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2013年3月21日 (木)

195.旧計画の呪縛を解く(23)矛盾④小池委員の「残念」

わかりにくい表現をしていた箇所を青字に訂正しました(2013/03/23)。
 
2013年3月8日の利根川・江戸川有識者会議では、
利根川・江戸川河川整備計画原案に対する
反対を唱え、原案には賛成する矛盾を露わにした虫明功臣委員(東大名誉教授)に続き、
今度は小池俊雄委員(東大教授)による奇妙な発言が続いた。
 
河川整備計画を立てる際、
河川法施行令10条で言われる過去の主要な洪水を考慮する代わりに
貯留関数法という計算で基本高水をはじき出すことの無理(非科学性)について
小池委員は否定的な表現で同意をした
 
河川工学や水文学の世界で、
貯留関数法はおかしいと大半の人が思い、いわば、
皆が「王様は裸だ」と知りながら、公言してこなかったことを、
その外の世界から指摘する人が現れたのが発端だ。
 
第8回会議で貯留関数法の計算式がおかしいと関良基委員が取り上げ、
 
第9回会議で岩波書店「科学」2013年3月号Vol.83で
「貯留関数法の魔術-ダム事業を根拠づけるデータの非科学性」
書いた冨永靖徳・お茶の水女子大学名誉教授を参考人として招聘して
意見を聴くことが大熊孝委員から提案された。
 
冨永氏は上記で二つの問題を指摘した(私の読解が正しければ)。
 
一つは、貯留関数法は全国のダム建設の根拠に使われている計算式だが
「科学の常識から逸脱」もしくは「運用の仕方が間違っている」こと、
 
一つは、利根川の洪水の流出解析結果を他の方法で検算すると、
現実ではありえない数値がはじき出されること。
 
これらを称して科学ではなく魔術だと明確な批判を行った。
 
これに対し、小池俊雄委員は、
誠に残念なのことが2点ございまして」と始まり、
 冨永氏の指摘が「残念」である第一印象を与えた。
 
しかし、よく聴くと、小池氏は冨永氏の指摘に2点とも「同意」し、
特に1点目については、この日から、国交省と日本学術会議は双方とも、
過去の資料を訂正し始めた。
 
東大話法を飛ばしてそれぞれを少しだけ詳述させてもらう。
 
1.小池委員が国交省の間違いを指摘した「冨永氏による批判」に同意したこと
 
小池教授いわく
「1977年から1982年まで水文学の世界で精力的に研究された。
 2009年にも論文が出て検討が進んでいる。
 そういう論文をリファーされてお書きになっていないのが大変残念です。
 論文をリファーされていれば、こういう論旨にはならない
 まず、この中で間違いがある・・・」
 
これでは、冨永氏が間違った指摘をしているかのような印象を受ける。
しかし、次のように続く。
 
「これは富永先生の間違いではなく
 国土交通省、関東地方整備局のウェブサイトに、
 KとPが両方「無次元」と書いてあったと。
 これは間違いでして、Pは「無次元」として扱います。
 ところがKは「次元」を持っております。
 さきほどの論文をリファーしていれ
 こういう論旨にはならないので残念です」
 
実は、小池氏の言う論文を認識せずに
河川行政を行ってきたのは関東地方整備局の方である。
 
その実際の河川行政(行政文書)に不備を見つけて、
その「残念」な事実を指摘したのが富永氏だった。
 
「残念」なのは関東地方整備局の方であり、
その怠慢を発見してくれた冨永氏には
むしろお礼を言わなければならないくらいである。
 
ところが、小池氏は、威圧的なトーンで次のように付言した。
「冨永先生に「魔術」と言われましたので
 これについては日本学術会議としてどう対応するかは
 これから議論をしていきたいと思います」
 
しかし、結局、この会議の場で、泊宏河川部長は、藪から棒に、
1か月も前の第8回参考資料2-1の P.15のK、Pの定数で
Kのところに無次元とあるのを修正すると述べた。
 
実際、元の資料は修正され、以下のように記録されることとなった。
 
【平成25年3月15日(金)】
 ※[参考資料2-1]P15に関する表記について、次のとおり修正し、更新しました。
 修正内容:右下段「丸数字2河道の基礎式」の
「K:定数【無次元】、P:定数【無次元】」→「K:定数、P:定数」
 
日本学術会議の資料も以下のように「正誤表」として3月15日に訂正された。
 
もとは2011年9月の資料だ。正誤表をつけ、もと資料は
誤りを犯した国交省資料のまま、Kが無次元と書いてある。

補足資料  利根川の基本高水の検証について(平成239月、出典:国土交通省)
 利根川の基本高水の検証について(平成23年9月)[分割1](0‐449
 利根川の基本高水の検証について(平成23年9月)[分割2](450‐520
 利根川の基本高水の検証について(平成23年9月)[分割3](521‐728
  ※会議終了後、補足資料について正誤表を掲載しました。
  【修正箇所】P11,12の単位に関する表記について

国交大臣が河川局長を通して日本学術会議に依頼したのは
基本高水の検証だ。
 
目を皿のようにして検証しなければならなかったキモのところで
これを見逃したのは、小池俊雄委員長(当時)自身である。
 
「残念」という言葉は、むしろ自分自身に向けるべき言葉だった。
2点目については続く。

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