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2013年2月

2013年2月24日 (日)

180.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(9)

2月22日、通称「スーパ-堤防」、
正式名称「高規格堤防」の予定地をその住民のご案内で巡り歩いた。
 
今日から公聴会が始まる利根川水系の利根川・江戸川河川整備計画原案には
以下のように数行でしか説明がない。
Photo
 
これでは一体なんのことか分からない。
どこが対象かもわからない。
何年までいくらの予算で実施するのかもわからない。
 
P.7 には、「万一、堤防が決壊し、はん濫が発生した場合、壊滅的な被害が予想され社会経済活動に甚大な影響を与えることが懸念されるため、超過洪水対策として昭和62年に高規格堤防の整備に着手した」とある。
 
彼らが「パンフレット」と呼んでいる概要版p10
にも以下のような説明しかない。
 
「江戸川下流部においては、堤防が決壊すると
甚大な人的被害が発生する可能性が高い区間について
高規格堤防の整備を行います。
なお、高規格堤防の整備にあたっては、
まちづくり構想や都市計画との調整を行うことが必要であり、
関係者との調整状況を踏まえつつ順次事業を実施します。」
 
街と人をいったんどかして、堤防の幅を広くして
その上に街を再建する(二度引っ越しをさせる)計画だ。
 
では、そこまで堤防の決壊が心配で、幅を広げて
その上に町を作りなおす必要がある川とはどんな場所なのか?
行ってみるとこうだった
 
第一に、川(左側)が見えないぐらいに、河川敷が広い場所だ。
 
Photo_2
 
堤防内は、川であり、河川敷も川の一部である。
 
上記写真には、その河川敷にある野球場がと~~~く
小さく写っているが、長年暮らし続けている住民は、
今までピッチャーマウンドにすら水があがったことはない」という。
 
国土交通省が言うスーパー堤防が必要な川とはこんな場所だった。
 洪水が、野球場よりも遙か遠くにある川から溢れて
 何メートルにも渡ってこの河川敷を覆い尽くして、
 右側に写し込むこともできなかった堤防を決壊することが前提だ。
 
第二に、調整が必要な「まちづくり構想」とはどのようなものなのか。
 
 上記で述べた、とてつもない洪水を前提に、
 現在暮らしている人たちをどかして
 幅の広い堤防をつくって、その堤防の上に暮らさせるという計画だ。
 
 しかし、とてつもない規模の洪水が来ることを想定しているわりには
 計画はたったこの一区画(80戸余り)で、
 この80戸あまりの区画整理事業だけで43億円以上がかかる。
 スーパー堤防の費用は別である。税金の捨て場のようになっている。
 
18
 
「国は何がしたいのか?」と、
昨日お会いした「スーパ-堤防・まちづくりを考える会」の
代表代行であり住民の森須蘭さんが怒りまくっていた。
 
上流では「堤防のかかる負担を一㎝でも下げる必要がある」と言って
山に住む人をどかしてダムを作り、
 
下流では「堤防が決壊すると甚大な被害がでる」と言って、
街に住む人をどかして堤防を太らせる。
 
そのどちらも止めてくれといって裁判が起きているが
行政の暴走は続いている。
 
昭和62年(1987年)に密室で決められた旧計画だ。
 
それから26年。今日、オープンに開催される公聴会で、
この計画を利根川・江戸川河川整備計画から削除して欲しいという
住民の訴えが行われると聞く。
 
河川法16条の2では
「4 河川管理者は、前項に規定する場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。」
とあるが、住民の意見はどのように反映されるのだろうか。
 

2013年2月22日 (金)

179.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(8)

以下の赤字については2013年3月4日に加筆・訂正しました。
 
利根川水系の中でも下久保ダムなどの湖沼と利根川河口堰では
環境基準が違うので、詳しくはこちらこちらへ。
 
2013年2月21日 利根川・江戸川有識者会議、
関東地方整備局河川調査課 小島氏が、配布資料の説明に21分間をかけた。
 
淺枝隆・埼玉大学大学院教授が最初の発言者だった。
興味深い論点だったので、記録(概要)と解説をしておく。
 
「河川の環境基準にBODがあるが、
 利根川河口堰など淡水域があり、BODだけでなく、
 本来はリンと窒素も環境基準に加えるべきだ。
 
 しかし、リンとチッ素の高度処理ができない自治体事情を鑑みれば、
 河川敷(低水護岸)を切り下げるなり、
 場合によったら船底の断面で
 河川の中で水質の浄化が可能になることを考えて欲しい。
 
 周辺の水田にはサギ類がいるが川では見られない。
 川が急に深くなるので、サギ類の餌場がない。
 餌場を考えていただきたい。
 湿地再生を利根川水系河川整備計画に位置づけるべきだ」
 
淺枝氏論点の評価点と論点の穴
利根川河口堰の水質について初めて触れた点は評価できる。
なぜか? 少し解説させていただきます。
 
通常の下水道処理ではBODは下げられるが
リンと窒素は「高度処理」でなければ下がらない。
 
もしもリンと窒素を環境基準にすると、
財政事情に厳しい自治体は「高度処理」施設を導入しなければ
リンと窒素を除去できずに、環境基準をクリアできない。
 
だから、誰も、リンと窒素を規制すべきだと言わない。
 
本末転倒の水質環境行政が行われていることが、
知っている者にとっては露わなのだが、
淺枝氏は、その点には触れなかった。
 
この発言の重要性は、
日本の環境行政が、環境の保全を目指さず、
自治体や企業ができることだけに規制をかける、
いかにいい加減なものか、
すべては「アワスメント」であることを明らかにしたことだ。

本来はそこまで指摘してこそ専門家なのだが、

知りすぎた専門家は、そうした不都合な真実をはしょってしまう。
 
リンと窒素はアオコなどの原因となるが、
そのリンと窒素を規制すべきだと言うかわりに
代替案として
湿地再生によって川の水の浄化作用を挙げるべきだと述べた。

湿地の再生は重要だ。しかし、

こうして自治体の責任を免責してしまうために
環境行政は一つ、また一つひとつと遅れていく。
 
課題は、リンと窒素の汚染原因は何かを突き止め、
その汚染源を止めることであるにもかかわらず、
「湿地再生」という言葉で、汚染源は何かという
根本情報を隠してしまうことになる。
 
淺枝氏の発言は第一歩であるにしても
そこを出発点に、では
利根川水系河川整備計画には、アオコ汚染の原因となる
リンと窒素対策をどうするのか、汚染源は何か、
どう規制するかが重要だが、
他の環境系委員からはこの問題を掘り下げるための発言が
ひとことも出なかった。
 
次回は汚染源は何か、対策は何かを議論すべきである。
 
 
 

178.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(7)

2013年2月21日18:00開始、はじまってすでに21分。
 
利根川・江戸川有識者会議(座長宮村忠・関東学院大学名誉教授)では、
2時間の会議の4分の1が過ぎようとしているのに
国交省河川官僚が慇懃無礼に資料説明を続けていた。
 
いつもは不機嫌に嫌々座っているようにしかみえない宮村忠座長が
なぜか、勝ち誇ったようなニヤリとした顔つきで傍聴席を見下していた。
 
それが終わると「まだ意見を言っていない方に」と
いつもは口をつぐんでいる人に意見を言わせはじめた。
 
今回は、「治水」議論で押し黙っていた委員のガス抜きの様相だ。
 
宮村座長は、その間、「聞くまでもない」と言った態度で、
有識者が意見に際して指摘する箇所にまったく目を通さずに
なぜか勝ち誇ったようにサングラスの向こうから傍聴席を眺めている。
 
結論から言えば、「環境」「渇水」「事業メニュー」と予想通りの以上の
想定内の発言があり、最後に関東地方整備局の泊宏河川部長が、
「整備局に持ち帰って検討する」と挨拶をした。
 
あの言い方では今日で打ちきりだとしか取れない」
次はあるのかないのか」と記者達が
肩書きのない事務官達に詰め寄る言い方で、会議を閉じた。
 
いつもは会議後のぶら下がり会見を行ってきた座長は逃げるようにして
会場を去った。
 
「こんな決め方でいいんですか!」
残っていた傍聴者がやり場のない苛立ちを
官僚達の背中にぶつけていた。
 
首都圏を流れ、日本で最も大きな人口を抱える流域。
 
東京都猪瀬知事はIWA(国際水協会)の2018年世界会議を
誘致している。
 
しかし、そのお膝元である利根川の水資源管理のあり方は、
旧社会主義国かと思えるほどの
官僚独裁によって決められている。
 

2013年2月21日 (木)

177.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(6)

千葉県内水産総合研究センター内水面水産研究所の小瀧潔所長から
質問に対するお返事を昨日いただきました。

出先の携帯で受け取り、書き取ったメモで
数字の確認を統計で行っていませんがご了承ください。

県の研究所から委嘱されている役割であるということで、
お返事を研究所と県に照会した後にご回答くださいました。

Q1)「利根川・江戸川の厳しい漁場環境とはどのようなことなのでしょうか。

A1)千葉県の場合、利根川だが、漁獲の減少と外来魚の問題があります。

○「漁獲」とは?

 「魚類とエビ」
 農水省の統計による千葉のデータに基づく回答です。
 昭和40年代には2000トンあった漁獲が、
 現在では100トンから200トンになった。

 シジミは40年代には漁獲があったが河口堰ができ、
 汽水域が淡水化したため-漁業補償も行った-、
 現在はゼロになった。

○漁獲の減少を具体的に聞いてみると(シジミは含まれていない)

 昭和43年 2200トン
 昭和44年 2400トン
 昭和45年 2600トン

 平成20年 198トン
 平成21年 119トン
 平成22年  177トンに

(私の聞き間違えが含まれる可能性があります)

○漁獲のピークは?

