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2013年1月

2013年1月31日 (木)

160.あと2年をどう過ごすのか

一昨年前、国交省がダム検証の場に提出した資料で、
八ッ場ダム事業はたとえ本体工事が着工されても、
完成までに7年を超え、事業費の増額が必要であることが織り込まれていた。
2015年(平成27年)になれば基本計画の変更が必要となる。
 
上位計画である河川整備計画の策定が1997年以来、サボタージュされたまま、
昭和22年の議事録発覚(東京新聞報道)で事業の根拠を失ったダム計画を、
国交省は今、ゴリ押しをしようとしているが、法治国家で三権のうち、
誰が「この事業は終わった」と言う勇気を持つだろうか。
 
◇「八ッ場あしたの会」が八ッ場ダム事業の見通し、
八ッ場ダム予算、河川整備計画に関する報道をまとめて転載している。
 
群馬県知事 
平成25年度政府予算内示における八ッ場ダム建設事業の知事コメント(1月29日)
 
埼玉県知事定例記者会見:平成25年2月5日
19:50~あたり、堤防の漏水話が出てくる。
 
http://www.mlit.go.jp/common/000986328.pdf
 
八ッ場ダム住民訴訟通信(2013年2月1日発行)PDF
八ッ場ダムをストップさせる茨城の会が、
この間のニュースをわかりやすくまとめ、、裁判の予定(2月13日)を載せている。
 
八ッ場ダムをストップさせる東京の会八ッ場ダムニュース」PDFが
3月29日の裁判の予定を載せている。
 
2004年9月に事業総額2110億円が4600億円に倍増された時点で
住民監査、住民訴訟が提起され、8年が経つ
この間、すでに一度、工期が延長されている。
 
皮肉にも中止を宣言した民主党政権になってから
「生活再建事業」として道路や橋の工事が着実に進んだが、
この間、このままではダムは不要になると先読みをした自治体がひとつもなく、
未来世代に負担がかかるだけの事業への支出を違法であると断罪できる裁判官
一人もいなかった。
 
ダムができるまではと待ち続けた長野原町民、
このままでは無駄になるだけだと裁判を続行してきた一都五県の住民、
数多の人生を少数の人間が左右することを独裁と言い、
参加によって利害調整が行われ、社会が可能な限り最適化されるのが
民主主義だとすれば、もちろん誰でも後者を望んでいるはずだが、
なぜ、日本は、いつまでもそこに到達できないのだろうか。
 

159.月刊誌でも週刊誌でも十分に広められない原発パブコメ

1月30日(水)、「原子力規制庁」が昨日、初めて「原子力規制委員会」に
原子力災害対策指針(原案)」を説明した。
 会議資料  http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/20130130.html
 動画  http://www.youtube.com/watch?v=5qXnxgmWMfI&feature=youtu.be
 パブコメページ  http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130130.html 
2月12日(火)が締め切り。
2月20日(水)原子力規制委員会で改定案を決定という流れだ。
 
これに対しては「避難の権利」ブログの運営者達がこの原案について
2月9日(土)にパブコメセミナーを企画している。問題の指摘もしている。
 
●2週間のパブコメは今どきになく短い。
原子力規制庁が「できるだけ早く自治体にお示しをしたい」という理由で
「ご了承いただければ」「パブリックコメントは2週間にしたい」と
原子力規制委員会に問うと、すかさず、
傍聴席からは「2週間では短すぎます!」と異論が発せられた。
 
国会の同意人事も受けずに就任したのであるから、ほんとうは誠意の見せどころ。
ところが、「二週間では短いか?」と相談もせず傍聴者は「雑音」扱い。
 
原子力規制委員たちにとっては初めての規則作り。
検討チームで検討してきたとは言え、
委員たちの議論は上記動画(0:23~0:46)で正味10分のみ。
 
●午後の田中委員長会見で、
米国の規制当局ではルール改正の際、
産業側だけではなく当該自治体やNGOから直接意見を聴いているのに
日本ではなぜそうしないのかと問うと、
米国では訴訟が起きているからではないかとの答え。
なぜ日本では意見を聴かないのだ?と根拠を挙げて再質問すると、
原子力規制庁の森本次長に「ここは意見を言う場ではない」と遮られた。
 
●今後、バラバラに議論されていた「設計基準」「地震・津波に関わる新安全設計基準」
「シビアアクシデント基準」を含め、パブコメが続くが、
とても座りの悪い、規則作りをしている。
本来なら、事故を二度と繰り返さないことを前提に、
 立地条件 → あわなければ廃炉
 設計要件 → あわなければ廃炉
 稼働・定期検査等での労働者の健康確保ルール→違反があれば運転停止
 万が一の事故が起た場合の事前の対策要件→クリアできなければ廃炉
 住民防護・避難計画策定の要件→ クリアできなければ廃炉
 シビアアクシデント対策の要件→ クリアできなければ廃炉
と段階的に考えいけば、合理的だ。
ところが、最初にパブコメにかかったのが、
万が一事故が起きてしまった後の策だ。
 
立地条件を厳しくすれば廃炉になり、
避難計画が不要になる自治体も中にはあるのではないかと推察したが、
そうは考えなかったらしい。
 
(ところで昨日ぶさらがりで確認した限りは設置基準
 活断層の露頭が地表に表れていないという1基準しかなく、
 他はすべて「設置基準」と書かれていても「設計」次第で事故は防げるという
 「設計基準」だった。)
 
「条件」や「要件」ではなく、「指針」や「基準」という表現ぶりで
しかも「バックフィット命令をかけなければ反映されないが
いつどう命令をかけるかはわからない」と昨日の時点では記者に説明をしていた。
 
2週間しかないのでは直前に載るかもしれない載らないかもしれない
記事執筆だけでは不十分と考え、以上、ご紹介した。

2013年1月29日 (火)

158.突然の利根川水系一部区間の河川整備計画公表

国土交通省関東地方整備局は、1月29日午後2:00に
八ッ場ダムの上位計画である「利根川水系河川整備計画」のうち、
突然、公表した。
 
この原案によれば、対象の計画期間は、概ね30年間
 
目標の流量は基準点である八斗島(やったじま)で17,000m3/s
ダムで調節して14,000m3/s程度を河道で流下させる計画だ。
 
そのために八ッ場ダムを建設するとされている。
 
一方で、利水事業としてこの計画に位置づけられる可能性のあった
南摩ダム事業と霞ヶ浦導水事業は、
「その扱いを検討し、その結果を踏まえて対応する」と先延ばしになった。
 
利根川水系河川整備計画の前提となる目標流量は
2012年9月から10月に開催された「利根川・江戸川有識者会議」において、
ねつ造や不適切な係数の設定に基づいていると指摘され
紛糾していたが3ヶ月もの間、中断されたまま、
今日、突然、その説明のつかない根拠に基づく
(後に旧建設省資料でも覆った)計画が公表されることとなった。
 
以下、問題点を整理しておく。
 
1.治水計画と事業内容が矛盾
 
17,000m3/s14,000m3/sの差3,000m3/Sをダムで貯めて調節する案だが、
八ッ場ダム(群馬県)の洪水調節流量は600m3/S程度と見られており、
計画と事業内容に大きな乖離がある。
Photo
 
 
2.使い続けている暫定水利権を考慮せず
 
水資源開発促進法に基づく
水資源開発基本計画に位置づけられた水資源開発施設」を表に記載している。
しかし、どの自治体がどれだけの水を必要としているのかは書かれていない。
水需要と供給を書き込むと水余りが顕著に分かるためか、書かれていないが
なんのためのダム事業なのかが分かるように書くべきである。
Photo_3
 
