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2013年3月

2013年3月30日 (土)

203.否定の肯定の否定。判断できない裁判官

3月29日(金)、東京都民が提起した「八ッ場ダム住民訴訟」の高裁判決が下った。
 
判断したのは三人の裁判官(裁判長:大竹たかし、裁判官:栗原壯太、田中寛明)。
 
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「行政が噓をついていても計算が間違っていても、
 行政裁量の範囲なんですか」
 
「裁判官が何かが却下で、何が棄却って。あとは長いから
 判決文を読んでくださいって・・・。」
 
「裁判官って当事者意識がなくて、随分無責任だと思いました」
 
傍聴していた原告や証人が出てきて吐き出すのは、
怒りと戸惑いと疑問だった。
 
今回の裁判は、都が国に払う利水のための受益者負担
治水のための建設負担金の支出は違法ではないかというものだった。
 
司法に問えることには限界があるなかで、
限界があるからこその提訴であり、控訴だ。
 
 理想的な司法制度がないからといって使わなければ
 それが機能しないことにも気づけない。
 
これに対する裁判官の判決文は87ページだった。
「主文」には2つのことが書いてある。
 
1.この裁判をやってる間に使ってしまった都の支出については、
  もう使ってしまって差し止めはできず、裁判の意味を失ったから「却下」する。
 
2.残りの支出については「棄却」する。
 
この後に、裁判官がなぜ「棄却する」と判断したのかが書かれている。
 
たとえば、原告は、この20年間で水需要は2割減少した事実を訴えたが、
東京都は水需要が増加する予測を出して八ッ場ダムが必要だと訴えた。
 
これに対して、東京地裁の裁判官は、この都の考え方を
「直ちに不合理なものであるということはできない」としていた。
 
この判決を不服として原告たちが控訴した結果が、今回の高裁判決だが、
直ちに合理性を欠くものであるとまでは認められない
との字句調整で終わった。
 
また、たとえば、治水については、
 
中川博次氏が率いる「今後の治水のあり方に関する有識者会議」が
 継続か中止かを検討したから、
 
○関東地方整備局が「費用対効果を約6.3と算定」した報告書を出したから、
 
○東京大学家田仁教授ら率いる関東地方整備局事業評価監視委員会が
 その報告書(素案)を「妥当な結論」であると言ったから、
 
○東京大学小池俊雄教授が率いる
 「第三者的で独立性の高い学術的な機関である日本学術会議」が、
 検証を行ったから、
 
という理由で、
 
 「科学的合理性を欠くことが明らかであるとは認められない」
 「控訴人らの主張は採用することができない」
としている。
 
これらのわかりにくい日本語を普通の言葉に置き換えれば、
 
 
「やがて合理性を欠くものになるがその判断は後でやってくれ」
「とりあえず、えらい人たちの判断を採用しておくね」
 
という程度ではないか?
 
裁判官は自らの頭で判断することを避ける決定をしたのだ。
 
と、裁判所が「必要性を認めた」という過剰な表現をしている。
 
地裁判決の時に見られた現象だが、
この誤報を今度は推進派の知事や政治家が勘違いして
繰り返すようになる。誤報を鵜呑みにしないように、
判決を手に入れて読んでいただきたいところだ。
 
今のところ、もっともフェアなのが、短くはあるが、
住民の支出差し止めを認めなかった、や
「合理性を欠くとは認めらない」という裁判長の言葉を使った
WSJが載せた時事通信や日経新聞の記事だった。
八ツ場ダム訴訟、二審も住民敗訴=東京都の支出差し止め認めず—東京高裁
八ツ場ダム訴訟、二審も住民敗訴 東京高裁判決
 
判断の自信のない裁判官が、
訴えた原告には理解できない言葉で判決を下し、
司法記者もそれを正しく報道できない。
 
権威にすがり、長いものに巻かれることをよしとする裁判官が
行政の裁量を野放しにして、
社会は是正されないままに未来へと手渡される。
 
 

2013年3月28日 (木)

202.少子高齢化時代に石木ダムは必要か

3月22日と23日の2日間、
長崎県が進める石木(いしき)ダムの公聴会が開かれた。
 
この公聴会は、地権者などが立ち退きを拒否している場合、
事業者が強制収用するだけの公益性があるかどうかを判断するために行う、
土地収用法23条に基づく手続だ。
 
今回のケースは、長崎県が申請し、
土地収用法を所管する国交省の九州地方整備局が「公益性」を判断する。
しかし、九州地整は、長崎県のこのダム事業に補助金を与えており、
控えめに言っても「右手で申請、左手でハンコ」の儀式になりえる。
 
公述には20人が選ばれた。
石木川まもり隊」の松本美智恵さんによれば、以下URLで示したうち、
反対派の公述人は合計11人(2、4、6、7、9,10、11、13、15、17、19番)
そのうち地権者は3人(2、11、19番)だけだ。
 
19番の岩下和雄さんは、最後の最後で、
反対地権者13組17名が公述をしたいと申し込んだにもかかわらず、
3名しか公述の機会を与えられなかったと述べている。
 
忙しい方は、11番の松本好央さんの公述だけでも冒頭から聴いて欲しい。
さらに時間がある方は、
2番の石丸勇さん、19番の岩下和雄さんの公述を聴いて欲しい。
 
<石木ダム公聴会動画リンク>
撮影は予定地に暮らす「ほーちゃん」(←ブログにリンク)。
1 起業者  http://youtu.be/LY7eo3aZPN8
3 神野健二 http://youtu.be/PRss-HPLS4A
4 生月光幸 http://youtu.be/d-rf-R8uAag
5 河野孝通 篠原康洋 http://youtu.be/651X3fbM2kw
6 松本美智恵 http://youtu.be/FY5vVZvnOg4
7 坂本健吾 http://youtu.be/FczpRk_0-Xw
8 嬉野憲二 土井庸正 http://youtu.be/6ROLoVa5IL0
9 嶋津暉之 http://youtu.be/k-cDwHgpkcY
10 遠藤保男 http://youtu.be/_4fqeHhmcB4
12 山田義弘 http://youtu.be/qmIwE_qnWRs
13 畑田三郎 http://youtu.be/zMqSikKyrGw
14 佐々木廣志 http://youtu.be/PGTZ71xFRcE
15 宮野由美子 http://youtu.be/lmqPrLIgwJo
16 森一敏 http://youtu.be/qiF-p43WYBw
17 吉島範夫 http://youtu.be/tTby_YnZkAw
18 西坂保憲 白濵昭子 http://youtu.be/JGSHC-nph0A
20 小松利光 http://youtu.be/C0njFvGI9NE
 
昨日、国立社会保証・人口問題研究所が、2040年には
人口の40%以上が65歳以上を占める自治体が半数近くになるという
推計を発表した。
 
そこで、石木ダムの受益者である佐世保市の人口がどうなるか、
傾向がわかるように、縦長のグラフにしてみた。 
 
すると、見ての通り、人口総数は26%減、0~14歳16~64歳が減少、
65歳以上の傾向を追って、75歳以上が増え、横ばいとなる。
絵に描いたような少子高齢化が待っている。
 
       佐世保市人口推計
     Photo_2
 
佐世保市民は、川棚町川原(こうばる)に住む13世帯を
立ち退かせてまで石木ダムを必要とするのか?
 
 安倍内閣は、新しいダムをあと70基近くも作ろうと急ピッチで動いており、
 一方で、完成しても一滴も使わないダムが各地で続々と増えている。
 安倍首相の出身県も例外ではない。
   ダム完成…一滴も利用されず (中国新聞'13/2/24)
 
佐世保市民は、川棚町川原(こうばる)に住む13世帯を
立ち退かせてまで石木ダムを必要とするのか?
 
限られた情報だけで考えても
この質問はそれほど難しい質問であるはずがない。
 
佐世保市民は市長に尋ねてみてはどうか?
 
 

2013年3月26日 (火)

202.坂本龍馬が渡った肱川(ひじかわ)の行方

ここからの続きであることになる。
 
2013年 1月22日、霞ヶ関合同庁舎の一室で、
 
Photo_2愛媛県大洲市、
坂本龍馬が脱藩したときに通った橋が保存されている、
肱川の支流「河辺川(かわべがわ)」の下流に計画のある
山鳥坂(やまとさか)ダム。
 
その他3つを含む4つの「ダム検証の検討」が行われた。
 
「ダム検証の検討」とは何か。
 
山鳥坂(やまとさか)ダムの場合、
検証」はダム事業者である四国地方整備局が
国土交通省が設置した“有識者会議”がつくった「中間とりまとめ」に沿って
ダムの妥当性を検証する。
 
検証が終わると、国土交通省が設置した“有識者会議”が
自らがつくった「中間とりまとめ」に沿って検証が行われたかを「検討」する。
 
ザクっと言えば、お手盛りの二段重ねのような手続である。
 
この日も、検討は、他3つのダムを含めて2時間で終了。
 
有識者が、延々と国交省本省事務局のご説明に耳を傾け、
多少の質疑をしておしまい。
 
結論はいつもと同じ。
中川博次座長が下記のいつもの事務局メモを読み上げて終わった。
 
 「この計画は、基本的には、中間取りまとめで示した
  共通的な考え方に沿って、検討されたと考えております。
  そういったことでよろしゅうございますか。」
 
繰り返して書くが、
中川博次座長は、事実上、河川ムラの村長であり、 
三本木健治委員(明海大学名誉教授)は元河川局次長だった。
 
一度だけ、これまでの検討で、
「中間とりまとめ」に沿っていないという指摘が出されたダムもある。
 
 石木ダム(長崎県)がそうだった。
 「土地所有者等の協力の見通しはどうか」という項目が
 それに反するとの指摘が、河川ムラ住民以外の一人の委員から繰り返された。
 それでも構わず、「継続」という「検証結果」が踏襲された。
 
 「地域の同意を得られるよう希望する」という付帯意見までついたが、
 次のコマで紹介するように、3月22日、23日には、13世帯の暮らす地域の
 強制収用が可能な土地収用法に基づく事業認定手続に入った。
 
山鳥坂ダム計画でも、漁業権を持つ漁協が強固に反対を続けている。
 
「土地所有者の協力の見通し」に類すると思われる漁業権の観点からは
中間とりまとめ」に反しており、情報が提供されずに、そのことが
検証で見落とされたケースではないか。
 
案の定、この有識者会議のお墨付きを得て
国交省が山鳥坂ダム継続という方針を示したことに対して、
 
2月18日、肱川漁業協同組合(組合長 楠崎隆教)、
長浜漁業協同組合(組合長 中原文男)ら7団体は
改めて山鳥坂ダム建設への反対を表明した。
 
ところが、国交省は、再開が決まったとして、
地権者と3月2日にダム補償協定を調印した。(愛媛新聞にリンク
 
利害は真っ向から対立している。いや、どちらも被害住民だ。
しかし、利害を適正に判断できる立場の者がいない。
 
山鳥坂ダムのご当地である愛媛県大洲市では過去に
 
・旧自民党政権のときに、大洲市議会の反対決議もあいまって
 いったんは自民党連立与党が「中止」を判断した。
 
・県知事の要請と国交省の抵抗で「継続」がごり押しされ、
 大洲市民が住民投票条例の直接請求を行った。
 
・寸前に、多目的ダムを治水専用ダムに改変させることで
 市民の声を反映したことにして議会が住民投票条例を否決した。
 
・この「ゾンビダム」の工事事務所長が、現在では大洲市長である。
 
つまり、住民の利害を調整すべき基礎自治体が、
ダム事業推進のために、治水のあり方を歪め、
国交省の植民地になってしまった。
 
自治や治水や川を自分たちの手に取り戻せるかどうか、
それは、肱川流域に暮らす人々の良識と不屈の気持ちによって決まる。
 
今週末の3月31日(日)、先述した肱川漁業協同組合(組合長 楠崎隆教)、
長浜漁業協同組合(組合長 中原文男)らにもう1団体が加わった8団体が
改めて反対集会を開催するのだと連絡が入ってきた。
 