 昭和40年代半ばと昭和50年代半ばに二山ある。
 急に減ったのは平成9年とのことで、その前年と合わせて伺うと
 平成8年 7000トン
  平成9年 3000トン

○原因は「分からない」

○外来種については

 アメリカナマズの増加
 平成15年から平成17年に利根川の漁業者にアンケートを行った結果、
 昭和50年に初めて確認され、平成10年以降に増えたとの回答が多い。
 刺し網や延縄にアメリカナマズがかかるようになった。

 平成15年に22トン 
 平成17年に32トン

 その後のデータはなし
 手賀沼なども含めた利根川水系。

Q2) 利根川・江戸川におけるニホンウナギの生息域の保全措置や
  シラスウナギ遡上の回復措置を
  利根川水系河川整備計画に位置づける必要性は?

A1)ウナギは河川の中での暮らしの生態がよく分かっていないので
   ウチ(千葉県)として保全策を示せないのが現状。

 前回の有識者会議で地方整備局が説明した原案 のP.8に
 「河川環境の整備の保全に関する目標」が書かれた。
 そこに「河川の連続性の確保を図り、魚類の遡上、降下環境の改善等に努めます」と
 されたので、この目標に沿ってすすめるということかと思う。

○具体的には?

 調査に向けて、これから関係機関との調整に取り組む。
 農水省がウナギ対策関連事業として予算をつけた。
 (農水省予算概要にある)
 その中にうなぎの生息環境調査等がある。
 

 生態が明らかになっていないので。
 いままではGWまで遡上するのではないかと思っていたが、
 東大の先生の話だともっと遅くまで上がっているということだ。
 それを知らないといけないということで中国や台湾にも上がっている。

 来年度のことなのでまだ確定はしていないが、
 全国的な視点での調査が必要かと思っていいる。

○ウナギも含めて漁獲の原因をどのように考えておられますか?
 シジミは河口堰ということでしたが?

 
 私どもとしてはそこまで突き詰めていない。

○ウナギについてはダム建設が原因ではないかという見方も示されていますが?
 

 くちはばったい言い方になるが、いろいろな原因が絡んでいる。
 千葉の場合は都市化していることもある。

小瀧所長からのお返事は以上です。
大変丁寧にいただきました。感謝します。

しかし、聞きながら驚かざるを得ませんでした。

漁獲が昭和40年代以後、50年代、平成・・と、
減少していったことは分かっていたわけです。

ところが、ウナギは絶滅危惧IB類(EN)に選定されるまで、
対策以前の生態調査や原因調査を行わず、
傍観していたことになります。なぜでしょうか。

ウナギは10分の1に減少した漁獲の魚種の一つにしか過ぎません。

その象徴であると考えるべきでしょう。

経済優先、開発優先だったからでしょうか。
それで今後はどうするという方向性を千葉県は
県民と共に話し合ったのでしょうか?まだでしょうか?
多くの疑問がわいてきます。

こちらで紹介したようにフィールドや専門性の高い個人やNPOは
 塩害が起きないタイミング(がある)を見極めて海につながる水門を上げ、
 シラスウナギやアユの稚魚が入ってこられるようにしたら
 漁獲が上がるではないかと長年にわたって声をあげていました。

その声に耳を傾け、協議を行って早めに対策を取っていたら、
絶滅危惧種への指定は免れた可能性があります。

しかし、過去はともかく、重要なのはこれからです。

今回も専門性と関心の高いNPOや個人は
「有識者会議」の場には招かれていません。

しかし、今後は、利根川の自然再生や管理方法を順応的に
誰であれ関心と専門性の高い人々と
話し合いながら決めていく協議の場を設けることを
利根川河川整備計画に位置づけるというのは
とても重要なことではないでしょうか?

未来に向けて過去の失敗を繰り返さない事が大切だと思います。

 

2013年2月20日 (水)

176.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(5)

お前は人にダメだしばかりで、自分は何をやっているのだと
思っている人も中にはいるかもしれないので、
提言的なアウトプットをご紹介させていただきます。

詳しくは執筆参加した「ダムを造らない社会へ」(新泉社)
「市民の意思をどう反映させるか-
 米国の仕組みと日本の仕組み」を
ご覧いただきたいのですが、簡単に言うと、

グランドキャニオン保護法
1992年に米国で制定されたグランドキャニオン保護法の紹介です。
ダムができた後、利害関係者が「協議」をする場が法定され、、
その協議メンバー(立場)が法律で決まり、そのプロセスの透明性が
連邦諮問委員会法で確保されているという事例です。

ダムが出来たあとに環境影響評価を行い、基本的に年2回、
状況に応じて管理方法を協働で協議して決めます。

日本に例えれば、
環境省も農水省も国交省も環境NGOも住民団体も一般人も同等の立場で
協議メンバーとして法定されていて協議に参加できる仕組みです。
各自ミッションがはっきりしているから
「中立」のフリをする必要がありません。

学識者はあくまでもその外で
助言者、技術者としての役割を果たします。

これは今後の日本の河川管理のあり方のヒントになるのでは
ないでしょうか、ということをこの本では書きました。

日本の河川法
一方、日本ではどうか?
リアルタイムで行われている利根川の例がそうですが、
「協議」なんて夢のまた夢です。

30年間の河川整備計画を立てるのに、流域住民には
わかりにくい方法で原案が知らされ、
パブコメ(3月2日〆切り)と、
 
3日間(2013年2月24日(日)~26日(火))の公聴会で
意見を言うだけです。

一方で、有識者は専門性を持ったオールマイティの「中立」の建前で
参加させられます。

そのために行政計画の決定に対する大きな弊害が起きているように思います。

例にあげて申し訳ないですが、
前のコマで紹介した環境を専門とするある委員は、
河川工学が専門でもなく、かつ根拠も挙げずに、
目標流量は17000m3/sを「やむを得ない」と述べています。
聞いてみると、自分はよく分からないから名前を伏せてもらわなければ
答えられないというのです。

それでも、「17000m3/sでやむを得ない」という意見には
自分はよく分からないから」という言葉は添えられておらず、
国土交通省の進めたい計画作りへと大きく左右します。

こんなことが起きるのは、この委員の責任ではありません。

有識者会議における「責任」と「ミッション」が一致していないからです。
一般論として環境保全を自分の使命(ミッション)と考えていたにしても
その使命に「責任」が伴っていないことが前提の会議なのです。

委員は21人もいますが、前回も11人しか参加していない。
それがそのことを物語っています。

名前だけ連ねて出席もしない、
意見は言うが、結果責任も説明責任も求められていないと考えている。
必ずしも委員個人が悪いのではなく、システムが形骸化している。

そういうことがようやく、勉強と取材を重ねて分かっていきます。

リアルタイムの取材をしながら勉強もするので、
この現実と、よりよい仕組みのギャップにイライラして、
なんで、日本はこうなのさ!
つい、語気が荒くなるわけです。

 

2013年2月19日 (火)

175.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(4)

国交省関東地方整備局の
利根川・江戸川有識者会議(座長宮村忠・関東学院大学名誉教授)では
目標流量17000トンの信憑性を巡り議論が白熱する一方、
 
ダム容認派の間では、
 「うんざりする」
 「第8回はガス抜きをする」
と言った声がささやかれていた。
 
一方で、環境の専門家は多数いるのに、押し黙り、
率直な意見表明をした鷲谷教授以外の環境を専門とする委員は、
無言や欠席のまま、果たすべき役割を果たしていない
 
そこで、それぞれに質問を送ってみた。
幸いなことにボチボチ返事をいただいている。
 
Photo_4Photo_3 Photo Photo_2
クリックすれば拡大できます。↑
 
利根川河川整備計画原案は30年を対象として、
環境、利水についても書かれているが、
治水の巨大プロジェクトメニューに偏重し、
具体的な環境保全措置などが書かれていない。ヌケが多い。
 
保全努力を行ってきたNGOの話をきちんと聞く手続も取っていない。
これは未来世代から見ると問題が多い。
 
そんな中、
法律(河川法16条の2)に定められた発言の場を与えられている
有識者の役割は大きい。
 
目標流量に議論が集中しているからと言って
治水と同等の環境、利水の問題を議論しないのはおかしい。
 
その流れに引きずられることなく、
専門分野から言うべき意見を言えば良いだけだが、
座長もまた河川工学専門だからか、
バランスのよい有識者会議の運営となっていない。
 
目標流量17000トンの信憑性について論議になるのは、
念を押すが、それが八ッ場ダムやスーパー堤防その他
巨大プロジェクトの根拠だからだ。それは、
想定内の洪水に対して想定内の治水施設で防災をするという
古い考え方に基づいた古い治水のあり方だからだ。
 
 信憑性の疑われている東大モデル
 平成10年のパラメータに合わせて、果たして
 昭和22年を再現できるのかを含めて、
 トコトン決着がつくまで議論してもらわなくて困る。
 
しかし、環境と利水の議論をしなくてよい理由にはならない。
 
こうした審議会で、
なぜ、自分の専門性を発揮してきちんと意見を言わないのだと聴くと
「一千万円もらわないと割に合わないねぇ~」と言う人もいる。
 
自分の信じる理念と知見に基づいて時間を投じる
ノブリス・オブリージュの概念を露ほども持たない人がいるものである。
 
そればかりか、自分が蓄えてきた知恵を公益のために使って行政と対峙し
飽くなき言論に挑む人をさげすむ風潮もある。
 
同じことを繰り返し言えば、如何にそれが真実であっても
言えば言うほど疎まれる。それを分かっていて、
自分にとってなんの利益になるわけでもないことを
繰り返し言うのは、ノブリス・オブリージュ以外の何ものでもない。
 
