133.次の時代を用意しよう
選挙戦のさなか、メコン川流域諸国等から訪れたNGOの方々向けに
日本の河川環境がいかに開発によって破壊されてきたか、
その歴史や仕組みを概説することになった。
「日本からの教訓 河川開発と破壊の背景」と題して短くお話したが、
逆にメコン河流域の人々の話に久々に触れて、
いかに日本がメコン河に依存しながら暮らす人々が直面している段階からは
かけ離れた段階にきてしまっているかに、改めて気づかされた。
日本ではすでに、魚を捕って食べて売り、川岸で野菜を育てて食べて売り、
水辺で家畜を育てて売る、川が生活の糧である生き方がほとんど失われた。
そして、あり得ないデータを理由にしたり隠したりしながら、河川開発を続けている。
そして、そのいい加減さを是正するための制度が弱い。
だから、今発展している国々では、世界にあるどんな最高の影響評価制度、
公文書・会議の公開法、住民参加制度をも上回るよい制度を作り、
費用便益分析の手法を疑い、もっともらしいデータを常に更新し、
どんな社会経済状況の変化も見逃さないで欲しい。
ところが、実はそんな先輩風を吹かせる資格など日本にはない。
日本だけではない。欧米先進諸国や中国、韓国などの新興国、
さらには少し先に発展を始めた途上国は
より後から発展を始めた途上国の闇雲な河川開発に荷担をしてきた。
自国での開発を終えるとまたは同時に、
官民共に政府開発援助や海外投資を行っている。
欧米諸国や日本が通った過ちを飛び越えてもらうための仕組みが
考えられつつあるが、開発との追いかけっこで全く追いついていない。
そして何より、日本では、日本自身がまだ最低限の
社会、環境、経済の持続可能な社会を築くための制度の多くが欠如している。
自民単独政権が終わった1993年の政変の後には、
情報公開法、NPO法などが成立したが
今回の政変は民主主義インフラを追加/強化できないままに終わった。
だからこれからだ。
やらなければならないことは見えている。
一つひとつ実現していくしかないし、近道はない。
以下は、配布資料の3頁目。現実と将来をみすえれば
やらなければならないことはたくさんある。
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