日時:2013年3月31日(日)1:30~
場所:愛媛県大洲市東大洲 市民総合福祉センター
 基調講演:「あるべき治水対策」 
      今本博健 京大名誉教授(河川工学)
 「全国のダム検証の現状とこれから」
  遠藤保男 水源開発問題全国連絡会 共同代表
 「山鳥坂ダムはいらない市民の会」設立など
 問い合わせ:0893-23-3524(玉岡さん)
 
権力が住民の暮らしをつぶすことが日本各地で起きている。
次々と警鐘を鳴らしてもかき消される。
 
それでもかき鳴らさなければ終わりだ。
 
 
 
 

2013年3月25日 (月)

201.八ッ場ダム予定地にある遺跡保存

八ッ場ダム予定地にある遺跡保存を求める要望書を、
「ダム検証のあり方を考える科学者の会」が2月28日に
国交省と文化庁に提出し、
同時に「文化関係者のアピール」が提出された。
 
現在の予定地がダムではなく、
遺跡のフィールドミュージアムを中心に、
豊かな温泉資源を活かした地域として再生することを願ったものだ。
 
私もアピールに賛同したので、後者の呼びかけ人でノンフィクション作家森まゆみさんからお礼とご報告が届いた。
 
「国交省は文書での回答も考慮中と言うことでしたが、
 文化庁は一室を用意して担当官堀敏晴さんと意見交換の時間も持てました。
 しかし現地の群馬県などがやる気であれば
 フィールドミュージアムなどを文化庁としても支援したいが、
 現地にその態勢がなければまるごと保存はできない。
 記録保存も立派な保存手法である」という見解だったそうだ。
 
現在、両省庁に文書による回答を求めている。
 
以下のご案内もいただいた。
 
合わせて
 

2013年3月23日 (土)

200.旧計画の呪縛を解く(28)矛盾⑨伝説の内務官僚が遺した矛盾とメッセージ

利根川・江戸川有識者会議は
さまざまな疑問、矛盾や不整合や浮かび上がらせながら
第11回(平成25年3月18日)でひとまず打ち切りとなった。

最大の不整合は、結局のところ、
昭和22年には1.5万m3/sで議論されたカスリーン台風の実績流量と、
貯留関数法による計算で2.2万m3/sとはじき出された架空の流量の差ではないか。
捏造した氾濫図でしか説明がつかなかった。

そのことを日本学術会議の
河川流出モデル・基本高水評価検討等分科会委員長として、 
その説明役としての委員を引き受けた小池俊雄東京大学教授
最後に乖離が説明ができないではないかと大熊委員に挑まれ、
最後まで「メカニズムはある」と説明にならない説明で言い逃れた。

これを受けて、閉会前に印象的なやり取りがあったので、概略を記録しておきたい。

大熊孝委員曰く
「利根川治水計画は私の目から見て絶対に完成しないんですよ。
 今の計画でいけば、あと10個くらいはダムをつくらなきゃならない。

 これは、利根川だけでなくて信濃川も同じです。
 石狩川も同じです。吉野川も同じです。
 実現し得ない治水計画を立てている。

 そういう国交省および日本の河川工学の分野というのは
 私は非常に問題があるというふうに考えています。

 それを修正していく中で、
 妥当な治水計画が立てられるのではないか。

 最後に、小池先生に聞きたいんですけれども、
 現実のカスリーン台風の実績洪水に関して説明できない、
 そういう流出解析の結果をもってして2,2万m3/sが妥当であると言い切るのは、
 私はやはり学問上、勇み足であるというふうに思います。

 水文学と河川工学は性格が違いますけれども、
 水文学もやはり現実の社会との応答の中で存在しているわけであって、
 あなたが今回お墨付きを与えたことによって物事は進んでいきます。
 そういうことになると八ッ場ダムもできるでしょう。
 こういう永遠に完成しない治水計画を抱えたままになるでしょう。

 あなたは歴史的に責任を負うということになるのではないかと思います。」

宮村忠座長曰く
「大熊さんが今言われたことは、ここで言う話ではないと私は思いますので、
 小池さんに答えてもらわないようにします。」

清水義彦委員曰く
「大熊先生が最後に小池先生にいったご発言は取り消していただきたい。
 我々は自分らの学識に基づいて我々の判断で言っているだけで、
 全ての責任を一委員に押しつけるようなのは
 この会議の趣旨ではありません。そういう発言はぜひ撤回してほしい。」

打ち切りの雰囲気を悟って、傍聴席からも多くのヤジが飛んだ。
清水委員の最後の発言には「茶坊主!」とのヤジが飛んだ。

思えば、4年4ヵ月ぶりに、この会議が再開されたときに
大熊委員は、多数決で座長を新たに決めようと提案した。

形骸化した「行政のお墨付き機関」でしかなかった会議を
規約に従って運営方法を変えようとした。

そのときに、立候補したのは、大熊委員だけだったが、
宮村座長のままでよいと、推薦をしたのが清水委員
だった。

 
宮村氏は、自分では立候補しなかったので、
清水氏が推薦しなければ、利根川の治水の歴史はこの日から
変わっていたことだろう。

歴史はある日、たった一人の決意で変わることがある。
独裁とならないためには、多くの人の参加を得て、
議論し、反論しあい、合意形成していくことが必要だ。

権力者のいいなりになるか、合意形成を目指すか、
それが今の日本に最も望まれていることではないか。

招聘されながら出席を果たせなかった冨永靖徳・お茶の水女子大名誉教授が
ある場所で、科学の基本について大切なことを次のように語ってくださった。

 「整合性」:論理が矛盾してはいけない。
 「再現性」:同じ事を再現できるか、再現できることを十分な根拠の基で確信できる。
 「公開性」:すべてのデータが公開されて、誰でも追試をして確認ができる。

 再現性には微妙な問題を含むにしても、
 公開で進撃な議論ができることが特に重要だと。
 これらに事柄に該当しないものは、「魔術」だと。

冨永教授のこの言葉を借りれば、八ッ場ダムだけではなく、
スーパー堤防の実現性、霞ヶ浦の問題、ウナギの生息地の回復計画、
湿地再生計画、利水計画、低水管理、全体の予算問題など
今回積み残された多くの問題に「魔術」がかかったままだ。

旧計画の呪縛は完全には解けなかった。

しかし、解くための手がかりをはっきりと残してくれた。
公開で議論することの重要性である。
もう一つ加えるなら、真実を浮かび上がらせるために
捨て身で議論する有識者の高貴な覚悟だろう。

議論を挑み続けた関良基委員には惜しみない拍手が向けられた。

伝説の内務官僚が後輩に託した
半世紀前の密室のプロセス資料
今回、初めて野呂法夫委員により明かにされた

この努力が次につながるのは歴史の必然だと思える。

199.旧計画の呪縛を解く(27)矛盾⑧山に降る雨

2013年3月8日の第10回の利根川・江戸川有識者会議模様、
続きです。

関良基委員点から面への流域治水の提言を行ったことに対して、

虫明功臣委員が
「都市河川なら利くが、利根川で『浸透』が利くようなところはほとんどない。
 『田んぼダム』も福島県でもやった。
 新潟県も知っているが、大洪水に効くようなものではない」と
反論したと書いた。

(関委員が持参した効いたデータには見向きもしなかった)

この反論に関良基委員がさらなる反論を行い、
その反論に今度は小池委員が反論した★が、
それは学術会議の回答にはそぐわなかった。

関委員曰く、
「虫明先生が田んぼダムの貯留機能が
 大雨のときには効かないと言ったんですけれども、
 これは全くそんなことはありません。ダム以上に効きます。
 
 関東地整に求めたいですけど、利根川流域全体の水田でこれをやったとして、
 新潟方式をやったときにどれだけピーク流量をカットできるか計算してください。
 八ッ場ダムを確実に上回ります。」

小池委員曰く
「2つの理由で効きません。
 八斗島の流量に支配する山地面積と水田面積の規模をお考えください。
 どれだけの割合であるかがおわかりになると思います。
 
 山地で降った雨が洪水を決めているんです、ほとんど★。
 ですから効きません。」

関委員曰く
「確実に効きます。八ッ場ダムは面積300haです。
 利根川全流域の水田面積はどのぐらいですか。
 八ッ場ダムを確実に上回ります。間違いありません。

 それはもちろん利根川全流域に占める面積としては
 微々たるものというのはそのとおりですけれども、八ッ場ダムは点です
 水田は少なくとも20万ha、30万haという規模でありますので、
 これは確実に水田は上回ります。」

売り言葉に買い言葉で、言葉が飛び交っているうちに、
メモを取っていて、「ん?」とわからなくなった。

小池委員は「山地で降った雨が洪水を決めているんです」と
断言したわりに、前のコマで書いたように、

八ッ場ダムの集水域である吾妻流域の山地の飽和雨量
3~4倍から無限大まで経年変化したのに、
パラメータ値の経年変化としては現れなかった」と回答(P.18)した。

普通なら「ではダムが要らなくなりました」という結論になりそうなものがならない。

関東農政局の「利根川の水田」ページを見ると、
 
「利根川は国土の約5%という全国一の流域面積を有しています。
  その流域には、全国の2割にあたる約2,500万人の人々が生活していますが、
 加えて全国の1割にあたる約28万haの水田も存在しています。」とあった。

河川整備計画は流域全体の治水の話であるにもかかわらず、
国交省からは、ダムの必要性を根拠づける目標流量の情報だけが提供され、
八ッ場ダムが不要となる議論には河川ムラ学者から理不尽に反論が及ぶ。

流域全体のことを住民参加で決めようというのが、
1997年改正河川法の趣旨だったのだが・・・。

住民を傍聴席においたまま、
有識者会議で、ごく少数の委員が良心と良識、常識に基づいて
巨大な河川ムラを相手に闘っていた。

198.旧計画の呪縛を解く(26)矛盾⑦Pは0.6に近づくか?

