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2012年12月

2012年12月31日 (月)

145.地域にこそ未来がある。

「霞ヶ関」に会議を設けても何も変わらない。
「永田町」に人を送るだけでは何も変わらない。
「地域」にこそ知恵と未来がある。
「地域」で気づき合うことが、唯一とは言わないが
未来へと通じる必要不可欠な答えである。
 
2012年11月17日、ダム問題の老舗NGOである水源開発問題全国連絡会総会での地域レポートは圧巻だった。北は北海道から南は熊本まで、その要点をまとめてみた。ダムができてしまった地域からのレポートは、現在進行形の計画に関する報告に劣らずショッキングだった。
 
ダム建設後に問題が表出してきた当別ダム(北海道)
「当別ダムは10月に完成してしまったが、完成したあとに問題が山積してきた。ダム事業はダムができただけでは終わらない。そこから導水し、蛇口に水が運ばれるまでに導水路、浄水場などの新設にさらなる支出が必要となり、水道代に跳ね返る。利水は来年から石狩市、当別町、小樽市などに供給が始まるが、水道料金が石狩市で16.7%値上げ、当別町で当面10%、2019年からはさらに値上げする。
 
札幌市では13年後、2025年まで水は一滴も使用されないが50億円も支出する。その50億円を福祉や教育に回して欲しいと要望してきたが、『水が余っているからといって水道企業団から脱退するということはできない』と言う。このダムを強力に進めたのは北海道知事、札幌市長、その他の首長だ。新たな浄水場を作ろうとしているが止めたい。その札幌市は日量4万4千トンの水が必要になると言いながら、一方で14万トンの水が余るという計算を出し、豊平川という別の支流に水をバイパスさせる「水道水源水質保全事業」という新たな目的を出してきた。これに187億円の支出が新たに追加されるが、このバイパス事業と浄水場の事業を止めたい」
(当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会 安藤加代子さん)
 
Photo左から安藤さん、佐々木さん、市野さん
 
厚幌ダムを巡る質問経緯を見ると学識経験者は自由に物が言えない人たち(北海道)
北海道の場合、焦点となっている地域の人が動けない場合がある。
厚幌ダムについては「厚幌ダム建設事業地域代表者会議」代表の大学名誉教授に公開質問状を出したが、回答は北海道(行政)から来た。検証主体は北海道であり、「厚幌ダム建設事業地域代表者会議」には専門的な知見や科学的論拠に基づくご意見を伺っただけで「厚幌ダム建設事業地域代表者会における学識経験者の役割についての質問状」には回答できないという。しかし、私たちが質問を出したのは、まさに具体的な問題について「科学的根拠に基づいて回答」してもらいたいという意図だった。この経緯を見ると学識経験者は自由に物が言えない人たちである。
 
サンルダムについては国交省の治水のあり方有識者会議が10月にダム継続を承認。私たちはパブコメで、「ダム推進の先頭に立っている下川町は、ダムの治水効果がなく、地域振興のためにダム事業を要望しているが、問題である」と指摘しても無回答だったことを書いたら、北海道開発局が「きちんと答えた」と回答がきたので証拠を示して闘いを継続する。
 
沙流川の平取ダムで最大の問題であるアイヌ文化については、アイヌの方々が調査に駆り出される。「記憶による保全」と称して文書に残すというやり方をとる。しかし、たとえば平取ダムの予定地にある祈りの場「チノミシリ」はそれぞれの場所それぞれの人のやり方による祈りがあるものだ。同じ沙流川で1997年に完成した二風谷ダムの堆砂は16年間ですでに貯水容量の45%に達している。
(北海道自然保護協会 佐々木克之さん)
 
検証の場で治水効果を過大に評価した成瀬ダム(秋田県)
Photo_2 成瀬ダムはもともとの灌漑事業に治水目的をつけた事業。横手盆地の土地改良区で皆瀬ダムから水を供給しているが、渇水時に貯まらないという理屈で成瀬ダムが進んでいる。しかし、負担金を払うべき農家の負担を秋田県が肩代わりしている。違法であると裁判でも訴えている。
 
検討の場では成瀬ダムが一番安いとした。しかし、成瀬ダムの集水面積は1.4%に過ぎない。ところが、最大4.7%の治水効果があると過大に評価した。しかしそれは過去の洪水のうちたった一回のことで、その他の洪水では零点なんパーセントに過ぎない。
検討の場は第1回から4回まで行われており、第4回で代替案との比較評価で成瀬ダム最も有利と出た。年内中に5回目をやって最終としたいというのが見えている。住民から意見を聞くということで公聴会が行われ、「成瀬ダムをストップさせる会」から4人が反対の意見を出した。多少は賛成意見が出るのかと思えば、意見を言った9名全員が反対意見だった。
(成瀬ダム/成瀬ダムをストップさせる会 奥州光吉さん)
 
 
最上小国川ダムでは漁協が反対するも起工式(山形県)
Photo_3 山形県では先に月山ダムが完成し、地下水から水道に切り替わったが住民へのアンケートで75%がまずいと回答。水道料金は倍になった。
 
最上小国川ダムは赤倉温泉流域に計画され、事業費は今80億円だがもっと増大すると思う。東北でアユ釣り師にとって大切な川。釣り客の経済効果は22億円と計算されている。赤倉温泉は川に旅館が川にはみ出して立っている。そこでは旅館が湯量を確保するために県が作った堰があり、そこに土砂がたまりこれが洪水を引き起こしている。漁協組合員9人が反対しているが、10月29日に起工式が行われ、反対住民が抗議行動を行った。11月27日には住民訴訟が始まる。県が作った堰が問題を起こしていることを訴え続けて阻止していきたい。
(最上小国川の清流を守る会 草島進一さん)
 
 
初めてダム慎重派が入った利根川・江戸川有識者会議は開催を日延べ中(群馬県~茨城県)
Photo_5 昨年秋に八ッ場ダムが妥当という国交省の結論が出された。民主党も我々も抗議した。藤村官房長官が本体工事の条件を3つ付けた。生活再建法案の上程、利根川水系河川整備計画を策定し目標流量を策定すること、それらを踏まえての検討。これに対し市民側は2006年に作った利根川流域市民委員会を再開した。4年間の空白の間に目標流量がかさあげされていたため、批判を展開した。一方、国交省は2008年から中断していた有識者会議を再開した。新たな会議が開かれるのかと思いきや、第4回からの再開、しかもその一部である利根川・江戸川有識者会議のみの開催。抗議と意見書を連発してきたが、有識者会議にダムに懐疑的な委員を入れようと動き、大熊孝、関良基委員が入った。現在、その開催が日延べされている状態である。
(八ッ場ダムををストップさせる茨城の会 神原禮二さん)
 
導水により逆効果 藻の発生が懸念がされる霞ヶ浦導水事業(茨城県)
霞ヶ浦導水事業には那珂川漁協が抵抗している。どう考えても利水については説得力がない。現在は那珂川川から霞ヶ関に水を導して霞ヶ浦を浄化する事業に絞られている。しかし、那珂川や利根川のチッソ量が霞ヶ浦より少ないわけではない。むしろ導水によって藻が発生することが指摘されている。漁協が反対しているために、保守系も動けない。一方で放射能問題が起きている。霞ヶ浦へは栃木県の那須や茨城から流れ出してきている。今、霞ヶ浦の問題は固まっている。有識者会議を開いていない。茨城県が取水することになっている栃木県の思川開発も説得力のない状況になっているから二つを止めていきたい。
(霞ヶ浦導水事業を考える県民会議 浜田信さん)
 
ラムサール条約に登録 しかし、原発事故の放射能汚染で葦焼き(よしやき)が困難になった渡瀬遊水池(栃木県)
Photo_6 運動を始めて22年になるが今年ラムサール条約登録湿地に登録された。そこに至るまでに代表世話人の高松健比古から「水源連の励ましがあった、よろしく」というメッセージがあった。渡瀬遊水池総合開発事業は12年間かけて中止にさせた。水質調査などして国交省と交渉を重ねた。8年間かけて2010年に「渡瀬遊水池湿地保全・再生基本計画」が策定された。国交省も積極的に動き、治水増強もかねているとして湿地掘削をするということで、試験掘削が始まっているが、湿地再生はたいへんな仕事であるということを感じている。そこに原発事故の放射能汚染が起きた。例年、葦焼き(よしやき)をしていたが、この2年やっていない。燃やした灰の中に放射能が濃縮されるということで心配している。失った自然を人の手で取り返そうという大実験だ。慎重に行うしかない。
(渡瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会 猿山弘子さん)
 
 水平・縦・斜めにひび割れ40箇所 貯水を止めるべき太田川ダム(静岡県)
Photo_7 平成20年から湛水が始まり、21年から運用がされたが、貯水をやめさせる運動を起こしている。ひび割れが40箇所、水平クラック、縦クラック、斜めクラックがあり、ダムの堤体が貯水湖側に傾いている。今年の8月末までに9.9mmに及んでいる。水を貯めると下流側に傾くものだが、その逆で、珍奇な現象である。県は湛水中に他の23基のダムのデータをもとに、変位5mmを注意水準10mmを警戒水準と決めていた。この事実に基づいて3月12日に太田川ダムの貯水をやめるよう県に申し入れたが、県は無視をしている。
23基のデータについて情報開示請求をしたところ、開示しないと言ってきたので、異議申し立てを行っており、11月26日に静岡県の情報公開審議会で取り上げられることになった。正常な流水の維持機能というが、この間、大量の植物プランクトンが発生し、茶褐色になっている。これに対しても、緊急申し入れをやった。コメのとぎ汁のような貯めた水が流れてくる。
(太田川水未来、ネットワーク「安全な水を子供たちに」 岡本尚さん)
 
