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2013年2月22日 (金)

179.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(8)

以下の赤字については2013年3月4日に加筆・訂正しました。
 
利根川水系の中でも下久保ダムなどの湖沼と利根川河口堰では
環境基準が違うので、詳しくはこちらこちらへ。
 
2013年2月21日 利根川・江戸川有識者会議、
関東地方整備局河川調査課 小島氏が、配布資料の説明に21分間をかけた。
 
淺枝隆・埼玉大学大学院教授が最初の発言者だった。
興味深い論点だったので、記録(概要)と解説をしておく。
 
「河川の環境基準にBODがあるが、
 利根川河口堰など淡水域があり、BODだけでなく、
 本来はリンと窒素も環境基準に加えるべきだ。
 
 しかし、リンとチッ素の高度処理ができない自治体事情を鑑みれば、
 河川敷(低水護岸)を切り下げるなり、
 場合によったら船底の断面で
 河川の中で水質の浄化が可能になることを考えて欲しい。
 
 周辺の水田にはサギ類がいるが川では見られない。
 川が急に深くなるので、サギ類の餌場がない。
 餌場を考えていただきたい。
 湿地再生を利根川水系河川整備計画に位置づけるべきだ」
 
淺枝氏論点の評価点と論点の穴
利根川河口堰の水質について初めて触れた点は評価できる。
なぜか? 少し解説させていただきます。
 
通常の下水道処理ではBODは下げられるが
リンと窒素は「高度処理」でなければ下がらない。
 
もしもリンと窒素を環境基準にすると、
財政事情に厳しい自治体は「高度処理」施設を導入しなければ
リンと窒素を除去できずに、環境基準をクリアできない。
 
だから、誰も、リンと窒素を規制すべきだと言わない。
 
本末転倒の水質環境行政が行われていることが、
知っている者にとっては露わなのだが、
淺枝氏は、その点には触れなかった。
 
この発言の重要性は、
日本の環境行政が、環境の保全を目指さず、
自治体や企業ができることだけに規制をかける、
いかにいい加減なものか、
すべては「アワスメント」であることを明らかにしたことだ。

本来はそこまで指摘してこそ専門家なのだが、

知りすぎた専門家は、そうした不都合な真実をはしょってしまう。
 
リンと窒素はアオコなどの原因となるが、
そのリンと窒素を規制すべきだと言うかわりに
代替案として
湿地再生によって川の水の浄化作用を挙げるべきだと述べた。

湿地の再生は重要だ。しかし、

こうして自治体の責任を免責してしまうために
環境行政は一つ、また一つひとつと遅れていく。
 
課題は、リンと窒素の汚染原因は何かを突き止め、
その汚染源を止めることであるにもかかわらず、
「湿地再生」という言葉で、汚染源は何かという
根本情報を隠してしまうことになる。
 
淺枝氏の発言は第一歩であるにしても
そこを出発点に、では
利根川水系河川整備計画には、アオコ汚染の原因となる
リンと窒素対策をどうするのか、汚染源は何か、
どう規制するかが重要だが、
他の環境系委員からはこの問題を掘り下げるための発言が
ひとことも出なかった。
 
次回は汚染源は何か、対策は何かを議論すべきである。
 
 
 

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