また、今まで使い続けてきた「暫定豊水水利権」はまったく考慮されていない。
 
「暫定豊水水利権」とは平たく表現すれば、
ダムができるまでの間、ダムができることを前提として
 川から取水できる水利権」のことだ。
 
皮肉にもダムがなくてもやりくりができたことを示している。
制度を柔軟運用するだけで(と言ってもこれまでやってきた通りで)
新たな投資をしなくても取水は可能である。
 
「暫定水利権」は不安定だという理由は説得力をもたないにも関わらず、
利水計画の全体像のうち「暫定水利権」しか書いていないのは異常である。
Photo_2
 
3.手続きの不公正性・不透明性
 
関東地方整備局では、学識者の意見を聴く手続(河川法16条の2)として
2012年9月に、4年ぶりに利根川・江戸川有識者会議で再開させた。
 
ところが、批判的な検証を行う委員からは、
目標流量」を巡って数々の論拠をもって反論・異論が噴出し、
10月16日を最後に再び、開催されなくなっていた。
 
また、有識者会議の委員に対しては、3ヶ月間で計9回に渡る日程調整が行われ、
開催予定が告げられては、そのすべてが理由もなくキャンセルされてきた。
 
さらに、会議の対象が利根川全体の一部である利根川・江戸川のみに限られ、
鬼怒川・小貝川、霞ヶ浦、中川・綾瀬川など支流を含めた
全体の検討は行われず、原案にも含まれていない
 
一方、同河川法16条の2に基づく関係住民の意見はどうか。
 
2007年時点では、個々の鬼怒川・小貝川、霞ヶ浦、中川・綾瀬川
の他、支流を含めた全体に対してもパブコメや公聴会が行われ、
多くの八ッ場ダム事業への反対意見が含まれていたが、
その意見は反映されないまま5年にわたって放置された。
 
2012年には先述の利根川・江戸川有識者会議に先駆けて、
一部の河川区域である「利根川・江戸川」の「目標流量」に限定して
再度パブコメが行われた。しかし、この時は、
「河道で14,000m3/s程度」との記載はない。
また、「20年~30年」が「30年」となった説明もない。
 
4.自然環境の保全と再生
 
些細だが、滑稽なことがある。今回公表された原案には
右肩に「2013/1/23Verに1/24意見・環境修正・見消し版【最終(公表)版】」
という文字が見えないように隠れている。
(と言うとそれが消えてしまう可能性もあるがお試しあれ)。
 
以上、1)治水計画と事業内容との矛盾、2)暫定水利権の整理統合のサボタージュ、3)手続きの不公正性、不透明性に加え、4)利根川における過去の河川開発による環境、社会、経済への事後評価や反省を踏まえておらず、それができない限りは何をもって「再生」かも分からない。次世代に渡す公共事業の根拠計画として不適格ではないか。
 
 
 
 

2013年1月28日 (月)

157.利根川をラムサール条約湿地へ(ウナギが問う3)

利根川をラムサール条約湿地へ」と目標を掲げて話をしたのは
利根川水系のど真ん中に位置する渡良瀬遊水地の
保全活動とラムサール条約登録に大きな力を発揮した
浅野正富さん(ラムサール・ネットワーク日本事務局長)だ。

浅野さんによれば、日本のラムサール条約登録湿地には特徴がある。

・北海道と沖縄に登録湿地が集中している。
・人口密度の高いところでの登録が進まない。
・登録湿地は四国には一つもない。
・重要な河川がほとんど登録されていない。
Photoクリックで拡大
出典:環境省http://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/2-3.html

 
 
・国土面積に占める登録面積の割合が先進諸外国に比べ低い。
 日本は37か所が登録されていても0.34%
 フランスは36か所で6.05%
 ドイツは34か所で2.43%
 イギリスにいたっては168で5.20%を占める。

Photo_2

出典:『「生物多様性国家戦略2012」策定に際しての
ラムサール条約湿地数値目標に関する提言書

特定非営利活動法人ラムサール・ネットワーク日本 2012年5月24日

http://www.ramnet-j.org/2012/05/27/120524nbsj2012ramnet-j.pdf 

保全のあり方については、各国が独自に考えることになっており、日本では

1.国際的基準1~9のいずれかを充たす。
  http://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/2-1.html
2.国の法律で保全を位置づける。

および地元自治体の賛意も必要だが、上記二つは大前提だ。 

渡良瀬遊水地の場合、鳥獣保護法による「鳥獣保護地区」の指定が期待されていたが、
その場合、「遊水地を掘削するなど国土交通省の事業を進める上で
鳥獣保護法の許可が必要とされ、治水事業に支障が生ずるのではないか」
という懸念があった。 

しかし、国土交通省は動いた。
2010年春、環境省に対して、河川法の渡良瀬遊水地湿地保全・再生基本計画を
法的に位置づけることをもって登録ができないかと協議を申し入れたのだ。 

環境省は「前例がない」ということで検討に1年をかけたが、2011年2月、
・鳥獣捕獲は鳥獣保護法に基づく鳥獣保護区(普通地区)、
・土地利用規制は河川法に基づく指定済みの河川区域、
という所管のすみ分けを行って、
治水と湿地保全を両立させるWinWinの関係が成り立った。

では、利根川全体をラムサール条約湿地に登録できるだろうか?
ラムサール・ネットワーク日本事務局長である浅野さんは次のように見解を示した。

●利根川は日本最大の流域面積を誇り、
 代表的湿地タイプとして基準1を充たす。
 生息する生物種の数からも基準3を充たす
 基準1: 特定の生物地理区を代表するタイプの湿地、又は希少なタイプの湿地
 基準3: 生物地理区における生物多様性の維持に重要な動植物を支えている湿地

利根川水系河川整備計画の中で利根川の湿地生態系を保全する方針
 明確に定められれば、ラムサール条約湿地登録の途は開ける。

利根川全体のラムサール条約登録湿地を目指すことによって
 ラムサール条約締約国である日本は、 
 湿地の代表的存在である河川についても
 条約湿地登録を推進し、その保全と賢明な利用を図っていく姿勢を
 明確に示さなければならない。

浅野さんはそう締めくくった。これ以上にない明確なメッセージだった。

なお、ラムサール条約登録に関する河川法の河川整備計画の位置づけは
環境省においても正式に共有されていることが分かった。

2013年1月27日 (日)

156.国際公約からみた利根川の基本方針(ウナギが問う2)

続き は、国際条約と河川整備計画の関わりについてです。
 
ラムサール条約締約国会議に、これからは国交省も誘っていかなければ、
とプレゼンを行ったのは花輪伸一さんラムサール・ネットワーク日本だ。
 
その理由を整理すると次の三つ。
 
 第一が生物多様性条約(1993年発効)
 
 第二に統合的河川流域管理(IWRM)、
    IWRMには日本政府も合意しており
     (ユネスコのここでIWRMで検索すると関係資料あり)
     ラムサール条約締約国会議の中で毎回のように議論される
    2010年にはラムサールハンドブック第9巻に「河川流域の管理 
    も出来ているが、和訳がまだない。「これは訳したい」と花輪さん。
 
第三にラムサール条約(1975年発効)
    第10回締約国会議(2008年」)で採択された32の決議のうち
    決議Ⅹ.19 「湿地と河川流域管理:統合的な科学技術的手引き」  
     「湿地の保全と賢明な利用を河川流域管理に組み込むための統合的手引き
     が重要だ
     
    さらにその国際公約を実施するための締約国向けガイドラインがある。
     「締約国は、湿地の保全と賢明な利用が組み込まれた
     河川流域管理のアプローチ を開始し、実施するにあたり、
     これらの指導原則を適用しなければならない。」
 
花輪さんが言うには、「これは日本の河川政策の評価にも役に立ちます。
河川整備計画を作るときにこの8つを満たしているでしょうか?
 