利水容量7300万m3のうち6000万m3が流水の正常な機能の維持の設楽ダム(愛知県)
愛知県が設楽ダムの中身を県民に知ってもらう公開講座を行っている。今度の土曜日23日に第3回目の公開講座がある。今回は、豊川水系の三河湾への影響問題について開かれる。主催が愛知県であり、以前の状況とは変化がある。しかし、事業部署では推進の方針を崩していないので、愛知県に対する公金差し止め訴訟は続けている。訴訟をやる中で分かってきたが、流水の機能維持がダムの大半の容量を占めているが、ダムの大きさが最初から決まっていて逆算しているので、(必要性の)事実を踏まえていないものである。この間、力をいれて明らかにしてきた。
フルプラン改訂後5年が経過したので、中間検証が国で開かれ、審議会の座長宛に意見書を出した。各委員に配布してくれとお願いをして、座長は引き受けた。しかし、3月に開かれて以降、音沙汰なしになっている。フルプランそのものの前提が間違っていることについて意見書を出している。事業者が行っている検証作業では、堤防強化の代替案を除外してしまった。
(設楽ダムの建設中止を求める会 市野和夫さん)
 
氾濫しない別当川 山津波被害にすり替えられてできた内海ダム(香川県)
 皆さんのダム予定地には川があるでしょう。ここは、川がないんです。寒霞渓という山です。1957年に大きな水害が四国ではあった。六十何名かがなくなったが、地質が脆弱なために山津波での被害だった。別当川は氾濫しない。溝みたいな川ですから。それをすり替えたんです。県も国もそういう作文でダムを進めた。県もそのことを認めたのに、前原大臣は予算をつけた。どこから見てもとんでもないダム。鳩山首相も現地へ来て、絶対中止しますと。衆議院選挙のときに、前原も中止をするという約束をした。
(寒霞渓の自然を守る連合会 山西克明さん代理)
 
苫田ダムを作ったから海苔が黒くなると逆宣伝する国土交通省 (岡山県)
 苫田ダムの完成以来、川の水質汚染で、牡蠣やノリなど海産物への影響が出ている。水道料金も3割の値上げが2回あった。問題だらけだ。ノリが白っぽくなり黒くならないことを国交省はこれを逆に利用していて、ダムを放流するとノリが簡単に黒くなる。富栄養化しているからだ。これを利用して、ダムを作ったおかげでノリに色が付くと宣伝をしている。
(岡山県からの参加者)
 
私たち(石木ダム予定地住民)は絶対反対(長崎県)
石木ダムについては有識者会議を経て国交省の結論に付帯意見がついた。長崎県に対して、「事業に関して様々な意見があることに鑑み、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」というものだが、「希望します」と言ってもどこまでが希望か分からない。そこで長崎県に、地権者の地元の理解を得るためにどうするのかと回答期限付きで問うたが、来ないので国に問い合わせたら10日間遅れて解答書が来たが話しにならない。県知事宛に再質問をして、持っていこうと考えていたところが、県の方は話し合うことはないと断ってきた。知事宛で出しているのに、回答は県官僚から来る。おかしいじゃないか、河川課長名やダム事務所名でくるが、知事からの直接の返事はない。知事は見ているのかというと、報告はしているという。県が話し合うつもりがないので、私たちも話し合うつもりはない。2009年に出した土地収用法に基づく事業認定申請についても、国土交通省九州地方整備局(認定庁)に対し、「県は私たちの理解を得られるような努力はしていないですよ」と直接伝え、「私たちは絶対反対だから、強制収用となりますよ、私たちは住んで生活をしている。私たちを水の底に沈めるんですか」と訴えています。公聴会を行うということだがいつになるか分かっていない。2009年に県が道路の付替工事を行おうとしたとき、私たちの強い力で中止させた。今後も続けていく。
(石木ダム水没予定地住民 岩下和雄さん)
 
路木ダムの推進理由には一つも本当のことがない(熊本県)
Photo_8 路木ダムの推進理由には一つも本当のことがない。第一に右岸より左岸の方が2メートル低い。右岸から水が破堤して路木部落を襲うことはないのに、100軒浸かることになっている。第二に、熊本県知事は集落の人が汚れた沢の水を飲んでいるといってある濁り水の放水写真を示してテレビに出た。しかし、写真の濁り水はある家の井戸水の除鉄槽の沈殿汚水であり、その水を使っている家は1軒もない。そう指摘されたらインタビューを受けないとケツをまくった。
 
熊本市内に流れ込む白川に計画されている九州地方整備局の立野ダム計画は穴あきダムだが、上流には阿蘇山がある。洪水時には岩石や土砂、火山灰が流れてきて、その「穴」は埋まってしまうだろう。
 
ダム中止後の生活再建法案が提出されたが、民主党のご乱心で急遽、解散となって、廃案になってしまった。川辺川ダムは自民党が政権を取るとダムの基本計画が残っているから生き返ることがありはしないだろうかと考える。立野ダム計画は穴あきダムだが、どれだけバカげたものか見に来てください。ダムを作って良かったというところがあれば見に行きたい。
(子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会 中島康さんたち熊本県からの参加者)
 
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「景気対策」としてのダム建設へ警告すべきこと
以上が各地からの報告である。
 
それから1ヶ月以上が経ち、選挙が終わり、以前にもまして、近視眼的に叫ばれる「景気対策」の声が目立ち始めている。公共事業への財政支出が「景気対策」と呼ばれ、雇用と仕事を確保するとして歓迎される傾向は「旧」・「新」・「再旧」政権下でさほど変わっていないのではないか。「地域格差の解消」という名でのバラマキも同様である。
 
声の大きな財界における票田と相まって、改革を叫ぶ政党ですら、地方に行けば公共事業を推進する「上半身と下半身の違い」の原因となってきた。民主党が改革に踏み切れなかった背景の一つもここにある。
 
こうしたいわゆるハコモノ事業の推進には地方自治体での「起債」(つまり借金)も可能だが、その理屈は、将来世代もそのハコモノを使うから「応分の負担」をしてもらうという考えだ。しかし、人口減少が進むと「応分」にならず、不公平な負担となってしまう。このことを顧みずに目先の「景気対策」や「地域格差の解消」として公共事業を「是」「必要悪」として推進する。
 
しかし、本当に必要なのは、未来世代が「応分」に負担できるための事業である。たとえば作りすぎて将来的に維持管理ができない「ハコモノ」を壊しておくことも、現在の雇用と仕事を確保しながら、将来世代の負担を減らす、「応分の負担」につながる。時に自然再生にもつながる可能性もある。地域の知恵に耳を傾ければ、地域に合った知恵が集まり、それは霞ヶ関で一方に決められる政策決定やそのプロセスで出てくるムダを大いに省き、国全体の行革にもつながるはずである。
 
ダム建設による山、川、海への副作用は社会的に認知されている以上に大きい。「美しい日本を取り戻す」と言う人物が首相になったが、鮭の遡上で潤う森、海で卵を生んで川へ戻ってくる鰻など、経済では取り戻すことが困難な美しさや豊かさとは何か、地域での知恵と理解を取り戻して、その知恵と理解で政策決定者を変えていく年に来年がなればいいと願う。
 
 

2012年12月30日 (日)

144.コンクリートから人へはなんだったか(5 終わり)

ここからの続きです。
 
12月17日に開催された今後の治水のあり方に関する有識者会議で、鈴木雅一委員(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)が次に取り上げたのは、国土交通省東北地方整備局が進める成瀬ダム計画(秋田県)だ。B/Cへの疑問を呈するところから始まった。
 
鈴木委員「成瀬ダムのB/Cで、被害額として1年間に37億円を想定。毎年37億円の被害が50年間出るとして被害額1850億円を防げることを便益と計算している。ダムの方が安いよというのだけど、防ぐ被害の割にダムにお金がかかりすぎていやしないか。それから成瀬ダムの集水面積は流域全体の1.4%ですから、そこにどういう対応をしても、98.6%のところにはダムの効果がない。」 
 
これに三本木健治委員が口を挟む。鈴木委員の後によく発言する委員だが、その発言を逸らすことはあっても掘り下げたのを聞いたことがない。その正体は元河川局次長であるが、元職を明記せず、「明海大学名誉教授」という肩書きで通してきた。
 
中川座長がダム業界のトップの座を捨てきれなかったように、三本木委員もまた、任命者の期待を裏切り、「御用学者」の殻を破ることにも後輩河川官僚たちを新しい時代へと導くことにも失敗した。
 
次に口を開いたのは道上正䂓・鳥取大学名誉教授だ。初めてと言っていいほど、まっとうな意見が発せられた。成瀬ダムは「治水には効かない」と発言し、さらに灌漑用水分の負担費用が240億円であるのに対して、「流水の正常な維持機能」分の負担がそれよりも高いことへの疑問を呈してみせた。
 
これに、鈴木委員も「B/Cで洪水調節で540億円、流水の正常な維持機能の価値が842億円。治水経済マニュアルに沿っているのだろうが、常識的には、ダムによる『流水の正常な維持機能』が『治水』の便益の1.6倍もあるのはびっくりする話ではないか」と呼応した。
 
川はダムを造りさえしなければ流水は維持される。ダムを造って不自然に貯めるから、魚など生物のために確保するのが『流水の正常な維持機能』である。ところが成瀬ダムは、『治水』や『灌漑』目的で作るはずが、実際には『流水の正常な維持機能』に最も重きが置かれており、おかしいではないかという話である。
 
これにはカラクリがある。昔計画されたダムは水余りによって利水「目的」が減っていく。その「目的」の穴を埋めるのが『流水の正常な維持機能』なのである。だから実際には『ダム事業を維持する機能』である。
 
愛知県の設楽ダムなど他のダム事業にも共通する大きな問題であり、『流水の正常な維持機能』=『ダム事業を維持する機能』が「便益」として計算される問題が解消するだけでも、多くのダムが便益不足で中止せざるを得なくなる。
 
