催してその上で決めていくべきものです。与党と官僚と御用学者のみで連携して作り上げる「100年の大計」などここ二十年で進めてきた「住民参加」の流れとは真っ向から逆行します。

「特定秘密保護法案」とセットで(その影で)、「国民は・・・国土強靭化に関する施策に協力するよう努めなければならない」と、主権者を下に置く法律案が、国会でスルスルとたいした議論も論議もなく成立しようとしている・・・。

呆然としてある情報を送ってくれた人にお礼メールをしながら
「私はどうしたらいいのだろうか」と気持ちを吐いたら

> まさのさんには、
> 「ペン」という
> 最大の武器があるじゃないですか(^_^)v

と来た。水鉄砲よりも弱く、その水はすぐ乾いてなんの威力もない。だからスルスルと世論を盛り上げることもできずにこの有様なのだ。でも、そう言われれば、それしかないのだから、書き続けるしかない。本当なら国会前で抗議のハンガーストライキでもやりたいところだがその気持ちを書くことにぶつけるしかない。届け、届けと思いながら。(あ~ぶざま)

2013年12月 3日 (火)

273.強靭化:機能不全を放置して議員立法に走る議員たち

ここ最近、富に乱雑なブログを発信していてお恥ずかしい限りだが、お許しいただきたい(ある意味、こんなに乱雑では逆効果だとすら我ながら思うが、キーワードをヒントに独自取材を始めてくださるプロ、アマがいればそれでいい。)
 
さて、このブログとは比べものにならないほど、議員立法が深刻なほどに低質なものに陥ってきたと感じたのは自民党の某議員がたたき台を書いた国会事故調の設置法案だったが、今回の国土強靭化基本法は当初、それ以上にひどかった。
 
公明党と共同で「防災減災」を頭につけて出し直してきたときには、官僚の手が入ったのか、いかにも法治国家として、恥ずかしいと思えるものは、バッサリと削られた状態となった。
 
しかし、骨格はそのままなので、ひとたび法律が成立すれば、「トロイの木馬」のように中から利権議員と省益拡大を狙う官僚が、この骨格を使って暗躍することは間違いないと思った
 
しかし、法律が通る前から、審議の中で、その片鱗はすでに現れている。しかし、利権議員とか省益拡大も、その根底にある大きな問題から見れば、ほんの一角の問題でしかない。
 
本当に大きな問題は、インフラ整備事業を根拠づけている法律の全体構造がまったく見えていない中で、新しい法律を作ることが、立法府の仕事だと勘違いしているフシが議員たちにあることだ
 
「防災」とか「減災」とか「強靭化」という言葉だけで、「理念は賛成だが」と易々と言う議員たちがあまりに多い。
 
これは、公共事業を根拠づけている法律だけを指すのではない。
 
原発しかり、消費者問題しかり、労働問題しかり、良心的に働いている国会議員による議員立法も含め、「現行法」が機能不全を起こしていることを放置したまま、新しい法律を作って対処しようという動きが目立つ。
 
現行法で、官僚たち、規制当局たちは、「省益」のための運用は行っているが、「国益」のための運用は行わず、いわば不作為を続けてている実態がある。ところが、国会では、その不作為を放置して(その不作為を質し、運用させるのが国会の役割の一つであるにもかかわらず)、また新たな法律を「議員立法を作りました」と成立させ、仕事をした気になっている場合が目立つ。
 
結果として、新たな行政組織を作り、ますます、「省益」だけが拡大し、行政組織が肥大化し、それでも国民のための必要な「規制」が行われない不作為を見逃す。
 
よい例は、「原子力委員会」だ。原子力規制委員会を議員立法で作った時点で、廃止しなければいけない組織であるにもかかわらず、たったそこまででさえ目配りできない。今となってはまったく不要な「原子力委員会」が存在し続けている
 
もう一つの例は、国会事故調の設置法。事故調が入手した資料を公文書と位置づけなければダメだがそれが法律に書いていないから、今からでも改正しておかなければならないと警告したのにもかかわらず、事故調が存在している間に議員達は何もしようとしなかった。時限立法でさえ、その時限内はもちろん、他の法律との関係も、その先の道筋も何も考えていない。
 
国会こそが全体を見て、社会を未来に向けて動かさなければならないのに、目先しか考えず、既存法でできることや、すべきことを横において、新しい法律を作ることに中途半端に力を注いでいる。
 
知識も関心も社会的地位も高いちまたの人からでさえ、「強靭化は必要でしょう?防災や減災なんでしょう?なんで反対なのか?」という反応が返ってくる。多くの国会議員もそのレベルでしかない。 
 
新しい法律など一本も要らないことがどうやら分からない。東北大震災が起きたから、新しく必要になったのだと思っている。いや、それならまだマシで、本当は屋上屋だと知っていて確信犯で利権を拡大しているのかと思わざるを得ない。焦る。
 
しかし焦っても仕方が無い。
 
自民党をはじめ法案提出をし、賛成した審議担当者などに、取材を申し込んだ。以下が質問事項だ。
 
1.防災関係法とどのように整理を付けるのでしょうか?
 