(しつこいですが続きです)

これに対する小池委員の反論は、
次のようなものだ。いろいろそぎ落として要点を書くので
いつ出るとも知れない第10回の有識者会議議事録で確認をしていただきたい。

小池委員曰く

「特にこれまで経験していないような大洪水を、
 信頼性を合わせて予測することは極めて重要な課題ですが、
 世界的にも未解決の問題です。

 今回の検討では、複数のモデルによる推定結果を合わせて考えることが、
 経験していないような現象を考える上で重要と考えると結論づけています。

 もう少し、踏み込んで申し上げますと、
 大洪水と中小洪水で何が違うかというのは、
 流れの形態が変わってきます。

 そうすると、Pが0.6に近づいていくというのが、
 私たちの物理的な理解です。」

これにも関委員は反論し、言い合いになる。

関委員「0.6じゃなくて0.3です」(実際には0.3になっているという意味だ。)
小池委員「いや、サブ流域によって違います。」
関委員 「半分の0.3です。」                                 

ここで小池委員は意味不明な回答をする。
そういう物理的な理解をもとに、私どもは結論づけているわけです。
 これは、専門家で議論した結論でございます。」

これは専門家でも素人でも、実際のPがどう置かれていたか、
検証の過程を見れば、0.3か0.6なのかは決着がつく。

まず、日本学術会議は
国土交通省にはその背景・経緯の記録が残っておらず」を理由に、
現行モデル」(今はこれを旧モデルと言う)を検証せず(*1)、
新モデル」の作り方<貯留関数法の適用の方針>(*2)を指定してつくらせた。

(*1)日本学術会議 回答のP.1下から8行目から9行目)
(*2)日本学術会議 回答のP.7

 しかし、本当は記録は一部残っていた。
 国土交通省関東地方整備局が八ッ場ダム住民訴訟を裁く
 さいたま地方裁判所の調査嘱託に対して提出した資料がその一つだ。

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 出典:さいたま地検への告発状 2011年6月10日

 それが後に、国会答弁に照らして虚偽だったと分かり、
 2011年6月10日にさいたま地方検察庁に別途告発された。

 また、この虚偽がもとで、馬淵国土交通大臣(当時)は第三者による検証を求め、
 河川局長が日本学術会議へ検証を依頼した。

上記をクリックしてもらえればわかるように

旧計画の策定プロセスで捏造・操作したと疑われた定数表を見ると、
小池委員の言う0.6ではなく、関委員が指摘したように0.3に近い。

では、日本学術会議に出された新モデルでその数値はどうなったか?

大熊委員が会議が打ち切りとなった11回に提出した意見書で
(なぜか掲載されていないが)新旧モデルの定数等対照表をまとめている。

新モデルの定数Pの平均は0.474
基準点に近いところや
八ッ場ダム予定地の吾妻川流域(*3*4を参照)には
なぜか、関委員に言うように0.3が堅持されている。

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*3 出典:2013年3月18日大熊孝委員提出「利根川・江戸川治水計画に関する意見書」

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*4 日本学術会議回答の参考資料 P.102

定数P以外の定数Kを見ても新旧でバラバラだ。

当初問題になった「飽和雨量」は土壌への浸透が48ミリを越えると
流域一帯全体で飽和して川へ流れ出ることになっていたのに対し、
新モデルでは3~4倍、吾妻流域では無限大となる。

 
(いつか関委員が指摘していたが、それでも日本学術会議の回答 P.18の 
エ、洪水時の森林の保水力と流出モデルパラメータの経年変化」では
この3倍から無限大に変化しているにもかかわらず、
パラメータ値の経年変化としては現れなかったものと考える」としている)

  *この辺を合わせてご参考ください。総合確率法については梶原健嗣氏のブログ説明がお勧め。

新旧のモデルで飽和雨量も含めすべての「定数」が大きく変化したのに、
計画流量の結果だけが同じ。

その結果を見れば、素人だっておかしいと思う。

197.旧計画の呪縛を解く(25)矛盾⑥雨の定数KとP

(続きです)

同じ主張なのに結論だけ矛盾する会話は
と川の水量を結びつける係数であるKとPを巡ってさらに続く。

小池委員
 
「中小洪水で決めたK、Pと、大洪水で決めたK、Pは異なります。
カスリーン台風の大洪水の正確な流量がわかっておりませんので、
できるだけ大きな雨のKとPを定めて、
それを援用するのが工学的なやり方になります。」

に対して立ち上がって、猛然ととりついたのは関良基委員だった。
次のような要旨だ。

「今、小池先生は、カスリーン台風の最大計算流量が
 21,100 m3/sというふうに計算されているわけですけれども、
 そんな流量は出ないということを半ば認められたのと同じです。

 小さい規模の洪水で定めたKとPと、
 大きい洪水で定めたKとPの値は違うということを、
 今、小池先生は認められた。

  
 そこが問題であると私たちずっと言っているんです。

  
 
 つまり、(中小洪水である)10,000m3/sぐらい出るものから決めたKとPを
 (大洪水である計画流量の計算に)使っちゃいけないということを、
 今、小池先生は認められたんです。

 (しかし使ってしまう)だから、過大な値が出てきてしまう。
 日本学術会議では、その点が曖昧にされたまま、
 中規模洪水に当てはまったモデルが、
 大規模洪水に当てはまるかどうかはわからないという書き方で、
 それに対する結論を出さなかったんです。
 
 本来検証すべきことを検証されなかったと私は考えていますので、
 これは検証し直しをしなければいけないと思います。

 その際に、河川工学者だけで検証してはだめです。

 内輪の人間だけだとお互いにかばい合ってしまうので、
 それが今、世間から批判されていることで、
 それを根拠に何千億円という税金を使われるわけですから、
 納税者が納得できない。 

 
 
 河川工学者だけでこれをやると、なれ合いの検証になってしまいます。
 ですから、物理学者、あるいは確率統計の専門家を入れてください。
  
 

 降雨波形の生起確率は求められないと、
 小池先生はこの前おっしゃいました。
 

 降雨波形の生起確率を求める手段は、
 現在の水文学では確立されていません。

 でも、学術会議の回答書に何と書いてあるかというと、
 降雨波形の生起確率を求めて計算するのが総合確率法だと書いてある。
 言っていることと書いてあることが違う。

 『報告書を見てください。書いてあることを見ればわかります』と
 言っているんですけれども、見ても全くわかりません。

 書いてあることは、国民をだますような文言が並んでいるんです。」

(長くなったので続く)

 

196.旧計画の呪縛を解く(24)矛盾⑤王様は裸!

続きです。
 
2.小池委員は、貯留関数法の限界についての
「冨永氏による問題提起」にも不思議な言い方で同意している。
 
冨永氏の指摘は、
関東地整が、貯留関数法を運用して求めた、定数K、Pの設定は、
科学的なものとはいえず、定数設定のやり方次第で
結論の数字を恣意的に操作しうる、一種の魔術のようなものである
ことを指摘したものだった。
 
以下を↓青字に↑に訂正しました(2013/03/23)。
KとPの定数を他の方法で検算すると
とんでもない非現実的な値が出てきて、貯留関数法は
現象を再現できない非科学的な計算方法であることを指摘したものだった。
  
これについて言及した小池俊雄委員の
東大話法をできるだけそぎ落としながら
ニュアンスを崩さずに論旨をかいつまむと次のようなものだ。
 
「中小洪水で決めたKPと、大洪水で決めたKPは異なります。
 雨の規模によって、斜面を流れる流れのパターンが異なるからです。
 カスリーン台風の大洪水の正確な流量が分かっておりませんので、
 できるだけ大きな雨のKとPを定めて、
 それを援用するのが工学的なやり方になります。
 
 私ども、学術会議の分科会のメンバーは
 そのようなバックグラウンド(知識)を備えた議論をしているので
 そのような(冨永氏が行ったような)算出(検算)は行いません。
 
(しかし)さまざまな現象を簡単なモデルで表すには無理があって、
 日本学術会議の報告の最後に
 こういう分野は進んでいるので
 新しい方法を使っていって欲しいと書いています」
 
これを東大話法をもっとそぎ落として言い換えてみる↓
 
小池氏は、冨永氏が検算で現象を再現できない数字が出てきたことを
否定をしておらず、自分たちはそういうものだと分かっているので
検算自体を行わないだけだと言い、
貯留関数法には無理があるので、新しい方法を使って欲しいと
日本学術会議の回答には書いたと、答えたのだ。
 
結論の部分に特化して、さらに要約します。↓
 
小池氏は、
貯留関数法には無理があるので、新しい方法を使って欲しいと
日本学術会議の回答には書いたと、答えたのだ。
 
本文P.21「附帯意見」の中で下から10行目にこう書かれている。
 
基本高水の算定には、我が国でこれま多数の流域で適用実績を持っていて信頼性がある貯留関数法を、ある程度、分布型のモデル形式にして利用してきたしかし、人工衛星やレーダ等の観測体制が充実し、再解析などのモデル出力が利用可能となってきており、さらに、流域内で実際に生じている雨水出現象の物理機構を捉えモデル化する方法や、貯留施設や河道整備などの人工的な流水制御の影響を取り入れ、森林や農地、宅等の土地利用の変化の効果を定量的に評価しうる分布型・連続時間流出モデルによるシミュレーョン技術、流出計算モデルの共有技術が進展している。このため、これらの学術の近年の成果を効的に取り込んだ、より合理的な河川計画の手法を確立し、そこから生み出されるより確かな情報を広く共有することによって、合意形成を図るための計画の形成を要請する。 」(太字は筆者)
 
これも飾り言葉をそぎ落とすと、小池氏が口頭で述べた通りである。
 
実績ある貯留関数法より技術は進展しているので
より合理的な手法を確立して欲しい。
さらには確かな情報共有により、合意形成を図るべしと要請している。
 
この結論は、小池氏が冨永氏の結論を残念がったわりには同意見だ。
 
違うのは、冨永氏は、貯留関数法には無理があることを結論とし
小池氏(日本学術会議)は、結論では国交省のやり方をはっきりとは否定せず、
「附帯意見」でもっといい方法を確立せよと命じていること。
 
日本学術会議は文字通り、政府(内閣府)の御用機関なので
真っ向から政府のことを否定できない。しかし、
行間を読めば同じことを言っているのである。
 
つまり、冨永氏はダイレクトに
小池氏は、インダイレクトに
貯留関数法はダメだ(より良い方法がある)と言っている。
オブラートに包んだかむき出しだったかの違いである。
 
こうした繰り返しのやり取りによって、
打ち切りとなった11回までには、
大半の委員が問題の所在に気づくこととなった。
 
いつ出てくるとも分からない有識者会議第11回の議事録で
確認していただきたいが、
佐々木寧・埼玉大学名誉教授、
清水義彦・群馬大学大学院教授も
貯留関数法に問題があることにようやく気づいたのではないかと思える発言を行った。
 
そして、以前、公開質問状をもとにやり取りをした淺枝隆委員からは
11回の議論の打ち切り後、次のような率直なメールをいただいた。
 
「私自身、流出解析モデルがそれほど高い精度があるとは思っていません。
 岡本(雅美)先生ともいつか帰りがけに話した時も全く同意見でした。
 おそらく、大熊(孝)先生を含めて、あの場の大部分の先生が同意見でしょう。
 考えてみてください。
 極めて複雑な山の中を流れる水の流れを二つのパラメータだけで
 説明するということ自体不可能です。」 (括弧は筆者加筆)
 
「王様は裸だ」と皆が言い始めたのだ。
 
 

2013年3月21日 (木)

195.旧計画の呪縛を解く(23)矛盾④小池委員の「残念」

わかりにくい表現をしていた箇所を青字に訂正しました(2013/03/23)。
 
2013年3月8日の利根川・江戸川有識者会議では、
利根川・江戸川河川整備計画原案に対する
反対を唱え、原案には賛成する矛盾を露わにした虫明功臣委員(東大名誉教授)に続き、
今度は小池俊雄委員(東大教授)による奇妙な発言が続いた。
 
河川整備計画を立てる際、
河川法施行令10条で言われる過去の主要な洪水を考慮する代わりに
貯留関数法という計算で基本高水をはじき出すことの無理(非科学性)について
小池委員は否定的な表現で同意をした
 
