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2013年3月 7日 (木)

185.旧計画の呪縛を解く(14)東大モデルとは②

続きです。
 
5)小池教授の意見( P122)(*4)に対して私のところに寄せられた疑問は
 なぜ小池教授が大熊委員のリクエストに応えることが
 できないかということへの謎解きだった。
 
この謎解きは小池氏が大熊氏のリクエストに対して示した
日本学術会議の回答参考資料10 P.183についてで
このモデルの開発者についてだった。 
 
本当なのか、小池教授に尋ねると、
「個別の質問には答えないのだが、この件で
 誤解があってはいけないので」と電話をいただくことができた。
 
また強運にも、2月21日の会議の会場に向かう電車に乗っていると
小池教授が乗り込んできたので、降りるときに、
電話のお礼を言いがてら、その続きを聞いて、
参照するように書いてある資料の引用文献である
二つの論文をいただくこともできた。
 
お答えの方だけをかいつまむと次のようなものだ。
東大モデルと呼ばれるようになったWEB-DHMについてだ。
 
電話でのお答えは次の通り
 
「(この開発を行った研究者は)
 確かに2011年8月まで私の研究室にいた中国人だが
 学生ではなくて準教授だった。中国の大学に教授で迎えられて手放した。
 モデルは1980年から2008年までかけて作った
 私の研究室の基幹プロジェクトで
 この研究者はそれで博士論文を書いた。
 しかし、基幹プロジェクトだから、
 一人がいなくなったからと言って止まるようなものではない。
 私は6月から10月までを組み込んだが
 雪の計算ができなくて取り組めず
 この研究者が地下水を付け加えて河川管理に利用できるようにした。」
 
 では、平成10年に合わせて動かそうと思えばできるのかと聞くと、
 会話が成り立たなくなった(私の理解の範囲を超えていた)。
 
 そこで、何か理由があってやらないということですね、とだけ再確認すると、
 「はい」で電話の会話が終わった。
 
電車から会場までのぶら下がり取材の結果は以下の通り。
 
 (中国人研究者が開発した東大モデルについて書いた論文は二つあり、
 一つは米国オクラホマ州のリトルワシタ川を使った再現、
 一つは利根川上流での地表温度を重要な系数に使ったモデル、
 これについて聞いた)
 
 「新しいモデルはアクセプトされにくく
 彼(中国人の博士課程研究者)は3度も4度も利根川で出したがアクセプトされない
 そこで、リトルワシタ川の論文を先に書いて、アクセプトされ、
 それをもとに今度は利根川で書いてアクセプトされた。」
 
 しかし、なぜ大熊先生のリクエストする平成10年の再現が
 なぜできないのかという問いに及ぶと、
 再び多弁にはなられるが、会話にはならなかった。
 
 その代わりに、彼がピアレビューを受けた論文が
 いかに権威のあるものか、という説明になっていった。
 
 論文をいただいて読んでみた。
 1本目はリトルワシタ川で再現実験に成功したモデルの話で
 概要のところをかみ砕いていうと以下のようなもの
 (誤読があれば申し訳ないので原文はこちらから入手できる)。
 
========================
生物圏スキーム「SiB2」と、
地形学をベースにした水文学モデル「GBHM」を合わせて、
生物圏水文学モデル(水とエネルギー収支の分布型の水循環モデル「WEB-DHM」)
を開発した。
 
 「SiB2」とは、大気と陸の間のエネルギー、水、炭素束の流れを
  グリッドで示したモデル。
 「The GBHM」とは、山腹斜面を格子状に分割し、
  流域からの流出を表現することにより、地表と土壌の流れを
  水平方向の水分に再現するモデル。
 
「WEB-DHM」は、南グレート平野で行った実験(SGP97とSGP99)の
 観測結果を使って、リトル・ワシタ川での再現ができた。
 
 「SGP97」の実験が行われた期間で「WEB-DHM」を使うと、
 点規模のエネルギー束と二酸化炭素束の再現が可能。
 また、集水域規模で、合理的なハイドログラフ(ナッシュ= 0.956)と
 空間土壌水分流出量を、2,3の系数だけで再現が可能となった。
 
 次に「SGP99」で使われたデータセットと観測された流出値を使って検証。
 この検証で、「WEB-DHM」は、11箇所の地表の温度、
 土壌水分の空間流出量、および1998年9月1日から
 1999年8月31日までの長期的な流出量(ナッシュ= 0.715)を
 再現することができた。
========================
 
のっぺりとしてカラっと乾燥した森の少ないオクラホマで
再現できたモデルと同じモデルで利根川を考えていいのか、
温度を重要な系数としたモデルでいいのか、
 
そして何よりも、流域住民とのやりとりではなく、
 
一つの研究室が威信をかける
長年、心血を注いできた成果の一つ(再現結果)に依存して、
利根川流域の治水の正当性をゆだねていいのか?
 
一つの想定の再現の正当性が人の命を守れるのか?
 
「東大モデル」「京大モデル」によって
日本学術会議で虚偽公文書作成公文書偽造
(裁判所に国会とは違う系数で提出)問題を
なきものにして、違う系数による新モデルにお墨付きをつけたまま
よしとすることが、
改正された河川法に基づく河川管理なのか?
 
疑問は解消されないまま、
諸々の仕事に注力しているうちに時間が過ぎ、
二本目の解読がじっくり解読できないうちに、
 
明日、第10回の
利根川・江戸川有識者会議が開催される。
 
 日時 2013年3月8日(金) 13時00分~
 場所 TKP市ヶ谷カンファレンスセンター 6階ホール6C   
 議事 利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(原案)について
 プレスリリースはこちら
 
 
 

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