ちなみに、このブログで繰り返し大熊孝委員と関良基委員の言論を
記録しているのは、利益相反と正反対のノブリス・オブリージュこそが、
学と官のあり方に一石を投じると信じているからだ。
 
こうした場に身をおくすべての専門家が、
私益を超えた高貴な義務を果たしてくれることに期待する。
自分への不利益や多忙を理由にした妥協はして欲しくない。
 
 

2013年2月18日 (月)

174.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(3)

2013年2月14日の利根川・江戸川有識者会議については、
詳しい記事が出た。
(2013年2月15日 東京新聞)
毎日新聞 2013年02月15日 地方版
八ツ場ダム巡り公開質問書 有識者会議の委員ら(朝日新聞 2013年2月15日)
 
そこで、違う切り口から書く。
 
まずはこの写真を見て欲しい。
2013年2月14日利根川・江戸川有識者会議の冒頭写真である。
 
Photo
委員に向き合い、傍聴席に背を向けている後ろ2列は
どこの誰か紹介も座席表もない河川官僚だ。
 
挨拶しているのは関東地方整備局の泊宏・河川部長で、
ご覧の通り、この日の会議には女性が一人もいない
 
21人もいる委員のうち、11人しか出席せず、
たった一人、鷲谷いづみ・東京大学大学院教授だけが女性で、
この日のように鷲谷教授が欠席をすると、
このような灰色会議となる。
 
「建設省」から「国土交通省」に変わった時点から10年以内に
審議会等の女性の比率を30%に高めるようにと閣議決定されているが
こんなところも旧態依然の河川ムラだ。
 
鷲谷教授は次のような点を指摘している。
 
「この進め方に関する率直な意見としてきいていただきたいのですが、
 安全の水準、治水安全度というある分野のテクニカルな一元的な水準に
 議論を限定してしまっている」
「広く英知を集めることができなくなってしまう」
「複合モデルはパラメータが多いので、それらを調整すれば、
 実際のデータによくあうように構成することは『さじ加減』で可能である。
 このようなタイプのモデルにおいて、
 これまで生起した現象との調整したモデルによる計算の一致は、
 必ずしも社会的な議論における「有用性」の担保とはならないことにも
 留意する必要がある」
「これまで事務局がリードしてきた議論の進め方、
 すなわち、『1つの数字』の妥当性を問うことに議論を限定することは、
 科学的にも社会的にも『不毛』で、
 それぞれの分野で独自の経験を持つ有識者を集めて
 すべき議論のあり方として大いに疑問を感じている」
 
広大な範囲で山から海、マリアナ海峡まで
ウナギでつながっているであろう利根川を見たときに
その1地点でしかない基準点で、
17000m3/sが流れるようにすることが目標だなどという
(本来の目標はいかなる洪水でも人命が失われないことでなければならない)
治水論に偏っていていいのかという提起に通じる。
 
逆に、その数字だけが論議となる理由である八ッ場ダム一つをとってみても
 治水だけではなく、水余りの首都圏の水道事業、
 浅間山噴火のリスクと合わさったリスクマネジメント、
 その浅間山噴火で埋もれた利根川・我妻川流域の遺跡、
 強酸性の温泉水に石灰を投入し続ける不毛な中和事業、
 いままで、集水井などで水抜きをして押さえてきた地すべり地帯
 常識で考えても水を貯めたら滑るところに代替地を作ったことを
 「おかしい」とも思っていない思考停止の地元自治体、議会を
 どう目覚めさせるのか・・・。
 
省庁の縦割りに縛られないはずの有識者の役割は
本来、大きすぎるほど大きい。 
だから「有識者」と呼ばれるのだ。
そのプレッシャーがいやなら、第5回会議で提案されたように
傍聴者発言を認めればいいだけの話である。
 
一つの数字だけの議論で、
河川整備計画でございますと言うのは違う。
 
委員を引き受けた一人一人に
議論を適正な方向へとリードする責任はあるが、
委員の大多数が口をつぐんだままである。
 
もっとも責任の重い座長は、今までのところ、
事務局に言われたままの運営をすることを選択している。
 
密室で決めた河川ムラ旧計画の呪縛を解く一番の方法
制度改変か、外部からのプレッシャーなのだが
後者の役割を柔軟に果たせるはずの有識者会議で
その役割を果たしているのはごく少数だ。
 
この日の会議終了後には、
利根川・江戸川有識者会議メンバーのうち
大熊 孝新潟大学名誉教授と関良基殖大学准教授が
太田昭宏・国土交通大臣と
森北佳昭・国土交通省関東地方整備局長
公開質問状を出したと会見を開いて発表した。
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公開質問の内容の要約は以下の通り。
 
1.10月25日(木)~1月28日 (月)と日程調整をした会議を9回連続で中止した理由。
2.決着のついていない治水目標流量ついてさらなる議論がないまま1月29日に関東地方整備局が目標流量17,000㎥/秒を前提にした利根川・江戸川河川整備計画原案公表した理由。
3.治水目標流量の局案17,000㎥/秒を計算した洪水流出モデルは過大な流量を算出するものだと指摘した意見に対する回答。
①カスリーン台風洪水の捏造氾濫図、
②総合確率法の科学的根拠の希薄さ
③東大型洪水流出モデルの虚構
 総合確率法について、小池俊雄委員は、「気象庁気象研究所の藤部先生に聞いたところ、『断定はできないがそういう考え方をしても良い』というご発言だったので、それを採用した」(第6回会議)と答えた。東大、京大の流出モデルは、学術会議が国交省の流出モデルを妥当とした根拠に使われたが、洪水の再現性は低いなど。
4.利根川・江戸川河川整備計画原案と今後の進め方
①利根川水系全体の河川整備計画をなぜ策定しないのか
②今回の原案に書かれている各事業費(ダム事業、首都圏氾濫区域堤防強化対策事業や大規模な河川改修、スーパー堤防など)と見通し
③「整備計画原案を示し、有識者会議、関係住民等の意見をきいて整備計画修正案をつくり、再度意見をきき、それを何回か実施して計画案をつくる」(第2回利根川・江戸川有識者会議(2006年12月18日)と関東地方整備局が言明した予定。

2013年2月17日 (日)

173.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(2)

苛立っていた。
明らかに苛立っていた。
そのつっけんどんな答え方で、
質問はお気に召さなかったのだと分かる。
 
利根川・江戸川有識者会議後の宮村忠座長へのぶら下がり会見だ。
 
質問:平成10年のパラメータに合わせて
   昭和22年を再現するというのは、
   宮村先生はどうお考えですか?
宮村:答えられない。
 
質問:どうしてですか?
宮村:どうしてでもいいじゃない。
   僕が答えられないっていってんだから。
 
平成10年のパラメータに合わせて昭和22年を再現する」とは
利根川・江戸川有識者会議で問題とされてきた
2つの焦点を解消できるカギの一つだ。2つの焦点とは、
 
1.昭和22年に、2万m3/sを超える大水が
  基準点の八斗島(やったじま)を流れたのか流れなかったのか。
2.それは計算(モデル)で再現可能かどうか。
 
パラメータ(係数)は「チューニング」(調整)しながら
人為で作られていく。
 
小池俊雄東京大学教授は、、
(p.95~p.98)というが、
 
大熊孝新潟大学名誉教授は
平成10年の洪水を計算すると、そのパラメータでは合わないので、
平成10年(1998年)の洪水に合うようにパラメータを定めて
昭和22年(1947年)のカスリーン台風洪水を再現したら
どうなるのかを見せて欲しい、とリクエストし続けてきた。
 
昭和22年、33年、34年、平成10年におきた洪水は
利根川で代表される大きな洪水だ。
パラメータが正しければ、
同じパラメータでそれぞれの洪水が再現できるはずである。
 
しかし、もしも山の状態が経年変化していれば
同じパラメータでは役に立たない。
 
それは素人にも分かりやすい科学的な思考である。
その仮説を証明するには、
 古い洪水にチューニングしたパラメータでは
 平成10年がうまく再現できていないので
 逆に平成10年にパラメータを合わせ、
 それで昭和22年の洪水が再現できるかどうか
 相互にチェックしてはどうかというのが、
 大熊教授が考えた仮説の証明方法らしい。
 会議中になるほど!と頷けた明快な提案だった。
ところが、小池教授はいつまでもこの名案に乗ってこない。
 
そこで、双方のやり取りをきいている宮村忠座長はどう思うのか
その答えを期待したが、
「僕が答えられないっていってんだから」
という苛立ちがその答えである。
 
小池教授自身は答えを用意してくるだろうか。
 
そして、
 水余り、優先すべき6割をしめる脆弱な堤防、
 3.11後の放射能汚染問題、工場から排出される
 化学物質問題、ウナギの生息域の回復、
 人口と税収の減少、老朽化、維持管理問題、
 と一つも解決しないうちに複雑化している現状を
 統合的に解くべきが「利根川水系整備計画」であるという話に
 いつになったら、この会議は行き着くのだろうか。
 
次回の利根川・江戸川有識者会議は
 2013年2月21日午後6時~8時
 だと連絡が入った。
 
猛スピードで物事が動いている。
 
この旧計画の呪縛を解く方法は・・・。
 
 