ところが、座長は、話を煮詰めないし、まとめない。仕方なく、鈴木委員は、この日3つめのダム事業に話を移してしまったのである。
 
鈴木委員「木屋川ダムでいささか不思議だったのは、このダムは経緯を見ると、一度、多目的ダムとして計画されてそれが治水がなくなって、多目的ダムとしては事業中止となっていた。国庫補助も一度、中止されている。それがもう一度治水ダムとして復活している。
 
それだけ必要性があるんだったら、とっととやればいいのに、完成は平成41年ということで、17年か18年後。要るんですか、要らないんですか。必要だ、必要だと書いてあるが、18年先の人口は減る。
 
言ってみれば、調査費や事務所の経費をだらだら使うっていう話。計画があるだけが大事で、10年先でも20年先でもいいってことはないですね、ということをひとこと聞きたい。」
 
辛辣な皮肉である。これに国交省がなんと答えたか?国交省「参考資料6ページのところに書いてある言葉をまとめますと、環境影響評価をへた上で、工程を見ておりますと、財政事情もある。先生のご指摘のような懸念はないと思われます」
 
これに三本木委員(元河川局次長)が何かを言うが、私の席からは聞こえない。
 
鈴木委員が再び「これは新規のダムじゃない。10メートルかさ上げをする。修理をするのに18年。新規だったらモタモタすることもあるだろうが、これは考えられない。どういうご事情があるのか。もうちょっとお話を伺いたい。」
 
これに再び、三本木委員(元河川局次長)が何かを言うが、私の席からは聞こえない。
 
これに道上委員が「整備計画をつくったんでしょ?平成20年に作って、河道改修をする。その一貫で再開発をする。そういうことでしょ。整備計画は30年をターゲットにしている。その中で再開発が位置づけられた。」と間を取り持つような発言をする。
 
これに三本木委員(元河川局次長)が「できあがるのは先・・・」と呼応。
 
もう耐えきれなかった。4つめのダム事業は徳島県の意向で中止と分かっていた。荷物をまとめて立ち上がり、会議室の出入り口へと歩き、ノブを回して振り返りざまに爆発した。この審議のありようを2009年12月3日以来、取材し続けたが、このまま沈黙し続ければ、この有り様を是認することになる。「成瀬も平取も要るわけないでしょ。いつまで馬鹿な審議やってんですか!」
 
3年間を浪費した自分が情けなかった。3年間、目撃して伝えるべきニュースがこの会議には何ひとつなかった。9人の委員がいながら、3年間で何ひとつ新しい発想を生まなかった。河川行政の何ひとつとして変わらなかった。それが3年を経て書けるニュースである。情けない、情けない。もう少しで涙が出るところだった。
 
・・・会議途中で記者席から外へと飛び出した数日後に明らかになった議事要旨で、予定通り、3ダムは推進、1ダムは県の意向のまま中止という結果が見えた。そして、この3年で、彼らが見て見ぬふりをして導入を怠った河川行政の改善策が頭の中に自然発生してきた。「コンクリートから人へ」の3年が終わったところを、新たな始まりにして、前進あるのみだ!
 
 

2012年12月29日 (土)

143.4年4ヶ月ぶりの公明党国土交通大臣に質問(3 終わり)

28日(金)の定例会見で行った三問目は、先日来、「コンクリートから人へはなんだったか」というタイトルで総括をしている「今後の治水のあり方に関する有識者会議」についてである。 
 
   @@@
 
Q:今後の治水のあり方に関する有識者会議を続行されると聞きましたが、これまで国民に対しては非公開で、記者だけが傍聴できるという形だったんですが、さきほど「国民が納得できる公共事業」とおっしゃいました。傍聴させてくれということは各地の市民団体から住民団体から声があがっていまして、民主党政権はそれを無視してきましたけれども、太田大臣としては国民に対して有識者会議を開いていくということについてはどのようにご検討されますでしょうか。
 
太田大臣:そうですね、これまで国交省として行っているということをよく私としては精査させていただいて、やるべきものやったほうがいいもの、これは数人で落ち着いた議論をした方がいいもの。いろんな形を検討させていただきたいと思います。
 
  @@@
 
民主党政権下でこの点についてはしつこく何度も質問し、取材もしたが、改善はされなかった。公明党大臣のもとでどう変わっていくだろうか。 
 
今後の治水のあり方に関する有識者会議は、こうしたロジスティクスの問題にとどまらず、諮問内容とは乖離した方向へ突き進み、多くの問題を抱えている。新政権のもとで本来どのような方向を目指すべきなのか、事実や取材をもとに、今後の川と流域住民のあり方という観点から「コンクリートから人へはなんだったか」の続きへと戻り、未来に向けた提案へとつなげていきたいと思う。(終)
 
 
 
 

142.4年4ヶ月ぶりの公明党国土交通大臣に質問(2)

28日(金)の定例会見で行った二問目は、国内外で繰り返されている天井落下によるトンネル事故についてだ。笹子トンネルと同様の事件は過去にもあり死者が出て、原因も発表されている(*)。
 
それにも関わらず、事故から10日経った12月13日の国土交通省道路局の会見で、原因の一つになりえる接着剤の製造社や成分分析について尋ねても把握しておらず、その答えは「『トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会』と相談しながらこれから考える」だった。
 
原稿はすでに書き終わり、来月初旬には出る。しかし、誰が原因究明に責任を持つのか不明だったため、その後もフォローの取材を続けている。
 
たとえば、12月21日に第二回『トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会』が開催されている。「接着剤分析」はようやくここで議題になった。しかし、接着剤分析の「実施体制」を見ると、「試験は委員会の確認のもと、主は国土交通省とし、国土技術政策総合研究所及び独立行政法人土木研究所が試験方法・手順の確認を行い、中日本高速道路株式会社は、必要な資料・資機材の提供や、試験実施等の協力を行う」となっている。
 
しかし、委員は、一部、国土技術政策総合研究所と独立行政法人土木研究所とイコールで、中日本高速道路株式会社は事故で捜査を受けている当事者として「事故現場」には立ち入れず、現場の「試料」は提供できない立場だという。『トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会』の役割は単に「確認」するだけで、主体は国交省というなら、グルっと回ってすべてをハンドリングしているのは国交省道路局である。
 
元運輸省所管の事故なら「運輸安全委員会」という常設機関がある(とは言え、どの報告書を見ても「原因」が現象の説明で終わっており、責任を明確にしたものが見当たらない)が、元建設省所管の道路事故は、規制当局に落ち度があったり、天下り関係から同じ穴のムジナである可能性があるのに、自分で自分を調べる体制しかない・・・。
 
すべてを会見でぶつけるわけにはいかないので、質問は、他の記者の質問に関連させて、以下のように尋ねるだけにとどめた。
 
   @@@
 
Q:米国において同じような吊り天井が落ちる事故がありまして、国家運輸安全委員会、独立の第三者委員会の報告書を見ますと接着剤がふさわしくなかった。要するに長期の荷重に耐えることができないで落ちたという先例があったわけですが、日本の場合はまだ接着剤についての調査を行っていないようなのですが、老朽化と片付けずに何が原因だったのかということを責任者を明らかにするというような責任追求体制、原因究明体制が必要なのではないかと思いますが、どうお考えでしょうか。
 
太田大臣:事故原因はおっしゃったことも含めて総合的に判断をしないといけないという認識をしています。そういう意味では調査している途上でもあり、しっかり受け止めてものを考えたいと思います。今日は調査をしっかりしてくださいねと、私が考えるという段階です。
 
  @@@
 
(*)Highway Accident Report
Ceiling Collapse in the Interstate 90 Connector Tunnel
Boston, Massachusetts
July 10, 2006
National Transportation Safety Board
Big_dig
(続く)

141.4年4ヶ月ぶりの公明党国土交通大臣に質問(1)

2012年12月26日(火)自公連立政権誕生。28日(金)に新国土交通大臣の初定例会見に行った。
 
民主党政権下でまったく話題にならずに行われていた独法“改革”がある。これは、「独立行政法人」が単に「行政法人」になるという名ばかり改革になりそうなのだ。たとえば独立行政法人水資源機構。もともとは7水系でのダム開発を目的に作られた「特殊法人」だ。役割を終えた特別立法に基づいているからそれを解くべきだが、2003年、公明党大臣の下で役割を限定して「独立行政法人」として生き残った。そして7水系の開発という縛りがあるはずが、現在、海外調査業務を受発注する違法行為を行っている(*1)。それを「改革」に乗じて合法化する動きがある。一問目はこれについて聞いた。
 
     @@@@
 
Q:民主党政権下で独立行政政法人改革が進められてきたが、やり方に問題があるのではないかと指摘があります。たとえば水資源機構については扇千景大臣のときに新規のダムは作らない組織に改革されたわけですが、今回、7水系のみのダム開発をしていた組織が、独法改革の名のもとで海外事業なども受発注できるように法律案を今、いじっているという話が抜けてきた、聞こえてきたんですが、改革の名で焼け太りをしてしまうところに、どのような観点から、大臣としては取り組みをされますでしょうか。
 
太田大臣:行政改革は稲田さんが大臣になり、政府全体の方針が出ているという段階ではございません。従って大枠としての方針というものを見ながらものを考えていくべきだと思っています。見直しをするかどうかを含めて、大枠ということについて、そのもとで対応をしていくと思っています。個人的なことを申し上げますと、今から15年ぐらいまえになりますが、公共事業、今、ダムとおっしゃいましたが、細川内ダム、徳山ダムがございまして、それをやるのかやらないのか、止まっているようになりまして、そうしたことを精査してやりなさいと国会でかなり具体的な事例を挙げながら質問し、細川内ダム、徳島にございますが中止をしたという事例があります。私は公共事業は無駄なものはやらない、必要なものはやる。そうした信念をずっと持っております。行革の具体的な方向、対象についてはまだ内閣としての大方針が出ておりませんので、それを見て判断をしたいとこのように思っています。
 