     A1.最終目標としての持続可能性   
     A2.プロセスの明確さ  
     A3.参加及び意思決定要因における公正さ
     A4.科学の信頼性  
     A5.実施の透明性  
     A6.管理の柔軟性  
     A7.決定に対する説明責任  
     A8.政策の策定及び実施における部門横断的な協力 
 
     以上、琵琶湖ラムサール研究会 『ラムサールハンドブック』等に
     リンクさせていただきました。
 
そして、こうした観点から利根川水系の河川整備基本方針 を見るとどうなるか。
 
    その河川環境の整備と保全(P.17)をみると、
    「推進する。」「に努める。」「図る。」と希望として述べているのみで
    ラムサール条約や生物多様性条約の考え方は反映されているとは言えない。
 というのが、花輪伸一さんの見立てだ。
 
次のコマでは、利根川の河川整備基本方針の下位計画である
河川整備計画と国際条約との関係ウナギシンポからまとめておく。
繰り返すが、河川法は、治水、利水、河川環境の保全を目的とする法律だ。
 
その河川法16条の2に基づいて河川整備計画を策定するときには、
 第4項「開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置」を取るとされている。
 第3項では、「河川に関し学識経験を有する者の意見」を聴くことになっている。
 国際的な知見を有するNGOの意見は、これにもあたる。
 
ところが、河川法における最上位計画にである利根川河川整備基本方針には
 こうした「参加」の概念がなく、すでに、上記であげられた
 A3.参加及び意思決定要因における公正さ
 A7.決定に対する説明責任
 という観点は欠けている。
 
その下位計画である利根川水系河川整備計画を策定する際には、
 形骸化した聞き置くだけの参加ではなく、
 基本方針の不備を補う十分な参加が行われることが不可欠だ。
 
花輪伸一(はなわ しんいち)さんはWWF(世界自然保護基金)ジャパンの自然保護室で国際NGOとして活躍した後も、国内外の川や海の開発現場を歩き、湿地保全の先頭に立って住民支援をしている。利根川に関して言えば、八ッ場ダム住民訴訟で環境配慮がどのようにお粗末だったかを証言した、現場を知る数少ない環境アセスメントの専門家でもある。
 
培われた知恵と経験を河川行政における財産として生かさない手はない。
 
日本の河川行政には、
 国際公約を遵守して取り入れるべき視点を入れよう
 
ウナギの目になって見てみると、見えにくかったものがはっきりと見えてきた。
 
 
 
 

2013年1月20日 (日)

155.利根川に1997年が来た(ウナギが問う1)

利根川シンポジウム「ウナギが問う! 
 
問題提起と報告で示されたことを順不同で整理しておくと以下の通りだ。
 
浜田篤信さん(元・茨城県内水面水産試験場長/現・霞ヶ浦漁業研究会)
がまとめたデータによれば、
 
○利根川ではニホンウナギの漁獲が1967年から年率7.5%の減少、
 全国では1970年から4.7%づつの減少を辿っている。
○この減少時期と水系指定(水資源開発促進法による)の時期は一致し、
○ニホンウナギの減少とダムの利根川のダム累積数は相関している。
 ウナギ漁獲量の減少率はダム一基につき約15%だ。
○シジミの減少傾向とウナギの減少傾向も一致、
 二つの減少は同一の原因で減少している
○その主因は河川工事であると考えるべきではないか。
 
「私が言っていること、本当でしょうか?」と、
分析を試みたばかりの浜田さんが、聴衆に考えさせながらも
自身も驚愕をしながら報告されているのが印象的だった。
 
○利根川の親ウナギの漁獲は減っているものの、それとは反比例で、
 日本全体における利根川のシラスウナギの依存度は高まってきた。
 
とのデータも示された。日本で国産ウナギを食べ続けていくためには、
利根川の生態系を保全していくことが重要なのだ。
 
飯島博さん(アサザ基金・代表理事)は、
浜田さんが分析した河川開発と共に漁獲が減ったというデータは
漁師の感覚とも一致すると、アンケート結果をもとに述べた。
 
これに対する霞ヶ浦におけるウナギ回復に向けた提案は
海の出入り口である利根川の常陸水門(ひたちすいもん)を柔軟に開閉して
シラスウナギが入ってこられるようにすることだ。
 
霞ヶ浦は、本来は、海水と湖水が出入りする汽水湖だ。
 
しかし、現在は、利根川の出入り口に「常陸水門」が設けられ、
農作物への塩害を防ぐ、水道水、工業用水を取るという理由で、
霞ヶ浦に貯まった水を洪水時に吐くために水門は開くが、
海からは、海水が入ってこないように締め切っている。
 
これを塩害が起きないタイミング(がある)を見極めてゲートを上げ、
シラスウナギやアユの稚魚が入ってこられるようにしたら
漁獲が上がるではないかという提案だ。
この提案は自民党政権時代から民主党政権時代まで、長年行っている。
 
その間、水門操作の故障で、水門が閉まらず、海水が入ってきた期間がある。
するとその後、見事に漁獲が上がったのだと言う。この時の額をもとに試算すると、
飯島さんの計算では常陸水門の柔軟運用で300億円を超える効果がでる。
 
常陸水門の操作規則を変える前に、まず、
試験的に試してみたらよいではないかとの柔軟な提案だ。
 
河川法は、治水、利水、河川環境の保全を目的とする法律だ。
その河川法16条の2に基づいて河川整備計画を策定するときには、
「開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置」を取るとされている。
 
利根川水系の河川整備計画を策定する際の大前提は、
行政にはない知恵と知見、経験と教訓を人々から吸い上げて
よりよいものにすることである。
 
前者の浜田篤信(はまだ あつのぶ)さんは、
 茨城県の内水面、つまり霞ヶ浦や利根川、那珂川などの
 漁業資源について調査研究をする内水面水産試験場長を務められた方だ。
 古くは霞ヶ浦へ流れ込む農薬、焼却炉から排出されるダイオキシン、
 東電事故以後は放射能汚染調査まで、
 霞ヶ浦の漁業資源や生態系を阻害する原因物質と向き合ってきた。
 浜田さんらによる環境教育の場を取材させていただいたことがあるが、
 霞ヶ浦をフィールドに遊び学ぶ若者や子どもたちの「考える力」は
 鍛えられた観察眼に基づくものに育っていて
 ビックリするほど深いことに驚いたことがある。
 
後者の飯島博(いいじま ひろし)さんは、
 今回のシンポジウムの名付け親でもある。
 霞ヶ浦とその地域を再生する「市民型公共事業」と称される
 「アサザプロジェクト」を1995年に立ち上げたアイデアマンだ。
 住民参加を飛び越え、市民の発想に「行政参加」を促す積極姿勢で突き進んでいる。
 アサザ基金のスタッフ達は密かに「飯島マジック」と呼んでいる。
 彼が言っていることはいつの間にか実現してしまうからだ。
 