172.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(1)

2013年2月14日午後1時、
国土交通省関東地方整備局は、昨年10月から中断していた
利根川・江戸川有識者会議を4ヶ月ぶりに再開した。
 
中断は2回目。
 1回目は2008年5月から2012年9月まで3年4ヶ月。
 2回目が今回の2012年10月から2013年2月まで4ヶ月。
どちらも政変が間に挟まれている。
 
河川管理者(利根川では国土交通省)の意のままに河川法は運用されてきた。
 
その間、利根川・江戸川有識者会議が意見を寄せる対象である
関係住民の意見もきいただけで放置されてきた。
 
 堤防の6割も脆弱な状態であることも、
 3.11後の放射能汚染問題も、
 化学物質汚染が生態系に与える影響問題も
 ウナギが生息できる環境かどうかも、
 人口減少も税収の減少も
 公共施設の老朽化も維持管理費の増加も、
 
時代が突きつけてくる課題を次々と放置したまま、
旧法に基づく旧建設省が、情報公開も住民参加もなく
密室で決めた「工事実施基本計画」を根拠に
半世紀前の個別巨大な治水プロジェクトにひたすら固執し続けてきた。
 
想定外の洪水が来ても、溢れてもすぐに決壊しない堤防で
その間に住民を逃がす考え方を広めることもなく・・・
海外で活用されているより安価な堤防補強策を積極導入することもなく、
 
1997年の河川法改正以来、
2013年2月現在まで16年間もひたすら放置して
旧体制を堅持して暴走してきた。
 
利根川水系河川整備計画が未策定のまま。
 
しかし、今回もまた、16年も経ってその一部区間でしかない、
本流の利根川・江戸川河川整備計画だけを対象とし、
しかも「想定内」の治水、つまり目標流量を定めるところから
はじまっている。ダムで貯留をするというダムありきの治水方法だ。
前政権がさすがに止めるとしたスーパー堤防まで復活だ。
 
旧法で決めた考え方からは一歩も前に進んでいない。
「違法である」とは言えないのは改正河川法附則2条
(河川整備基本方針及び河川整備計画に関する経過措置)で
旧法で定めた工事実施基本計画が無期限で認められてきたからだ。
 
バックフィットという言葉は原子力ムラだけではなく
河川ムラにもなかった。法改正時の経過措置にも注意が必要だ。
 
では、思考停止したままの国交省による
目標流量17000m3/sに妥当性はあるのかと言えば、
たったそれだけのことが紛糾したまま
4ヶ月も中断した、というのが、利根川なのだ。
 
しかも、2008年に中断する前は15000 m3/sが想定されていた。
中断していた間に、なぜか目標流量は上がり、
ダム事業の必要性は机上で増したのだ。

これではカタツムリだって宇宙に達してしまうほどのスピードだ。
いや日本語が変か・・・。
カタツムリが宇宙に達するよりも遅いと言いたいのだ。
そうしている間に、宇宙は遠のいた、みたいな話なのである。
 
今回の計画はそのほとんどが昭和55年に密室で決めた、
「工事実施基本計画」を踏襲したものに近いのだが、
この旧計画の呪縛を解く方法はあるんだろうか。
 

2013年2月16日 (土)

171.もう一つの予算委員会

60年後まで届くぼったくりバーの請求書の続きです。

2月15日(金)、参議院議員会館で行われた
集会「公共事業ありきの補正予算13兆円!?
そのまま通して予算委員会(いいんかい)?」は

30時間で13兆円を審議した衆議院予算委員会を補足する
市民による もう一つの予算委員会」とも言えるものになった。

参加者から提起された問題は以下のようなものだ(赤字は筆者による強調)。

NPO法人 海は森の恋人 畠山信さんからのメッセージ(代読)
  約2年前の2011年3月11日に三陸リアス式海岸は未曾有の大津波に襲われて壊滅的な被害を受け、私も住み慣れた家と祖母を失いました。現在,復興に向けた取り組みが少しずつ進み始めていますが、被災地では地域住民の十分な理解を得られないまま,巨大防潮堤等の建設計画が進行しつつあります。 私は気仙沼市において「森は海の恋人」運動を続けている漁業者であり、また、震災を生き延びた人間として、巨大防潮堤をはじめとする公共事業の慎重な予算の配分を強く望みます。 私たちが後世に残すものは,管理費のかかるコンクリートの塊ではなく、エコトーンを有した森・里・川・海の豊かな自然環境であるべきです。それこそが、人口の減少に見合った持続可能な社会構築と、未来の日本人が世界に誇れる国を創造するための余地となりえます。(後略)

外環ネット 大塚康高さん
 外環道は16キロ区間、40mより深いところに道路を作る計画です。準備工事が始まりましたが、本工事は始まっていません。地上部にはさらなる道路計画があります。2010年に交通需要の調査があり、外環道が最も影響する道路である環状8号線は2005年度で35%交通が減っています。国交省の事業目的はすでに達され、必要性は失われています。

●横浜環状道路(圏央道)対策連絡協議会   長谷川誠二さん
 安倍首相がムダな公共事業はない、事業評価をやっていると言うが、事業評価監視委員会こそが、事業にお墨付きを与える場になっています。横浜環状道路の都市計画決定からすでに18年、4全総からは27年、この間、3回の事業監視委員会が開催されました。構想から27年の事業は必要なのかを審議するのが監視委員会なのに、重要だから早くやれと言います。去年の事業評価結果を裁判で裁きたい。

●よみがえれ!有明訴訟弁護団   後藤富和さん
 諫早干拓事業のギロチンの映像を覚えておられると思うが、以後どうなったでしょうか。諫早干拓2008年に完成し、2600億円かけて作った農地は50億円で長崎に売却されました7年間にわたって返済します。その農地への入植者はおらず、わずか41戸の農家がリースをしています。もうじき更新期限が来ますが、すでに1回目の更新で離農農家が出ます。この失敗事業で何が起きたでしょうか。有明海全域が瀕死です。政府は(判決により)今年の年末までに水門を開けなければならならないことになっていますが、開けるにも費用がかかります。一度ムダな事業を許せばこうなるという事例です

渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える  田口康夫さん
砂防ダムは明治時代から120年間作られています。ここ数十年でも毎年3~7千億円前後費やしています。これだけ時間とお金をかけても整備率が20%かありません。限界です。新しいものを作っても老朽化します。既存の砂防ダムのスリット化を提案しています。

スーパー堤防問題を考える協議会  堀 達雄さん
国交省は猛スピードで利根川江戸川河川整備計画を策定しようとしています。そこには右岸の19.8km区間のスーパー堤防をすすめるとされているが、とんでもありません。2兆1000億円で、堤防1mに1億円。進捗率は25年間でわずか1.1%、200年間で完成するという完成しない事業です。住民合意がとれない密集市街地域で、2006年以来、反対運動が継続しています。「堤防の上には住みたくない」という人々で住民訴訟の大法廷を毎回一杯にしています。ムダで不要な事業に予算をつけないでください。

その他をもっと短く要約すると以下の通りである。

●「ラムサールネットワーク日本」の陣内隆之さん:徳島県那賀川河口の左岸に計画されている堤防補強事業で豊かな自然が破壊される!

●「日本湿地ネットワーク」の伊藤昌尚さん:干潟や海を守る活動にとって、国土強靭化予算で、本当に必要な復興予算が横取りされているのではないか、国民の生活に密着した必要な公共事業なら許せるがムダな公共事業が入っている予算には反対したい!

●「水源開発問題全国連絡会」 遠藤保男さん:2009年政権交代で唯一見直されようとしたのがダム事業だったが、「ダム事業計画ありき」の見直し方式であったため、事業者が推進としていたダムは全て「推進」となっている。抜本的見直しが必要だ

●「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」 川村晃生さん:JR東海の単独事業で名古屋まで5.4兆円、大阪まで9兆円の事業。しかし財源は大丈夫なのか。JR東海はまだ3兆円の借金を背負っている。公共事業は2倍3倍に膨れる。5.4兆円でできなかったらどうするかと財務省に聞くと何もしないという。トンネルを掘ってそのままにしておくのかと言ったらそうですという。人口が減る。東海道新幹線でさえ減収するのにどうするのか!