     @@@@
 
公明党の国土交通大臣はこれまでにもさまざまな改革を試みている。扇千景・元大臣は、水資源機構での新規ダムは造らないと断言し、法改正を行った。冬柴鐵三・元大臣はその後に大臣になった馬淵澄夫・元大臣との国会質疑で、イライラ感を募らせながらも道路事業の費用便益分析がおかしいことを明らかにしていった。
 
しかし、官僚は民主党政権下でより顕著にそうであったように、常にその裏を行く。組織温存のために画策をする。水資源機構の場合は、国土交通官僚のトップである技監の天下り指定席を持っていることが力の源泉だ。(*1)
 
滋賀県の丹生ダムにはもう利水受益者はいないが中止手続をとらない。三重県の川上ダムでは、大阪府企業団や京都府が余剰水利権分を転用できると申し出ているのに知らぬふりをしている(*2)。栃木県では思川開発(南摩ダム)建設を理由に補助金の許可条件である水道整備計画もないのに厚生労働省から補助金を不正取得し続け、事実が明るみに出ると慌てて今になって水道事業のための計画を作るパブリックコメントを行った(*3)。これらは皆、水資源機構の事業である。
 
改革の名で焼け太りを許すかいなか、自公政権下での「独法改革」が真の改革となるか、天下り官僚の指定席確保、渡りの足場確保のための「独法“改革”」となるか、来年に向けて注目するテーマとなる。
 
参考
(続く)

2012年12月27日 (木)

140.原子力規制当局の権限と意志

ちょっと横道にそれます。

組閣が行われた昨日、「原子力規制当局」は誰なのかを垣間見る一場面があった。田中俊一原子力規制委員長の定例会見が終わり、記者たちがわっと取り付いたのは、委員長ではなく、森本英香原子力規制庁次長だった。誰がこの委員会をコントロールしているかを、記者たちは見抜いてしまったのだ・・・。

これ幸い、と会見中に手を上げたが時間切れとなりできなかった質問を田中委員長にぶつけることにした。「活断層が見つかっている件ですが、ないから原発を建てた、なかったはずのものが出てきた。すると(原発設置)『許可取り消し』ということにならないですか?ズサンな審査だったということで。」

田中委員長は答えようかどうしようか迷っているのか、目を合わさずにいたが、次のように答えた。「・・・ダイレクトにはそうならない。」どういう意味か分からないので角度を変えて「インダイレクトにはなりますか?間接的には?」と聞いたが、やはり意味がわかる回答はなかった。

そこで、2歩隣にいる森本次長に同じ質問をすると、「明快」な官僚答弁が帰って来た。明快なは「答弁」ではなく「官僚」にかかる。
「ならないです」
「どうしてですか?」
「バックフィットしないですから」
「いや、ないから許可したのにあったんですよ?」
「直下にはないですから」

この明快な官僚答弁は、どう考えても間違っている。規制を後から新しく作った場合、諸外国ではその規制を既存の原発にもかけた。日本ではかけない(バックフィットさせない)仕組みを堅持してきた。今後はバックフィットさせるための仕組みを「今」作っている。そこまでは事実だ。

しかし、設置許可のための立地審査指針を見れば、活断層のあるのが「直下」であるかどうかは関係ない。「直下」どころか「敷地周辺」に活断層が通っていれば許可できないための「めやす」が書かれている。規制当局は、活断層が見抜けなかったか目をつぶってないことにして審査し、「安全側」ではなく「安全神話」に則って次々と立地を許可してきた。そのズサンな規制実態がフクイチをきっかけに明らかになっただけだ。

〇原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断のめやすについて
昭和39年5月27日 原子力委員会決定

http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/shinsashishin/pdf/1/si001.pdf
a 敷地周辺の事象、原子炉の特性、安全防護施設等を考慮し、技術的見地からみて、最悪の場合には起るかもしれないと考えられる重大な事故(以下「重大事故」という。)の発生を仮定しても、周辺の公衆に放射線障害を与えないこと。

この原子炉立地審査指針に従わないズサンな許可が行われていたと判断して、「許可取り消し」をするのが筋ではないか。福島第一原発事故は想定外ではなかった(★)ことも明らかだ。規制、審査がズサンだったことはすでに福島で証明されたとも言える。現・規制当局がこのことを直視しなければ、国民の信用を勝ち取ることはできない。本当に安全側に立った公正な判断を原子力規制委員会が行うことも、「脱・原子力ムラ」住人となることもできないのではないか。

なお、上記の指針も、平成18年の指針の指針も、それらの書きぶりでは、活断層があったとしても「安全機能が損なわれ」ないように設計できるかのような「安全神話」の規制内容になっている。これから作る審査指針は、間違っても、このような書きぶりにならないことを願いたい。

○発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針
平成18年9月19日 原子力安全委員会決定

http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/shinsashishin/pdf/1/si004.pdf

耐震設計上重要な施設は、敷地周辺の地質・地質構造並びに地震活動性等の地震学及び地震工学的見地から施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが適切な地震動による地震力に対して、その安全機能が損なわれることがないように設計されなければならない。

本来、原子力規制委員会は、今までの規制(審査指針)の何が間違っていたのかという総括からはじめるべきだっただろう。ところが、原子力規制庁ペースで忙しくさせられて、そうした考え方が「規制」された原子力規制委員会になっている。原子力規制庁が準備したたたき台をもとに新しい指針の議論を始めてしまい、来年1月にはすでにパブリックコメントが行われようとしている。

この「規制」のありようにあまりにも危うさを感じるので、パブリックコメントとは別に、原子力に対してもっとも厳しい目を向けている市民団体や立地自治体などからも公開で意見聴取をすべきではないか、と聞きに定例会見へでかけていった。

しかし、田中委員長の答えは、私が例示として使った米国の事例(規制を新たに設定するときにはパブコメのほか公開で意見聴取を行う)を捉えて、なぜか「NRCはすべての機会にそうした意見を聞いているわけではない」という理屈に合わないものだった。

規制してやる!という強い意志を外に見せびらかす必要はない。淡々とやるべきことをやればいい。しかし、「専門家」の過信と怠慢が福島第一原発事故を起こしたのだから、最も厳しい批判に公開の場で耐えうる指針であることを、国民にわかるように見せなければ、規制行政に不可欠な国民の信頼を勝ち得ることはできない。死活問題として死に物狂いで審査を通そうとし、通せる規制にしようと「公開質問」などで圧力をかけてくるであろう被規制者たる電力業界に毅然とした態度で臨むこともできないし、世界最高水準の規制を作ることも無理だ。なぜ、そうしたことがわからないのだろう。実に不思議な「規制当局」の姿が見えてきた。

2012年12月23日 (日)

139.コンクリートから人へはなんだったか(4)

(続きです)

ところが「今後の治水のあり方に関する有識者会議」はそんな議論はしない。自民党時代と変わらない「これまでの治水のあり方を継続する有識者会議」になりはてた。本来は地域の人々で知恵を絞るべき問題が、地域の宝の勝手な囲い込みとでも言うべき「霞ヶ関官僚の縦割り」の範囲でしか議論しない。「コンクリートから人へ」は、霞ヶ関利権から地域を地域の人々の手に返すことをも意味したはずが、民主党は方向性を是正することなく放置した。

それもそのはず座長である中川博次・京都大学名誉教授は今でも霞ヶ関を頂点とする河川ムラ業界のトップだったのだ。「いままでダムを推進してきた人でなければ変えることができない」という奇妙な理由による人選の結果がこれだが、いままでどころか、現在も官僚とゼネコンにかしずかれ、ダム関連事業に注がれる血税で生きながらえる組織のトップである。私自身がそう気づいたのは、うかつにも「水資源開発促進法 立法と公共事業」を書いている時だった。

一般社団法人ダム・堰施設技術協会理事会
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さて2012年12月17日の議論である。1時間以上、延々と「ご説明」が続いた後、いつものように、鈴木委員が「ではまず平取ダムからですが」と説明された順番に意見を述べ始めた。最初の質問は、ダムに貯まる土砂についてである。ダムには、100年でどれだけの土砂が貯まるかという計算する堆砂計画が立てられる。しかし、予測よりも早くダムが土砂で埋まる、その対策費が正しく見積もられていない問題は全国各地にあり、会計検査院もその費用便益計算が不適切であることを指摘した。鈴木委員の指摘は平取ダム計画におけるそのおかしさについてである。

鈴木委員「アクロバティックな計画ではないか。5ページに平取と二風谷の堆砂形状が書いてあります。堆砂計算をされたということですが、平取と二風谷でなぜこんなに違うのか。二風谷では平成15年(2003年)に土砂がたまったのでと。平取には、平成15年は入れていないんですね。」

国交省「・ ・ ・」

鈴木委員「平取ダムは二風谷ダムのようにはドサっとたまらないということなんですが、平成15年の土砂が入った時にどうなるのか。平取ダムのときはちゃんと流れる、たまらずにということなんですか?」

国交省「・ ・ ・」

鈴木委員「うまくいきますよというストーリーですが、平成15年のような土砂の出方をしたときにうまくいくのか?500立米だと思っていて4000立米がくるという考え方に変えなければならない。流域の計画論としては別のものがあるのかなと感想なんですが」

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参考資料1-2 沙流川総合開発事業平取ダムの検証に係る検討 補足説明資料
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai28kai/dai28kai_ref1-2.pdf 