河川工学や水文学の世界で、
貯留関数法はおかしいと大半の人が思い、いわば、
皆が「王様は裸だ」と知りながら、公言してこなかったことを、
その外の世界から指摘する人が現れたのが発端だ。
 
第8回会議で貯留関数法の計算式がおかしいと関良基委員が取り上げ、
 
第9回会議で岩波書店「科学」2013年3月号Vol.83で
「貯留関数法の魔術-ダム事業を根拠づけるデータの非科学性」
書いた冨永靖徳・お茶の水女子大学名誉教授を参考人として招聘して
意見を聴くことが大熊孝委員から提案された。
 
冨永氏は上記で二つの問題を指摘した(私の読解が正しければ)。
 
一つは、貯留関数法は全国のダム建設の根拠に使われている計算式だが
「科学の常識から逸脱」もしくは「運用の仕方が間違っている」こと、
 
一つは、利根川の洪水の流出解析結果を他の方法で検算すると、
現実ではありえない数値がはじき出されること。
 
これらを称して科学ではなく魔術だと明確な批判を行った。
 
これに対し、小池俊雄委員は、
誠に残念なのことが2点ございまして」と始まり、
 冨永氏の指摘が「残念」である第一印象を与えた。
 
しかし、よく聴くと、小池氏は冨永氏の指摘に2点とも「同意」し、
特に1点目については、この日から、国交省と日本学術会議は双方とも、
過去の資料を訂正し始めた。
 
東大話法を飛ばしてそれぞれを少しだけ詳述させてもらう。
 
1.小池委員が国交省の間違いを指摘した「冨永氏による批判」に同意したこと
 
小池教授いわく
「1977年から1982年まで水文学の世界で精力的に研究された。
 2009年にも論文が出て検討が進んでいる。
 そういう論文をリファーされてお書きになっていないのが大変残念です。
 論文をリファーされていれば、こういう論旨にはならない
 まず、この中で間違いがある・・・」
 
これでは、冨永氏が間違った指摘をしているかのような印象を受ける。
しかし、次のように続く。
 
「これは富永先生の間違いではなく
 国土交通省、関東地方整備局のウェブサイトに、
 KとPが両方「無次元」と書いてあったと。
 これは間違いでして、Pは「無次元」として扱います。
 ところがKは「次元」を持っております。
 さきほどの論文をリファーしていれ
 こういう論旨にはならないので残念です」
 
実は、小池氏の言う論文を認識せずに
河川行政を行ってきたのは関東地方整備局の方である。
 
その実際の河川行政(行政文書)に不備を見つけて、
その「残念」な事実を指摘したのが富永氏だった。
 
「残念」なのは関東地方整備局の方であり、
その怠慢を発見してくれた冨永氏には
むしろお礼を言わなければならないくらいである。
 
ところが、小池氏は、威圧的なトーンで次のように付言した。
「冨永先生に「魔術」と言われましたので
 これについては日本学術会議としてどう対応するかは
 これから議論をしていきたいと思います」
 
しかし、結局、この会議の場で、泊宏河川部長は、藪から棒に、
1か月も前の第8回参考資料2-1の P.15のK、Pの定数で
Kのところに無次元とあるのを修正すると述べた。
 
実際、元の資料は修正され、以下のように記録されることとなった。
 
【平成25年3月15日(金)】
 ※[参考資料2-1]P15に関する表記について、次のとおり修正し、更新しました。
 修正内容:右下段「丸数字2河道の基礎式」の
「K:定数【無次元】、P:定数【無次元】」→「K:定数、P:定数」
 
日本学術会議の資料も以下のように「正誤表」として3月15日に訂正された。
 
もとは2011年9月の資料だ。正誤表をつけ、もと資料は
誤りを犯した国交省資料のまま、Kが無次元と書いてある。

補足資料  利根川の基本高水の検証について(平成239月、出典:国土交通省)
 利根川の基本高水の検証について(平成23年9月)[分割1](0‐449
 利根川の基本高水の検証について(平成23年9月)[分割2](450‐520
 利根川の基本高水の検証について(平成23年9月)[分割3](521‐728
  ※会議終了後、補足資料について正誤表を掲載しました。
  【修正箇所】P11,12の単位に関する表記について

国交大臣が河川局長を通して日本学術会議に依頼したのは
基本高水の検証だ。
 
目を皿のようにして検証しなければならなかったキモのところで
これを見逃したのは、小池俊雄委員長(当時)自身である。
 
「残念」という言葉は、むしろ自分自身に向けるべき言葉だった。
2点目については続く。

2013年3月20日 (水)

194.旧計画の呪縛を解く(22)矛盾③虫明委員の自己矛盾

点から面への流域治水 と行きつ戻りつで恐縮だが、
関良基委員が唯一「高く評価する」と述べた箇所は
そのP.77にある以下の点だった。
 
「6.1 流域全体を視野に入れた総合的な河川管理
 都市化に伴う洪水流量の増大、河川水質の悪化、湧水の枯渇等による河川水量の減少、流出土砂量の変化等に対し、河川のみならず、源流から河口までの流域全体及び海域を視野に入れた総合的な河川管理が必要である
 なお、雨水を一時貯留したり、地下に浸透させたりという水田の機能の保全や主に森林土壌の働きにより雨水を地中に浸透させ、ゆっくり流出させるという森林や水源林の機能の保全については、関係機関と連携しつつ、推進を図る努力を継続する。」
 
「ただし」と関委員は間をおいて、
「『推進を図る努力を継続する』とあるのは
 霞が関では『当面何もしませんと同義ではないか』」と笑いを取り、
「ちょっと具体策を入れておけば、30年間で行われるのではないか」と
分かりやすい説明を挟みながら、4つの提案を行った。
 
(1)住宅に雨水浸透枡の設置
(2)ウッドチップ舗装 
(3)「田んぼダム」の整備
(4)森林保水力の向上
 
たとえば、(3)については
新潟県が2002年に取り組み始めた田んぼダムのデータを引用し、
ピーク時の流出量を大幅にカットすることができると述べた。
 
調整板をつけて田んぼに15センチぐらい余分に溜まるようにすると
大きな洪水で50%~80%のピークカットにつながるというのだ。
 
これを利根川でやれば八ッ場ダムの何個分もの治水効果があるのではないか。 
この提案には傍聴から拍手が上がった。
 
これに即座に反対したのが虫明功臣・東京大学名誉教授だった。
 
ダムと河道整備と遊水地は三点セットで必要だ」として
虫明委員は利根川でのハコモノありきの立場を強調した。
 
「関委員が今上げた方策は利くところなら利く。
 都市河川なら利くが、利根川で『浸透』が利くようなところは
 ほとんどありません。
 『田んぼダム』も福島県でもやった。
 新潟県も知っている」としてその効果を否定した。
 
虫明委員は不思議なほどに慌てふためき、声を震わせ、
ヤジにまで反応しながら、関委員の発言を全否定することにエネルギーを
傾けているとしか思えない口調だった。
 
しかし、関委員の発言が、あくまで利根川河川整備計画原案の一部を
高く評価しての具体策の提案だったことは、
まったく見えなくなってしまったかのようだった。
 
利根川河川整備計画原案にある「総合的な河川管理」を
激しい口調で全面否定したことに近いが、最後にひとこと、
私は利根川河川整備計画原案に賛成だ」と
ヤジにかき消されそうになりながら述べた。
 
自己矛盾にまったく気づいていないかのようだった。
 
実に不思議な、何が言いたいか分からない発言だった。
 
しいて言えば、これは計画に対する意見ではない。
関委員の提案に対する打ち消し意見だった。
 
 
 

193.旧計画の呪縛を解く(21)矛盾②05年VS13年官僚説明

(続きです)
 
野呂法夫委員(東京新聞特別報道部次長)が指摘したように、
河川法施行令(政令)には河川整備計画を立てる際には
「過去の主要な洪水」などを「総合的に考慮」せよとは書かれている。
 
しかし、「計算」で決めろとは書かれていない。
では「計算」しろと誰が決めたのか?
 
国会や国民にとってアンタッチャブルである密室、
「河川砂防技術基準」なるもので書かれている。
 
「河川砂防技術基準」には長年その後ろに「(案)」がついていた。
この基準は各水系で柔軟に活用されるための単なる目安だからだ。
 
しかし、河川官僚には金科玉条の存在となった。
 
日本全国のほとんどの川の治水計画は
住民の意見など聴かずに
パラメータの設定でどのようにも操作が可能だと批判される
「貯留関数法」などの机上の計算で、立てられてきた。
 
しかし、そのことは官僚の口から計画策定の場で
オープンに語られたことがなかった。
 
ダム反対派にも、それはそういうものだと受け止められ、
その恣意性を論破することにエネルギーが注がれてきた。
 
しかし、本当の根本的な問題は、
治水計画が、官僚が選んだ計算手法で立てられるということだ。
 
密室で数字の操作が可能な状態で、
治水が立てられてきたということだ。
 
計算のインチキさ加減の証明は実に困難で、
その計算のために、過大な基本高水が弾かれて
その基本高水をダム建設によって計画水位まで下げるために、
何兆円ものお金が費やされたことを、裁判所も判断しあぐねてきた。
 
利根川の場合、21000 m3/秒という「計算結果」は過大とされながらも
観測流量が存在せず、
実際に流れたと彼らが推定する流量17000m3/秒との乖離さえ
山に洪水が上がる氾濫図でしか説明がつかなかった。
 
そのねつ造が暴かれると、
計算モデルにはそれは使っていないと言い逃れた。
河川法を忠実に解釈すれば、過去の洪水を考慮して
今までで一番大きな洪水(既往最大と言う)に合わせて
治水計画を立てる方法をとっても違法でもなんでもない。
 
改めて確認をすると、2005年の
利根川の治水計画の大元を決めた「河川整備基本方針検討小委員会」でも、
事務局たる国土交通省は
観測史上最大の昭和22年カスリーン台風の実績が
 大体22,000m3/sであります。」(2005年10月3日議事録
と堂々と説明をしていた。
 
あたかも既往最大が22,000m3/sであるかのような説明である。
 
今回の会議の中で、真実は何かが追究されるうちに
八ッ場ダム計画を抱えるお膝元にある群馬大学の清水義彦教授ですら、
「カスリーン颱風の研究によれば、
 三支流の流量の合計は16,900だったとある。
 この数値は一つの根拠ではないか」と述べざるをえなくなった。
 
そしてこの16,900も過大であることを清水教授は
 この次の第11回会議で述べることになる
 
22,000m3/sを「実績」とした記録はもない、
22,000m3/sを「実績」とする根拠は存在しない。
雨量からの「机上の計算」だったことが河川官僚の口から語られた。
 
それならば22,000m3/秒を「実績」と称し、基本高水と決定した
2005年の審議 は一体なんだったのかということになる。
 
以下の対比表でわかるように
22,000m3/秒は前任者が旧計画で決めた数字の踏襲であることはわかる。
Photo クリックで拡大
対比表(平成17年12月19日、国土交通省 河川局)のP.29
 
それから8年が経ち、ようやくそれが「実績」ではなく、
雨量から求めた計算に過ぎなかったことが
今の河川官僚の口から語られた意味は大きい。
 
公開で繰り返し納得がいくまで議論されることの大切さが、
このこと一つだけをとっても分かる。
 
そしてそれを避けたいからこそ、
聞き置くという姿勢に終始するのが
これまでの国交省の姿勢だったのだ。
 
 