「日本環境法律家連盟」西島和さん:先日、長崎県の石木ダムに現地調査に行ってきた。ムダな事業が進むことを懸念している。

先述したように生活の党、共産党、民主党、社民党、
みんなの党、緑の風からの参加があった。

来週から始まる参議院予算委員会で
これらの一つでもあるいは総意<メッセージ>がくみ取られれば
この集会は大成功だったと言えるだろう。

また取り上げられなかったとしてもそれで諦める集団でもない。

五十嵐敬喜・法政大学教授からは
国土強靱化法案(昨年自民党が議員立法で提出)に対する
警報とも言える15分間の講演があった。

さすが自民党、システムを意識している。
 法案として提出するのは法治国家として重要で民主党とは違う。
 システムの強さに反応して株価があがった。

○人事がいかに重要か。
 安倍政権、みごとに人事シフトをやっている。
 復興庁をどう使うのか、砂防会館に俗議員を集めている。
 民間学者を集め、メディア対策を展開している。
 老朽化、首都直下型・南海トラフ地震といった
 民主党も共産党も反対できない理由を表に上げている。
 民主党が「ムダな公共事業」というと「命を守る」と言う。
 田中角栄以来の最強の歴史が展開する前夜だと感じる。

○しかし中身はへんちくりんで書いていない。
 防災事業や道路事業とは書いてあるが
 何をどう使うか、個所付けはない。
 官僚に取材をすると、予算をつけておけばあとで個所付けができると言う。

というわけで「さすが自民党」と言いながら、
その逆の民主党の失敗の総括でもあった
ことが
これまた「さすが」である。 

複数の新聞、雑誌記者の他、
原科幸彦・東京工業大学名誉教授・千葉商科大学教授、
上岡直見・環境経済研究所所長なども現れ、
この問題への関心の高さをはかることができた。

私がプレゼンした「国会審議1分ダイジェスト」は別途報告(記事にするかも)したい。 
予算審議全30時間分をすべて見ることによって、
現在の国会の姿が浮かび上がってきた。

徹夜になったがその価値はあった。
設定で早回しができるので、皆様にもお勧めする。

衆議院TV参議院TV

 

 

170.60年後まで届くぼったくりバーの請求書

2月15日(金)、参議院議員会館で行われた
集会「公共事業ありきの補正予算13兆円!?
そのまま通して予算委員会(いいんかい)?」

所用から滑り込み(数分アウト)で参加した。

安倍内閣が閣議決定した
「日本経済再生に向けた緊急経済対策」のための
「13兆円」巨額補正予算案を、

衆議院予算委員会では2月7日から賞味4日間にわたり審議、
5日目の14日に通過させた。合計30時間の審議である。

参議院予算委員会では18日に審議を始めるが、
21日に安倍首相が「米国訪問」するという理由で、
その前に可決成立の流れができ始めていた。

なぜ何に13兆円が使われるのかはほとんど誰も知らない。

財務省と各省庁で決めた
  「復興・防災」3.8兆円、
  「成長による富の創出」3.1兆円、
  「暮らしの安心・地域活性化」3.1兆円
というドンブリ勘定が
財務省の「予算スキーム」には書いてあるが、
財源は、税収2600億円の他は皆、借金である。

この「ぼったくりバー」の請求書は
国債償還という形で60年後の孫のひ孫の代まで届く。

60年後の孫、ひ孫世代の「税収」の使い道を
12兆円プラス利子分、「借金返済」で拘束してしまう話である。

そんな「日本国の予算」成立の日程が
首相の訪米日程優先で、決まっていたのである。

日本の国会では、その理由が正当なものであるかのように
方便としてよく使われてきた。

60年後にはボロボロになることがわかっているハコモノを
「建設国債」で建てるという制度破綻を「今」目前にしているのに、
その制度を根本から見直さないうちに、
またぞろ何をやるのか・・という話なのである。

2600万円を持っている裕福な祖父母が、
分不相応のさらなる贅沢をするために、
まだ生まれてもいない孫ひ孫から
12億円を超える借金をする。そんな話なのである。

救いは緊急集会だったにもかかわらず、
90名を越す人々が国会内外から参加し、そのうち、
生活の党(主濱了)、共産党(穀田恵二・田村智子)
民主党(大河原雅子)社民党(福島瑞穂)
(以上、敬称略、挨拶順)のほか、
みんなの党、緑の風、各党からの参加があったことだろう。

(続)

2013年2月10日 (日)

169.伝説の内務官僚 現る(続き)

伝説の内務官僚 現る の続きです。
 
伝説の技師」という枕詞にふさわしく、響きも漢字も
ド迫力のある内務官僚、鷲尾蟄龍(わしお・ちつりゅう)氏から
資料を託された官僚出身の研究者・岡本芳美氏は、サラリと衝撃の事実を語った。 
 
「あれはね、1メートル堤防が低かったんですよ
「えっ?今なんとおっしゃいました?栗橋でですか?」 
 
「そうですよ」
「栗橋、あのカスリーン台風で堤防が切れた?」 
 
「栗橋のちょっと上流の新川通(しんかわどおり)っていうところですけどね、
 そこが切れた場所ですけど、
 300メートルほど、堤防が1メートル低かったんですよ。
 そこから溢流していって決壊したんです」
「その下流の東部鉄道鉄橋に流木が溜まっていって溢れたんでは?」 
 
「いや、堤防が低かったんです。
 米軍が当時、空から写真を撮っています。
 堤防の上に人が立って、
 溢流しているのを眺めている写真もあります」
「そ、そ、それは・・・お、お持ちですか」 
 
「ええ」
「ええええ???初めて聞きました。」 
 
「タブーでしたからね、堤防が低かったっていう話は」
「タブー?つまり河川行政の失態だから・・・」 
 
そして、それが送られてきた。
電話をくださった日に郵送してくださったのだ。
 
おおおお。
米合衆国国会図書館所蔵品。おおおお。
 
半世紀前の写真なのに見覚えがある。
こ、ここは・・・・?! 今で言うここだ!↓
Photo クリックで拡大。 
 
当時の写真の様子でも、半世紀を経て昨年撮った写真でも
遠くに東武鉄道(現・東武日光線)鉄橋がうっすらと見える。
 
岡本氏の述べた通り、決壊箇所はそのもっと手前の新川通。
上記写真で堤防道路が太くなっているところが
決壊が始まった下流端付近。
 
地図で確認をすると、今パブコメにかかっている
利根川水系河川整備計画原案(P.7、P.8、P.54)で位置づけようとしている
首都圏氾濫区域堤防強化対策 が進められているところだ。 
 
(嶋津暉之氏の開示請求による調査で堤防1メートル当たり約400万円の巨額事業だ) 
 
利根川本川右岸埼玉県北埼玉郡東村新川通地先(現加須市)
においては、堤防が最大で 350 m も決壊した」と書かれている。
 
しかし堤防が低かったことは今でも治水の沿革に書かれていない
堤防が脆弱だった事実を隠し、決壊の原因を隠したまま、
ひたすらダムを建設すれば大丈夫だと言って半世紀を浪費し、
そのうち、事実を知る世代がいなくなってしまったのではないか・・・。
 
Photo_2
 
 
脆弱で、堤防脇で漏水して(↑クリック拡大で左下写真を参考のこと)
今になって大げさな首都圏氾濫区域堤防を計画している。
 
利根川流域市民委員会の企画に参加して堤防を歩いたときに
遭遇したこの地点が、これら上記の写真を撮った地点だ。
 
・・・電話での会話に戻る。
 
「岡本先生、鷲尾蟄龍さんですが、
 今、伺いながらネット検索すると、論文1件がヒットしました。」
「え?僕はいくら探しても1件もヒットしなかったけど」
 
「山本 晃一さんという方が書いた
「そうでしょ。彼はね、自分では本を書かなかったんですよ。
 お釈迦さんは自分では本を書かなかったけど
 弟子達が書き残したでしょう?あれと同じです。
 鷲尾が言ったことを周りが彼がああ言ったこう言ったって
 書きとめる、伝説の技師だったんです」
 
「鷲尾蟄龍さんは一体なぜ、岡本先生に資料を託したんでしょう?
 岡本先生はこれを今になって紐解かれたわけですね」
 
「皆さん持っている資料だと思っていたんです。お持ちではなかったんですね。
 国交省は暴走をしています。
 
 カスリーン台風で2万1千トンが流れたなんて。あり得ません。
 比流量 英語でSpecific Dischargeと言いましてね、
 1平方キロメートル(キロが抜けていました訂正&お詫び
 あたり何立方メートルの水が流れるかですが
 2万1千トンが流れたとしたら、
 日本の国土ではありえない比流量になります
 
 昔は、暴走を止める人がいたんです。
 今は、○○ ○が河川局を牛耳っています。
 誰も暴走を止める人がいない。」
 
「はい」
 
「昔は、暴走を止める人がいたんです。
 私が渡良瀬遊水地の工事事務所にいた時にこんなことがありました。
 渡良瀬遊水地(に水を入れるの)は越流堤にしようとしていたのが
 水門がいい、効率が良いからということになりかけていた。
 
 暴走です。当時は台風がいつ来るかなんて予測技術はなかった。
 だから、水門は効率はいいかもしれないが、 
 人為で開け閉めするなんて誰も責任が持てない。
 でも、もう水門に決まりかけていた。
 そこに、横田周平という土木研究所の所長が来て、こう言った。
 『管理する所長が自殺してもいいのか!』
 
 いつ来るか分からない台風に対応するなんてできない。
 もしも失敗したら所長が自殺することになるがそれでいいのかと。
 それで水門ではなく、越流堤になった。
 
 今は暴走を止める人がいません。
 暴走を止めたいんです。
 そうでなければ、八ッ場の次のダムも造ろうとするでしょう」
 
・・・岡本芳美さんは、その託された資料を論文にまとめて発表されると
電話をかけてきた。
 
研究者であればこれから発表する内容を電話で教えてくれたりはしない。
まして、貴重な写真を挿入して送ってきてくれたりはしない。
ジャーナリストが個人的に発信しているブログに
「今の話を書いてもいいかと聞かれて」もどんどん書けとは言わない。
 
伝説の内務官僚が岡本氏に私に、次へつなげと言っているかのようだ。
 
声が聞こえてくる。
 
流域の人が利根川をとにかく隅から隅まで歩く。それしかありませんよ
宮本博司さんの声だ。
 
今年も年末年始で70キロぐらい歩きましたよ。いつもです。
 歩いて役人より詳しくならないと。僕らがもっと詳しくならないと
田中利勝さんの声だ。
 
始まりなのか、終わりなのか。重くて涙が出てしまうよ
 
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168.ここが問題!これが提案!利根川パブコメ

利根川流域市民委員会のパブコメ作戦をまるごと転載します。
 
             
 
ここが問題!これが提案!              
http://tonegawashimin.cocolog-nifty.com/blog/
 
国土交通省関東地方整備局が利根川水系の利根川・江戸川河川整備計画の原案を
発表しました。利根川流域市民委員会では「治水」「利水」「環境」「手続き」
の面から次のような問題があると考えます。
 
皆様も原案をご確認の上、ドシドシとご意見をお寄せください。
私たちの提案も是非、ご参考ください。<転載歓迎>
 
1.利根川水系全体の計画にしてください! 
2.事業費と実現性を明らかにしてください!
3.治水目標流量は旧建設省資料と比べて過大です! 
4.治水効果が不明な八ッ場ダムを位置付けないでください!
5.優先順序を明らかにして自治体・住民参加で治水計画を見直してください。
6.想定外の洪水で壊滅的な被害を受けない対策を盛り込んでください。
7.完成しない巨額の堤防ではなく最新の技術を活用してください!
8.ゲリラ豪雨による内水氾濫への対策を位置づけてください。
9.不要な利水事業を削除してください!
10.リスクが適正に評価されていないままの事業を位置づけないでください!
11.ラムサール条約に登録されるよう湿地保全を具体的に位置づけてください!
12.生物多様性国家戦略を位置づけてください!
13.効果と影響の事後評価を行って計画を適正化してください!
14.関係住民の意見を反映してください!
 
