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2013年2月19日 (火)

175.密室で決めた旧計画の呪縛を解く方法(4)

国交省関東地方整備局の
利根川・江戸川有識者会議(座長宮村忠・関東学院大学名誉教授)では
目標流量17000トンの信憑性を巡り議論が白熱する一方、
 
ダム容認派の間では、
 「うんざりする」
 「第8回はガス抜きをする」
と言った声がささやかれていた。
 
一方で、環境の専門家は多数いるのに、押し黙り、
率直な意見表明をした鷲谷教授以外の環境を専門とする委員は、
無言や欠席のまま、果たすべき役割を果たしていない
 
そこで、それぞれに質問を送ってみた。
幸いなことにボチボチ返事をいただいている。
 
Photo_4Photo_3 Photo Photo_2
クリックすれば拡大できます。↑
 
利根川河川整備計画原案は30年を対象として、
環境、利水についても書かれているが、
治水の巨大プロジェクトメニューに偏重し、
具体的な環境保全措置などが書かれていない。ヌケが多い。
 
保全努力を行ってきたNGOの話をきちんと聞く手続も取っていない。
これは未来世代から見ると問題が多い。
 
そんな中、
法律(河川法16条の2)に定められた発言の場を与えられている
有識者の役割は大きい。
 
目標流量に議論が集中しているからと言って
治水と同等の環境、利水の問題を議論しないのはおかしい。
 
その流れに引きずられることなく、
専門分野から言うべき意見を言えば良いだけだが、
座長もまた河川工学専門だからか、
バランスのよい有識者会議の運営となっていない。
 
目標流量17000トンの信憑性について論議になるのは、
念を押すが、それが八ッ場ダムやスーパー堤防その他
巨大プロジェクトの根拠だからだ。それは、
想定内の洪水に対して想定内の治水施設で防災をするという
古い考え方に基づいた古い治水のあり方だからだ。
 
 信憑性の疑われている東大モデル
 平成10年のパラメータに合わせて、果たして
 昭和22年を再現できるのかを含めて、
 トコトン決着がつくまで議論してもらわなくて困る。
 
しかし、環境と利水の議論をしなくてよい理由にはならない。
 
こうした審議会で、
なぜ、自分の専門性を発揮してきちんと意見を言わないのだと聴くと
「一千万円もらわないと割に合わないねぇ~」と言う人もいる。
 
自分の信じる理念と知見に基づいて時間を投じる
ノブリス・オブリージュの概念を露ほども持たない人がいるものである。
 
そればかりか、自分が蓄えてきた知恵を公益のために使って行政と対峙し
飽くなき言論に挑む人をさげすむ風潮もある。
 
同じことを繰り返し言えば、如何にそれが真実であっても
言えば言うほど疎まれる。それを分かっていて、
自分にとってなんの利益になるわけでもないことを
繰り返し言うのは、ノブリス・オブリージュ以外の何ものでもない。
 
ちなみに、このブログで繰り返し大熊孝委員と関良基委員の言論を
記録しているのは、利益相反と正反対のノブリス・オブリージュこそが、
学と官のあり方に一石を投じると信じているからだ。
 
こうした場に身をおくすべての専門家が、
私益を超えた高貴な義務を果たしてくれることに期待する。
自分への不利益や多忙を理由にした妥協はして欲しくない。
 
 

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