 法案では「強靭化」を「事前防災及び減災その他迅速な復旧復興並びに国際競争力の向上に資する大規模災害等に備えた国土の全域にわたる強靱な国づくり」の略称として記しています。「事前防災」「減災」「復旧」「復興」「国際競争力の向上」がその中身と考えられます。同法案では国土強靱化基本計画を作ることになりますが、以下の既存法、および既存計画と二重行政にならないよう、どのように区別、区分されるのでしょうか。
 
○災害対策基本法:「防災計画」(防災基本計画と防災業務計画)、「地域防災計画(都 道府県地域防災計画、市町村地域防災計画、都道府県相互間地域防災計画、市町 村相互間地域防災計画)」
○大規模地震対策特別措置法:「地震防災基本計画」、「地震防災強化計画」、「地震防 災応急計画」
○被災市街地復興特別措置法:「被災市街地復興推進地域に関する都市計画」
○首都直下地震対策特別措置法:「緊急対策推進基本計画」「行政中枢機能の維持に係 る緊急対策実施計画」「首都中枢機能維持基盤整備等計画」
○南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法:「南海トラフ地震 防災対策推進基本計画」、「津波避難対策緊急事業計画」
 
2.既存の社会基盤整備アンブレラ法とどのように整理を付けるのでしょうか?
 
社会基盤整備に関する計画には次のようなものがあります。
○国土形成計画法:「国土形成計画」「広域地方計画」(2008年~2018年)
○社会資本整備重点計画法に基づく第3次社会資本整備重点計画(2012年~2016年)
○太田昭宏国土交通大臣のイニシアティブによる国土交通省の「社会資本の維持管理・ 更新に関し当面講ずべき措置」(2015年度末までのロードマップ)、
 11月29日に決定した「インフラ長寿命化基本計画」
 
国土形成計画法と社会資本整備重点計画法の中身にはすでに重複があります。後者は「大規模又は広域的な災害リスクを低減」「社会資本の適確な維持管理・更新」にも重点を置いています。これらと三重行政にならないよう、どのように区別、区分されるのでしょうか。
 
3.復旧・復興関係法とどのように整理を付けるのでしょうか?
 
○東日本大震災による被害を受けた公共土木施設の災害復旧事業等に係る工事の国等による代行に関する法律
○公立学校施設災害復旧費国庫負担法
○公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法
○農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律
○大規模災害からの復興に関する法律
○被災市街地復興特別措置法
○福島復興再生特別措置法
○東日本大震災復興基本法
 
 復興予算の流量事件は、自治体が予算を差し出されれば何であれ使ってしまう実態を明らかにしました。また、1.2とも関係しますが、自治体は予算を取るための計画作りや国との行政手続で独自性を失い、霞ヶ関では法律が存在することによる所管部署の人材、、予算措置(法律を根拠として官僚の裁量によって配分される利権事業)による行政コストのムダが生じています。それらを回避すべく国会や地方議会の行政監視機能を高めることができるようにするには法律はできるだけ数少なくシンプルにして、その分、地域や住民の声を反映させる仕組みを充実させるべきだと思いますが、どのように整理整頓(スクラップ)して行かれるのでしょうか。
 
4.国際条約をどう遵守するのでしょうか?
 
 日本は2010年10月「生物多様性条約第10回締約国会議」で世界193の国と地域と共に「生物多様性条約戦略計画2011-2020(通称、愛知ターゲット)」の合意に至りました。
・「人々が生物多様性の価値と行動を認識する」(目標1)、
・「生物多様性の価値を国と地方の計画に統合し、適切な場合には国家会計や報告制度に組み込む」(目標2)、
・「生物多様性に有害な補助金などの奨励措置を廃止・改革する」(目標3)、
・「森林を含む自然生息地の損失を半減、可能ならゼロにする」(目標5)
など20の目標が決定し、国連総会では2020年までを「国連生物多様性の10年」とし、国連機関と加盟国での活動が始まり、日本でも関係法制度の見直しが求められています。
 今回の法案では、「地域の特性に応じて、自然との共生及び環境との調和に配慮すること」(第9条)されましたが、上記4点すら達成できていません。その遵守に必要な希少な生物の生息域を守るための「種の保存法」でさえ、現行法ではその54条で公共事業は適用しない特例が設けてあります。公明党として国際公約である愛知ターゲットにどう対処されるでしょうか。
 
