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2013年3月23日 (土)

198.旧計画の呪縛を解く(26)矛盾⑦Pは0.6に近づくか?

(しつこいですが続きです)

これに対する小池委員の反論は、
次のようなものだ。いろいろそぎ落として要点を書くので
いつ出るとも知れない第10回の有識者会議議事録で確認をしていただきたい。

小池委員曰く

「特にこれまで経験していないような大洪水を、
 信頼性を合わせて予測することは極めて重要な課題ですが、
 世界的にも未解決の問題です。

 今回の検討では、複数のモデルによる推定結果を合わせて考えることが、
 経験していないような現象を考える上で重要と考えると結論づけています。

 もう少し、踏み込んで申し上げますと、
 大洪水と中小洪水で何が違うかというのは、
 流れの形態が変わってきます。

 そうすると、Pが0.6に近づいていくというのが、
 私たちの物理的な理解です。」

これにも関委員は反論し、言い合いになる。

関委員「0.6じゃなくて0.3です」(実際には0.3になっているという意味だ。)
小池委員「いや、サブ流域によって違います。」
関委員 「半分の0.3です。」                                 

ここで小池委員は意味不明な回答をする。
そういう物理的な理解をもとに、私どもは結論づけているわけです。
 これは、専門家で議論した結論でございます。」

これは専門家でも素人でも、実際のPがどう置かれていたか、
検証の過程を見れば、0.3か0.6なのかは決着がつく。

まず、日本学術会議は
国土交通省にはその背景・経緯の記録が残っておらず」を理由に、
現行モデル」(今はこれを旧モデルと言う)を検証せず(*1)、
新モデル」の作り方<貯留関数法の適用の方針>(*2)を指定してつくらせた。

(*1)日本学術会議 回答のP.1下から8行目から9行目)
(*2)日本学術会議 回答のP.7

 しかし、本当は記録は一部残っていた。
 国土交通省関東地方整備局が八ッ場ダム住民訴訟を裁く
 さいたま地方裁判所の調査嘱託に対して提出した資料がその一つだ。

 27クリックで拡大
 出典:さいたま地検への告発状 2011年6月10日

 それが後に、国会答弁に照らして虚偽だったと分かり、
 2011年6月10日にさいたま地方検察庁に別途告発された。

 また、この虚偽がもとで、馬淵国土交通大臣(当時)は第三者による検証を求め、
 河川局長が日本学術会議へ検証を依頼した。

上記をクリックしてもらえればわかるように

旧計画の策定プロセスで捏造・操作したと疑われた定数表を見ると、
小池委員の言う0.6ではなく、関委員が指摘したように0.3に近い。

では、日本学術会議に出された新モデルでその数値はどうなったか?

大熊委員が会議が打ち切りとなった11回に提出した意見書で
(なぜか掲載されていないが)新旧モデルの定数等対照表をまとめている。

新モデルの定数Pの平均は0.474
基準点に近いところや
八ッ場ダム予定地の吾妻川流域(*3*4を参照)には
なぜか、関委員に言うように0.3が堅持されている。

Photo_2クリックで拡大

*3 出典:2013年3月18日大熊孝委員提出「利根川・江戸川治水計画に関する意見書」

Photo_3クリックで拡大

*4 日本学術会議回答の参考資料 P.102

定数P以外の定数Kを見ても新旧でバラバラだ。

当初問題になった「飽和雨量」は土壌への浸透が48ミリを越えると
流域一帯全体で飽和して川へ流れ出ることになっていたのに対し、
新モデルでは3~4倍、吾妻流域では無限大となる。

 
(いつか関委員が指摘していたが、それでも日本学術会議の回答 P.18の 
エ、洪水時の森林の保水力と流出モデルパラメータの経年変化」では
この3倍から無限大に変化しているにもかかわらず、
パラメータ値の経年変化としては現れなかったものと考える」としている)

  *この辺を合わせてご参考ください。総合確率法については梶原健嗣氏のブログ説明がお勧め。

新旧のモデルで飽和雨量も含めすべての「定数」が大きく変化したのに、
計画流量の結果だけが同じ。

その結果を見れば、素人だっておかしいと思う。

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