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2012年11月 4日 (日)

104.利根川・江戸川有識者会議(23)東大話法Ⅱ小池俊雄東大教授の回答

前後するので分かりにくくて恐縮ですが、
東大話法かぁ~ からの続きです。

第7回利根川・江戸川有識者会議において
小池俊雄東大教授は大熊委員からの質問に長々と回答した後、

関委員から今、お話しがあったことでございますが、
いくつか誤解があるのではないかと思います
」と後半部分を回答し始めました。

関委員が小池委員に尋ねた質問は、
データで見ると明らかな森林の保水力の経年変化が、
日本学術会議の回答では検出されなかったと書かれていているが
どういうことなのか
ということです。

これに対する小池委員の回答は、聞かれた変化する「飽和雨量」に加えて、
有効降雨モデル」「1次流出率」という
専門用語をちりばめたものでした。
さらに「折れ線」「直線」という「有効降雨モデル」とは
どのようなモデルかを見たことがない人には分からない言葉がドンドン使われました。

これらは、前のコマでお話しした「飽和雨量」という言葉と共に、
次のように使われる言葉だと考えると、少し分かるかと思います。

例文による解説========
たとえば一次流出率が0.5の流域で、100mmの雨が降り続けると
降り始めてから飽和雨量に達するまでは、50 mmが土壌に染み込み
50 mmが川に流れ出てきます。
そして、降り始めてしばらくして飽和雨量に達すると、その後の流出率は変化します。
最終的に流出する率が1.0と言えば、土壌にしみ込まずに100%川に出ること。
最終的に流出する率が0.7と言えば、土壌に30%、川に70%いくことを意味します。
それをグラフに表してどれだけの流量が川に流れてきたかを示すのが
有効降雨モデルです。

そして、降り始め(一時流出率)から降り終わり(最終的な流出率)が変化しなければ
有効降雨モデルをグラフにすると直線グラフとなり
降り始めと降り終わりの流出率が変化するのであれば、
有効降雨モデルは折れ線グラフになります。

たとえばそれを飽和雨量150mmの流域を例に作るとこんな感じで、
この図は飽和雨量に達した後の流出率の設定によって
再現計算した洪水の規模に差が出ること
特に、中規模の洪水に合うようにモデルを作ると
大規模な洪水の計算は過大になってしまうことを表したものです。↓

Photo_3

出典:関良基委員提出資料(p.7)
========例文による解説終わり

しかし、このことが分かっている傍聴者や記者はほとんどおらず、
こうした言葉が出てきた瞬間に頭がフリーズし、
小池委員が言っていることが正しいのかゴマカシなのかが分からなくなります。

そこで会議を取材中、茶道について聞いたある話を思い出しました。

作法を知る者は、もしも自分よりも先にお茶を飲んだ方が
茶道の作法を知らずに「無作法」で飲んだ場合、
自分も茶道の「作法」に沿わず、「無作法」で飲むことが作法である。
自分だけが「作法」に沿って飲むことこそが「無作法」である。

東大教授の小池委員は、「飽和雨量」も「有効降雨モデル」も「1次流出率」も
世の中のほとんどの人が知らないことを知っているはずで、
ましてや自分以外で出席している多くの「有識者」でさえ
水文学の専門家でもない限りは理解の範疇を越えていることが分かっている中で、
一人滔々と専門用語をちりばめて喋りました。それだけで、
修行が足りない私はムカムカくる・・・typhoon。話がそれましたが戻ります。

以上の不十分な解説でもさらに分からない言葉が出てくると思いますが
関氏に聞かれたことと答えを「紫」。
関係しているように聞こえるが若干ずれた答えを「赤」として。
問いに対する回答を探しながら言葉を追っておきました。

そして結局、大文字は忙しい人はここだけ読めば本質は分かるのではないかと私が思ってトホホと笑ってしまったところである。

第7回利根川・江戸川有識者会議における小池俊雄東大教授の回答:

関委員から今、お話しがあったことでございますが、
いくつか誤解があるのではないかと思います

関委員が計算されたのが、流出の方が、1万・・・(小池委員が資料を探している)
ございました。ちょっといくいつか、ご指摘というか、
お聞きしながらご説明しないといけない部分があろうかと思いますが、
この新しい貯留関数モデル、現行モデルと新モデルと言われるものですが

これは、現行モデルについては、
大熊先生から間違っているというお話しが、
専門家としてお呼びしましたときにご指摘いただきましたので、
我どもも、最終的にはラインバイラインでソースコードを読みました。
私共の学術の観点からは正しいということを確認しました。

それで、ここの今、関委員からお話しがありました
吾妻川流域の総雨量と総流出量のグラフでございますが、
第四紀火山岩類は先生がご指摘のように、飽和雨量を設定して

それまでの流出率とその後の流出率、という考え方をしないほうがいいと
私共はご指摘し、そして、国土交通省もそういう方向で、第四紀火山岩類の、
こういうのを有効降雨モデルといいますが、過去のデータを使って、
どういう雨の成分が、どの段階で流出成分になるのかということを表すモデルです

それに対しまして、それ以外の地質区分につきましては、
有効降雨モデルは飽和雨量を定め、1次流出率と
それから今関先生がお話しした1.0という流出率に折れ線で表示する方がよい。

それは、どういうふうにして決めたかと言いますと、
過去のそれぞれの地点の雨量、総雨量と総出量をプロットしていただきまして、
これを分科会に出していただきました。

でそうやって分科会の専門家の目で見たところ、
確かに、第四紀火山岩類は直線で折れ線なしでやるべき。
それ以外のところについては
飽和雨量を設定して、1次流出率とそれから流出率を1でやるのがよい、
有効降雨モデルというものをご提案しました。
それに沿って国交省は新モデルを作っていただいたわけです。

確かに、関委員のおっしゃるように、
この資料の6頁、下の図で、宝川というところでございますが、
花崗岩類のところで、谷委員が宝川森林試験地というのがございますので、
そのデータを使ってお作りになった図でございますが、

直線でもいいように見えます。

Photo_4

で、これをどうしようかということで、
実際の流量観測地点のそれぞれ4つの
これ、今度、もしも、あれでしたら
データをちゃんと見せていただけるといいのですが、
有効降雨モデルを作ったときの図をみますと、

この直線でやるよりは、その、ぉ~、折れ線で
有効降雨を設定して、
1次流出率と流出率でやった方がいいという判断を私共は判断しました。

その有効降雨モデルができて初めて、
これを入れて、直近といいますか、最近15年ぐらいでしたかね、
のデータを使って、この貯留関数のパラメータを決定していただきました。
これ、決定するわけです。
昭和33年34年を使うわけではなくて、
最近15年間のデータだけで、このKとかPとか言う値を決定いたします。
決定致しまして、それを適用すると、34年に適用して結果を見るということを致します。

その結果、それも計算結果が違っているといけないということで
そのパラメータを使って、これは私どもは直接貯留関数を走らせて計算しました。
その計算結果と国土交通省の計算結果はぴったり一致しましたので
国土交通省の計算結果は、間違いではないと私どもは申し上げた。

ちなみに現行モデルにつきましても同じようなモデルを作って
検討もしましたが、これについては省略致します。

で、関委員が16663という数字を出したのは
直線をお使いになったからだというお話がございましたがそうですか?

というわけで、ここに到る長い説明を追っても

1.飽和雨量のデータで見える森林保水力の経年変化が
 日本学術会議の回答では検出されなかったと書かれていているが
 どういうことなのか」ということへの返事は見あたらない。

10_2

出典:関良基委員提出資料(p.8)

2.いくつか誤解があるのではないかという発言から始まったが、どうやら16663という数字が誤解だと言いたかったようなのだ。21000と国交省が言い、日本学術会議がお墨付きを与えた形になった「過大」と批判されつづけてきた数値のことである。

(続く)

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