 行政のみならず学校や農家、企業を巻き込んで、
 環境を保全する人材の育成を行い、その結果として、
 環境を保全しているのかと思いきや、地場の産物を使った商品開発を行って、
 地域おこしと一体となっている。その結果、環境が保全されていくという構想だ。
 この成功例を広げたいという地域からは引っ張りだこである。
 会場にはワクワク感が広まり、会場からは利根川全体での「市民型公共事業」は
 可能だろうかと質問が出た。
 
 市民型公共事業と言えば、常陸水門の柔軟運用にもオマケがある。
 水門の直上流で取水し、常陸水門の柔軟運用をできない理由に使われている
 農業用水についてである。常陸水門の直上流での取水の代わりに
 もっと上流で取水され、すぐ近くまで運ばれてきている鹿島工業地帯で
 4割余っている水を企業が売ればよい。農作物への塩害リスクもゼロになり
 常陸水門を柔軟運用して漁獲もあがる。みんながハッピーになるというアイデアだ。
 
利根川水系河川整備計画策定に向けるヒント
浜田さんによる利根川における河川開発による環境影響事後評価と
飯島さんによる市民型公共事業の発想を
20年~30年の期間を持つ河川整備計画に位置づければ、
過去から未来へとつながる地に足がついた夢のある社会実験(計画)となる。
 
縦割りにこだわらない発想で、地域密着で、地域の公益を考える。
これは中央集権ではできないことであり、
河川環境の保全と住民参加がセットで改正された1997年の河川法改正は
実に意義深かったわけである。
 
それを15年間にわたって利根川水系河川整備計画を策定せず、
国土交通省が不作為を続けるうちに
流域住民は、ようやく互いに知恵と教訓を共有し始めた。
利根川が流域住民によってその価値を再発見されるのはこれからだ。
 
利根川にようやく1997年が来た。
 
続きは、ラムサール条約と生物多様性条約と河川整備計画の関わりについて。
 

写真は開場前から準備完了!のタイムキーパーズ
Photo
 
 

2013年1月19日 (土)

154.八ッ場ダム計画の終焉(2)

八ッ場ダムはあらゆる意味で日本を象徴する。続きです。
 
3.守るべき地域資源が守れない。
実は、このことが実感できるであろうシンポジウムが先週土曜日にあった。
 
1月12日、八ッ場のあしたの会が開催したシンポジウム
のどから耳がでるほど聞きたかった話がある。
○「八ッ場ダム予定地における天明浅間災害遺跡の歴史的価値」 
   堀内秀樹氏(東京大学埋蔵文化財調査室准教授・考古学)動画
○「八ッ場ダム予定地における縄文時代の遺跡」 
   勅使河原 彰氏(文化財保存全国協議会常任委・考古学)動画
○「遺跡保存を考える」 
   椎名慎太郎氏(山梨学院大学名誉教授・文化財保護法)動画
  (椎名氏の7:45あたりから300年眠っていた遺跡が
   たった10年で閉鎖された商業施設建設のために破壊された話を是非聞いて欲しい。)
 
仕事の準備上必要があって予約していた
をすっぽかしてでも、行くつもりだったが
はっ!と気づくと、今日行うウナギの話にも通じるではないかと思い直し、
勝川俊雄漁師と消費者をつなぐ素晴らしい研究者だ)の話を聞きにいったが、
やはり、ウナギの話が出た。
 
ヨーロッパウナギは日本人が食べ尽くし(おおざっぱに言えば)、
すでにワシントン条約で輸出入禁止の対象になっている。
 
 ウナギの粉末を使っている浜松名物ウナギパイを
 国際空港で売るときには、国産ウナギをつかっています、
 つまりワシントン条約に違反していませんという表示があるのだという話だった。
 
勝川俊雄さんは海の漁業資源管理の専門家だが、
日本の場合、ウナギの減少については2つ原因があり、
河川開発と養殖のためのシラスウナギの獲りすぎだという話も出た。
 
ニホンウナギも絶滅危惧種となれば、浜松名物ウナギパイどころか、
食べられなくなる。
 
話は完全に逸れたが・・・、
 
先週のあしたの会のシンポにどうしても行きたかったのは、
 現地に行った時(→遺跡は何を語るか-群馬県長野原町)に
 聞きそびれた話が出てくるかもしれないと思ったからだ。
 
実は、こうした天然資源にせよ、自然環境にせよ、遺跡にせよ、
それらを守るために存在する「種の保存法」や「文化財保護法」は
環境影響評価法と絡んで日米比較をした場合に、デジャブの感覚を持つ。
 
たとえば、米国の「種の保存法」は「史上最強の環境法」と呼ばれ、
そこで指定された種の生息地であることが環境影響評価で分かれば
影響の回避、軽減、代償を求められることになるため、
種の保存法で守らなければならないものがあれば、最初から開発行為が起きない。
実際に希少種が出てきたためにダム事業が止まったこともある。
 
また、米国でオスプレイに関する影響評価の結果を読んでいると、
日本で言う文化財保護法に相当するものが出てくる。
自然保護と同様、文化財が破壊されないかどうか重要なのだ。
(ネイティブ文化を破壊した過去はあれど)
米国でのオスプレイ配備を撃退する反対理由には、文化財の破壊がある。
 
ところが、日本では、種の保存法は芥子粒ほどの力も持たない。
同様に、文化財保護法も役に立ったのを見たことがない。
 
たとえば、八ッ場ダムに沈む前から破壊されつくした川原湯温泉は
源頼朝が見つけた温泉だと言われ、地域の財産であるが、まず、
これを守る力にならない。
また、エコ&ピース誌Actioでも書いたが、
八ッ場ダムによって影響を受ける場所には
文化財保護法で保護されるべき風景がある。
 吾妻峡(東吾妻町・長野原町)は名勝として1935年に
 川原湯岩脈(長野原町)は天然記念物として1934年に
文化財として指定を受けている。
 
ところがこの指定は役に立っていない。
 
そして、今、八ッ場ダム予定地の下から次々と、
縄文から江戸時代にいたるまでの遺跡が折り重なって見つかっているが、
文化財保護法は調査をして記録するだけの力しか持たない。
 
日本の環境影響評価(環境アセスメント)法は、
最初から事業を行うことが決まっている結果にアワスメントだと悪名高いが、
悪いのは環境影響評価法だけではなく、
それと掛け合わさっている法律があまりにもショボイのだ。
 
八ッ場ダム予定地には
○浅間山が山体崩壊した泥流や火山灰に埋もれた
  縄文から江戸時代の史跡が埋まっている。
○源頼朝が発見したと伝えられている「川原湯温泉」という文化がある。
  (ところで、明日は川原湯温泉の「湯かけ祭り」だ)
○吾妻峡、川原湯岩脈という文化財保護法で指定された文化財がある。
川そのものが作り上げた文化である。
 
1947年から1949年の審議会で治水計画の根拠が操作されていた証拠がでてきたため、今後、法律に基づく適正な計画を策定すれば、八ッ場ダム事業を位置づける根拠がないことが分かり、事実上、これらの文化は水没しないことになる。
 
しかし、実際にはすでに川原湯温泉の地域はズタズタにされた。
人間が作ってきた地域文化を守れない。
これでは、たとえ、デュープロセスによって文化財が守られることになったとしても
人々が受けた(受ける)許しがたい傷は癒やせない。
 
日本を幾重にも象徴するダムである。
 
救いは、文化財は残しさえすればその新しい価値が
将来世代によって見いだされることもあることか・・・。
地域の人の傷が癒えない限りは、
これも唾棄されても仕方がない繰り言に過ぎないが・・・。
 

2013年1月17日 (木)

153.八ッ場ダム計画の終焉(1)

