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2013年2月18日 (月)

174.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(3)

2013年2月14日の利根川・江戸川有識者会議については、
詳しい記事が出た。
(2013年2月15日 東京新聞)
毎日新聞 2013年02月15日 地方版
八ツ場ダム巡り公開質問書 有識者会議の委員ら(朝日新聞 2013年2月15日)
 
そこで、違う切り口から書く。
 
まずはこの写真を見て欲しい。
2013年2月14日利根川・江戸川有識者会議の冒頭写真である。
 
Photo
委員に向き合い、傍聴席に背を向けている後ろ2列は
どこの誰か紹介も座席表もない河川官僚だ。
 
挨拶しているのは関東地方整備局の泊宏・河川部長で、
ご覧の通り、この日の会議には女性が一人もいない
 
21人もいる委員のうち、11人しか出席せず、
たった一人、鷲谷いづみ・東京大学大学院教授だけが女性で、
この日のように鷲谷教授が欠席をすると、
このような灰色会議となる。
 
「建設省」から「国土交通省」に変わった時点から10年以内に
審議会等の女性の比率を30%に高めるようにと閣議決定されているが
こんなところも旧態依然の河川ムラだ。
 
鷲谷教授は次のような点を指摘している。
 
「この進め方に関する率直な意見としてきいていただきたいのですが、
 安全の水準、治水安全度というある分野のテクニカルな一元的な水準に
 議論を限定してしまっている」
「広く英知を集めることができなくなってしまう」
「複合モデルはパラメータが多いので、それらを調整すれば、
 実際のデータによくあうように構成することは『さじ加減』で可能である。
 このようなタイプのモデルにおいて、
 これまで生起した現象との調整したモデルによる計算の一致は、
 必ずしも社会的な議論における「有用性」の担保とはならないことにも
 留意する必要がある」
「これまで事務局がリードしてきた議論の進め方、
 すなわち、『1つの数字』の妥当性を問うことに議論を限定することは、
 科学的にも社会的にも『不毛』で、
 それぞれの分野で独自の経験を持つ有識者を集めて
 すべき議論のあり方として大いに疑問を感じている」
 
広大な範囲で山から海、マリアナ海峡まで
ウナギでつながっているであろう利根川を見たときに
その1地点でしかない基準点で、
17000m3/sが流れるようにすることが目標だなどという
(本来の目標はいかなる洪水でも人命が失われないことでなければならない)
治水論に偏っていていいのかという提起に通じる。
 
逆に、その数字だけが論議となる理由である八ッ場ダム一つをとってみても
 治水だけではなく、水余りの首都圏の水道事業、
 浅間山噴火のリスクと合わさったリスクマネジメント、
 その浅間山噴火で埋もれた利根川・我妻川流域の遺跡、
 強酸性の温泉水に石灰を投入し続ける不毛な中和事業、
 いままで、集水井などで水抜きをして押さえてきた地すべり地帯
 常識で考えても水を貯めたら滑るところに代替地を作ったことを
 「おかしい」とも思っていない思考停止の地元自治体、議会を
 どう目覚めさせるのか・・・。
 
省庁の縦割りに縛られないはずの有識者の役割は
本来、大きすぎるほど大きい。 
だから「有識者」と呼ばれるのだ。
そのプレッシャーがいやなら、第5回会議で提案されたように
傍聴者発言を認めればいいだけの話である。
 
一つの数字だけの議論で、
河川整備計画でございますと言うのは違う。
 
委員を引き受けた一人一人に
議論を適正な方向へとリードする責任はあるが、
委員の大多数が口をつぐんだままである。
 
もっとも責任の重い座長は、今までのところ、
事務局に言われたままの運営をすることを選択している。
 
密室で決めた河川ムラ旧計画の呪縛を解く一番の方法
制度改変か、外部からのプレッシャーなのだが
後者の役割を柔軟に果たせるはずの有識者会議で
その役割を果たしているのはごく少数だ。
 
この日の会議終了後には、
利根川・江戸川有識者会議メンバーのうち
大熊 孝新潟大学名誉教授と関良基殖大学准教授が
太田昭宏・国土交通大臣と
森北佳昭・国土交通省関東地方整備局長
公開質問状を出したと会見を開いて発表した。
Photo_2
公開質問の内容の要約は以下の通り。
 
1.10月25日(木)~1月28日 (月)と日程調整をした会議を9回連続で中止した理由。
2.決着のついていない治水目標流量ついてさらなる議論がないまま1月29日に関東地方整備局が目標流量17,000㎥/秒を前提にした利根川・江戸川河川整備計画原案公表した理由。
3.治水目標流量の局案17,000㎥/秒を計算した洪水流出モデルは過大な流量を算出するものだと指摘した意見に対する回答。
①カスリーン台風洪水の捏造氾濫図、
②総合確率法の科学的根拠の希薄さ
③東大型洪水流出モデルの虚構
 総合確率法について、小池俊雄委員は、「気象庁気象研究所の藤部先生に聞いたところ、『断定はできないがそういう考え方をしても良い』というご発言だったので、それを採用した」(第6回会議)と答えた。東大、京大の流出モデルは、学術会議が国交省の流出モデルを妥当とした根拠に使われたが、洪水の再現性は低いなど。
4.利根川・江戸川河川整備計画原案と今後の進め方
①利根川水系全体の河川整備計画をなぜ策定しないのか
②今回の原案に書かれている各事業費(ダム事業、首都圏氾濫区域堤防強化対策事業や大規模な河川改修、スーパー堤防など)と見通し
③「整備計画原案を示し、有識者会議、関係住民等の意見をきいて整備計画修正案をつくり、再度意見をきき、それを何回か実施して計画案をつくる」(第2回利根川・江戸川有識者会議(2006年12月18日)と関東地方整備局が言明した予定。

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