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2013年10月11日 (金)

242.国家安全保障と知る権利に関する国際原則

2013年6月12日に、南アフリカのツワネで「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」が誕生したことを週刊金曜日9月29日号 で知った。通称「ツワネ原則」。「国家安全保障と知る権利に関する国際原則」とも呼ばれるようだ。
 
オープン・ソサエティ・ファウンデーションが、アムネスティ・インターナショナルのような国際人権団体や多くの国の大学の研究機関など22団体の協力を得てまとめたものだ。
 
ピース・フィロソフィー・センター和訳と共にその紹介をし、原文にリンクしている。
 
国家安全保障と情報への権利に関する国際原則 原文  15点の概要
 
15点の概要から3例をピース・フィロソフィー・センター和訳から抜粋すると、以下のようなものがある。
 
●公共セクターにおける内部告発者は、公開された情報による公益が秘密保持における公益を上回る場合、報復措置を受けるべきではない。(原則40,41、と43)
 
●ジャーナリストその他、政府に勤めていない人々は、機密情報を受け取ること、所有すること、公衆に公開することに対し、また機密情報を求めたり機密情報にアクセスすることに対して共謀その他の犯罪で訴追されるべきではない。(原則47)
 
●ジャーナリストその他、政府に勤めていない人々は、情報流出の調査において、秘密情報源や他の非公開情報を明かすことを強制されるべきではない。(原則48)
 
この原則は、「国家安全保障に関する情報を秘匿もしくは情報の漏洩を罰する国家の権限に関する法律や条文を策定、改定、施行する人々への指針を提供する」ためにできたというから、タイミングからすれば秘密保全法を作ろうとしている日本の国会のために作られたようなものだ。
 
こちらでもl少し触れたように、国家公務員法、それに情報公開法(非開示情報の要件を規定している)が適切に適用されれば、秘密保全法の必要性は現段階では認められない。政府が明らかにしたこのレベルの規定ならまったく不要だ。また日本の情報公開制度のレベルの低さを高める前にやることでもない。
 
作るのだとすれば、情報公開についてすでに制定された国際法や法律の先例から積み上がってきた規範やよき実施例に基づいて国民の知る権利を充実させてから、その後に、公益通報を抑制することがないように、報道を抑制することがないように、国民の知る権利を狭めるようなことがないように、ツワネ原則に適っているかどうかを確認しつつ、慎重に、国民との合意形成を図りながら行うべきことだ。
 
現状は、勢い任せで、アベノミクスに悪のりしているようにしか見えない。
 
 
 
 
余談:ちなみに、週刊金曜日の同じこので、「公正な国家賠償の在り方を示せ 分断された戦後処理 原爆症認定制度」を書きました。

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