八ッ場ダムはあらゆる意味で日本を象徴する話である。
 
1.海外で評価されるレクリエーション価値を軽視している。
海外のカヤッカーが八ッ場ダムの予定地である吾妻(あがつま)渓谷を
紹介したレポートの存在を教えてもらった。スリル満点の動画もある。
 
2.八ッ場ダム計画は吹き飛んだ(事業根拠が消滅した)が判断が遅い。
東京新聞が1月6日、八ッ場ダムの必要性の根拠である過去の洪水量がなんの根拠もなく
引き上げられたことを明らかにした議事録の存在を掘り出して取り上げた。
今では最大「2.2万立米」としている過去の洪水流量が、
1947年から1949年の審議会で「1.5万立米」と議論されていた。
 
それが突然、「1.7万立米」に引き上げられたことが過去の議事録で分かったのだ。
当時の元官僚が、学者に託した資料が今になってスポットライトを浴びることになった。
引き上げられる前の流量「1.5万立米」なら、八ッ場ダムは最初から要らなかった。
ダムによる治水計画の根拠となる数字が操作されたことがついに確かめられた。
 
これは、このブログで26回に渡って記録してきた話とも符号する。
係数を操作したり、日本学術会議による権威付けを試みたりしたが、
結局、みんなウソだったんだぜnoteの決定的な証拠が出てきたわけだ。
 
八ッ場ダム計画は木っ端みじんに吹き飛んだのだ。
しかし、国交省は沈黙を続けている。
 
かつて川辺川ダムが木っ端みじんに吹き飛んだのは、農水省のウソだった。
「農家が水を欲しいと言っている」というのが川辺川ダムの根拠の一つだったが、
「水は要らない」という農家を支援する人たちが足で歩いて調べていくと、
同意書にハンコを押していたのは「死者」だった。それと同じ話だ。
存在しないはずの根拠が作りだされていたのだ。
 
八ッ場ダムは事実上、もう死んだのだが、
このサドンデスの事実を社会が受け止めるにも時間がかかりそうだ。
 
1月15日の国土交通大臣の記者会見に行ってみたが、
ある記者はそのことに気づいていないかのように
群馬県知事が大臣に八ッ場ダム推進を要請にいった件を聞いていた。
大臣もまた、「1年前の前田大臣が継続と判断を示した通り」に
早期完成を目指すと回答していた。

いつ、どのように、八ッ場ダム計画が死んだことに人々は気づくのだろうか。
ダム計画が終焉したことを少しの間、黙って見ていることにした。
 
少なくとも、ダム計画は吹き飛んだことを官僚達は分かっている
いや、上記で触れた利根川・江戸川有識者会議で、すでに変化は起きていた。
 
行きがかり上、八ッ場ダム計画を擁護せざるを得ない東大教授は、
平然としどろもどろになりながらも、つじつまを合わせてきた。
この会議自体がストップしてしまい、すでに3か月が経過した。
 
日程調整が行われ、予定を立てているふりをしながら、
10月以来、連続8回も会議の予定がキャンセルしているというのだ。
 
最初は、大熊孝、関良基、野呂法夫らによる論理的な議論や質問に対し、
ダム建設を容認する委員が、論拠や回答を持ち得ない故の時間稼ぎだろうと思っていた。
 
ところが、政権党たる民主党が負けるであろう選挙態勢になり、
選挙が終わるのを待つかのような時間稼ぎ状態になった。
 
選挙が終わり、政権が変わり、民主党大臣から公明党大臣へと変わり、
八ッ場ダムの上位計画である利根川水系河川整備計画の策定を
早期に行うとの発言があり、いよいよ、再開されるのかと思いきや、
(当然である。1997年の河川法改正以来、合計15年間サボタージュしてきているのが
 利根川水系河川整備計画の策定である)
またも利根川・江戸川有識者会議の第8回が開催される予定がキャンセルになった。
 
今度は、東京新聞一面の報道におののいたタイミングだった。
国土交通省河川ムラでは
八ッ場ダムの上位計画である利根川水系河川整備計画を策定せずに、
本体に着工したいところだろう。そのように策を練っていても不思議はない。
 
八ッ場ダムの必要性の根拠が「上位計画」から消し飛んでしまったからには
事実上、「上位計画」を審議させることは、八ッ場ダムの消滅を意味するからである。
私共は国土交通省が推定をした2万1千トンを
妥当だと判断した次第でございます。」と言ってしまった学者は、
国交省(建設省)のオウンゴール(議事録)で梯子をはずされた気の毒な状態だ。
 
メンツを重んじる日本社会で、最高責任者となった国土交通大臣は、
どのように八ッ場ダム計画の終焉に形を付けていくだろうか。
数字の操作をしてしまった限りは、死者のハンコと同じように
もはや、美しい退場にはなりえない。
 
川辺川ダムの場合は、農水省の落ち度で国土交通省は自分たちのメンツをつぶさずに
止めることができたが、八ッ場ダムは多くの顔をつぶすことなく止めることは困難だ。
 
日本社会を象徴する「誰も責任を取らない」形で止めることができるのか
それとも、誰かが腹をくくるのか。
その腹をくくる覚悟ができる人は誰なのか、関係者の顔を思い浮かべている。
 

2013年1月16日 (水)

152.13.1兆円を一ヶ月でバラマク政府とは?

1月15日(火)朝、大臣会見に行った。政府発表が慌ただしい。
国会開会までのスケジュール感をまとめてみた。
 
以下のバラマキメニューの最後のページに金額が載っている。
 経済対策10.3兆円
 年金の2分の1を国負担 2.8兆円
 補正予算が13.1兆円とされている。
 
★昨日、1月15日にこの13.1兆円の平成24年度予算(案が通った。
これを年度内、つまり3月31日までに使い切りたいのだと閣僚達は考えている。
国会を2月ぐらいに通過するとすればたった一ヶ月で13.1兆円をつかう話である。
 
乱暴なバラマキ風が3月には日本中を吹き荒れる。
明らかに参院選対策(票田・財界へのバラマキ)であるとしか思えない。
 
★1月18日に税制改正大綱が出され、
1月28日に通常国会が始まる頃には、自民党バラマキ政権が完全復活する。
1月31日に上記の平成24年度補正予算案が提出されるとみられている。
 
★一方で、同1月15日に、
平成25年度予算の概算要求 (通常、前の年の8月末に出るものです)が
新たに自公バージョンに組み替えられて昨日閣議決定された。
ここに自公の要望が加わえてさらに膨らませるのだと言う。
(いくらに膨らむかは分からないが、与党議員達が地元回りや
 大臣室で要請を受けた事業に手厚くなると考えるのが自然)
こうして水ぶくれした本予算案となり、国会に提出されることになります。
 
★民主党政権下で自民党が「国土強靱化基本法案」という絵に描いた餅を提出したが、
総選挙を機に廃案になった。
しかし、このままではこれが「予算」という裏付けを得ることになり、
2013年でありながら、日本は急速に少子高齢人口減少する中で
国のありようだけが異様に1940年代(国家総動員法時代)から1960年代に逆戻りする。
 
閣僚を先頭に暴走する行政を止められるのは国会(国民)だけだ。
 
 
 
 
 

2013年1月14日 (月)

151.江戸川で生き物が教えてくれること

2013年1月13日、
「玉葉橋下の河川敷を掘削した後の様子を見に行く」という人々がいたので
「行かねば!」という直感の声に従って行ってみた。

田中利勝さんという知る人ぞ知る「江戸川の生き字引」のような方のご案内で
再生された湿地を見ることになろうとはまったく思っていなかった。

Photo(写真はクリックで拡大できます)

