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2013年2月16日 (土)

171.もう一つの予算委員会

60年後まで届くぼったくりバーの請求書の続きです。

2月15日(金)、参議院議員会館で行われた
集会「公共事業ありきの補正予算13兆円!?
そのまま通して予算委員会(いいんかい)?」は

30時間で13兆円を審議した衆議院予算委員会を補足する
市民による もう一つの予算委員会」とも言えるものになった。

参加者から提起された問題は以下のようなものだ(赤字は筆者による強調)。

NPO法人 海は森の恋人 畠山信さんからのメッセージ(代読)
  約2年前の2011年3月11日に三陸リアス式海岸は未曾有の大津波に襲われて壊滅的な被害を受け、私も住み慣れた家と祖母を失いました。現在,復興に向けた取り組みが少しずつ進み始めていますが、被災地では地域住民の十分な理解を得られないまま,巨大防潮堤等の建設計画が進行しつつあります。 私は気仙沼市において「森は海の恋人」運動を続けている漁業者であり、また、震災を生き延びた人間として、巨大防潮堤をはじめとする公共事業の慎重な予算の配分を強く望みます。 私たちが後世に残すものは,管理費のかかるコンクリートの塊ではなく、エコトーンを有した森・里・川・海の豊かな自然環境であるべきです。それこそが、人口の減少に見合った持続可能な社会構築と、未来の日本人が世界に誇れる国を創造するための余地となりえます。(後略)

外環ネット 大塚康高さん
 外環道は16キロ区間、40mより深いところに道路を作る計画です。準備工事が始まりましたが、本工事は始まっていません。地上部にはさらなる道路計画があります。2010年に交通需要の調査があり、外環道が最も影響する道路である環状8号線は2005年度で35%交通が減っています。国交省の事業目的はすでに達され、必要性は失われています。

●横浜環状道路(圏央道)対策連絡協議会   長谷川誠二さん
 安倍首相がムダな公共事業はない、事業評価をやっていると言うが、事業評価監視委員会こそが、事業にお墨付きを与える場になっています。横浜環状道路の都市計画決定からすでに18年、4全総からは27年、この間、3回の事業監視委員会が開催されました。構想から27年の事業は必要なのかを審議するのが監視委員会なのに、重要だから早くやれと言います。去年の事業評価結果を裁判で裁きたい。

●よみがえれ!有明訴訟弁護団   後藤富和さん
 諫早干拓事業のギロチンの映像を覚えておられると思うが、以後どうなったでしょうか。諫早干拓2008年に完成し、2600億円かけて作った農地は50億円で長崎に売却されました7年間にわたって返済します。その農地への入植者はおらず、わずか41戸の農家がリースをしています。もうじき更新期限が来ますが、すでに1回目の更新で離農農家が出ます。この失敗事業で何が起きたでしょうか。有明海全域が瀕死です。政府は(判決により)今年の年末までに水門を開けなければならならないことになっていますが、開けるにも費用がかかります。一度ムダな事業を許せばこうなるという事例です

渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える  田口康夫さん
砂防ダムは明治時代から120年間作られています。ここ数十年でも毎年3~7千億円前後費やしています。これだけ時間とお金をかけても整備率が20%かありません。限界です。新しいものを作っても老朽化します。既存の砂防ダムのスリット化を提案しています。

スーパー堤防問題を考える協議会  堀 達雄さん
国交省は猛スピードで利根川江戸川河川整備計画を策定しようとしています。そこには右岸の19.8km区間のスーパー堤防をすすめるとされているが、とんでもありません。2兆1000億円で、堤防1mに1億円。進捗率は25年間でわずか1.1%、200年間で完成するという完成しない事業です。住民合意がとれない密集市街地域で、2006年以来、反対運動が継続しています。「堤防の上には住みたくない」という人々で住民訴訟の大法廷を毎回一杯にしています。ムダで不要な事業に予算をつけないでください。

その他をもっと短く要約すると以下の通りである。

●「ラムサールネットワーク日本」の陣内隆之さん:徳島県那賀川河口の左岸に計画されている堤防補強事業で豊かな自然が破壊される!

●「日本湿地ネットワーク」の伊藤昌尚さん:干潟や海を守る活動にとって、国土強靭化予算で、本当に必要な復興予算が横取りされているのではないか、国民の生活に密着した必要な公共事業なら許せるがムダな公共事業が入っている予算には反対したい!

●「水源開発問題全国連絡会」 遠藤保男さん:2009年政権交代で唯一見直されようとしたのがダム事業だったが、「ダム事業計画ありき」の見直し方式であったため、事業者が推進としていたダムは全て「推進」となっている。抜本的見直しが必要だ

●「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」 川村晃生さん:JR東海の単独事業で名古屋まで5.4兆円、大阪まで9兆円の事業。しかし財源は大丈夫なのか。JR東海はまだ3兆円の借金を背負っている。公共事業は2倍3倍に膨れる。5.4兆円でできなかったらどうするかと財務省に聞くと何もしないという。トンネルを掘ってそのままにしておくのかと言ったらそうですという。人口が減る。東海道新幹線でさえ減収するのにどうするのか!

「日本環境法律家連盟」西島和さん:先日、長崎県の石木ダムに現地調査に行ってきた。ムダな事業が進むことを懸念している。

先述したように生活の党、共産党、民主党、社民党、
みんなの党、緑の風からの参加があった。

来週から始まる参議院予算委員会で
これらの一つでもあるいは総意<メッセージ>がくみ取られれば
この集会は大成功だったと言えるだろう。

また取り上げられなかったとしてもそれで諦める集団でもない。

五十嵐敬喜・法政大学教授からは
国土強靱化法案(昨年自民党が議員立法で提出)に対する
警報とも言える15分間の講演があった。

さすが自民党、システムを意識している。
 法案として提出するのは法治国家として重要で民主党とは違う。
 システムの強さに反応して株価があがった。

○人事がいかに重要か。
 安倍政権、みごとに人事シフトをやっている。
 復興庁をどう使うのか、砂防会館に俗議員を集めている。
 民間学者を集め、メディア対策を展開している。
 老朽化、首都直下型・南海トラフ地震といった
 民主党も共産党も反対できない理由を表に上げている。
 民主党が「ムダな公共事業」というと「命を守る」と言う。
 田中角栄以来の最強の歴史が展開する前夜だと感じる。

○しかし中身はへんちくりんで書いていない。
 防災事業や道路事業とは書いてあるが
 何をどう使うか、個所付けはない。
 官僚に取材をすると、予算をつけておけばあとで個所付けができると言う。

というわけで「さすが自民党」と言いながら、
その逆の民主党の失敗の総括でもあった
ことが
これまた「さすが」である。 

複数の新聞、雑誌記者の他、
原科幸彦・東京工業大学名誉教授・千葉商科大学教授、
上岡直見・環境経済研究所所長なども現れ、
この問題への関心の高さをはかることができた。

私がプレゼンした「国会審議1分ダイジェスト」は別途報告(記事にするかも)したい。 
予算審議全30時間分をすべて見ることによって、
現在の国会の姿が浮かび上がってきた。

徹夜になったがその価値はあった。
設定で早回しができるので、皆様にもお勧めする。

衆議院TV参議院TV

 

 

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