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2013年6月26日 (水)

211.なんで電力自由化に向けた法案が廃案になったのか

国会が劣化している。
 
十分に審議時間があったはずの電事法改正案が廃案になったと知り、
何が起きているのかと国会審議を国会TVで後追いして、驚いた。
 
風が吹けば桶屋が儲かる話ぐらいの回りくどい話だ。
 
1.裁判所に違憲とされた選挙区割りを是正するゼロ増5減法案について
 
衆議院で可決された後にこの法案が回ってきた参議院では
野党から呼びかけた「政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会」
での審議を、与党が拒否し続けた(*1)
 
この「参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会」は
5月27日に別の法案を審議したのを最後に(*2)
政策論議を止め、いわゆる「国対政治」モードに入っていた。
 
2.轟木利治・政倫特委員長解任動議について
 
6月19日、自民党/公明党が、
轟木利治・政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員長(民主党)の
解任動議を提出した。(*3)
 
こうした解任動議は、審議したくない法案がある場合に
審議したくない少数派側(参議院の場合自民党と公明党)が出して
審議入りを邪魔する「国対政治」の初歩的なテクニックだ。
 
参議院での自民党/公明党の審議拒否により
ゼロ増5減法案は審議がされないまま60日が経った。
 
衆議院は憲法に基づき、ゼロ増5減法案を参議院が否決したと見なし、
6月24日、衆議院本会議で再可決して成立させた。
 
3.平田健二参議院議長の不信任案について
 
ところが、今日6月26日、参議院本会議では
委員会での法案審議を拒否し続けた自民党・公明党の側から、
本会議を司る平田健二参議院議長の不信任案が提出された。(*4)
 
理由は「ゼロ増5減法案が審議できたかもしれなのに」
6月21日に「休憩」ではなく本会議を「散会」した、
休憩にしておけば「再開」できたのにと、理解不能な理由である。
 
4.閣僚の参議院予算委員会への出席拒否
 
並行して、参議院予算委員会でも異変が起きていた。
ここでは、自民党/公明党の参議院議員が審議拒否をしただけではなかった。
6月24日、ついに全閣僚までが出席を拒否した。
 
これは憲法第63条違反であり、そのことによって第99条違反である。
石井一参議院議員が予算委員長(民主党)職権で委員会を開き、
その旨を説明した。(*5)
 
6月25日、自民党/公明党はまたも予算委員会審議を拒否。
全閣僚はまたも憲法第63条と99条違反(*6)を犯して、国会への出席を拒否した。
 
5.法案のほころびを隠すセレモニーについて
 
こんな中で迎えた通常国会の閉会の日、本会議で
平田健二参議院議長の不信任案に民主党とともに反対討論を行った
水野賢一議員(みんなの党)は「本会議を「休憩」ではなく「散会」したのは
 議院運営委員会の採決結果に従っただけの話」だが
「なぜ、それが議長の不信任案につながるのか意味不明」と述べた。(*7)
 
自民党/公明党は少数なので、この不信任案は否決された。
そんなことは分かっていたはずであり、要は単なるセレモニーだった。
 
実は、ゼロ増5減法案にはほころびがあった。
一票の格差是正に使った人口統計は古く、憲法違反は解消されていないのだ。
 
参議院には野党から対案が出されており、
委員会で慎重審議をすれば、そのほころびがあぶり出されて
衆議院で可決した法案が無傷では通らない可能性があった。
 
審議拒否は、それを避けるための、時間切れ戦略だった。 
 
それをカムフラージュして、
時間切れによる衆議院の再可決の責任を民主党にかぶせるためだけの
演出が、平田健二参議院議長の不信任案だった。
 
問題はこれに留まらなかった。
 
6.電力自由化を進める電気事業法改正案の廃案について
 
これに続いて、あろうことか、
野党は何を考えたのか、電気事業法改正案を先に成立させればいいものを
この次に安倍首相の問責決議を行った。
 
予算委員会への出席拒否もその理由の一つである。
問責決議は可決した。
 
しかし、問責決議に拘束力はなく毒にも薬にもならないセレモニーだ。
毒は他に回ってしまった。
 
これによって参議院は散会し、
電気事業法改正案が廃案になってしまった。
 
電気事業の電力企業による独占は、少なからず、
東京電力福島第一原子力発電所事故の遠因だ。
 
今回の電気事業法改正案は前政権時代に用意されたものであり、
今よりは少しマシになる程度のものだと言われているが、
電力改革の第一歩となるものだった。
 
しかし、これを安倍首相の問責決議のために廃案にしてしまった。
これも意味不明である。なぜ、そんな審議順を認めてしまったのか。
 
これによって私たちが得るものは何かと言えば、
私たち自身、国民の無気力感と政治不信であり、
それこそが、現体制の願いに他ならない。
 
これに対し、国民をバカにするな、という意思表示は、
残念ながら選挙でしかできない。
 
7.だから、皆さん、参議院選挙にいこう。
 
風が吹いて、目を痛めて、盲目となった人が三味線弾きになり、
三味線の皮に使うためにネコが狩られて、ネズミが増え、
屋根裏に穴があいて、雨漏りがし、雨を受けるための
桶を人々が買いに走って、桶屋が儲かった。
 
古い人口統計でごまかして違憲状態を続ける国会から
憲法を犯して国会への出席を拒否した閣僚まで、
すべては私たちの「一票」がストレートに積み上がって構成されたものであり
桶屋の話よりは分かりやすいはずだ。
 