192.旧計画の呪縛を解く(20)矛盾①条文VS運用

地方取材中の朝、宿から書いた矛盾① を書き直す。
 
野呂法夫委員(東京新聞特別報道部次長)が
第8回(2013年2月14日)で昭和22年の議論を含む
それが、第9回(2013年2月21日)に委員会に提出されたことは先述した。
 
野呂委員はこの議事録をもとに、
現在の利根川水系の治水計画<これが旧計画の呪縛>の
もととなっている昭和22年(1947年)のカスリーン台風で
八斗島(やったじま)を流れた最大流量について次の指摘を行った。
 
○カスリーン台風の実績流量は
 (1947年に)15,000トンで検討(これのP.2)されていたが、
 1948年8月に突如、辻褄の合わない17,000トンとされ、
 それが採用されている。
 
 (河川整備基本方針や)河川整備計画をつくる際
 過去の洪水を考慮して整備計画をつくることとある。
 
第8回の会議の最後に、小島河川調査官が、
 「今回の原案で示した目標流量は
 平成23年度に新たに構築した流出計算モデルに基づき
 検討を行った」と述べている。
 過去の洪水を検討したのではないなら
 河川法施行令10条に反すると言うこともできるのではないか。
 
○再現計算流量で21,100トンという数字が出ているが、
 17,000トンとの間の4,000トンの差を説明できていない。
 (ねつ造だと批判された)氾濫図
 今回の再現計算流量には関係ないという言い方をしている。
 17,000トンは架空ではないか。
 
利根川改修計画資料は、新モデルの科学性根拠を崩すというか、
 それは違うんじゃないかと先人達が声を今張り上げているんじゃないか。
 
○矛盾は一向に解消されておらず
 一般の流域住民から見てまったく解せないものではないか。
 
これに清水義彦群馬大学大学院教授が、
「カスリーン颱風の研究 利根水系に於ける災害の実相 
日本学術振興会群馬縣災害対策特別委員会報告」(昭和25年5月、群馬県)
を引き合いに、国交省に同調すると考えられる発言をかぶせた。
 
○目標流量は釈然としていないというのはあるかもしれないが、
 カスリーン颱風の研究によれば、
 三支流の流量の合計は16,900だったとある。
 この数値は一つの根拠ではないか。
 河道貯留(河川敷その他を含めた川に貯まる水のこと)があり、
 幅があるかもしれないが、17,000トンは架空とは言っても
 議論するに値する。(11回会議で16,900トンより小さかったと発言するが)
 
国交省提案に同調する立場で発言した清水教授との質疑で
小島河川調査官が素直に発した答えは実は重要だ。
 
清水委員「カスリーン台風の(洪水)は使っていない?」
小島河川調査官「はい。雨量は使ってございますが、洪水は使っておりません」
 
実は昭和22年から繰り返し議論されてきた流量は二つあり、
21000トンは氾濫した水を合計しての推定(「氾濫戻し」と言う)で
17000トンは氾濫した水をいれない推定だ。
 
どちらも推定でしかない。
「洪水は使っていない」
 
河川法第16条では「河川整備基本方針は、水害発生の状況
水資源の利用の現況及び開発並びに河川環境の状況を考慮し」
とされている。
 
どこにも「計算し」とか「推計し」とは書いていない。
 
同様に、その下位計画である河川整備計画は第16条の2で
「河川整備基本方針に即し(略)、政令で定めるところにより、
当該河川の総合的な管理が確保できるように定められなければならない。
 
この場合において、河川管理者は、降雨量、地形、地質その他の事情により
しばしば洪水による災害が発生している区域につき、災害の発生を防止し、
又は災害を軽減するために必要な措置を講ずるように特に配慮しなければならない。」
とされ、ここでも「計算」「推計」をもとにとは書いていない。
 
そこでいう政令で野呂委員の言った河川法施行令(政令)が登場するが、
ここでも「過去の主要な洪水、高潮等及びこれらによる災害の発生の状況
並びに災害の発生を防止すべき地域の気象、地形、地質、開発の状況等を
総合的に考慮すること」と書かれ、「計算」しろとは書かれていない。
 
では「計算」しろと誰が決めたのかが
「密室」で決定する旧計画の呪縛のもととなっている。
(続く)
 

191.旧計画の呪縛を解く(19)会議打ち切り

「ああやってちゃんと議論する委員がいれば
 問題点は明らかになるんですね」
 
2013年3月18日、利根川・江戸川河川整備計画(原案)への意見を聴く
利根川・江戸川有識者会議(座長 宮村忠関東大学名誉教授)が打ち切られた。
 
傍聴を終え、議論が打ち切りになったことにしきりに憤慨しながらも
傍聴者の一人はそう感想をもらした。
 
利根川水系全体の河川整備計画の策定をするために開催されたはずの
利根川・江戸川有識者会議は、4年4ヵ月の空白期間を経て
 
昨年9月から連続3回(第5、6、7回)、
政権交代で再び中断して4回(第8、9、10、11回)開催された。
 
第1回から第4回までは
40分以上、国交省が一方的に資料の「ご説明」を行い、
おざなりな質疑が「残り」の時間で行われただけだった。
 
第5回から第7回までは、4年前までの4回の会議とは異なっていた。
 
1)治水安全度は50年に1度の規模の洪水から
  70年~80年に1度に引き上げられた。
 
2)目標流量 (八斗島)は約1.5万m3/秒から
  1.7万m3/秒に引き上げられた。
 
3)有識者に意見を聴く対象が、
  支流を含めた利根川水系全体から、八斗島という1基準点
  70年~80年に1度の目標流量1.7万トン/秒に絞られた。
 
4)現在の治水のあり方に批判的な委員が二人が新たに加わった。
 
5)日本学術会議で基本高水の検証を行ったときの分科会の委員長が
  委員として新たに加わった。
 
6)目標流量の論拠を質す中で、国交省にとって不都合な資料を
  4)の委員達が出させた。
 
目標流量の論拠は過去の実際の流量ではなく、
過大であると批判され続けている机上の計算であり、
しかも実績との乖離はまったく説明ができないことが明かになった。
 
しかし、「計算」に使われた定数(パラメータ)問題は積み残され、
2013年1月29日に、
問題のある定数ではじかれたに過ぎない目標流量の論拠はそのままで
利根川・江戸川河川整備計画(原案)が示された。
 
第8回から第11回までは
積み残された目標流量の議論に加え、
計画原案全体に対する意見が出はじめた。
 
環境影響、湿地再生措置、スーパー堤防などの事業メニュー、ダム事業・・・
それらを実施する事業費まで、あらゆる課題が掘り起こされ始めた。
 
しかし、計画原案が包含するすべての問題点がつまびらかにされたわけではない。
 
最大の問題は、共有された多くの問題でさえ、
まったく論点整理されずに終わったことだ。
 
河川行政の歴史を変える使命を負った日本学術会議
その役割を放棄して、問題の核心を探究しないまま、問題を積み残した。
 
利根川・江戸川有識者会議では、問題の核心に少し近づいたが、
国土交通省は傷が広がらないうちに、会議を終わらせたようにも見える。
 
3月18日(第11回)、「じゃぁ」という宮村忠座長の合図で、
泊宏関東地方整備局河川部長が突然、締めの言葉を投じた。
 
「河川整備計画原案に対する意見は出揃ったように思います。
 追加のご意見があるようでしたら、書面にていただきたい」
 
まったく締まらない締めの言葉だった。
 
前回の会議(3月8日)で明かになった問題を含めて、
旧計画の呪縛の正体を書いておく。
 
それが計画案にどう反映させれていくのかを見定めるために。

(出張で更新が滞るマイペースなブログでたいへん申し訳ない。)


2013年3月13日 (水)

190.旧計画の呪縛を解く(番外)

ここに書いていたことはこちらに移動させて補足しました。
 
その代わりに同時並行で起きている私事を書きつけておきたいと思います。
地方取材から帰ると、私を待っていた出来事です。
心のさざ波を少しばかり発散して心を穏やかに保ちたいと思います。
 
***
 
認知症気味ではあけれど
自我もプライドもはっきりあるウンチ星人と化した父が
入れ歯を飲み込み入院。
 
一夜明けてそろそろ出る頃、
病院の看護師さんに気兼ねして
オムツで出させようとする母。
 
トイレに連れてけと
言葉にならない声と右手の身振りで騒ぐ父。
 
行く気満々なのだから
行かせない手はないわけで。
 
車椅子を借りて
テコの原理で立たせて
クルリと回転、ヨイショと座らせて
とにかくトイレに行ってみる。
 
寝てばかりじゃ退屈に決まっている。
でも本当にトイレに行きたいらしい。
そりゃいいけど、
入れ歯はトイレに流れていいのだろうか。
 
散歩を兼ねてナースステーション。
看護師さんは、あっさり
それじゃポータブルトイレにしましょうと言う。
 
うろたえて私に気兼ねする母。
新しいステージにカモーンな私。
4人部屋のベッドサイドに
据え付けて、車椅子を寄せる。
 
でもカーテン一枚の隔てで、できるのだろうか。
心配をよそに車椅子から立たせて
クルリと回転、あてられたオムツを降ろすと、すでにリトル•ウンチ星人。
オムツを外してサッパリしたかったらしい。
 
低いポータブルトイレに合わせて腰を落とすとご満悦。
羞恥心のラインが分からないが
しばらくいきんで、クレヨンの長さ、バナナの太さのウンチが生まれたよ。
 
テコの原理で立たせて、クルリと回転、ヨイショとベッドに座らせて、
コロンと寝かせると、今度は尿意。
オムツは断固拒否。
 
ものの数時間で三度繰り返したウンチ星人。
みんなオムツで我慢するのよと、言い聞かせる母。
子育ても下手だったけとど、介護も下手だね。
 
作っても借金だけが残る公共事業を許容する社会
身体の自由が利かなくなった老人をオムツで我慢させる社会
何に取り組んで死んでいくのか、
選択しつつある娘を許容する親あっての私ではある。
 
 

2013年3月 9日 (土)

189.旧計画の呪縛を解く(18)浮上する矛盾

利根川・江戸川有識者会議第10回(2013年3月8日)。

関良基委員の「点」でしかないダムにこだわらず
「流域治水」を進めるべきだとの提言に、
傍聴からは拍手があがった。

このときまでにすでに、
岡本雅美・元日本大学教授(*1)、
佐々木寧・埼玉大学名誉教授(*2)、
大熊孝・新潟大学名誉教授(*3)、
淺枝隆・埼玉大学大学院教授(*4)、
野呂法夫・東京新聞(*5)が発言をしていたが、
 

上記、3、4、5で発せられた疑問を解消しようとする発言や、
 関委員の提言を打ち消す発言、
 さらには珍しく司会役を果たした宮村忠座長、
 そこに、ギョッとするような割り込みのタイミングで、
 泊宏河川部長が資料訂正のための発言をし、
 気づいてみると、「えっ?」と思う口から、
 「え~~~?」と思う発言が入り乱れた。

そして後には何が残ったのか?
まずは箇条書きに項目だけ上げておきます。 

(以下敬称略)