5.脆弱性評価は誰がどのように行うのでしょうか。
 
 「大規模自然災害等に対する脆弱性の評価」の指針は自治体も国民の意見も聴くことなく、国土強靱化推進本部が決定します(17条)。同本部に集う政治家と官僚が恣意的に決定すれば、国土強靭化基本計画を思いのままに定めることは容易であり、国民は第5条により「協力するよう努めなければならない」だけの存在です。これは長年をかけて河川法や海岸法において、計画を策定する際に、「関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない」と、住民参加への道が開かれてきたこととは逆行します。地域や住民のニーズに合致した柔軟な対応をどのように実現させていかれるのでしょうか。
 

272.国会(歳費泥棒)が18分間で在庫整理

国土強靭化基本法案を追っていた。国民の扱いがその第5条により「協力するよう努めなければならない」とされ、特定秘密保護法案と合わせればまさに暗黒社会ができあがる。
 
以下、今日の午前中にツイートしたことを整理・再掲する。
 
昨日(2013年12月2日)の夕方4時30分から48分の間に議院運営委員会でおきた出来事は次の通り。
 
1)会期末なので、自民党公明党は、定例日ではないが 残っている法案9本(強靭化はその一つ)を委員会附託することにした。
 
2)参議院 議院運営委員会を開いた。
 
3)6委員会9本の法案の審議を委員会附託することに、民主、共産、みんなが反対した。   自公は賛成。議院運営委員会の構成委員は、10人以上の所属議員がいる会派だけなので、他の党や無所属は出席すらしていない。
 
4)自公の多数決で、参議院議院運営委員会で、6委員会9法案の委員会附託が決まった。
 
5)原則全会一致で行うべきなのが委員会の運営。それを行うのが議院運営委員会。その原則に反した運営に、民主党は議院運営委員長の解任決議を提出した。
 
6)しかし、その扱いは決まっていない。議院運営委員会で採決されるか、委員会審議を省略して本会義で採択されるか、単に無視されて会期終了と共に流れるか、いずれにしても委員長の解任決議案も多数決だ。
 
7)各6委員会で理事懇談会が開催された。災害対策特別委員会でも理事懇が開催された。 民主党筆頭理事は(解任決議を出しているので) 欠席した。
 
この18分間で6委員会9法案の扱いが決まってしまった
これが、2016年まで続く安倍独裁政権のやり方だ
 
そして今日(2013年12月3日)
 
8)委員長の職権で委員会開催を決定し、本日、定例日(委員会は開催日がだいたい決まっているのですよ)でもないのに災害対策特別委員会は9時から開催された。民主党は欠席。
 
9)国土強靭化基本法は全国民が「協力」させれれるかつての国家総動員法のような法案であるにも関わらず、衆議院では4時間しか審議していない。参議院でも本日が実質最初の審議であるにも関わらず、民主党(最大野党)欠席のまま、採決、可決した。
 
10)今日行われた審議の中でさえも、法案の対象となる「大規模自然災害対策等」とは何かの明確な定義は行われていない。ただただ、際限なくその対象が広がる可能性を垣間見せただけで、あとは官僚と閣僚の意のままになる可能性が無限大だ。「脆弱性評価」とは何かも「法案が成立後に決まる」つまり官僚に白紙委任という状態。
 
11)自公の多数決で無理やり、「会期末だから」という理由で附託が決まり、本日開催審議したのは、災害対策特別委員会の他、内閣委員会、文教委員会、厚労委員会、農水委員会、経産委員会。
12)災害対策特別委員会の国土強靭化基本法案の採決の後、公明党 西田実仁議員が、27項目の附帯決議を読み上げたが、驚いたことに、委員会審議の中で全く出て来なかった事項がズラズラと読み上げた。通常、審議の中で課題とされ、修正にいたらなかったものをアリバイ的に盛り込むのが附帯決議だ。審議、質疑すらなかったものが、盛り込まれるのは、反則、論外、非常識、ありえない。審議のイロハも知らない議員たちが議員立法を成立させていっているのだ。
 
さすが裁判官に「無効」とされた議員達の仕業だと、皮肉りたくなる。
皮肉っても仕方が無いので、真正面からやるべきことをやるしかない。
多数政党に取材を申し込んだ。

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