1~14までの詳細は
原案
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/index00000021.html
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000214.html
http://tonegawashimin.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-781d.html
 

2013年2月 9日 (土)

167.焼け太りを狙う水資源機構(4)

続きです。
 
太田昭宏 国土交通大臣定例会見
 
15日 の続きを聞きにいった。
 
 (問)先週伺いました丹生ダムに関してですが、
  橋下元大阪府知事が事業の撤退を申し入れていたと思いますが、
  それについては実態を聞いて頂けましたでしょうか。
 
 (答)聞きました。先日言われましたので、4つのダムについて調べさせて頂きました。
   撤退ということでしょうから、それはそういう方向という認識をしているところです。
  
 (問)今後、法律的な手続きをするよう指導されるということでしょうか。
 
 (答)まだそこまで至っておりませんが、
   中止の方向というかたちで進んでいくというふうに思います。
 
近畿地方では「淀川水系流域委員会」の試みから生まれた住民意識の高まりで、
関係住民のみならず、その結果として関係知事達の意識も高まり、
省益とぶつかりながらも、
省益維持のための無駄な事業が一つひとつ、止まり始めている。
 
しかし、抵抗もそれに比例して激しい。
前・大阪府知事から撤退(清算)手続き要請が、3年間放置されたのは抵抗の例だ。
 
こんな例もある。川上ダム事業だ。拙著にも書いたが、
この事業を止めたくない水資源機構を所管する近畿地勢は
2008年3月11日に「水需要の抑制に向けての考え方」を
http://www.yodoriver.org/kaigi/iin/74th/pdf/iin74th_ss01.pdf (の最終ページ)
淀川水系流域委員会に提出した。
 
水需要を抑制する考えかと思いきや、
  「河川管理者として直ちに利水者に転用を
  強く求めることは適切でないと考えている」と
融通によってダム事業が不要となることを避けるための通知である。
 
川上ダムの受益者(自治体)は次々と撤退し、唯一残った三重県伊賀市では
自治体の水需要分は他の自治体から融通できる可能性があったが、
その事態を避けるための通知である。
 
しかし、新しく就任した伊賀市長は
当然のことながら、見直しをはじめ、やがて川上ダム事業も止まる方向へ行くだろう。
と伝えている。
 
そして、淀川水系流域委員会で鍛えられた考える市民は、
その先を見据えている。
以下の要請書をここはまず、解説抜きで共有させていただこう。
Photo_5クリックで拡大。
 
↑「関西のダムと水道を考える会」代表の野村東洋夫さんに許可を得て転載。
 
この丹生ダムも川上ダムも、水資源開発促進法に基づく
水資源機構事業である。

167.焼け太りを狙う水資源機構(3)

(続きです)
 
独法改革について「新たに見直しをされますか」との質問への
大臣の答えには続きがある。
 
太田 昭宏 国土交通大臣定例記者会見 
 
 (答)見直しかどうかも含めて、大枠ということについて出て、
  その下で対応していくと思っています。 
 
  もともと私は、個人的なことを申し上げますと今から15年位になりますが、
  公共事業、例えば今ダムとおっしゃいましたが、
  細川内ダムとかあるいは徳山ダムというものがございまして、
  それをやるのかやらないのかということで止まっている段階にありまして、
  そうしたことをしっかり精査してやりなさいと、
  かなりイデオロギー的ではなくて具体的な事例を挙げながら国会等で質問をし、
  具体的に、徳島にある細川内ダムがそこで中止を決定したという事例もございます。
 
  私は公共事業については無駄な物は削る、必要な物はやる
  そうした信念をずっと持っていますが、
  行革のそうした具体的な方向そして対処、そういうことについては、
  まだ内閣としての大方針が出ていませんので、
  これからそれらを見て判断したいと思っております。
 
太田 昭宏 国土交通大臣定例会見
 
この日は、別の記者によって次のような質疑が行われた。
「無駄」の定義がさらに見えてきた。
 
 (問)公共事業が増えると、バラマキだとか批判的な声があがることが多い
 かと思いますが、大臣としては、なぜ公共事業が増えるとバラマキという
 声があがるというふうにお考えですか。
 
 (答)・・・(略)・・・ 何を無駄かということを
 当時私自身が国会等でも言ったかと言いますと、
 例えば、あるダムならダムの仕掛り中の物がある、
 しかし地元が反対をしたりしていて、そして多くの意見があったりして
 そのまま止まってきているいうようなことについては、
 結論を早く出すというようなことが非常に必要だと、
 一番の無駄は作ろうとして止まったままおいてあることではないか
 というようなこともあったり、
 あるいは当時はB/Cというものは厳密にやられていないということもありまして、
 誰から見てもムダだという事案がいくつか出てきたということがあったと思います。 
 
 しかし、(略)まさに今度の緊急経済対策にありますように、
 インフラの基盤を作る中で経済活動が行われていくというようなことの中で、
 もう少し幅広いそうした経済活性化の乗数効果というものを判断すべき
 というものは私個人は持っているところでありますが、
 今から10年前位から特にそうした
 いくつかの確かにそれは無駄だなと思えるような事例があったことが
 そのまま引きずられて今日に至っているのではないかと思いますが、
 それ故に、今回公共事業ということを防災・減災ということで、
 そして現場から積み上げていくことが必要で、
 国民の理解が得られないような物はあってはならない
 というような中身を吟味するべきだと私が言って、
 そこに注力しているというのは、そういう経過をなんとか振り払いたい、
 振り払いたいというのは無駄な公共事業は必要無いが、
 必要な公共事業は行うという当たり前のことでありますけれども、
 そうしたところに、ものの判断を出来るようにしていかなくてはならない
 と思っているからであります。
 
継続も断続も力。早く後ろ扉を閉じて新しい時代に生きたい。さらなる質問に行った。
 
太田 昭宏 国土交通大臣定例会見
 
 (問)先程の予算の早期成立、迅速な執行ということに絡めてお伺いします。
 先日も大臣は徳山ダムのことを少しお話されましたが、
 この根拠法である水資源開発促進法、そしてその法律を根拠に持っている水資源機構、
 ここが2002年の扇大臣の時代に独法改革をした時に、新規の事業として
 
  栃木県の南摩ダム、
  滋賀県にあります丹生ダム、
  三重県にあります川上ダム、
  そして岐阜県にあります木曽川導水事業の4つ
 
 これがその当時新規であるということで継続になっております。
 ところが2002年から今11年過ぎて、もうすぐ12年になりますが、
 未だに全く手つかず状態と言いますか、水需要のために、
 まさに先程大臣が仰いました一番最初のタイプの公共事業、
 産業整備という意味で水需要のために計画されたものですが、
 これらがまだあります。この迅速という意味からすれば、
 これから作る意味がないものではないかと思います。
 
 このような事業について、長期的に動いていない事業についてはどうなさるのか、
 そしてそうした無駄を延々と続けてきた水資源機構自体を
 廃止されるお考えはないかどうか、お願いします。
 
 (答)まず、私が迅速という言葉を使いましたのは、
 今回の補正予算はあくまで補正予算なので、
 年度を越しますと繰越という形になります。
 来年の3月を越えますと通常は事故繰越ということで、
 非常に使いづらいということで制約が掛かってきます。 
 
 従いまして、今回の予算が、通常このような時期に
 これだけの予算が組まれるということはなかなかありませんが、
 早く契約が成立をして、その意味では手続きの簡素化ということも必要でしょう。
 具体的にそれが進んでいくということが大事だというような、
 いろいろな隘路を突破しようというような工夫が必要であるとともに、
 執行しようとしましても、なかなか人の問題がありまして、
 職人さんがいない、あるいは技能者と技術者と、
 技術士のお金の基準ではこれを置きなさいなど、いろいろなことがありますので、
 その辺りで迅速ということが極めて重要であるということを
 お話をさせて頂いたところです。
 
 今仰った4つのダムについては、ダムについては
 一つ一つを今検証しているということが基本になっております。
 私としては従来から、いつかの時の記者会見でも申し上げましたが、
 無駄ということは一体どのようなことが無駄なのかという中に、
 やるのかやらないのかよく分からなくて、ズルズルといっているというのは、
 これは時間も含めた無駄であろうということを発言させて頂いたことがあったと
 記憶しております。
 
