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2013年1月 4日 (金)

146.私たちは待てる。再生可能エネルギー社会

今年になっても続いている論議の一つに「再生可能エネルギーは非現実的」というものがある。あらゆる情報にアクセスができる国家レベルの政治家までがそう言っているが、これは最新情報を踏まえた認識ではない。

昨年12月2日(土)に日英・環境アセスメントと災害管理の政策統合に関するワークショップ(Japan-UK joint workshop on Policy Integration between Environmental Assessment and Disaster Management)に呼ばれて、「災害時における日本のアセス法の適用除外、その機能の検証」と題して話をした。その際にまとめたプレゼンの中から3枚のデータを見てもらいたい。

一枚目は3.11後に「災害復旧」を理由に東京電力がアセス法の適用除外を求め、日本政府が認めた火力発電の増設分である()。283万kW分もある。これに対し、福島第一原発の1号機から6号機までを足すと470万kW程度だった。原発6基分の6割の電力を、たった半年間でガスタービン等8基の火力発電で代替した。単純化すれば火力発電13基で原発6基を代替できる計算だ。

Photo

「東電発電設備のアセス法適用除外に関する報告」 政野淳子『環境アセスメント学会誌』2012年2月(第 10 巻第 1 号)より作成

二枚目は、3.11後に成立し、2012年7月に施行開始した再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT) が3カ月の間にどれだけ再生可能エネルギーが増えたかを示したものだ。右下の発電量の合計を見て欲しい。すでに稼働されたのは115万kW程度だが、許可された出力量は286万kWにのぼる。福島第一原発の6基分(470万kW)はすでに火力発電(283万kW)と再生可能エネルギー(286万kW)が代替し、お釣りがくる。

Fit

質問をいただいたので(2013.1.5)、元の日本語は2列目が「2012年4月~10月末までに運転開始した設備容量」、3列目が「2012年度末までの導入予測」、4列目が「10月末までに認定を受けた設備容量」です。資源エネルギー庁の元データを引っ張り出しました。(あ、上記DecemberをNovemberに訂正してお詫びします。)

もう一枚、決定的なデータを見てもらう。これは東電が3.11後公表し続けた2011年夏の需要予測(5500万kW)と、2011年3~9月までの毎月10日の24時間の実際の電力供給量の差をグラフにしてみたものだ。私たち日本人は今現在も甚大な被害を出し続けている福島第一原発470万kWを遥かに凌ぐ節電(直後の4月で2500万kW、真夏でさえも600万kWもの節電)を行ったのだ。

Photo_2

私たちの社会は原発を必要としない。
良識(節電努力)と新しい技術と制度でこの2年間を乗り切った。

日本に存在した54基の原発うち、3.11前でも稼働率は6割程度だったとすれば32基分を代替すればいい。6基強を3ヶ月で代替できたのだから、単純計算で16ヶ月あればすべてを代替できる潜在性を日本は持っている。

国家経営の観点、および企業(電力会社、金融機関)の社会的責任と経営判断から、事故時の影響リスクのより低い代替エネルギーへの転換を進めるべきではないか。地震で揺れるたびに、どこ?震度は?と慌ててテレビをつけるような恐怖から国民は脱することができる。私たちはすでに21ヶ月をしのいだ。16ヶ月は現実的な目標となりえる。そのためのいくつかの健全な選択肢を示すことができる。

政策決定者への提言(国民に選択肢を!)

1)内閣が国家の経営判断として、超法規的に原発稼働停止を政治的に決定する。

2)原子力規制委員会が、原子力規制委員会設置法第4条に基づいて、環境大臣に対し、「原発再稼働申請」行為を環境影響評価の対象事業に加えるよう勧告を出す。その際には、影響評価の項目に何を加えるべきかを、パブコメにかけた上で、その公衆意見を反映した形で勧告を行う。

3)環境大臣が、 

①環境影響評価法に基づき、その第2条2項1号ワ「(略)一の事業に係る環境影響を受ける地域の範囲が広く、その一の事業に係る環境影響評価を行う必要の程度がこれらに準ずるものとして政令で定める事業」として、「原発再稼働申請」行為を環境影響評価の対象事業に加える政令改正を直ちに行う。 

②政令改正にあたっては、なんぴとも参加できる環境影響評価において「原発再稼働」と「再生可能エネルギー」を比較評価できるよう、事業者に対しては「再生可能エネルギー」による代替案の影響評価の提出も義務付ける。 

③政令改正にあたっては電力自由化政策にも考慮したうえで、環境省設置法第三条に示された「環境省は、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全並びに原子力の研究、開発及び利用における安全の確保を図ることを任務とする」省をつかさどる大臣として、経済産業大臣他関係省に呼びかけ、当該原発再稼働分にあたる電力の供給事業を一般競争入札にかける制度を創設する。この一般競争入札参加者はコンソーシアムや複数企業によるジョイント・ベンチャーも可能とする。

④電力供給実施を前提に多企業による異なる電力事業の環境影響評価を行い、最も環境影響リスクの少ない事業が選択できる制度を創設する。

もちろん、3)については細々とした制度改正がさらに必要になるが、事故時にはどこまで放射能影響が広がるかという予測の他、今までは隠されていた採掘から廃棄物処理に至るまでの労働災害コストも含めて適正な影響予測を行って、再生可能エネルギーによる実現可能性と影響評価を比較することが可能な時代ではないか。

原子力規制委員会は、今年7月までに原発設置許可の基準を策定し、それを遡及(バックフィット)させることは決定しているから、実際には、それが「原子力再稼働申請」にあたることになる。上記の提案はけして突飛な提案ではないはずだ。その選択の先には原発から脱した社会が私たちを待っている!そして16ヶ月からさらに先は火力発電をも徐々にリプレースしていくことが可能なはずだ。

夢や意図的な情報操作ではなく現実を語ろう。

最後に、この考えをまとめるきっかけとなった「日英・環境アセスメントと災害管理の政策統合に関するワークショップ」に呼んでくださった主催者に感謝します。

)余談だが、私なりの理由で原発事故についてはもともと取材をしないつもりだった。しかし、未曾有の大惨事を引き起こした東電がそれに乗じて火力発電でアセス法の適用除外を受けようとしているという告発を受け、他の事業者が取って代わるならまだしも、東電が適用除外されるのでは、火事場泥棒(モラルハザード)ではないかと思い、4月になり取材をしに行ったのが東電取材の始まりだ。たまたま資料をもらいに行った時間が東電会見と重なっていた。その模様を見て驚愕。海洋に放射性物質を流したというリリースに「低濃度」と書いてあるが実際の数値は「高濃度」。この「大本営発表」に誰も突っ込まない(良心的に言えば記者たちが泊まり込みで取材し続けているような状況で中だるみしていたのでしょう)実態に遭遇して、「これはいかん」とただちに質問を開始。以後、取材を始めたが、昨年後半は会見に出向けていないが、監視は続けている。

 

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