何度目かの問いに、国交省はついに、なんの根拠も示すことなく、「現時点では大丈夫ではないか」と答える。これに鈴木委員が「ある程度機能するというではダメだ。絶対平気だと言ってくれなくては」と珍しくはっきり言い返すと、中川座長が割って入って「土砂量の根拠がかなりちょっと無理をしているのでは。ま、なかなか、難しい。#$%~|= ・・・」と途中から私の席からは聞き取れなくなった。

中川座長の話は毎度、途中から「音」になる。話の筋が見えず単語も聞き取れない。卓上マイクの使い方が分からないのか、マイクから口を遠く離して話すので、時折、会議室の後ろ記者席から「聞こえません。マイクに口を近づけてください」と大声で要望すると、老人介護のような仕草の優しいお姉さんが後ろからハンドマイクを持たせてあげるという場面を目にすることになる。

この日、鈴木氏は諦めず、「(土砂の計算に)20個以上の係数が用いられており、流量別に係数が違うというのは、最近の言葉でいえば、レジリエンスというか堅牢性が必要ではないか」と食い下がる。

これに今度は、道上委員が割って入った。「大出水のときには土砂が流れる。これ、一旦溜まって後で流れることもあるでしょうが、濁度の問題が発生するんやないかとか。今までは上流の平取ダムはないんですけど、下流に漁業に影響がにごりであるのではないか」

ダム建設計画のずさんさの一つである堆砂計画の重要な点が指摘されたにもかかわらず、全く関係のない濁りの話に変えてしまったのである。

国交省は先に道上委員への質問に答えたあと、「係数」を「定数(じうすう)」に言い換えて、鈴木委員の問いに次のように回答した。「定数を、100年間の堆砂の再現をするということで、実測に合うような定数にするということで誤差を少ないものを採用する結果でそうなっている」

つまり、係数を使って堆砂を予測することになっているにもかかわらず、洪水ごとに違う係数を使っているのでは予測に堅牢性がないとの鈴木氏の指摘に対し、国交省の回答は実測に合わせると係数(定数)がバラバラになるというもので、つまり「定数」の意味がまったくないことが暴露されたことになる。数式を使って堆砂計画を立ていたことはまったく無意味であり、かずかすの問題が指摘されてきたのも当然である。

会計検査院が指摘したダム事業の費用便益計算の問題に大きくかかわっており、単に平取ダムの議論にとどまらず、今までのすべてのダム検証はなんだったのかという話につながる話である。ところが、この話を中川座長は問題とせず、ここでも何の差配もせずに終わるのである。

(続く)

138.コンクリートから人へはなんだったか(3)

ここここからの続きです。

さて、2012年12月17日の今後の治水のあり方に関する有識者会議である。いつもの通り2日前に開催が発表され、1日前の正午に締め切られた。最初は開催案内に議題の発表すらなかった。そのおかしさを指摘する声に気づいたのか、ようやく開催案内に議題となる事業名が載るようになった。

沙流川総合開発事業 平取(びらとり)ダム【北海道開発局】
成瀨(なるせ)ダム建設事業【東北地方整備局】
木屋川(こやがわ)ダム再開発事業【山口県】
柴川(しばかわ)生活貯水池建設事業【徳島県】

この4つのうち平取ダムは「沙流川総合開発事業」とされているように、単独の事業ではない。先に建設された二風谷ダムとセットで、1960年代に苫小牧東部開発計画(苫東)を支える遺物である。苫東に誘致されるはずだった水を大量に使う重工業をあてにして立てられた計画だったが、国交省のウェブサイトにも載っている通りに40年が過ぎて未だに空き地だらけである。破綻したのである。二風谷ダムの水は一滴も使われず、その水代は北海道が企業から徴収するはずだったが国民の税金から肩代わりされることになった(*)。

単純に考えれば、再生可能エネルギー基地にして、税金を使わず民間企業の金で地域を活性化し雇用を確保する道はあるはずだ。それが本来の「コンクリートから人へ」ではなかったのか。ところがハコモノ(コンクリート)の代表格である「苫東」や「沙流川総合開発事業」の旗を降ろすことなく、もう一つ建設しようとしていうのが平取ダムだ。頭がねじ曲がる不思議な計画だ。

先に作られた二風谷ダムは単に水余りで税金で尻ぬぐいをしただけではない。もともとアイヌの聖地「チプサンケ」を破壊して国際法違反だと裁判所に断罪されながらも、完成してしまったのでという事情判決で使うことが許された。しかし2003年8月9日の台風10号で洪水を引き起こして住民が勝訴。二風谷ダムの決壊を防ぐために放流するのに流域と川を結ぶ水門を開け放して職員が逃げてしまったので、地域に大洪水が引き起こされたのである。治水にも治水にも役に立たないのにアイヌ文化を破壊して三重に迷惑な施設になっている。

これに加えてそのわずか数キロの上流に「平取ダム建設」が必要だというのは、「平取ダム」ではなく「建設」という「仕事」や「雇用」が必要であるというだけではないか。

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参考資料1-1 沙流川総合開発事業平取ダムの検証に係る検討 概要資料http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai28kai/dai28kai_ref1-1.pdf

(*)こうした一連の水余りについては『国の認可ナシでも思川開発は国からの補助金を受給 「水余り」を生む詐術としてのダム』 (週刊金曜日)をご覧ください。

(続く)

2012年12月21日 (金)

137.八ッ場ダム控訴審(東京都)の結審

一つの時代が終わったかのように八ッ場ダム住民訴訟の控訴審が結審した。治水、利水、地すべりの危険性、そして環境の観点から弁護団が最後の弁論を展開した後、それを高橋利明弁護士がまとめた。それをさらにかいつまむと以下の通りである。 
 
【利水の必要性について】東京都の水需要はここ20年間で減少の一途をたどっている。1992年に一日最大配水量は617万m3だったのが、年々減少し、2012年には469万m3に落ちこんだ。東京都が抱える水源は618万m3で、多摩地区で使われている地下水を含めれば687m3もある。余剰分は水需要の46%だ。ところが、東京都は35年以上前のデータを使い、水需要が伸びると言うが、この20年間の減少を見ればあり得ない。
 
【治水の必要性について】利根川の治水計画は、昭和22年のカスリーン台風洪水を前提に昭和55年にできている。そのとき八斗島(やったじま)という基準となる地点で流れる「基本高水流量」をそれまでの1万7000m3から2万2000m3に引き上げた。引き上げの理由は、上流で氾濫したであろう洪水が河道改修で氾濫せずに流れるようになると、基準点を流れる量が増える、都市化によって土壌に染みこむより川に流れ込む量が増えたとか様々だった。しかし、弁護士たちが現場を歩き、調べを進めていくと、上流で氾濫しないための「河道改修」は行われた事実もなければ計画も存在しなかった。また、上流で氾濫したという根拠も、高崎市役所が建つ高台まで浸水するようなあり得ない「洪水、山に上る」話だった。
 
【地すべりリスクへの対応】住民の移転先である代替地やダム予定地の湖岸における地すべりの危険性は以前から指摘されてきたが、国交省は3カ所しか対策しないと述べてきた。ところが2010年10月に開始された八ッ場ダム建設事業の検証でそれを見直し、対策工事は16カ所で必要であることになった。以前の調査や対策工事がいかにずさんだったかを物語り、現在のリスク評価も信用できるわけがない。
 
締めくくりに高橋弁護士はこう付け加えた。結審にあたり裁判所に望むことがある。我々が掘り起こし提起した事実を正視して欲しい。一審の判決で裁判官は、八ッ場ダムが必要になる条件は、1)上流で河道改修がなされた場合であること、2)それが容易に実現しない事実を認めた。そして、3)上流で河道改修がなされない場合は、ダム建設が不要であることも理解した上で、4)「河道整備がされる可能性が皆無ではない」という理由で住民敗訴にした。しかし、これでは裁判官が治水計画を立ててしまったようなものだ。だから事実に基づいた判断をして欲しい。
 
その結びのことばが終わると、裁判官は、冒頭で地すべりに関する新たな証言の機会を申請されたが、これを拒否して「審理を終結する」と述べ、判決は平成25年3月29日1時半からだと告げて終わった。あっけないものである。 
 
起立、礼をして、法廷の扉が開けられた。原告団と弁護団と証人を務めた専門家、そして数名の記者は、終結にあたっての一つの区切りとして集うことになった。参議院議員会館に向かう途中、行政訴訟に明るい研究者に話を伺うと、行政計画を「行政の裁量」ではなく「処分」と見なすようになれば行政訴訟が変わるだろうと言う。そうしたケースは出てきはじめているがどうなるだろう。裁判官もこの国を変える一人である。最終陳述を行った弁護士の一人は、その最後で何が裁判所に期待されているかを論じ、陳述書には書かれていなかった異例の一言を加えて結んだ。「私は裁判所に期待していない。しかし事実を踏まえた判決がかけるものなら、やってみろ!」
 
裁判官の「はい分かりました」という声が聞こえたという人もいるが、私はあっけにとられて耳を澄ましそびれてしまった。「期待していない」と述べた弁護士の裏側の気持ちを読んで、この国の司法のあり方を変えて欲しいものである。
 
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「東京都の水需要にV字回復はない」高橋利明弁護士提出陳述「12月21日の弁論のまとめ」より
 
 
 

136.コンクリートから人へはなんだったか(2)

続きです。

会議室の外には机によって三重のバリケードが廊下に張り巡らされるようになった。長崎県が進める「石木ダム」の水没予定地住民が審議を聞かせて欲しい、自分たちの住んでいる土地がなぜ沈むのか、その審議を聞きたいと会議室前で懇願して硬直状態となり、会議が延期されてからだ。