 そのような意味では、今御指摘の4つのダムについて、
 一体どのようになっているのかを私自身がまだ十分承知しておりませんので、
 それについてはズルズルいって、
 やるのかやならないのか分からないのは無駄であるという私の考え方に
 変わりはありませんが、どのような事情で、それが今どのようになっているのか
 ということの詳細を存じておりませんので、一遍調べさせて頂きたいと思っています
 
 (問)丹生ダムに関しては橋下大阪府知事の時代に全て撤退をしたいという
 手続きをやってほしいと大臣と機構の理事長に申し入れをされていますが、
 放置されて3年が経っておりますのでそれも含めて調べて頂ければと思います。
 
 (答)はい。
 
そしてこの大臣は誠実に調べてくれたのである。

166.焼け太りを狙う水資源機構(2)

(続きです)
太田 昭宏 国土交通大臣定例記者会見 
 
 (問)民主党政権下で独立行政法人改革について、
  あまり知られていませんが、(改革が)進んでいたようなのですが、
  やり方に少し問題があるのではないかという指摘もあります。 
 
  例えば水資源機構ですが、扇千景さんが国土交通大臣をされていた時に
  ダムは作らない組織に改革されたわけですが、
  今回、今まで7水系のみのダム開発をしていた組織が、
  この独法改革という名の下で、海外事業なども受注できるように
  法律案をいじっているというような話が聞こえてきたのですが、
  改革の名で焼け太りしてしまうというようなところに、
  今後どのような観点から大臣としては取り組みをされますでしょうか。  
 
 (答)いわゆる行政改革ということについては、稲田さんが大臣になりまして、
  政府全体の方針として何らかの新たな方針が出てくる段階にございません。
  したがって大枠としてのそうした方針というものを見ながらものを
  考えていくべきだろうと思います。 
 
 (問)新たに見直しをされますか。 
 
 (答)見直しかどうかも含めて、大枠ということについて出て、
  その下で対応していくと思っています。 
 
その後、気になる情報が公表された。  
アベノミクスに悪乗りした行政の肥大化だ。 
 
   「国土」交通省であるにも関わらず、
  「(4)産業競争力強化等の取組の推進体制の強化」の名で
    水管理・国土保全局河川計画課「国際室」を設けてしまった。 
 
国内で頭打ちとなった「河川開発」を「海外」で行おうと民間企業が思ったとしよう。 
 
しかし、実際にそのノウハウや開発技術を持っているのは「民間企業」であり
国土交通省ではない。海外進出のもくろみを支援したいとしても
「外務省」で十分だ。大使館にアタッシェ―を送り込むことで十分だ。 
 
国土交通省に「国際室」を設けることは行革には反する。悪乗りだ。
これがもしも「天下りポスト狙い」ではないと言うなら、
ゼネコンへの天下りを全廃するべきだ。 
 
  こういう足がかりを許せば、
  次は、水資源機構にもその仕事をやらせようということになる。
  行政組織の肥大化は、毎日、防がなければ
  情けない深さと執拗さで暴走する。 
 
Photo_2
(余談:国土交通省の記者クラブについて)
自公政権となり、フリーは会見室から追い出されるかしら・・・と心配していたが、
少し安心材料がある。海外メディア、外国人記者が参加するようになったのだ。
以前は「○○○に対する受け止めを」と、単なる感想を求める記者質問が目立ったが、
最近はそんな「受け身」の会見が変わってきた。
 

165.焼け太りを狙う水資源機構(1)

新しい時代の扉に手をかけるには、
後ろ手にもう一方の手で古い時代の扉を閉める必要がある。
 
一人の人間なら区切りやケジメを、たとえつけなくても
(人生も常に選択で、整理整頓は大事だが)、
新しいことに取りかかれば、否が応にも古いことはフェードアウトする。
 
しかし組織の場合は、キチン、キチンと古い組織を閉めていかねば
組織は肥大化し、無駄な人件費が使われ、人材が浪費されるばかりだ。
 
浪費を止めるには根拠法やその省庁の設置法に遡って根っこから廃止する必要がある。
 
民間企業ならリストラしないとつぶれるが、
国民がお金を出し合って成り立つ行政組織は、国民の監視はもちろん、
立法府や司法府がさぼっていると、リストラをしない。
 
それどころか、組織内で古い仕事を閉めないうちに
脱法行為、つまり法律に書いていない仕事をこっそり増やしながら、
バレていないと見ると、その脱法行為をいつのまにか合法化してしまう。
 
新しい仕事をフェードインさせて、古い仕事もダラダラ続けて
自治体にその負担を付け回すことになる。なぜか。
 
拙著「水資源開発促進法 立法と公共事業」で、
役割を終えたこの法律と、それに基づく組織が廃止されるべきだと書いた。
書いたことを実現する作業に入った。(続く)

http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1450-7.html

2013年2月 8日 (金)

164. 伝説の内務官僚 現る

岡本芳美・元新潟大教授(河川学)からお電話をいただいた。

今年1月6日(日)の東京新聞1面の題材を提供した方で、
(リンク切れの場合はこちら
元利根川上流工事事務所の河川調査課長などを務めていた頃には
前田武志・元国交大臣の上司だったこともある河川官僚だった方です。

岡本氏は、50年前、
旧内務省で「伝説の技術士」と呼ばれた鷲尾蟄龍(わしお・ちつりゅう)氏が
当時85歳だったとき、亡くなる直前、
これは大切に保存しなさい」と言って託してくれた資料を
大切に保管してきた。その一つは、

1947年(昭和22年)のカスリーン台風のわずか2ヶ月後、11月25日に
内務省が国土局会議室内で開催した「治水調査会利根川第1回小委員会」の
議事録を含む資料「利根川河川改修計画資料Ⅴ(治水調査会編)建設省」だった。

 現在、国交省は、昭和22年のカスリーン台風時の最大流量は
 毎秒2万1千立米を超えたと主張し、
 裁判所にもそれを裏付ける再現計算の計算根拠を提出。

 一方で、それと矛盾する資料を大臣命令で明らかにさせられると、
 2011年、日本学術会議を招集し、東大と京大のモデルを作らせて、

 新しい再現計算によって「再現できている」から
 毎秒2万1千立米超は正しいと称してきた。

 それが、八ッ場ダムの最新の建設根拠となっている。

 ところが2012年、利根川・江戸川有識者会議で良識ある学者が守旧派学者と
 対等に議論して、「現実」と「計算」の矛盾を説明できなくなると
 会議は途端にストップした。

 国交省から明らかにされている数字を使ってきちんと計算をすれば
 せいぜい毎秒1万五千立米程度にしかならず、
 それならば八ッ場ダムは必要がないという矛盾だ。

 計算だけではない。カスリーン台風時に毎秒2万1千立米を超える流量が
 あったはずがないことは、氾濫の「事実」と氾濫したという「図」が食い違っていること
 からも説明がつき、これに対し、国交省の言い分は
 「それは(たとえば氾濫図)は計算に使っていない。
  再現計算は合っている」
のでいいのだというものだった。

 「事実」ではなく「机上の計算」でなければ「過去の計算」と合わない、
 八ッ場ダムの必要性が裏付けられないことを暗に認めているようなものだった。

そこに伝説の技術士から託された資料を掘り出してきたのが
岡本芳美・元新潟大教授だ。

「国土交通省の暴走を止めたい」と言う。

今聞いたこのお話をブログで書いてもいいですか?と聞くと、
「もうバンバン書いてください」とおっしゃる。

(続きは数コマあとで。)

163.浜岡原発OKの安全基準(案)

頭を抱えたくなるニュースが続きます。
 
複数テーマを、新聞記者とは違うペース、違う視点で取材していますが、
「この質問は今しておかなければならない」というものは記者ペースで取材にいきます。
 
その一つが日本列島がのっているプレートの話です。
 
原発の「地震・津波に関わる新安全設計基準」の議論がパブコメを前に
佳境に入りつつあった昨年12月、原子力規制委員長の定例会見で尋ねました。
 
なぜなら、気象庁は、東日本大震災の後、次のような発表を行っていました。
 
「国土地理院によると、この地震により生じた地殻変動によって、
 牡鹿半島の電子基準点は水平方向に東南東へ約5.3m移動し、
 垂直方向には約1.2m沈下した。」
 
「海上保安庁によると、震源のほぼ真上に位置する海底基準点は
 東南東に約24m移動約3m隆起した。」
 
以下の地図では、右下の矢印を50㎝換算として、
水平移動した距離感が描かれています。
Photoクリックで拡大
 
半端じゃありません。
 
パブコメを目前に、聴いておかなければならないと思った質問のうち、
その一つは次のように尋ねました。
 
 ○記者 最後の質問です。すみません。
 女川原発についてですが、1メートル程沈下したと聞いています。
 そうしますと、活断層が大変議論になっていますけれども、
 プレートの上に乗っているという観点から、
 日本独自の新しい基準が必要ではないかと思いますが、
 その点は御検討される予定はありますでしょうか。
 
 ○田中委員長 最初は何とおっしゃいましたか
 
 ○記者 女川原発は3.11で1m程沈下したということです。
 あの付近一体は数mの単位で地面が沈下しているわけですけれども、
 そういった観点から、日本列島独自、プレートの上に乗っている列島としての
 基準みたいなものが必要ではないかと思います。
 
 ○規制庁 地震・津波担当の管理官補佐をやっております、渡辺と申します。
 よろしくお願いいたします。
 
 今、御指摘のあった女川の地盤沈下、地殻変動などについては、
 検討チームの中でも、地殻変動に対する考慮は、
 基準の中に盛り込むべきではないかという議論がございます。
 