写真はその田中さんがひょいと池から拾い上げたヌマガイ(の殻)だ。
デカイ!どれぐらいでこんなにデカクなるのか、誰もまだ知らないのだという。

江戸川が太日川(ふといがわ)と言われた頃の歴史をすっ飛ばして言うと、
この場所は実は数年前までは河川敷だった。そして河川敷を人間が作る前には、
ヨシ原の中に無数の池が川沿いに存在し、生物の宝庫だったのだ。

2004年か2005年に、
江戸川の「流量を確保するために河道を広げる」必要が出てきたときに
この玉葉橋下の河川敷では、それを切り下げるというのが国土交通省の最初の案だった。

そこで、田中さん達は、河川敷をのっぺりと切り下げるのではなく
かつて江戸川沿いに無数にあった「池を再生して」欲しいと声を上げた。
国土交通省がその声をすくい上げて実現した。

つまり、広い河川敷を均一に切り下げるのではなく、
その一部を深く掘って副流を作り、
一部は、変化をつけて、大きさも、深さも様々な池を再生した。

2007年ぐらいから実際の工事が始まり、
2013年までの間にこんな場所へと再生したのだ。

Photo_6大きな池

Photo_9小さな池

Photo_10長い池

右上の出っ張りは掘削して池を作った後、川が作り出したもの

Photo_11水辺にはトリや動物の足跡

昨年末に「地域にこそ未来」があると書いたが、それを日々実感する。

1月19日に司会をつとめる利根川シンポ
ウナギが問う!生物多様性から考える利根川水系河川整備計画 」では
渡良瀬遊水池をフィールドにしてきた浅野正富さんや高松健比古さん
霞ヶ浦をフィールドに活躍してきた飯島博さんや浜田篤信さんが、
全国の開発現場で、自然保護活動に邁進してきた花輪伸一さん
利根川水系河川整備計画」はどうあるべきかを念頭において
独自の発信を展開される。
地域からのメッセージを多くの人に受け取ってもらえるよう大切な時間にしたいです。

Photo_12

2013年1月13日 (日)

150.経済だけ優先したあげくに経済再生?

こちらからの続きです。
 
 
補正予算(案)は10兆円と言われており、
緊急経済対策は20兆円になると報道されていたので想定内ではあるが、
 
==================================
いわゆる「15 ヶ月予算」の考え方で、大型補正予算と平成25 年度予算を合わせ、来年度の景気の下支えを行いつつ、切れ目のない経済対策を実行する。
==================================
とある。続いて
 
==================================
その際、持続的成長に貢献する分野や日本を支える将来性のある分野に重点を置き、その中で特に、即効性や需要創造効果の高い施策を優先する。
==================================
 
とあるが、小泉政権よりも前から延々と続けてきたことが、以下のように表現を少しだけ変えて書いてあるだけだ。
 
・密集市街地の改善整備の促進、避難所となる都市公園の整備等(国土交通省)
・河川・海岸・道路・港湾・空港・鉄道・航路標識・公園・上下水道等の防災対策(国土
交通省、厚生労働省)
・防災・安全に焦点を置いた社会資本整備のための交付金の創設(再掲)(国土交通省)
・全国ミッシングリンクの整備(国土交通省)
・住宅・建築物の耐震改修、建替え等の推進(国土交通省)
・東日本大震災を教訓とした地籍整備の推進(国土交通省)
・基幹的広域防災拠点支援施設の機能強化(国土交通省)
・気象観測施設の強化等(豪雨対策等)(国土交通省)
・構造材料の信頼性向上による国土強靭化の推進(文部科学省)
・官庁施設の防災機能強化等(国土交通省)
・物流施設の防災機能強化(国土交通省)
河川・海岸・道路・港湾・空港・鉄道・航路標識・上下水道等の老朽化対策(国土交通
省、厚生労働省)
 
自然資源も文化もつまりは未来へつなげる国の宝を見失って、経済のみ優先でやってきたこの国が、今になって「日本経済再生に向けた」というのは、あまりにもお粗末だ。
でかける時間が来たのでまずはコメントまで。
 
 
 
 

2013年1月12日 (土)

リプロダクティブ・ヘルスと妊娠に関する女性の意識調査

生殖看護に携っている聖路加看護大学の森明子教授が、
「リプロダクティブ・ヘルスと妊娠に関する女性の意識調査
への協力を求めています。

調査の目的は女性のリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖の健康)および
その意識・態度、妊娠の計画、妊娠に関する気がかりなどについて
実態を把握し、これらの関連をみることです。

お願いの対象は以下すべての条件にあてはまる方です。

・ご年齢18才以上45才未満
・現在お子様のいらっしゃらない方
・現在ご妊娠されていない方

ご協力くださる方は
https://www.medical-dm.info/mori/ をクリックして説明をお読みの上、
ページ下部にある「アンケートを始める」ボタンを押し、
下記情報を入力して、アンケートにご回答ください。

username: repro
password: 20Ie4kV5

よろしくお願いします。

 

2013年1月11日 (金)

149.政策と予算の議決権を国民(国会)の手に

官僚のリークは根深いな。その意味を考えずに報じるマスコミがいるんだな。そう思うことが昨日から今日にかけてあった。
 
憲法で、「予算を作成して国会に提出すること」(第73条5項)は内閣の仕事だと定められている。しかし、それを審議して国会で議決(第60条)するのは、国民が選んだ議員の仕事である。議決が行われるまでは、それは「予算案」でしかない。
 
ところが、安倍政権の誕生後すぐに補正予算(案)は10兆円になるとリークが始まり、1月10日になると、緊急経済対策は20兆円になる、11日に閣議決定する、とフジニュースネットワーク★が垂れ流した。
 
緊急経済対策、11日に閣議決定へ 3つの重点分野を設定 
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00238423.html 
 
「緊急経済対策」とは「予算」が伴うものであり、本来、一体のものである。それを内閣が「緊急経済対策」を11日に閣議決定し、「補正予算」を15日に閣議決定する。だから、その事実を報じて、何がおかしいと多くの報道機関が思ってしまうのかもしれない。しかし、これでは独裁国家下の報道機関である。なぜか?
 
予算の提出までは内閣の仕事であるにしても、その政策の中身が妥当か、その予算額は妥当なのか、それを国民に代わって審議するのが、国会である。それが行われるまでは決定事項ではない。
 
ところが、「閣議決定」という言葉の重みから、その報道を受ける側では、それをイコール決定事項として受け取ってしまう。しかし、繰り返すが、予算の議決権は国会にしかない。
 
55年体制下の日本は、現在の北朝鮮並の独裁制であり、報道のあり方も独裁国家並だった。つまり、制度的には予算の議決権が国会にありながらも、「閣議決定」された段階で、それが国家としての決定であるかのように報じてきた。しかし、憲法では、「国権の最高機関」は国会である。国民が選んだ議員の多数の議決によってしか、予算は決まらない。ましてやその予算を裏付けに持つ「緊急経済対策」とて決まらない。
 
政権が交代し、再び旧政権へとふり戻ったが、政治状況は完全に戻ったわけでない。「20兆円の緊急経済対策」を、新しい「国会」はどう審議するのか、どう審議すべきなのか、このバラマキ政策を各党がどうとらえるのか、国民にも国会議員達にも(とりわけ新人議員達)考えさせるべき時である。
 