●矛盾1:関良基VS虫明功臣
虫明「利根川で浸透が利くところはありません」

●矛盾2:関良基VS小池俊雄
小池「森林は利くが田んぼは利かない」

●矛盾3:大熊孝(+富永靖徳)VS小池俊雄
泊宏河川部長「訂正があります。有次元です」

●矛盾4:小池俊雄VS小池俊雄 その1
「Pに応じてKは変わる」

●矛盾5:小池俊雄VS小池俊雄 その2
「中小洪水のKPと大洪水のKPは異なる」

●矛盾6:小池俊雄VS
小池「新しい方法を使って欲しいと書いた」

●矛盾7:野呂法夫・清水義彦VS国交省
小島河川調査官「実績使っていない」

(*)
1「貯留関数法の議論、御免被る」
2「中小洪水は樹木と藪化をかえって促進するためモニタリングが必要」
3「第4回まで50分の1、1万5千トンでだった。
  1万5千トンベースの案を出していただき比較したい。
  貯留関数法という計算に問題があるのではないかと
  参考人を招聘したいという動議を取り上げて欲しい」
4「環境保全には自治体やNPOや民間企業を巻き込むべき。
  B/CはCVMで見積もるだけでは
  どれだけ経済効果があるか自治体には不十分」
5「河川法施行令10条違反ではないか」

●番外1:
虫明功臣「水資源開発促進法はもう要らない」

●番外2
記者「そんなにたいへんなダムだったなんて、
   そりゃもっと言った方がいいですよ」

 

 

 

188.旧計画の呪縛を解く(17)点から面への流域治水

利根川・江戸川有識者会議第10回(2013年3月8日)。

最大の山場は、
関良基・拓殖大学准教授(写真)が太田昭宏国土交通大臣宛ての
流域治水に関する意見書で、縦割りの打破を訴える
具体的な提言を行ったことから訪れた。

ダムに頼る「点の治水」ではなく、
流域で展開する「面の治水」という観点からの提言だ。

「実行する上で、
道路局や農水省や林野庁などが管轄する分野と競合する
「縦割り行政」の弊害がある」として、あえて大臣に対し、
治水行政の幅を河道の外側へと積極的に広げるべきだと訴えた。

今朝入手させてもらったその提言から要点をまとめると以下の通り。

1)住宅に雨水浸透枡の設置
 流域の住宅の屋根に降った雨を集めて
 雨水浸透桝を設置し、地下に浸透させていけば、
 内水氾濫の抑制にも、洪水時のピーク流量の低減にも寄与する。

(*内水氾濫とは、川の氾濫ではなく、 
 水はけが悪いせいで、都市部の平野が氾濫すること)

(2)ウッドチップ舗装 
 コンクリート舗装の比率を減少させれば、
 内水氾濫対策にも、ヒートアイランド現象対策にもなる。

(3)「田んぼダム」の整備
 降雨時に雨を一時的に水田に貯留し、
 河川への流出を抑制する。
 新潟県では11市村、計9,539haの面積で取り組まれている。

(4)森林保水力の向上
 近年の台風災害を見ても、死者の多くは、
 河川の氾濫によって発生しているのではなく、
 土石流等の土砂災害によって生じている。
 人命を守るという観点からは、土砂災害対策こそが喫緊の課題である。
 間伐材を崩壊の危険性がある斜面に打設すれば斜面を安定化させ、
 表層崩壊の防止に寄与する。

「以上の施策を流域全体で実施していけば、
 八ッ場ダムの何倍もの治水効果を生むことは間違いない」と関委員。

データ(下記意見書をクリック)に基づいた提言に慌てたのだとしか思えない。

強硬に17000トンにこだわる委員たちが
「っけ、素人が」と言わんばかりの
侮蔑的な表現をちりばめて反論を展開し始めたが、
動揺は隠せず、その言論に矛盾が生じ始めた。

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2013年3月8日
関良基・拓殖大学准教授から太田昭宏国土交通大臣への提言
流域治水に関する意見書
―流域全体で雨水の浸透・貯留機能を高め水害を緩和する

クリックで拡大↑



187.旧計画の呪縛を解く(16)論説委員たちの意見②

前のコマでマスコミ委員のうち一人紹介していない委員がいた。
東京新聞だ。この新聞社だけ論説や編集局長ではなく
特別報道部を送り込んでくるところがおもしろい。

利根川・江戸川有識者会議の一委員、
東京新聞特別報道部次長の野呂法夫委員が
第8回(2013年2月14日) (まだ議事録が出ていない)に出席をして
ある資料の公表を求め()、それが
第9回(2013年2月21日)で7.資料3 として公開された。↓
治水調査会利根川小委員会議事録、治水調査会利根川委員会議事録

東京新聞の記事 にも分かりやすく書かれているように、当時、
「第四回まで建設省や委員が示した
 「一万五千立方メートル」で議論が進んでいたものの、
 第六回で突然、同省土木研究所が一万七千立方メートル」を提示した」
ことが議事録を読むと分かる。

歴史は繰り返されると言うが、
1947年に起きたことが、再び、
2013年に起きたことに気づかされる

2008年5月23日に開催された
第4回有識者会議(5ブロック合同開催) では
6.資料-3 整備計画の基本的な考え方 などで、

【目標設定の考え方】で「利根川本川・江戸川は、
概ね50年に1回の確率で生起すると予想される洪水を
安全に流下させるように河道の整備と洪水調節施設の整備を
バランスよく行うことを考えています」としていた。

この「50年に1回」とは、
利根川流域市民委員会の嶋津暉之さんの情報公開請求により、
国土交通省内で「一万五千立方メートル」と
されていたことが明らかになっている。

そして4年を経て突然
2012年9月25日に開催された第5回会議では
 4年前は「50年に1回」で説明し続けたことが
 まるでなかったかのように、
7.資料3-1で「利根川・江戸川において
 今後20~30年間で目指す安全の水準についての考え方


として、P.1~2で
70年に1回から80年に1回で「一万七千立方メートル」とした。
(ただし、矛盾に気づかれるのを避けるためなのか
 P.1では「
1/70~1/80」と表現を変え、
 P.2では「30年間に少なくとも一回」と、
   あえて混乱を呼ぶ例示をしている。)

【単なる逆算か!】
ここまで来て俯瞰してみると、
この不合理な変更は簡単に説明がつく。

この利根川の計画策定で最大の焦点となっている八ッ場ダム計画は
構想(昭和22年1947年)からすでに66年が経った。

50年に1回の洪水で1万5千立方メートル」の大洪水は
来なかった(過大想定だった)ことを歴史が証明してしまった。

完成時期は、早くとも2020年になると、
国交省がダム検証で明らかにした。

すると、つじつまをアワセルには
2020年-1947年=「70年~80年
とでもしなければ、1947年に構想した治水計画が
現時点で破綻してしまう。

2008年に計画策定が突如中断したのは、
破綻した論理「50年に1回」を取り繕うために
70年~80年」「1万7千立方メートル」と
過大想定の上塗りをする必要が
でてきたからだったのではないか?

ではいよいよ、第10回(2013年3月8日)会議であぶり出された
矛盾について書く。

 今日3月9日(土)は
 「つながろうフクシマ!さようなら原発大集会」 だが
 
 心は福島へ、頭はこのブログに集中させる。

 主催者および参加者に敬意と感謝の気持ちを表します。

 余談:昨日出た週刊金曜日で3.11に
 福島県で決壊した藤沼ダムの教訓を
 どう生かすのかを問う続報を書きました。
 

 (その前の号で2012年度補正予算批判を書きましたが時すでに遅し・・・。)

伝説の内務官僚現る164. と169. で、
今年1月6日(日)の東京新聞1面 (リンク切れの場合はこちら)にも取り上げられ、
旧内務省で「伝説の技術士」と呼ばれた鷲尾蟄龍(わしお・ちつりゅう)氏が
亡くなる前に「これは大切に保存しなさい」と
後輩である岡本芳美・元新潟大教授に託した資料の話を書いた。

 1947年(昭和22年)のカスリーン台風のわずか2ヶ月後に、
 内務省が11月25日から国土局会議室内で開催した開催した
 「治水調査会利根川小委員会」の、あの議事録だ。

 

2013年3月 8日 (金)

186.旧計画の呪縛を解く(15)論説委員たちの意見

2013年3月8日13:00に開始。
今日もロの字型の利根川・江戸川有識者会議(第10回)。
 
議論が白熱するうちに、今日ほど
たくさんの矛盾が浮かび上がってきた日はない。
 
20130308
傍聴者に背を向けた河川官僚の背中ばかりが目立つ。
最後列の官僚達は一言もしゃべらないので、
ここに座っている必然性が何もないのだが・・・・。
 
本日のメモをまとめる前に、
前回までに出席が少なく、文書で意見を寄せた委員の中で
興味深いもの、特にマスコミ関係者の意見が興味深いので抜粋する。
(順不同/太字は当方で)
 で配られた ↓
*斜めは当方の感想。 赤字に関する感想は最後に記す。 
 
●千葉日報 論説委員  渡辺鉱 委員
 
同会議第5~7回は、安全の水準を八斗島地点で年超過確率70分の1~80分の1、目標流量を1万7000立方メートル(1秒あたり)とする関東地勢局が示した案が妥当かを検討してきた。設定流量を「過大」と考える委員が複数おり、専門知識をもたない実には案の妥当性の可否を判断することは難しい
 
ただし、6、7回会議で犠牲になった「群馬県水害被害図」については、「実態を示しておらず、誤り」とする指摘があった。整備局は「元図を補正し、推定・試算した」と説明し、その正確さについては論証しなかった。加えて、「試算結果は、新たな流出計算モデルの構築には用いていない」と強調した。この、議論の経緯を踏まえれば、同図を議論することには意味がない。同図は資料として意味はなく、取り下げるべきと考える
 
*この図を問題視した委員たちは単に取り下げというより「撤回すべきだ」とした。元々日本学術会議(河川流出モデル・基本高水評価検討等分科会 (第21期・第9回))で使われたものであり(補足資料 資料2 P.15)、そのことも問題視した。また、計算流量と実績の乖離を説明するかのように誤解をさせていると批判した。
 
●茨城新聞 編集局次長  川上俊也 委員
 
示された流量の是非を今ここで求めることは強引すぎる。この会議の趣旨は、河川に関する専門分野に限らず、さまざまな分野のさまざまな知見を生かしていくことではないのでしょうか。それらを生かして、よりよい河川計画づくりを進めていくことにあるのではないでしょうか。
 
ところが、今回は「17000」の流量の是非とその根拠の妥当性に絞って判断を求められている。技術的側面の強い判断のみを求められているということ。流量の是非だけに絞るなど技術的側面の強いテーマに特化した判断を求めるのなら、当該分野に関する専門性を有する者に特化した議論の場を設けるべきではないでしょうか。
 
最後に、本来は政治がすべき判断の根拠づくりを押しつけているのではとの思いにかられる、との感想を付け加えます。
 
●上毛新聞 論説室論説副委員長 須田 雅彦 委員
 
3回にわたり議題となった「治水対策に係る目標流量について」の項目は、河川の専門家ではないので、示された流量について数値のみで評価することはできない
 
目標流量以外に河川整備計画の具体的な施設計画等で「河川環境の整備・保全」「堤防強化」「内水対策」などが検討項目にあるようだが、ほかにどのような課題があるのか、どのような手順で進めるのか、スケジュールを事前に提示願いたい。
 