 これは東日本大震災の知見を踏まえて、
 原子力安全委員会で耐震指針の見直し案を作っていた時にも、
 全く同じ議論がございまして、地殻変動を考慮したような評価をすべきということも、
 指針の改定案の中には盛り込まれていまして、今回の検討チームによって、
 また見直される新しい基準の中でも、
 そういうことも考慮したような格好で検討されていくものだと考えております。
 
 ○記者 ありがとうございました。
 
すべてユーチューブで見たはずですが、
そんな議論があっただろうかと後日、議事録を見ると確かに意見は出ていました。
 
しかし、私が質問をしたその翌日です・・・。
 
 
藤原広行 独立行政法人防災科学技術研究所社会防災システム研究領域
の領域長が質問している。議事録62ページ。
 
 「例えば3.11の地震以降、プレート境界の地震については、
 すごく大きな地震もまだあるんじゃないのかとか、いろんなことも言われていると。
 こういう中で、これまでの選定がそれでよかったのか、
 あるいは今後どのように改良していけばいいのかというところなんですけども、
 明確な根拠がない中での選定の作業というふうになる中で、それの妥当性について、
 何らかの判断基準、そういったものを今後考えていかなきゃいけないんじゃないのか
 というふうな気がしております。」
 
それから丸1カ月ちょっと。
おびただしい量と質のパブコメが一挙に行われることになりました。
 
 
日本列島を載せたプレートの話はどのように盛り込まれているのか、
1月30日の時点であった記者向けの説明会で聴いて、骨子案を読んでも分かりません。
 
時間切れだといって質問を遮られたためぶら下がりで、ここか?と聞くとそうらしい。
Photo_2
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/shin_taishinkijyun/data/0008_02.pdf
 
そこでさらに尋ねました。以下は私の取材メモです。
 
「これは『設許可基準』と書いてあるが、『設基準』に読める。
 『設許可基準』なのか、『設許可基準』なのか。」
 
「『設許可基準』です」
 
「『設置許可基準』と言えば、普通の日本語では、そこに建ててよいかどうかであり
 『設計許可基準』と言えば、その建物の基準です。
 『設許可基準』と書いてあるのに『設許可基準』なのでは
 私のような馬鹿にはわかりません」と自分を落とし、
 
「たとえば、プレートの境界にある浜岡原発は、
 この基準ではどうなりますか」と食い下がると、クリアするのだと言う。
 
「え?プレートの境にあるのに、これでは浜岡原発は稼働できてしまう?」
「はい」
 
ここで書かれている「設許可基準」をクリアすればそうなると言う。
個別事業のことは私は分からないがと言いながら、そう答える。
 
また、『設置許可基準』なのか『設計許可基準』という言葉の紛らわしさは
保安院時代に変えた以下の二つで使われている言葉がごっちゃに使われているから
それは整理されると言う。
 ・発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(改訂案)(平成 24 年 3 月 22 日)
 ・発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き(改訂案)平成 24 年 3月 22 日)
 
果たしてパブコメにかけられた骨子ではどうなっているか。
見るとこうなっている。
Photo_3
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130206/kossi_eq.pdf
(↑http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130206.html)
 
2012年12月27日に田中委員長に記者会見で聞いて、
 田中委員長が答えられずに、
 「渡辺」という地震・津波担当の管理官補佐が答え、
 2013年1月30日会見後のぶら下がりで事務方にかみついたところは
 設置が設計と言葉だけ変わったことになる。
 
 日本列島をのせたプレートごと動くことへの基準が必要ではないかという質問に対し、
 返ってきた答えは、浜岡原発オッケーの設計基準骨子案だった。
 設計基準をクリアしたと言えば
 どんなところに建っていてもオッケーな「安全基準」なのだ
 
これが今、パブコメにかかっている。
記者が受けた説明会のようなことも、ぶら下がり取材もできないままに。
 
静岡県民のみなさん、どうしますか?
山梨県、神奈川県、愛知県のみなさん、どうしますか?
 
原発を地域に抱えた皆さん、どうしますか?
 
ちなみに田中委員長は会見で電力会社職員からの
パブコメもパブコメだと平然と答えていますから、
大量に組織パブコメが出ると思います。
 
3.11の日本列島を再掲します。
Photo_4
 
 

2013年2月 6日 (水)

162.2600億円の税収に13兆円の補正予算?

国家経営の基本は、税収の再分配。
 富める者(自治体や人)から貧しいもの(自治体や人)に
 そして、今を生きる現世代から未来をいく次世代に
 いかに賢く再分配し、何を財産として残していくかである。
 
今回の2012年度補正予算は、現・衆参両院の国会議員がいかに
このことを軽くしか考えていないかを表している。
 
13兆円のバラマキの「原資」をひもとくと
 なんと「現世代」から徴収できる税収はたったの2600億円
 「13兆円-2600億円(*)は「未来世代」の税収の先食いなのだ。
24クリックで拡大
 
「現世代」はすでに「前世代」のボロボロ老朽化ハコモノを背負わされている。
 いかにそのお荷物を整理し、環境に負荷の少ない社会へと再構築し、
 安心で安全な食糧生産の場と環境を確保するための
 お金のかからない良い意味での規制を強化し、
 肥大化した政府の役割(=支出)を小さくしていくことが重要だと思うのだが・・・
 (たとえば、変わっていく産業構造や社会からこぼれ落ちる人への
  セーフティネットを張ることだけに限定するような再配分社会の構築)
 
「15ヶ月予算」の名で来年度5月まで繰り越しで使い切る「13兆円」は
いったいどういう使い方なのか。
 
2月5日の衆議院本会議で補正予算審議入りし、
衆議院では12日、参議院では18日に成立させるというが、
以下は、ちょっと待った!という緊急集会の案内だ。
13_3
 
 

2013年2月 2日 (土)

161.パブコメと撒き餌

世の中がおかしいと思っている政策マインドを持つ人、または業界ロビイストは、
所信表明演説国会への提出法案、それぞれの中身に注視する。
 
そして今年は、このタイミングにあえて「ぶつけている」と思わざるをえない
「パブコメ」と「不正発覚」の発表が次々とある。
(後者はスキャンダル好きのマスコミへの撒き餌だなぁと思う。)
 
パブコメについては、例えば以下の通り。
 
■八ッ場ダムに関しては2月1日、その上位計画である
利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(原案)」(つまり一部区間)が
なぜ今か?と思う時期でわざわざ有識者会議を打ち切って突如公表された。
(しかしパブコメページをクリックしてもいっこうに原案にはたどり着かず、
検索をかけて、やっとここに→原案(PDF)がある。)
 刻々と情報を上げているので必見。
 
■原子力規制委員会では1月30日に
原子力災害対策指針(改定原案)に対するパブコメが始まり、
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130130.html
 
■まもなく原発事故を起こさないことを目的とすべき原子炉設置のための基準
(=必須要件の法令とすべきところ、たいした縛りにもなりそうにない「基準」)も
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/shin_anzenkijyun/20130131.html
パブコメにかかる予定だ。
 
 これらについては「避難の権利」ブログがぴったりとマークしているから必見。
 
そして撒き餌の部類は、
 
■2月1日、日本原電に元原子力安全委員会職員/原子力規制庁審議官が、
敦賀原発破砕帯調査に関するドラフトを事前に渡していた会見。
 
 規制する側がその自覚なく、未だに「規制の虜」状態であることが
 臨時記者会見動画(←2月1日18:00~)で分かるので、撒き餌だと思っても必見だ。
 一週間かけて調査、公表したというわりに、何も調査する気がなかったことが
 記者達と森本原子力規制庁次長とのやりとりで分かる。
 懲戒処分にできる根拠から目をそらし
 「文科省に出向」という小馬鹿にした処分で人の怒りを巧みに煽っている。
 とにかくわざわざ一週間ずらした
 
笹子トンネル 過去の点検計画を取りやめ (NHK2月1日 18時37分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130201/k10015231701000.html(←消えると思うが)
中日本高速道路は笹子トンネルで計画していた天井板撤去を
取りやめていたという発表。
 
 『笹子トンネル天井崩落事故──生かされなかった教訓』(月刊世界2月号)で
 米国での天井板崩落死亡事故を知っていたのに生かさなかったことを書いたが
 撤去計画まであった。 しかも、
 昨年12月2日に起きた死亡事故であるにもかかわらず、2ヶ月もずらして
 わざわざニュースの立て込む2月1日を選んで発表高度な情報隠蔽)した。
 その意図または非意図に吐き気がする。
 
 (ちなみに、この日、2月1日に私がでかけていったのは東京都知事の定例会見だった。)
 
なお、パブコメは日本では諸外国に遅れて成立した行政手続法に基づく
最も未熟でありながら重要な情報公開と参加」の仕組みだ。
 
 パブコメ情報はトップページに掲載すべきだが、原子力規制委員会の場合、
 すでに新着情報からは押し流されている。
 そこで、規制委員会の意見ページに「トップページに掲載すべきだ」と提案した。
 以前、ウェブ掲載資料に番号がついていないのに会議では資料番号を使っているので、
 資料番号をつけて掲載せよと提案したら、そうなった。
 
声は出さないと世の中は変わらない。
 
 国交省の場合も同様だ。とにかく見づらいところに見づらいやり方で載せる。
 
負けるもんか、負けるもんか、という声が聞こえてくるが、
それが以心伝心による人々の声なのか、自分の声なのか分からない。
 
 

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