その延期された会議が開催されることになってから究極の異常が始まった。

会議室前にあった受付が、そこからは数十メートル離れたエレベータホールに移された。エレベータホールから会議室へと向かう両脇の廊下には100人を超える河川官僚が動員されて、傍聴希望者の行く手を阻むようになっていた。いや、それ以前に傍聴を求める住民を国交省に入る入り口や1階で特定して、エレベータにすら乗せない。しかたなく階段を使って会議室へ向かおうとする傍聴希望者と争うようにして11階まで駆け上がり、踊り場から会議室へ向かう廊下も何重もの官僚の壁で塞いだ。

こんな中でも「取材者」は会議室へ向かう特権が与えられた。ただし、私の場合は、前回、傍聴者を閉め出して会議を始めようとする扉の前に立っていたため、傍聴希望者を「扇動した」との濡れ衣をかぶせ、今度やったら傍聴を認めないとの警告文を名指しで座長から受け取った上でである。

この日、こんな環境で審議することの異常さを指摘し、反省をすべきだという意見を述べたのは、これまた鈴木東大教授のみで、他の委員は、まるで何事もなかったかのように振る舞った。耳を澄ますと、遠くから「私たちは絶対にゆるしませーん」という石木ダム住民の絶叫であろう声がかすかに聞こえた。これは私が最後列の外に近い席に座っていたからで、会議室奥の委員たちには届かなかっただろう。

以後、この遠い受付、バリケード、会議室に施錠、委員を官僚がガードして入退室という馬鹿げた環境で、人の命を扱う「治水」の話をすることになった。

自分が住んでいるところが脅かされ、土地収用法に基づいて強制退去させられる可能性のある切羽詰まった石木ダム予定地住民を除いては、捨て身でバリケードを突破しようなどという切実さで、高い運賃と時間を使って、官僚のご説明をわざわざ聞きに来たいと思うも者はそうはいない。来たとしても「ご説明」と数回の問題指摘、そして唐突な「まとめ」しか聞けないのである。

傍聴希望者は押し寄せてこないことに気づかないのか、彼らは自分たちが作った恐怖心で、それ以後も、遠い受付、机バリケード、会議室に施錠、委員を官僚がガードして入退室というスタイルが定番となった。しかも、記者のぶら下がり取材を妨害するために委員が退室して数分の間、記者は軟禁状態になる。

2012年12月17日の議題となった4つのダムのうち、平取(びらとり)ダム、成瀬(なるせ)ダムには反対の声が強い。傍聴希望者が押し寄せることを警戒してか、いつもよりもバリケードが増えた。遠い受付、机バリケード、会議室に施錠、委員を官僚がガードして入退室の定番に、人間バリケードが復活した。

この奇妙きてれつな会議に委員でありながらほとんど一度も出てきていない委員が、『会議の政治学』で有名な森田朗・学習院大学法学部教授だ。この異常な会議を自らサンプリングしようという探究心はないらしいのである。

(続く)

135.コンクリートから人へはなんだったか(1)

2012年12月17日、いつものごとく名前も肩書きも不明の河川官僚の「ご説明」という名の「ダム継続妥当(案)方針発表」が終った。第28回の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」配布資料は重ねると高さ40センチ程度。平取(びらとり)ダム、成瀬(なるせ)ダム、木屋川(こやがわ)ダム再開発、柴川生活貯水池、4つのダムの説明は1時間以上続いた。

すると今度は、これもいつものごとく、座長の中川博次・京都大学名誉教授が委員に丸投げをする。この会議体が、自らが決定した基準に基づいてダム事業が検証されたかどうかを精査をするつもりがあれば、中川座長は一つひとつ区切って説明をさせて、質疑を行うだろう。ところが毎度、全部を一気に「ご説明」させ、それが終わると、座長は委員に対して議論の順番すらも差配しない。「ではご意見を」という音に近い声を発して丸投げをする。すると、「・・・」と二、三拍の沈黙の後に、きまって鈴木雅一東京大学教授が、仕方がない、とでも言う切り出し方で「じゃ、○○ダムからいきますが」と「ご説明」があった順番に具体的な鋭い質問を発していく。

するとその質問に対する河川官僚の答えを聞く前に、他の委員が関係のない質問や意見を差し挟む。これに官僚は直ちに反応し、後から差し挟まれた質問や意見に答えてから、鈴木委員の質問に対する回答をする。そしてそれがまったく説明になっていなくても次へ行く。こんな調子でなんの合意形成もないのはもちろん、論理的なまとめもない。最後は意見がさまざまなダムに対して乱れ飛んで、忽然と、座長が「当会議が示しました考え方に沿ったものである。それが私のきょうのまとめでございます。ひとつよろしくお願いいたします」とダム事業の継続お墨付きが決まる。時に鈴木委員がそこで異論を差し挟むことがなかったわけではない。ただしそれは無視される。そして数日後に国土交通省がダム事業継続を決定する。「会議」の意味をなしていない。

委員たちはこのやり方に慣れ、会議室の中にも外にも「異常」があることをまるで気づかないふりをしている。会議室の中の最大の異常は、傍聴者が一人もないことである。川の流域に暮らす人の命にかかわる治水のあり方を議論するはずの場だが、ついに「傍聴」を認めなかったのだ。

唯一、途中から方針が変わったのは「取材者」への対応で、そのために私をはじめ「取材者」は取材が可能である。まるで、「取材をさせてやっている」とでもいう姿勢を顕示したいかのように、審議テーブルの最前列から50人以上の国土交通官僚軍団の後ろ、最後列の一列に記者席がある。「ご説明」役を演じる幹部席の椅子の座席は頭までかぶるほどに高く、傍聴席の課長クラスからヒラ官僚の椅子はゆったりと安定感のある背もたれ椅子。そして記者席はパイプ椅子である。そのパイプ椅子の上にはメディア名がA4用紙に記されておいてある。私の席は大概、最後列の一番左奥で、委員たちの官僚たちにガードされながらの入退室に使われる通路からも一番遠くに指定されている。

A4用紙に最初の頃は「まさのあつこ」と書かれていたが、最近では「フリーランス」と書かれている。がしかし、2日前に会議開催の案内がネット上に掲載され、1日前の昼までに申し込みをしなければ、たとえ当日、足を運んでも頑として入れない。実質の非公開と同じである。受付まで来て、そう言われてすごすごと帰って行く記者を目にしたのは一度や二度ではない。

一度、私も申し込みそびれて受付に行き、事前に申し込んでいないからダメだと言われ、そんな馬鹿な話はないと抗議したら、「冒頭のカメラ撮りまでなら」と許され、そのまま空いている席で傍聴を続けようとしたら退出を迫られたことがある。「おとなしく座っているからいいじゃないですか」と無視をして座り続けたら四,五人の河川官僚が取り囲んで壁を作って、「ご退出ください」と迫ってきた。無視をしたらどうなるのだろうかとそのまま座っていたら、そのまま四,五人の官僚が30分ほど私の前に立ちはだかり審議の様子が見えないように妨害しながら小声で「ご退出ください」と言い続けた。四〇分ぐらいしてようやくその妨害の人壁が二,三人になって十分に一度ぐらいの「ご退出ください」になり、やがて一人の官僚となり、最後は誰もいなくなった。2009年から2012年の「コンクリートから人へ」の河川行政とはこのようなものだった。

(続く)

2012年12月20日 (木)

134.記者へのレクチャーと独り言

どれも重要。ひと波越えるとやならなければならない無数の波が目に入る。
どの波を最初に乗り越えるべきか見極める前に溺れる。
今日はまず関係ないことを書いて緊張をほぐす。

「水資源開発促進法 立法と公共事業」筋経由で
記者の方から最近のダム問題についてレクチャーをして欲しいという。

ダム問題に強い記者は増えて欲しい。快諾する。
週刊金曜日11月30日号月刊世界1月号を読んできていただけると
話が早いですと携帯メールを打った。

本と合わせて3つをしっかり読んでいただければ、そうした事実を直視しない
「今後の治水のあり方に関する有識者会議」に象徴される
「官僚支配」の状況に話を集中することができる。

きちんと書いてくれるなら記者さん向け講座いつでもお受けします。

実は、私がジャーナリストになったのは、
他の職業を持ちながらパソコン通信やネットで個人的にダム日記なるものを書き
木頭村という村を応援していたとき、
日本中のダム問題にたまたま詳しくなってしまったことがきっかけだ。

なぜか多くの記者に情報を整理してお話する(レクチャーする)ようになり
しかし、話した内容そのままが記事になってもクレジットもでない、
話した内容の10分の1も書かれないということに気づいて
これなら自分がジャーナリストになった方が早いじゃないかと思った。

同様に、御用学者に文句を言っている間に
自分が学者になった方が早いんじゃないかと思ったのでまずは学位を取得した。
車で言えば免許証のようなものだと師匠は言う。
免許証をとったというのは、車を運転する資格を得たというだけの話。
ようやくスタート地点に立っただけ。これからがんばるぞ!