●埼玉新聞 編集局長 石野栄一 委員
 
論点今後20~30年間で目指す安全の水準洪水流量17000立方㍍/秒が確信を持って妥当と言いきれる知識は持ち合わせておりません。(略)以上から、私は整備計画案の内容を支持致します。
 
その他ついて
有識者会議の日時設定について、2年ほど全く開かれず、その間も開かれない理由を知らされる機会はありませんでした。今年、初夏ごろから急に開催したいとの連絡があり、開催日程も事前の調整がされないまま一方的に示され、出席できない状況でした。しかも1カ月に3、4回の会議設定は、委員の都合というより整備局の都合を優先したのではと受け止められ、誠に遺憾です。会議設定の調整の仕方を再考願います。
 
*上毛新聞と埼玉新聞の各氏が述べた日程に関しては、関良基委員と大熊孝委員が2月14日に公開質問状で、2012年10月25日(木)~1月28日 (月)と日程調整をした会議を、9回連続で中止した理由を公開質問状で尋ねたことにも通じる。
 
 また、次を開くのか開かないのか、いつ開くのかも含めて、記者からも毎回のように質問が出ているが、次回日程を示さないことを国交省は何とも思っていないようだ。
 
さて、赤字についてだが、これこそがまさに従来型の審議会のなせる技だ。
つまり、河川工学者と素人のマスコミを会議に入れておくことで、
素人には分からないから、専門家である河川工学者にお任せすることになる。
喜んで行政のための仕事をする御用学者
幅広くご意見を聞いたことにするための素人(免罪符)の組み合わせで
会議を構成することにより、
自分たちが持っていきたい結論に反する意見がでないようにする。
 
今回の利根川・江戸川有識者会議については関東地方整備局は、
結論を出すためのものではない、ご意見を聴くためだけのものだと
繰り返してきたが、実は、普通の「審議会」であっても
本当に審議させたためしはない。
 
自分たち官僚がやりたいことへの同調意見を述べてくれる御用学者と
大衆へのガス抜き用に少人数の良識派を混ぜて、
言いたいことを言いっ放しにさせるだけで、
答申案をつくっておいて、意見を聴いて、「案」を取るのが
官僚の仕事であり、意思形成のやり方、政策決定の手法だった。
赤字にしたマスコミ委員の発言がそれを物語っている。
 
今後のスケジュールはしっかりと示されていた。
 
それが、上記で苦情が示されているように
この回で中断されたまま、突然2012年に再開されたのち、
無計画な計画づくりに陥った。
 
 

 

 

2013年3月 7日 (木)

185.旧計画の呪縛を解く(14)東大モデルとは②

続きです。
 
5)小池教授の意見( P122)(*4)に対して私のところに寄せられた疑問は
 なぜ小池教授が大熊委員のリクエストに応えることが
 できないかということへの謎解きだった。
 
この謎解きは小池氏が大熊氏のリクエストに対して示した
日本学術会議の回答参考資料10 P.183についてで
このモデルの開発者についてだった。 
 
本当なのか、小池教授に尋ねると、
「個別の質問には答えないのだが、この件で
 誤解があってはいけないので」と電話をいただくことができた。
 
また強運にも、2月21日の会議の会場に向かう電車に乗っていると
小池教授が乗り込んできたので、降りるときに、
電話のお礼を言いがてら、その続きを聞いて、
参照するように書いてある資料の引用文献である
二つの論文をいただくこともできた。
 
お答えの方だけをかいつまむと次のようなものだ。
東大モデルと呼ばれるようになったWEB-DHMについてだ。
 
電話でのお答えは次の通り
 
「(この開発を行った研究者は)
 確かに2011年8月まで私の研究室にいた中国人だが
 学生ではなくて準教授だった。中国の大学に教授で迎えられて手放した。
 モデルは1980年から2008年までかけて作った
 私の研究室の基幹プロジェクトで
 この研究者はそれで博士論文を書いた。
 しかし、基幹プロジェクトだから、
 一人がいなくなったからと言って止まるようなものではない。
 私は6月から10月までを組み込んだが
 雪の計算ができなくて取り組めず
 この研究者が地下水を付け加えて河川管理に利用できるようにした。」
 
 では、平成10年に合わせて動かそうと思えばできるのかと聞くと、
 会話が成り立たなくなった(私の理解の範囲を超えていた)。
 
 そこで、何か理由があってやらないということですね、とだけ再確認すると、
 「はい」で電話の会話が終わった。
 
電車から会場までのぶら下がり取材の結果は以下の通り。
 
 (中国人研究者が開発した東大モデルについて書いた論文は二つあり、
 一つは米国オクラホマ州のリトルワシタ川を使った再現、
 一つは利根川上流での地表温度を重要な系数に使ったモデル、
 これについて聞いた)
 
 「新しいモデルはアクセプトされにくく
 彼(中国人の博士課程研究者)は3度も4度も利根川で出したがアクセプトされない
 そこで、リトルワシタ川の論文を先に書いて、アクセプトされ、
 それをもとに今度は利根川で書いてアクセプトされた。」
 
 しかし、なぜ大熊先生のリクエストする平成10年の再現が
 なぜできないのかという問いに及ぶと、
 再び多弁にはなられるが、会話にはならなかった。
 
 その代わりに、彼がピアレビューを受けた論文が
 いかに権威のあるものか、という説明になっていった。
 
 論文をいただいて読んでみた。
 1本目はリトルワシタ川で再現実験に成功したモデルの話で
 概要のところをかみ砕いていうと以下のようなもの
 (誤読があれば申し訳ないので原文はこちらから入手できる)。
 
========================
生物圏スキーム「SiB2」と、
地形学をベースにした水文学モデル「GBHM」を合わせて、
生物圏水文学モデル(水とエネルギー収支の分布型の水循環モデル「WEB-DHM」)
を開発した。
 
 「SiB2」とは、大気と陸の間のエネルギー、水、炭素束の流れを
  グリッドで示したモデル。
 「The GBHM」とは、山腹斜面を格子状に分割し、
  流域からの流出を表現することにより、地表と土壌の流れを
  水平方向の水分に再現するモデル。
 
「WEB-DHM」は、南グレート平野で行った実験(SGP97とSGP99)の
 観測結果を使って、リトル・ワシタ川での再現ができた。
 
 「SGP97」の実験が行われた期間で「WEB-DHM」を使うと、
 点規模のエネルギー束と二酸化炭素束の再現が可能。
 また、集水域規模で、合理的なハイドログラフ(ナッシュ= 0.956)と
 空間土壌水分流出量を、2,3の系数だけで再現が可能となった。
 
 次に「SGP99」で使われたデータセットと観測された流出値を使って検証。
 この検証で、「WEB-DHM」は、11箇所の地表の温度、
 土壌水分の空間流出量、および1998年9月1日から
 1999年8月31日までの長期的な流出量(ナッシュ= 0.715)を
 再現することができた。
========================
 
のっぺりとしてカラっと乾燥した森の少ないオクラホマで
再現できたモデルと同じモデルで利根川を考えていいのか、
温度を重要な系数としたモデルでいいのか、
 
そして何よりも、流域住民とのやりとりではなく、
 
一つの研究室が威信をかける
長年、心血を注いできた成果の一つ(再現結果)に依存して、
利根川流域の治水の正当性をゆだねていいのか?
 
一つの想定の再現の正当性が人の命を守れるのか?
 
「東大モデル」「京大モデル」によって
日本学術会議で虚偽公文書作成公文書偽造
(裁判所に国会とは違う系数で提出)問題を
なきものにして、違う系数による新モデルにお墨付きをつけたまま
よしとすることが、
改正された河川法に基づく河川管理なのか?
 
疑問は解消されないまま、
諸々の仕事に注力しているうちに時間が過ぎ、
二本目の解読がじっくり解読できないうちに、
 
明日、第10回の
利根川・江戸川有識者会議が開催される。
 
 日時 2013年3月8日(金) 13時00分~
 場所 TKP市ヶ谷カンファレンスセンター 6階ホール6C   
 議事 利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(原案)について
 プレスリリースはこちら
 
 
 

184.旧計画の呪縛を解く(13)東大モデルとは①

(加筆)ひぇ~、2.1万トン/秒と書くべきところ、2.1トン/秒と書いていました。
訂正しました。お詫びします。それと通常2.1万m3/秒ですが、
人々は何故か通常よく、「トン」を使うので
ここでも「トン」を使っています。(加筆終わり)
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
回が重なったので今回からサブタイトルをつける。
また、今回は事が複雑なので箇条書きにお伝えする。
 
1)前提として欲しいのは、本来の河川整備計画づくりは
 住民とともに情報と意見をキャッチボールしながら
 学びのプロセスの中で、洪水から命を守り
 人為的な河川整備から環境を守り再生することに
 重きを置くことが望ましい。
 
 どんな洪水が来ても人命を失わない地域づくりにつながれば素敵だ。
 
 ところが利根川・江戸川有識者会議では
 いきなり「目標流量」だけが差しだされたが、それすら、
 その適正性が問われたまま、決着がつかない。
 
 決着がつかない理由の一つは、
 国交省が出してきた河川整備計画の目標流量の上位計画である
 河川整備基本方針で示された基本高水(2.1トン/秒)の妥当性への疑問と、
 それにお墨付きを与えた「東大モデル」への疑問が消えないからだ。
 
2)「東大モデル」とは、日本学術会議で
 を行う上で、データ操作が疑われた国交省の基本高水の
 検証に使われたモデルの一つだ(*1)。
 
3)利根川・江戸川有識者会議では
 新潟大学名誉教授で河川工学者の大熊孝委員が
 東大モデルによる計算結果を見ると、
 昭和22年の洪水のパターンにはよく合うモデルだが、
 平成10年の洪水では合わない。
 
 だから、逆に平成10年の洪水に合うようにパラメータを合わせて
 昭和22年のカスリーン台風に合うかどうかを見せてくれないかと
 頼んだ。
 
 ところが小池教授はこの依頼にはダイレクトには応えない。
 
4)そんな中、国交省関東地方整備局がまとめた
 を見た方から、「東大モデル」へのある疑問が寄せられた
 そこで私は小池教授ご本人に確かめることにした。(続く)
 
 
==以下は過去の細かい経緯なので忙しい人は読み飛ばしてください。
 
*1)検証の経緯は以下の通り。
①データ操作が疑われた国交省の利根川の流出計算モデルの
  一番簡単な検証方法はそのモデル(旧モデル)で
  もう一度、衆人環視のもと計算をして
  基本高水がもう一度再現されるかどうかを見ることだった。
 
②ところが、
 データ操作が疑われた国交省の利根川の旧モデルは
 「資料が見つからない」*3)から検証ができないとなった。
 そこで旧モデルの検証はしないことになった。
 
そこで、国交省が改めて新しいモデルを作り
 
④その間、旧モデルによる「基本高水流量」を他の方法でも計算できるか
 ということに話が変わり、
 
⑤検証を命ぜられた分科会の委員長・小池俊雄東大教授が
 出してきたモデルが「東大モデル」だった。
 
⑥この「東大モデル」が出した値が
  旧モデルとたいへん合っている」(小池教授)ということで
  旧モデルは確からしいということになった。
 
  また国交省の新モデルは、旧モデルで使っていたのとは違う係数で
  計算が行われたのに2.1トン/秒に近い、
  と結論の数字だけは合っていた
 
  学術会議で証明されたのは、
  新旧モデルと東大モデルの3つの結論(京大モデルもいれれば4つ)が
  昭和22年のカスリーン台風2.1トン/秒という結論にアワセルことができた
  ということだった。
 