だから、投票に行こう。
 
(*1)このページ↓の2013年6月26日 本会議をクリックし
 小林正夫参議院議員の討論を見てください
(*2)このページ↓から左下「会議名からの検索」にある
「政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会」をクリックしてください
(*3)上記(2)の動作に続いて以下をクリックしてください。
 2013年6月19日 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会
(*4)このページ↓の2013年6月26日 本会議をクリックし
 岸宏一参議院議員の討論を見てください
(*5)このページ↓から左下「会議名からの検索」にある
「予算委員会」→6月24日をクリックしてください。
(*6)
日本国憲法第63条  内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
日本国憲法第99条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
(*7)このページ↓の2013年6月26日 本会議をクリックし
 岸宏一参議院議員の討論を見てください。
 
 
 

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コメント

 遅レスですが。自民売国政党への御批判ご苦労様です。
「野党の問責決議により電力改革法案が廃案になった」との記事を見て、私も、何で?!!野党は何をやってるんだ!!っと怒ったものです。
 それで、経緯を知りたいと思って検索している内に、こちらの記事にたどり着きましたが、こちらの記事を読んでもあまりよく分かりませんでした。何人かの方がよくわかったとコメントされていますが、これを読んだ他の多くの方が分かっていないんじゃないでしょうか。
 簡単に言えば、野党は自民党の策略に嵌められたという事ですよね?野党に問責決議案を提出させる為に、自民党はワザと審議拒否などを行い、問責決議を可決して電力改革法案を廃案にし、それをマスコミを使って野党の責任にすると。
 しかし、野党は本当に嵌められたのでしょうか?森ゆうこ議員のバックには小沢さんが居るのだし、そんなことはお見通しなんじゃないでしょうか?むしろ、自民党の電力改革法案は世論に押されて渋々提出した見せかけの法案であって、通っても実効性に乏しいし、それより、生活保護改正案などの極悪法案を潰した方が実りがあると判断し、批判されるのを承知で問責決議案を提出したのではないでしょうか?

えまのんさん、0増5減は、衆議院に回って、委員会審議は通さずに、本会議で緊急動議を出して再可決までしてしまったので、成立しました(そうやって参議院の審議と野党提出法案を殺す与党による与党のための高等戦術です。いわば衆議院与党による不戦勝です。とても卑怯なやり方です)。

この件は根が深く複雑なので、ちゃんと、事実を積み上げて長持ちする形で記事とか本にしないといけないなと思っています。

今すぐ言えるのは3つ、一つは委員会審議には誰が何を提案するかによって扱いに「差別」があること。一つはそのことを実は永田町でのほほんと暮らしている多くの議員や政策秘書の中にも知らない人がたくさんいるであろうこと。一つは区割りの問題だけではなく、選挙制度は根本から変えなければならないことです。

こういったこともコツコツ書かねばと思って、あえて、リアル仕事では使わない「政策エッセイスト」をブログでは自称しているんですが、リアル仕事(生活?)に追われていてなかなか・・・・です。


こんにちは。

>1.裁判所に違憲とされた選挙区割りを是正するゼロ増5減法案について
>与党が拒否し続けた

これですが、「政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会」での審議は、この0増5減案じゃなく、みんなの党提出の18増23減案との並行審議を委員長が持ち出したからですね。
故に、自民党側の審議拒否→特別委員長(民主党)の解任動議を提出 の流れになります。


みなし否決あつかいで衆院差し戻しになったから、どうにかなりそうですが。

はむさん、コメントをありがとうございます。
「現体制」とは「国民の半分近くが投票へ行かない今の状況をよしとしている体制」のことを意味します。その現体制を打破するには、何が必要かについては、先週の6月21日号の週刊金曜日で関連記事を書いています。この記事は、社民党がなぜこんなに小さくなって消滅寸前かという総括の上に、日本未来の党、みどりの風、みどりの党、共産党、緑茶会にも触れています。ぜひ、読んでみてください。

なぜ各党がそのような対応をとったか、とらざるをえなかったか、また、国会の仕組みにも触れていない不十分な記事。

はじめまして、わかりやすく説明していただいて勉強になりました。

ところで、一つ質問があります。


>これによって私たちが得るものは何かと言えば、
>私たち自身、国民の無気力感と政治不信であり、
>それこそが、現体制の願いに他ならない。


ここで指摘されている現体制とは、

「憲法を犯して国会への出席を拒否した」安倍政権
「古い人口統計でごまかして違憲状態を続ける国会」
「安倍首相の問責決議のために廃案にしてしまった」野党

の全部でしょうか?


だとするなら、

自公はダメ
生活、社民、みどりもダメ
民主、みんな、共産、維新もダメ

投票先が無い~って思っちゃうんですが、
投票先についてはどのように考えてらっしゃいますか?

もしかして山本太郎ですか~?

コメントをありがとうございます。ゼロ増5減法案に対しては国会審議をザクっと国会TVで見ても、みんなの党は国会議員の数をもっと減らせと言うし、共産党は小選挙区制を廃止して抜本的に見直せと言うし、維新の小沢なにがしは「私は反対だが党は賛成だから賛成票を投じた」という、まとまらない状態であることは分かります。昨年から毎日でも国会内外で議論すればよかったわけです。その上で、最低限、委員会で審議をして論点を明らかにした上で多数決するならわかりますが、最低限のことすらせずに・させずに重要な法案を衆議院に送ることを選んだのは問題隠しだと思います。

>実は、ゼロ増5減法案にはほころびがあった。
>一票の格差是正に使った人口統計は古く、憲法違反は解消されていないのだ。

>参議院には野党から対案が出されており、
>委員会で慎重審議をすれば、そのほころびがあぶり出されて
>衆議院で可決した法案が無傷では通らない可能性があった。

野党間でさえ意見集約もできていない、バラバラの対案ですよ。

区割りにものすごい時間がかかるのは理解されてますか?
私の知る限り、すべての大手紙が野党の姿勢を批判していましたよ。

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