それにもかかわらず、これまで通り、あたかも決定事項であるかのように垂れ流すのでは、最終的な議決権を持つ国民の代表である国会の力を弱めてきたのは報道者達だと言わざるをえない。霞ヶ関のリークを垂れ流し、内閣の方針を既成事実化し、国会での予算修正力を葬ってきた。
 
司法権、行政権、立法権を監視する「第四権」が報道といわれてきたが、日本国民はいまや「第五権」として報道のあり方も監視しなければならない大変な国民となってしまった。
 
なお、フジと同様に1月11日朝までにネット上でリーク情報を報じているのは日経、産経だ。
 
官僚は意図して巧みにリークする。報道は「事実」を伝えているようでありながら、実は非意図的に世論誘導(既成事実化)をさせられている。今日たまたま取材先で、「緊急経済対策」でどんな予算をつけることにしたのかをリークされ、なぜ私がリークを受けたのか、そしてそのリークをどうとらえればいいのかを考えていたところで上記の報道に接した。そして考えた結果がその上の思考である。
 
★フジの「緊急経済対策」に20兆円のリークが本当で、10兆円の補正予算案のリークも本当なら、その差額は来年度予算編成分に回ることになり、そのリークによる既成事実作りは、15日の補正予算案を超えて、来年度予算にまで渡ることになる。国会は28日に開会すると「報道」されているが、それまでにこの報道のあり方を是認すれば、補正予算と来年度予算分までの緊急経済対策までを既成事実化させてしまうことにつながる。




 

2013年1月 9日 (水)

148.原災法施行令改正の落とし穴

原子力規制委員会が猛スピードで原発利用についてのさまざまなルール作りを行っている。それを同時多発で行っているために重要なことが見落とされつつある。目配りをすべき原子力規制委員会が、野放図に見落としている。
 
原子力災害対策特別措置法施行令の一部改正パブコメの落とし穴
そのひとつに、「原子力災害対策特別措置法施行令の一部改正」がある。
 
改正案がパブコメにかけられたが、
その期間は、2012年12月1日~12月30日だった。
総選挙で世の中が騒がしかった期間だ。
 
この政令案は、「原子力事業者防災業務計画」の協議が必要な施設として
原発と同様、「もんじゅ」や 「ふげん」を追加するというものだ。
 
しかし、その追加だけが改正内容であれば問題がある。
 
なぜなら、この政令は同時に「関係周辺都道府県」とは誰かを規定するものでもある。
現状では、その要件を「原子力事業所の 30kmの範囲内」としている。
原子力規制委員会が示した改正案では、この範囲を広げる「案」が提示されなかった。
 
しかし、福島第一原発事故に直面した多くの人が、
その被害が「30km」では収まらなかったことを体験した。
であるならば、「関係周辺都道府県」の要件であるこの距離を
実際の教訓に基づいて広げるべきであるという意見が出ても不思議はない。
 
パブコメによって、まさにドンピシャな意見が寄せられていた。
 
災害対策地域が概ね 30km というのは危険に対する防災意識が低すぎる。
チェリノブイリの事故では 200km 離れていても、プルームで汚染されている
 
今回の変更で「周囲三十キロメートル」を周囲 50km あるいは 70km と変更すべきである。福島の事故をみてもその影響範囲は 30km を超えており、不適切である事が 明白である。」
 
ところが、2013年1月9日午前に開催された原子力規制委員会では、
原子力規制庁官僚から、今回の改正案は「もんじゅ」や 「ふげん」を追加するものであると
木で鼻をくくった回答があり、それに対して、
委員からは質問も反論も議論もなしでものの数分で終わった。
 
このままの“改正”案が15日に閣議決定されるのだという。
(閣議で福島の教訓をもとに異論を唱える閣僚が安倍内閣にいれば別だが。)
 
意見は3通しかなかったとの発表だ。しかし、本当か?
目を転じて、もう一つのルール作りに目を向けよう。
防災計画策定のための避難基準の検討
上記の政令改正とは別に、原子力規制委員会の原子力災害事前対策等に関する検討チーム が防災計画策定のための避難基準の検討も行っている。
 
この基準づくりには多くの異論が上がり、以下の署名活動が積極的に行われている。
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緊急防護準備区域(UPZ)30kmは狭すぎる!
これについては、ブログやツイッター、MLなどで幅広く「拡散」され、
署名の輪が広がっている。
 
さて、この緊急防護準備区域(UPZ)はなぜ30kmなのか?
 
もっと言えば、もし、原子力事業者防災業務計画についての協議を行う「関係周辺都道府県」の要件が、先述のパブコメで寄せられたように「70km」と改められたらどうか?話は違ってくるはずだ。
 
ルール作りは有機的なものであり、多元的なものである。多重に考えなければ機能しない。多重に考えることが必要であるからこそのパブコメ(みんなで改善するためのもの)である。
 
緊急防護準備区域(UPZ)30kmは狭すぎるとの署名活動が大々的に行われているすぐ脇で、それとも整合すべき、「関係周辺都道府県」の要件を広げるべきだとの意見が、たった3通だったと、何の議論もなく蹴飛ばされてよいものか?
 
「原子力事業者防災業務計画」の協議が必要な施設として「もんじゅ」や 「ふげん」を追加するという「改正案」に隠されて、「関係周辺都道府県」の要件を広げるべきという意見を、「今回の改正案には含まれていない」という説明になっていない説明を行ったのが、原子力規制庁だ。
 
「関係周辺都道府県とは誰か」を規定する重要な政令であり、その改正案に含まれていなかった(見落とされていた)からこそ、寄せられた意見であるにも関わらず、そして、そのように事務方(ともすれば原子力ムラ)の意図で(あるいは非意図的に)、見落とされていくことを、防がなければならないのが、原子力規制委員会の面々ではないか?
 
事務局のシナリオ通りに動く原子力規制委員会では、旧原子力安全委員会と大差はない。3.11前に逆戻りしつつある。
 
 
 

2013年1月 6日 (日)

147.生物多様性から考える利根川河川整備計画

2013年1月19日(土)、以下の利根川シンポジウムが開催されます。転載歓迎です。

「ウナギが問う! 生物多様性から考える利根川河川整備計画」

Photo今や絶滅危惧種に指定されようとしているニホンウナギ。利根川水系はかつて全国の1/3のウナギの漁獲を誇る川でした。河口から山あいまで、随所で採れる多様な生物を  育む自然豊かな川でした。 

しかし、ダムや河口堰の建設、霞ケ浦の人工貯水池化が進められるなど、次々と人の手による改変が行われ、利根川水系の自然は昔の面影を失ってきました。

その利根川水系の環境を左右する「利根川水系河川整備計画」を今、国土交通省は作ろうとしています。ところが、そこには生物多様性から利根川水系のあり方を考える視点は見あたりません。ウナギに象徴される利根川水系の豊かな自然を取り戻すためには河川整備計画をどのように策定すべきでしょうか。

生物多様性の視点から利根川水系を考えるシンポジウムを開きます。是非、ご参加ください。(チラシはクリックで拡大します↑)

◆日時 2013年1月19日(土)午後1時30分~4時30分
◆会場 全水道会館・大会議室(4階)

http://www.nijou.jp/page108.html
〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-1 TEL 03-3816-4132
JR水道橋駅 東口(お茶の水寄り) 徒歩2分、都営地下鉄三田線
水道橋駅 A1出口 徒歩1分

◆報告と問題提起

〇利根川水系河川整備計画の策定をめぐる経過  
嶋津暉之(利根川流域市民委員会)

〇利根川をラムサール条約湿地へ!  
浅野正富(ラムサール・ネットワーク日本)