 
さて、ジャーナリストとしてだが、今になって再び、
勉強(取材)時間を短縮するための便利屋として記者に使われるのは
いいのだか悪いのだかわからないが、とにかく、きちんと書いてくれるなら、
不遜に聞こえるかもしれないが、記者さん向け講座いつでもお受けします。

2012年12月17日 (月)

133.次の時代を用意しよう

選挙戦のさなか、メコン川流域諸国等から訪れたNGOの方々向けに
日本の河川環境がいかに開発によって破壊されてきたか、
その歴史や仕組みを概説することになった。
「日本からの教訓 河川開発と破壊の背景」と題して短くお話したが、
逆にメコン河流域の人々の話に久々に触れて、
いかに日本がメコン河に依存しながら暮らす人々が直面している段階からは
かけ離れた段階にきてしまっているかに、改めて気づかされた。
 
日本ではすでに、魚を捕って食べて売り、川岸で野菜を育てて食べて売り、
水辺で家畜を育てて売る、川が生活の糧である生き方がほとんど失われた。
そして、あり得ないデータを理由にしたり隠したりしながら、河川開発を続けている。
 
そして、そのいい加減さを是正するための制度が弱い。
 
だから、今発展している国々では、世界にあるどんな最高の影響評価制度、
公文書・会議の公開法、住民参加制度をも上回るよい制度を作り、
費用便益分析の手法を疑い、もっともらしいデータを常に更新し、
どんな社会経済状況の変化も見逃さないで欲しい。
 
ところが、実はそんな先輩風を吹かせる資格など日本にはない。
 
日本だけではない。欧米先進諸国や中国、韓国などの新興国、
さらには少し先に発展を始めた途上国は
より後から発展を始めた途上国の闇雲な河川開発に荷担をしてきた。
自国での開発を終えるとまたは同時に、
官民共に政府開発援助や海外投資を行っている。
 
欧米諸国や日本が通った過ちを飛び越えてもらうための仕組みが
考えられつつあるが、開発との追いかけっこで全く追いついていない。
 
そして何より、日本では、日本自身がまだ最低限の
社会、環境、経済の持続可能な社会を築くための制度の多くが欠如している。
 
自民単独政権が終わった1993年の政変の後には、
情報公開法、NPO法などが成立したが
今回の政変は民主主義インフラを追加/強化できないままに終わった。
 
だからこれからだ。
 
やらなければならないことは見えている。
一つひとつ実現していくしかないし、近道はない。
 
以下は、配布資料の3頁目。現実と将来をみすえれば
やらなければならないことはたくさんある。
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2012年12月14日 (金)

132.泥棒を捕まえるルールを作りながら泥棒を捕まえられるか?

のコマの続きです。この日、会見に出かけていった理由は、もう一つ。規制当局が現在、何を基準に規制しているのかという根源的な問題がクリアでなく、このことは規制当局にとって(つまりその庇護を受けざるをえない国民にとって)致命的な欠陥と結論をもたらしかねないことに記事「 大飯原発を調べる有識者の一人、岡田篤正教授が35年前に現地の論文を書いていた」を書いていて気づいたからだ。

委員長ほかすべての原子力規制委員がその前身である原子力安全委員会のマインドとほとんど変わらず、原子力規制庁(前身・原子力安全・保安院)のシナリオ通りに無自覚で進んでいるのではないかという危惧が激しくわいてきた。

この日、以下のやりとりがあった後、他の記者からも他の角度から同様の質問があったのだが、その回答が良くも悪くも変わっていった。これについては後日、時間があれば記録する。もしくは今後、紙媒体での発信に反映させていきたい。

2012年12月5日原子力規制委員長会見録 http://www.nsr.go.jp/kaiken/data/20121205sokkiroku.pdf

○記者 すみません、全く別のことで伺いたいのですが、先日、28日にこちらで記者会見されていました時に、大間(原子力発電所) 、あるいは大飯(発電所)について質疑があり
ました。大間に関しては、田中委員長は、事業者が納得するだけの調査をすることが第一義的だと思うということをお答えになった部分と、それから、規制委員会として納得
できない時は許可しませんと
いうお返事をされた時と、矛盾した回答がありました。これは何を基準にして、誰が納得するまで調査をする必要があるとお考えになっているのかということをお願いします。

というのは、今、基準は、古い基準しかないわけですね。そうすると、今、大飯にしても、敦賀にしても、破砕帯の調査をしているのは、いわば保安院の残務の形でやっているのではないかと思うのですが、その時に何を基準にやっているのか。つまり、来年7月までにつくるという基準があるのだとすれば、今、何故新しい規制委員会が古い基準に基づいて審査をしているのかという疑問があります。もし7月までに新しいものをつくるとしたら、無意味な審査になるわけなのですけれども、今、一体何を基準に、誰が納得するまで調査をしているのかというのが全く聞いていて分からなかったのですが、お願いします。

○田中委員長  かなり幅広い御質問だと思うのですが、今、島﨑委員を中心にして、耐震基準等の見直しをやっていますので、それが最終的に結論が出てくるとは思うのですが、活断層とか、地盤の問題というのは、いわゆるシビアアクシデントマネージメントのような、ああいうものとは少し切り離して検討していく必要がある。要するに、未知の部分が非常に多いわけですね。ですから、まず、そういう点で、我々も現地を見ながら学んでいくというところがあるかと思います。
それから、大間に関しては、大間に限らないのですけれども、まず、事業者が自分たちでやるべきことをやって、その申請が出てきた時に、私どもの判断で審査をして、それで納得がいかなければ、場合によっては稼働を認めないという意味です。最初から大間という土地があって、そこの地盤調査をやって、ここならつくってもいいですよというやり方は、今、私たちはとれないし、とるつもりも、今のところはない。だから、今回もそうですけれども、大飯にしても、他のあれもそうですけれども、全てがそうだと思うのですが、自分たちがこういうふうにやります、安全確保はこういうふうにやりますという、そういう申請が出てきた時に、私たちがきちっとそれを見ていくということだと思うのです。

○記者  すみません、最後です。その申請という時に、許可の基準があって初めて申請だと思うのですけれども、 大飯にしても、 大間にしても、 全てにしてそうなのですが、 今、何を申請しているのか。実際の申請、許可という関係でやっているのか、それとも、この前のお話ですと。

○司会  すみません、質問を簡潔にお願いできますか。

○記者  この前のやりとりですと、法的枠組みではなくて、今の段階では行政指導の枠組みでやっているということだったと思うのですけれども、具体的に、簡潔に、どういう許可基準に基づいて、誰が何の審査をしている、そのための具体的な申請書というのが出ているのか、その辺、お願いします。

○田中委員長  具体的な申請書は既に出ていて、実際に炉ができているわけですね。だから、御指摘のように、今ある基準に照らしてみて大丈夫かということですけれども、実際にいろいろ調査する過程においては、これまでの基準自体で安全が担保できるかというところまで戻って、今、検討はしているということです。杓子定規に言えば、法的には、今、現存している法的枠組みで許可されているものですから、そこに則ってということになります。

○司会  もういいですか。

○記者  もう一回だけ、すみません。福島の事件を受けて、基準を新しくするということは決定していると思うのですね。 そうすると、 その基準ができる前に、 古い基準なのか、それとも裁量なのか、よく分からない基準で審査をしているという状態はやはりおかしいので、今の段階では全て稼働を止めるということを前提にして、新しい基準をまず作って、新しくできた基準に基づいて申請をする、許可をするという審査があるべきではないのでしょうか。ごめんなさい、最後です。

○田中委員長  基本的には、 そういうことを前にも申し上げていると思います。 もう一回、耐震指針とか、津波とか、外的な評価の仕方が変われば、そこに基づいて、個々のプラントについて見直すということなのです。

131.情報を出し惜しみする東電と規制当局の自覚

東電が事故直後の動画を再び公開し始めている。少しづつ少しづつ、小出しにである。
■テレビ会議録画映像の開示(第2回)2012年11月30日
http://photo.tepco.co.jp/date/2012/201211-j/121130-01j.html

2012年12月5日、こうして情報公開に後ろ向きな体質が未だに変わらない東電に代わり、
規制当局である原子力規制委員会の田中俊一委員長に見解を尋ねに行った。

その結果、規制当局としての自覚があるとは思えない回答が返ってきた。
公表されているものはきちっと手にしていきたいと思っています」というものだ。
つまり上記の画像である。その異常なまでの無自覚さ加減はなんなのか?

自分が手にした権力と責任をもう少し自覚してもらえまいか。
現在、再考を促しているが、
「促されている」という自覚を田中委員長が持っているか、はなはだ自信がない。

会見でのやりとりを抜き書きしておく。なお、以下出てくる「ピーター・ブラッドフォード」氏は委員長ではなく委員の間違え、また田中委員長が述べたレッスンズランはレッスンズ・ラーンド(lessons learned)のことだと思います。

http://www.nsr.go.jp/kaiken/
http://www.nsr.go.jp/kaiken/data/20121205sokkiroku.pdf

○記者  フリーランスのマサノと申します。よろしくお願いします。
現在、東電が福島第一原発の事故後のテレビ会議の模様と、それから、その文字起こしをマスコミに対して公開をしています。原子力規制委員会として、こうした資料を、記録を入手される検討はされたことがあるかどうかということをお願いします。

というのは、委員長もお会いになりました米国のスリーマイルアイランドの事故の時に委員長をされていたピーター・ブラッドフォードさんに伺ったところ、米国では、スリーマイルアイランドの事故に対しては、全ての情報を入手したということをおっしゃっていました。日本としてはいかがでしょうか。

○田中委員長  まだ具体的に、そこのところは、情報を入手して分析しようというところにはなっていないのですけれども、スリーマイルの時は、有名なケメニー委員会ができて、かなり分厚い報告書が出ています。日本の場合は、今、国会と、政府と、民間と、それから、東電自身のものが出てきたところですけれども、前々から申し上げているとおり、何をレッスンズランとして我々は捉えるべきかというところについては、いろいろな視点から、 そういったことも含めて、 今後、 時間がかかるかもしれませんけれども、分析をしていきたいと思っています。

○記者  そうすると、原子力規制委員会として、東電の資料、記録を入手される可能性はあるということでよろしいでしょうか。そうすべきだと思うという視点からの質問ですが。

○田中委員長  ああいう緊急時のところで、私は部分的にしか見ていませんから分かりませんけれども、相当緊迫した状況の中で何が起こっていたかということを明らかにするのは、これから大事だと思いますので、規制委員会としても、公表されているものはきちっと手にしていきたいと思っています。

○記者  全てのものが公表されていない、第三者によって東電の資料が入手されていなということが問題視されています。米国の場合は、第三者がスリーマイルアイランドで何が起きたかということを全て入手されているという、そういう観点からの検討をお願いしたいと思います。今の回答は結構ですので、御検討いただければと思います

