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2013年3月23日 (土)

196.旧計画の呪縛を解く(24)矛盾⑤王様は裸!

続きです。
 
2.小池委員は、貯留関数法の限界についての
「冨永氏による問題提起」にも不思議な言い方で同意している。
 
冨永氏の指摘は、
関東地整が、貯留関数法を運用して求めた、定数K、Pの設定は、
科学的なものとはいえず、定数設定のやり方次第で
結論の数字を恣意的に操作しうる、一種の魔術のようなものである
ことを指摘したものだった。
 
以下を↓青字に↑に訂正しました(2013/03/23)。
KとPの定数を他の方法で検算すると
とんでもない非現実的な値が出てきて、貯留関数法は
現象を再現できない非科学的な計算方法であることを指摘したものだった。
  
これについて言及した小池俊雄委員の
東大話法をできるだけそぎ落としながら
ニュアンスを崩さずに論旨をかいつまむと次のようなものだ。
 
「中小洪水で決めたKPと、大洪水で決めたKPは異なります。
 雨の規模によって、斜面を流れる流れのパターンが異なるからです。
 カスリーン台風の大洪水の正確な流量が分かっておりませんので、
 できるだけ大きな雨のKとPを定めて、
 それを援用するのが工学的なやり方になります。
 
 私ども、学術会議の分科会のメンバーは
 そのようなバックグラウンド(知識)を備えた議論をしているので
 そのような(冨永氏が行ったような)算出(検算)は行いません。
 
(しかし)さまざまな現象を簡単なモデルで表すには無理があって、
 日本学術会議の報告の最後に
 こういう分野は進んでいるので
 新しい方法を使っていって欲しいと書いています」
 
これを東大話法をもっとそぎ落として言い換えてみる↓
 
小池氏は、冨永氏が検算で現象を再現できない数字が出てきたことを
否定をしておらず、自分たちはそういうものだと分かっているので
検算自体を行わないだけだと言い、
貯留関数法には無理があるので、新しい方法を使って欲しいと
日本学術会議の回答には書いたと、答えたのだ。
 
結論の部分に特化して、さらに要約します。↓
 
小池氏は、
貯留関数法には無理があるので、新しい方法を使って欲しいと
日本学術会議の回答には書いたと、答えたのだ。
 
本文P.21「附帯意見」の中で下から10行目にこう書かれている。
 
基本高水の算定には、我が国でこれま多数の流域で適用実績を持っていて信頼性がある貯留関数法を、ある程度、分布型のモデル形式にして利用してきたしかし、人工衛星やレーダ等の観測体制が充実し、再解析などのモデル出力が利用可能となってきており、さらに、流域内で実際に生じている雨水出現象の物理機構を捉えモデル化する方法や、貯留施設や河道整備などの人工的な流水制御の影響を取り入れ、森林や農地、宅等の土地利用の変化の効果を定量的に評価しうる分布型・連続時間流出モデルによるシミュレーョン技術、流出計算モデルの共有技術が進展している。このため、これらの学術の近年の成果を効的に取り込んだ、より合理的な河川計画の手法を確立し、そこから生み出されるより確かな情報を広く共有することによって、合意形成を図るための計画の形成を要請する。 」(太字は筆者)
 
これも飾り言葉をそぎ落とすと、小池氏が口頭で述べた通りである。
 
実績ある貯留関数法より技術は進展しているので
より合理的な手法を確立して欲しい。
さらには確かな情報共有により、合意形成を図るべしと要請している。
 
この結論は、小池氏が冨永氏の結論を残念がったわりには同意見だ。
 
違うのは、冨永氏は、貯留関数法には無理があることを結論とし
小池氏(日本学術会議)は、結論では国交省のやり方をはっきりとは否定せず、
「附帯意見」でもっといい方法を確立せよと命じていること。
 
日本学術会議は文字通り、政府(内閣府)の御用機関なので
真っ向から政府のことを否定できない。しかし、
行間を読めば同じことを言っているのである。
 
つまり、冨永氏はダイレクトに
小池氏は、インダイレクトに
貯留関数法はダメだ(より良い方法がある)と言っている。
オブラートに包んだかむき出しだったかの違いである。
 
こうした繰り返しのやり取りによって、
打ち切りとなった11回までには、
大半の委員が問題の所在に気づくこととなった。
 
いつ出てくるとも分からない有識者会議第11回の議事録で
確認していただきたいが、
佐々木寧・埼玉大学名誉教授、
清水義彦・群馬大学大学院教授も
貯留関数法に問題があることにようやく気づいたのではないかと思える発言を行った。
 
そして、以前、公開質問状をもとにやり取りをした淺枝隆委員からは
11回の議論の打ち切り後、次のような率直なメールをいただいた。
 
「私自身、流出解析モデルがそれほど高い精度があるとは思っていません。
 岡本(雅美)先生ともいつか帰りがけに話した時も全く同意見でした。
 おそらく、大熊(孝)先生を含めて、あの場の大部分の先生が同意見でしょう。
 考えてみてください。
 極めて複雑な山の中を流れる水の流れを二つのパラメータだけで
 説明するということ自体不可能です。」 (括弧は筆者加筆)
 
「王様は裸だ」と皆が言い始めたのだ。
 
 

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