〇ウナギが遡上するかつての利根川へ!  
浜田篤信(元・茨城県内水面水産試験場長)

〇生物多様性の保全と河川整備計画  
花輪伸一(ラムサール・ネットワーク日本)

〇霞ヶ浦も地域もウナギで元気に  
飯島博 (アサザ基金)

〇渡良瀬遊水池の湿地再生を!  
高松健比古(渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会)

討論

◆参加費 500円
◆主催 利根川流域市民委員会、ラムサール・ネットワーク日本、水源開発問題
全国連絡会

利根川流域市民委員会事務局(深澤洋子) TEL&FAX 042-341-7524

2013年1月 4日 (金)

146.私たちは待てる。再生可能エネルギー社会

今年になっても続いている論議の一つに「再生可能エネルギーは非現実的」というものがある。あらゆる情報にアクセスができる国家レベルの政治家までがそう言っているが、これは最新情報を踏まえた認識ではない。

昨年12月2日(土)に日英・環境アセスメントと災害管理の政策統合に関するワークショップ(Japan-UK joint workshop on Policy Integration between Environmental Assessment and Disaster Management)に呼ばれて、「災害時における日本のアセス法の適用除外、その機能の検証」と題して話をした。その際にまとめたプレゼンの中から3枚のデータを見てもらいたい。

一枚目は3.11後に「災害復旧」を理由に東京電力がアセス法の適用除外を求め、日本政府が認めた火力発電の増設分である()。283万kW分もある。これに対し、福島第一原発の1号機から6号機までを足すと470万kW程度だった。原発6基分の6割の電力を、たった半年間でガスタービン等8基の火力発電で代替した。単純化すれば火力発電13基で原発6基を代替できる計算だ。

Photo

「東電発電設備のアセス法適用除外に関する報告」 政野淳子『環境アセスメント学会誌』2012年2月(第 10 巻第 1 号)より作成

二枚目は、3.11後に成立し、2012年7月に施行開始した再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT) が3カ月の間にどれだけ再生可能エネルギーが増えたかを示したものだ。右下の発電量の合計を見て欲しい。すでに稼働されたのは115万kW程度だが、許可された出力量は286万kWにのぼる。福島第一原発の6基分(470万kW)はすでに火力発電(283万kW)と再生可能エネルギー(286万kW)が代替し、お釣りがくる。

Fit

質問をいただいたので(2013.1.5)、元の日本語は2列目が「2012年4月~10月末までに運転開始した設備容量」、3列目が「2012年度末までの導入予測」、4列目が「10月末までに認定を受けた設備容量」です。資源エネルギー庁の元データを引っ張り出しました。(あ、上記DecemberをNovemberに訂正してお詫びします。)

もう一枚、決定的なデータを見てもらう。これは東電が3.11後公表し続けた2011年夏の需要予測(5500万kW)と、2011年3~9月までの毎月10日の24時間の実際の電力供給量の差をグラフにしてみたものだ。私たち日本人は今現在も甚大な被害を出し続けている福島第一原発470万kWを遥かに凌ぐ節電(直後の4月で2500万kW、真夏でさえも600万kWもの節電)を行ったのだ。

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私たちの社会は原発を必要としない。
良識(節電努力)と新しい技術と制度でこの2年間を乗り切った。

日本に存在した54基の原発うち、3.11前でも稼働率は6割程度だったとすれば32基分を代替すればいい。6基強を3ヶ月で代替できたのだから、単純計算で16ヶ月あればすべてを代替できる潜在性を日本は持っている。

国家経営の観点、および企業(電力会社、金融機関)の社会的責任と経営判断から、事故時の影響リスクのより低い代替エネルギーへの転換を進めるべきではないか。地震で揺れるたびに、どこ?震度は?と慌ててテレビをつけるような恐怖から国民は脱することができる。私たちはすでに21ヶ月をしのいだ。16ヶ月は現実的な目標となりえる。そのためのいくつかの健全な選択肢を示すことができる。

政策決定者への提言(国民に選択肢を!)

1)内閣が国家の経営判断として、超法規的に原発稼働停止を政治的に決定する。

2)原子力規制委員会が、原子力規制委員会設置法第4条に基づいて、環境大臣に対し、「原発再稼働申請」行為を環境影響評価の対象事業に加えるよう勧告を出す。その際には、影響評価の項目に何を加えるべきかを、パブコメにかけた上で、その公衆意見を反映した形で勧告を行う。

3)環境大臣が、 

①環境影響評価法に基づき、その第2条2項1号ワ「(略)一の事業に係る環境影響を受ける地域の範囲が広く、その一の事業に係る環境影響評価を行う必要の程度がこれらに準ずるものとして政令で定める事業」として、「原発再稼働申請」行為を環境影響評価の対象事業に加える政令改正を直ちに行う。 

②政令改正にあたっては、なんぴとも参加できる環境影響評価において「原発再稼働」と「再生可能エネルギー」を比較評価できるよう、事業者に対しては「再生可能エネルギー」による代替案の影響評価の提出も義務付ける。 

③政令改正にあたっては電力自由化政策にも考慮したうえで、環境省設置法第三条に示された「環境省は、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全並びに原子力の研究、開発及び利用における安全の確保を図ることを任務とする」省をつかさどる大臣として、経済産業大臣他関係省に呼びかけ、当該原発再稼働分にあたる電力の供給事業を一般競争入札にかける制度を創設する。この一般競争入札参加者はコンソーシアムや複数企業によるジョイント・ベンチャーも可能とする。

④電力供給実施を前提に多企業による異なる電力事業の環境影響評価を行い、最も環境影響リスクの少ない事業が選択できる制度を創設する。

もちろん、3)については細々とした制度改正がさらに必要になるが、事故時にはどこまで放射能影響が広がるかという予測の他、今までは隠されていた採掘から廃棄物処理に至るまでの労働災害コストも含めて適正な影響予測を行って、再生可能エネルギーによる実現可能性と影響評価を比較することが可能な時代ではないか。

原子力規制委員会は、今年7月までに原発設置許可の基準を策定し、それを遡及(バックフィット)させることは決定しているから、実際には、それが「原子力再稼働申請」にあたることになる。上記の提案はけして突飛な提案ではないはずだ。その選択の先には原発から脱した社会が私たちを待っている!そして16ヶ月からさらに先は火力発電をも徐々にリプレースしていくことが可能なはずだ。

夢や意図的な情報操作ではなく現実を語ろう。

最後に、この考えをまとめるきっかけとなった「日英・環境アセスメントと災害管理の政策統合に関するワークショップ」に呼んでくださった主催者に感謝します。

)余談だが、私なりの理由で原発事故についてはもともと取材をしないつもりだった。しかし、未曾有の大惨事を引き起こした東電がそれに乗じて火力発電でアセス法の適用除外を受けようとしているという告発を受け、他の事業者が取って代わるならまだしも、東電が適用除外されるのでは、火事場泥棒(モラルハザード)ではないかと思い、4月になり取材をしに行ったのが東電取材の始まりだ。たまたま資料をもらいに行った時間が東電会見と重なっていた。その模様を見て驚愕。海洋に放射性物質を流したというリリースに「低濃度」と書いてあるが実際の数値は「高濃度」。この「大本営発表」に誰も突っ込まない(良心的に言えば記者たちが泊まり込みで取材し続けているような状況で中だるみしていたのでしょう)実態に遭遇して、「これはいかん」とただちに質問を開始。以後、取材を始めたが、昨年後半は会見に出向けていないが、監視は続けている。

 

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