*2)2013年2月1日に開催された
提出された参考資料2-4 。
 
*3
文書管理が悪いか、都合が悪いから出さないかのどちらかだが、
この業務を行ったコンサルタント業者の1社は
株式会社建設技術研究所であることは分かっている。
 
常識的に考えて、
この研究所なら資料を保管しているのではないかと思ったが、
日本学術会議第三部会員として、 
この検証を行う人選をした池田駿介・東京工業大学名誉教授は、
この株式会社建設技術研究所に「池田研究室」を持つ室長でありながら、
資料が保管されているかどうかには「関わりたくない」と
私の取材で答えていた。
 
そもそも論として
データ操作が疑われた基本高水の検証をする上で、
データを構築した側のコンサルタント業者に部屋を持つ研究者が
人選をし、自らも委員となった委員会であることは
「李下に冠を正さず」の教えからは賢明ではなかったと思うが。
 

2013年3月 5日 (火)

ワン・パーセンターによる覇権

日本のアベノミクスと
米国の進めるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)には
共通点があるように思います。
 
それは、米国においては「ワン・パーセンター(One Percenter)」と呼ばれる
ごく一部の人たちのものではないかということです。
 
米国のパブリック・メディア「デモクラシーナウ」が
昨年夏から伝え続けている動画と、
アベノミクスの1ツールになりそうな「国土強靱化」で
日本はどうなるかを考える連続講座をお知らせします。
 
■ 「TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具
  動画 http://democracynow.jp/video/20120614-2
 
=============================
連続公開講座  国土強靭化で日本はどうなる?(第一回)■
 「マクロ経済政策は日本を救うか?-経済学の基礎から考える
================================
 昨今話題となっている「国土強靭化」を巡っては、「国土強靭化で災害に強い
国土ができる」「国土強靭化による財政出動で景気が回復する」との議論があり
ます。実際、安倍政権は、2012年度補正と2013年度予算を合わせ15カ月予算で合
計105.7兆円の「切れ目ない財政出動」に努めるとしています。これらの考え方を
どのように理解すればよいのか、公共事業改革市民会議では、「国土強靭化」論
を検証するため、テーマごとに専門家を招いて公開講座を企画します。第一回は、
経済学の基礎から考えます。ぜひご参加下さい。
 
第一回「マクロ経済政策は日本を救うか?-経済学の基礎から考える」
  講師:宇都宮 浄人(関西大学経済学部経済学科教授)
 
講師略歴 :1960年兵庫県生まれ。京都大学経済学部卒業。1984年に日本銀行に
入行し、マンチェスター大学大学院留学、一橋大学経済研究所専任講師、日本銀
行調査統計局物価統計課長、同金融研究所歴史研究課長等を歴任し、現職。
 
日時  2013年3月15日(金) 13:00~14:00 
                  (質疑応答14:00~15:00)
場所  参議院議員会館 1階 101会議室 
最寄り駅:永田町駅/国会議事堂前  12時40分より会館ロビーで入館証を配布
 
■連続公開講座「国土強靭化で日本はどうなる?」今後のテーマ
 (3月~5月予定/順不同)
 
○「税金の使い方-開発型公共事業か、ヒューマンサービスへの公共投資か」
    講師: (調整中)
○「巨大防潮堤計画は被災地住民を幸福にするか」(仮題)
    講師(予定): 畠山信さん(NPO法人森は海の恋人副理事長)
○ 国土強靭化でインフラのメンテナンスは万全か?(仮題) など
 
主催:公共事業改革市民会議
(TEL&FAX045-620-2284 mizumondai★xvh.biglobe.ne.jp )★は@
 
〜〜〜〜〜〜公共事業改革市民会議とは〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2013年1月、道路・ダム・湿地埋立、スーパー堤防などの公共事業や自然保護に取
り組む複数の市民団体・個人が結集し、立ち上げた団体です。税金の使い方、公
共事業に関する課題を共有し、情報発信や政策提言につなげるため、オープン会
合(月1回ペース)を開き始めました。
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2013年3月 4日 (月)

183.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(12)

国土交通省関東地方整備局が
期間を3月6日18:00まで延長したことを書きました。
 
公聴会がどのような様子だったかは
八ッ場あしたの会がツイートし、
こちらでそれをまとめた方がいます。
 
国交省関東地方整備局の案に賛意を表したのは1割弱、
反対意見が9割以上だったことがまとめられています。
 
公述人は自治体が負担金を出している東京、埼玉、千葉、群馬、
茨城、栃木の住民に限られ、
「神奈川都民」と揶揄されるような通勤通学者は公述できません。
 
また、利根川流域を故郷に持つ1都5県以外の住民も、
利根川に詳しい遠方の専門家も、パブコメは出せますが、
公述人の対象外です。
 
公聴会とパブコメの対象者に整合性がないのは
河川法の悪しき恣意的な運用です。
 
環境影響評価法であれば、
環境に関する意見であればどこに住んでいようとも意見を提出できますので、
この点から見ても、問題があります。
 
先週、私は、諸々の仕事が重なって公聴会の取材に行けず
自分自身のパブコメも書けていなかったので、
ようやく昨日、生真面目に原案を読んで意見を書きました。
 
河川法16条の2に反しているのではないかと思う点にも
言及しながら書きました。
 
彼らの思考回路から離れ、書き足りていない点については、
追加意見を書く予定です。
 

182.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(11)

続きです。
 
利根川水系の一部区間である利根川・江戸川河川整備計画原案では
水質については何が言えるでしょうか。
 
結論から言えば、利根川上流にある
 藤原ダム、奈良俣ダム、下久保ダム、草木ダム、川治ダムでは
 リンと窒素も環境基準の項目が設定されていますが、
 最下流にある利根川河口堰では設定されていません
 
 だから、基準を設けてクリアできるようにせよ、ではなく、
 河道掘削のときに、河川敷の均一な切り下げや川の掘り下げではなく
 不均一な切り下げによる湿地再生で浄化能力を発揮させるべきだと
 言う意見でした。
 
 汚染原因を突き止めて対策を取るには時間がかかるので、
 同時並行でできるところから河道を確保(治水)し、
 自然も再生できるのであればまさに一石二鳥です。
 (たとえば、江戸川では一部始まっていますがこんな感じですね)
 
ではなぜ、水質を悪化させる「貯水」でありながら
ダムと河口堰では水質基準が違うのでしょうか。
 
裏事情(自治体の財政事情)についてはこちらで書きましたが、
水質汚濁防止法の所管省は、
 上流の汚染が少ないところでは環境基準は厳しく、
 下流の汚染が流れ込むところでは環境基準も緩くしている
ということなので、表向きにもアワスメントです。
 
水質汚濁防止法は、公共用水域の
 公害防止・環境保全のためにありますが、
 環境基準は人の健康か、生活環境(河川 湖沼海域)かで違い、
 さらに水生生物の保全のために定められ、
 これらのリンク先を見ていただくとわかるように
 山の水か、下流か、人間か、ヒメマスか、サケか、コイかで
 コロコロ違います。
 
では実態はどのように運用されているでしょう?
 
原案P.27~の2.3 河川環境の整備と保全に関する現状と課題 
(1) 水質 に書いてありますが、
表で表しているのは利根川、江戸川のBOD(75%値)だけで
Photo
Photo_2
水郷大橋(佐原)では環境基準を達成していない。
利根運河は、運河橋で環境基準を達成していない。
 
そう言いきっているだけで、対策については
 P.57に「利根運河では、関係機関と連携して、
 利根川から導水するためのポンプを整備し、
 水質改善対策に取り組む」としかありませんし、
 意味も効果も期限も説明がありません。
 
また
BOD(75%値)で評価すると
 烏川の環境基準 3mg/L、神流川の環境基準 2mg/L だと書かれ、 
COD(75%値)で評価すると
 利根川上流部のダムは
 (藤原ダム、奈良俣ダム、下久保ダム、草木ダム、川治ダム)
 概ね環境基準 3mg/Lを達成していると書かれていますが、
 BODについては触れてもいませんので、
 BODは達成できていないと考えた方がよさそうです。
 
国の制度、自治体での運用、裏事情と表事情、
施設や支川により、環境基準がバラバラで
しかも、達成すれば望ましい基準とされており、
ニホンウナギ達は、
縦割り、横割りのバラバラな河川環境の中を
大海からたどり着いたあとに遡上させられていたのですねwobbly
 
胃袋に入れるばかりで、本当に申し訳なかった・・・。
 
河川法の目的には1997年に第1条に
河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理する
ということが加わっています。
 
その改正以来、初めて策定される
利根川水系(の一部とは言え)河川整備計画なので、
統合的な管理とは何かを考えることが本来は必要でした。
 
たかが「水質基準」されど「水質基準」で、学びのプロセスと
議論が必要なところでした。
 
実は、2月1日、パブコメが開始された日に
たまたまですが、猪瀬直樹東京都知事が、
2018年の国際水協会(IWA)世界会議を東京に招致すと発表しました。 
 
国際的にはいかに統合的に水(河川)を管理していくかは
重要な関心事です。 
水質一つとっても、多くのことを議論することが
利根川では必要な段階ではないでしょうか。
 
「水」をテーマに国際会議を招致するにあたっては
東京都、お膝元の利根川水系河川整備計画について
どうするのかを尋ねましたが、「考える」とのお答えでした。
 
また、その一事業として付けられている八ッ場ダムについては
「答えない」という素っ気ないお答えでした。
 
 
国、自治体、専門家、住民、
制度の変わり目における役割はそれぞれ重大です。
 
いったん、密室で決められた旧計画の呪縛を解くには
可能な限り多くの人に周知をしながら、
皆で学んで、考えを発展させていくことが必要ではないでしょうか。
 
 
 

181.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(10)

2013年2月21日の利根川・江戸川有識者会議で、
論旨はもっともだが正確さに欠けるのではないかとのご指摘と
現行制度についての問題提起を
環境問題に詳しい梶山正三弁護士(理学博士)からいただきました。
 
■窒素・リンの環境基準は、全くないわけではない。
■湖沼(貯水量1000万立米以上の人工湖を含む)と海域については、
 類型指定のうえ、相当に厳しい値が設定されている。
■ただし、環境基準は「規制」基準ではなく、「行政の努力目標に過ぎない」
 というのが、裁判所の判断となっている。
 
■環境に負荷を与えるのは、
 個別の事業者ではなく、多数の事業者なので、
 「環境基準」は個別の事業者に対する規制基準にはなり得ない。 
■個別の事業者を規制するのであれば、
 「特定排水に対する排水基準」、「非特定排出水の排水基準」などに
 基準を設ける必要がある。
 この必要性は、1970年の水質汚濁防止法制定以来、 
 ずっと議論されてきた。
■ただし、「濃度規制」ではなく「総量規制」でなければ意味がない。
 
乱暴過ぎで不正確過ぎました。
訂正してお詫びします。
またご指摘くださった梶山弁護士に心から感謝いたします。
 
水質汚濁に係る環境基準についてはこちらでもご覧いただけますが、
 
利根川水系の一部区間である利根川・江戸川河川整備計画原案
関して言うと、何が言えるのか、
次のコマで書かせていただきます。
 
 

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