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2013年1月27日 (日)

156.国際公約からみた利根川の基本方針(ウナギが問う2)

続き は、国際条約と河川整備計画の関わりについてです。
 
ラムサール条約締約国会議に、これからは国交省も誘っていかなければ、
とプレゼンを行ったのは花輪伸一さんラムサール・ネットワーク日本だ。
 
その理由を整理すると次の三つ。
 
 第一が生物多様性条約(1993年発効)
 
 第二に統合的河川流域管理(IWRM)、
    IWRMには日本政府も合意しており
     (ユネスコのここでIWRMで検索すると関係資料あり)
     ラムサール条約締約国会議の中で毎回のように議論される
    2010年にはラムサールハンドブック第9巻に「河川流域の管理 
    も出来ているが、和訳がまだない。「これは訳したい」と花輪さん。
 
第三にラムサール条約(1975年発効)
    第10回締約国会議(2008年」)で採択された32の決議のうち
    決議Ⅹ.19 「湿地と河川流域管理:統合的な科学技術的手引き」  
     「湿地の保全と賢明な利用を河川流域管理に組み込むための統合的手引き
     が重要だ
     
    さらにその国際公約を実施するための締約国向けガイドラインがある。
     「締約国は、湿地の保全と賢明な利用が組み込まれた
     河川流域管理のアプローチ を開始し、実施するにあたり、
     これらの指導原則を適用しなければならない。」
 
花輪さんが言うには、「これは日本の河川政策の評価にも役に立ちます。
河川整備計画を作るときにこの8つを満たしているでしょうか?
 
     A1.最終目標としての持続可能性   
     A2.プロセスの明確さ  
     A3.参加及び意思決定要因における公正さ
     A4.科学の信頼性  
     A5.実施の透明性  
     A6.管理の柔軟性  
     A7.決定に対する説明責任  
     A8.政策の策定及び実施における部門横断的な協力 
 
     以上、琵琶湖ラムサール研究会 『ラムサールハンドブック』等に
     リンクさせていただきました。
 
そして、こうした観点から利根川水系の河川整備基本方針 を見るとどうなるか。
 
    その河川環境の整備と保全(P.17)をみると、
    「推進する。」「に努める。」「図る。」と希望として述べているのみで
    ラムサール条約や生物多様性条約の考え方は反映されているとは言えない。
 というのが、花輪伸一さんの見立てだ。
 
次のコマでは、利根川の河川整備基本方針の下位計画である
河川整備計画と国際条約との関係ウナギシンポからまとめておく。
繰り返すが、河川法は、治水、利水、河川環境の保全を目的とする法律だ。
 
その河川法16条の2に基づいて河川整備計画を策定するときには、
 第4項「開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置」を取るとされている。
 第3項では、「河川に関し学識経験を有する者の意見」を聴くことになっている。
 国際的な知見を有するNGOの意見は、これにもあたる。
 
ところが、河川法における最上位計画にである利根川河川整備基本方針には
 こうした「参加」の概念がなく、すでに、上記であげられた
 A3.参加及び意思決定要因における公正さ
 A7.決定に対する説明責任
 という観点は欠けている。
 
その下位計画である利根川水系河川整備計画を策定する際には、
 形骸化した聞き置くだけの参加ではなく、
 基本方針の不備を補う十分な参加が行われることが不可欠だ。
 
花輪伸一(はなわ しんいち)さんはWWF(世界自然保護基金)ジャパンの自然保護室で国際NGOとして活躍した後も、国内外の川や海の開発現場を歩き、湿地保全の先頭に立って住民支援をしている。利根川に関して言えば、八ッ場ダム住民訴訟で環境配慮がどのようにお粗末だったかを証言した、現場を知る数少ない環境アセスメントの専門家でもある。
 
培われた知恵と経験を河川行政における財産として生かさない手はない。
 
日本の河川行政には、
 国際公約を遵守して取り入れるべき視点を入れよう
 
ウナギの目になって見てみると、見えにくかったものがはっきりと見えてきた。
 
 
 
 

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