なお、ピーター・ブラッドフォード氏が登場したフォーラムについては以下で報じました。ここには原子力委員会の鈴木木達治郎委員長代理も登場しています。

Actio 2012年11月号 特集「日本をメルトダウンさせないために」
http://actio.gr.jp/2012/10/16204539.html 
◎世界知る権利デー10周年フォーラム
日米の原発事故対応当事者が残す教訓と提案

2012年12月 9日 (日)

130.栃木県が美味しい地下水を放棄してたまり(ダム)水を飲ませるパブコメ

 
この件がダム検証で明らかになり、かつまた
住民訴訟()で補助金の不正取得問題として訴えられ始めた「今」になって、
栃木県は慌て始めている。
(私が取材した時点ではその後だったのにまだ暢気なコメントをしており、
そのコメントは記事に刻んだ)
地下水の利用を減らして、
その分の水を水道から取ることにして、水道計画(案)を作成し、
選挙戦のさなか、「今」、パブコメを実施している。
 
この件が悪質なのは、
現在、飲み水の100%を地下水でまかなえている栃木市など2市2町に対して、
「地盤沈下や地下水汚染が危惧されており」という理由で、
表流水(つまり将来できる南摩ダムからの取水)に水源を求めさせ
地下水依存度を40%に引き下げるということです。
 
そして、これらのパブコメ案をみても、 
 
・南摩ダムの話は一言も書いておらず(情報隠し)、
・放射性物質による表流水の汚染の話は収束したことになっており(情報隠し)、
・おいしい地下水を放棄して、まずいダムの水に切り替える案であるとは書いて
おらず(情報隠し)、
・やがてダム事業費が受益者負担として水道料金に上乗せされて値上げに直結す
ることも書いておらず(情報隠し)、
・これまでの不正補助金についてはまったく触れていない(責任隠し) 
栃木県人口はすでに減っているので、新たな水道施設を作ること自体がナンセン
スですが、維持管理費までを未来につけ回すことになるという深刻な問題です。
一人でも多くの栃木県民がこのパブコメに気づき、選挙と同様に
真正面から向き合って欲しいと願っています。

(*)関係資料
控訴審第6回  栃木県2012年10月22日 宇都宮市2010年8月5日
 控訴人準備書面6(思川開発の利水)(PDF 60kB)http://www.yamba.jpn.org/shiryo/tochigi_k/tochigi_k_g_junbi_6.pdf 
 控訴人準備書面7(思川開発の利水)(PDF 81kB)http://www.yamba.jpn.org/shiryo/tochigi_k/tochigi_k_g_junbi_7.pdf 
 控訴人証拠説明書(思川開発の利水)(PDF 89kb)http://www.yamba.jpn.org/shiryo/tochigi_k/tochigi_k_g_shoko_5.pdf 

129.荒瀬ダム撤去 ルポ

月刊「世界」http://www.iwanami.co.jp/sekai/

「県民が実現させた熊本・荒瀬ダム撤去
──次に必要なこととは何か」を書きました。
人々の笑顔が載ったルポです。
是非読んでください!

http://www.iwanami.co.jp/sekai/2013/01/276.html

Photo

荒瀬ダムの撤去を待つ八代海(2012年10月7日撮影)

128.選挙後の世界(所掌事務による仕分け)

次の政府(または国会)がやるべきことは山盛りある。

その一つは設置法に基づく所掌事務の仕分けだと思っている。
以前から「政策ごとの仕分け」を提唱(というと偉そうだが)してきたが
そのやり方を明かしたことはあまりなかった。

先月、ある場所で「水資源開発促進法 立法と公共事業」にちなんで「公共事業」について話をすることになり、頭で描いていることの一部をアウトプットした。

設置法に基づく所掌事務(仕事)の仕分けだ。
たとえば国土交通省の場合は、第4条に128もの所掌事務が並んでいる。
パワーポイント1枚におさめてみると一文字一文字が芥子粒のように小さい。

Photo

この128の所掌事務には、それぞれ法律(政策)、予算、部署と人員、地方機関、執行機関(独法など)、受注事業者(公益法人、民間企業)がピラミッド的にぶら下がっている。それを全部テーブルに載せる。一挙にではない。1所掌事務ごとに。

これをひとつづつ以下の3つに分類する。
1)社会の変化に伴い役割を終えたので設置法から削除する仕事
2)国として行ってきたが地方に任せることにして設置法から削除する仕事
3)国の役割として残すもの
4)その他(たとえば独立行政法人に振り向けている仕事)は1)2)3)のどれかに該当させる。

生ぬるい判断はしない。原則すべて1)をベースに考える。

たとえば、国土交通省設置法(所掌事務)第4条の1項から5項までを例に挙げると次のように書かれている。

一 国土計画その他の国土の利用、開発及び保全に関する総合的かつ基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
二 国土の利用、開発及び保全に関する基本的な政策に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。
三 社会資本の整合的かつ効率的な整備の推進(公共事業の入札及び契約の改善を含む。)に関すること。
四 総合的な交通体系の整備に関すること。
五 都市交通その他の地域的な交通に関する基本的な計画及び地域における交通調整に関すること。

これが百二十八項まで続くが、これを以下のように分類する。

一 →1)削除する仕事
二 →1)削除する仕事
三 →1)削除する仕事
四 →1)削除する仕事
五 →1)削除する仕事

なぜか?これらのどれもがもはや役割を終えているどころか、過去にも仕事をきちんと成し遂げたとは言いがたい結果が目の前に広がっているからだ。調整をするはずが、空港も道路も新幹線も鉄道も港湾もあれもこれも、と地方に作りに作って借金を作った。今も続けている。ろくな国土計画でも開発でも整合的な交通の整備でも調整でもない。鉛筆なめを認めた元官僚もいる(この辺はで触れた)。いわば職務違反だが、誰も責任を取っていない。これは所掌事務一~五の失敗だ。このような権限(所掌事務)は官僚から問答無用で取り上げるべきなのだ。

この政策ネットワークこそが「ムラ」であり、学問や研究者の世界もそれに毒されている。政治家にはそのムラに属する企業からの献金が行く。広告費はいわば報道界への企業献金の役目を果たす。よく言われる政官業学報の互助会で、富める者への福祉政策、税金の悪循環となっている。

本来は、競争原理や合理性では解決・実行できないために基本的人権を擁護するために税の再配分によって行われるのが「福祉」である。しかし、このムラ社会では、富める者が持続可能な富を維持するために必要性や合理性とは無関係に「福祉」のように現状を維持する倒錯した構造ができあがっている。

こうした所掌事務をムラごとカットするということは「政策→官僚→企業→政治家・報道・学者→政策」と、悪循環を続けてきた血税の流れに終止符をうつことを意味する。

余った人材はどうするのか?人間が足りない分野に配置転換をすればいい。介護、介護、介護。新しいエネルギーへの転換。作り続けたハコモノの整理。森の手入れ。たくさんある。未来世代への人材と仕事のニーズのミスマッチの調整作業・・・。

と書きかけで下書きに入っていたが、このまま送ってしまおう。

127.三権分立はないまま8年

本日は八ッ場ダム住民訴訟の8周年記念シンポへ行く。
1都5件で住民訴訟が提起されてからすでに8年が経過したのだ。

しかし、まったく裁判とは無関係であるかのように行政は事業を進めている。

この住民訴訟は、究極的には、未来世代に必ずや損害を与えるであろう支出を止めるために行っているものだ。水が余ってダムは無駄だったことが分かった頃、水道代は上がるのだ。だから、その支出、ちょっと待った!と裁判をやっているのに。

そして、一方では治水の根拠資料にはねつ造があったことが裁判所に提出された資料と国会で提出された資料の違いで明確になった。それでも裁判長は行政事件訴訟法を活用して行政行為に待ったをかけないまま裁判をズルズルとやっている。脳みそが停止しているのだろうか。なぜ、ねつ造の事実を裁判所が分からないのか、認めないのか?

こんな司法が福島第一原発事故の遠因にもなっていることが明らかになってきたというのに。

========================
「ねつ造してまで八ッ場ダム?
     〜どうなる!! 利根川水系河川整備計画」
2012年12月9日(日) 13時15分~16時30分
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講演 「ムダな公共事業を止められるか?」
          五十嵐敬喜さん (法政大学教授、復興構想会議の専門委員)
    「利根川・江戸川有識者会議の欺瞞」
          関 良基さん (拓殖大学准教授 利根川江戸川有識者会議委員)
その他、詳細はこちら↓
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1770

2012年12月 5日 (水)

126.公共事業という争点(3)栃木および全国水余りダム

諸々の事情でブログ更新が遅れた。

先週の週刊金曜日で、栃木県を舞台に「南摩(なんま)ダム」で何年にもわたって行われてきた補助金の不正受給にスポットを当てて書いた。全国の水余りダムマップも載せたので、自分の地域の衆院選候補者たちが何を言っているか、それともまったく関心を持っていないか、少しでも参考になれば幸い。

『国の認可ナシでも思川開発は国からの補助金を受給
「水余り」を生む詐術としてのダム』

http://www.kinyobi.co.jp/news/wp-content/uploads/2012/11/121130-003trim.pdf

最新号表紙写真

ちなみに
●八ッ場ダムについては各党に対してこんなアンケート結果が出ている。
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1791

●山形県ではこんな集会が本日行われる。http://www.ogunigawa.org/
「知事はなぜダムにこだわるのか!?」
緊急集会!12.5 佐高信×高成田 享 
 佐高 信「“卒原発”でも“卒ダム”でない不思議」
 高成田 享「震災とコンクリート文明」
 川辺孝幸 「ダムをつくらなくとも治水はできる」
 沼沢勝善「小国川漁協は今」

 

 

 

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