97.利根川・江戸川有識者会議(18)記者クラブ視線と大臣の認識Ⅱ
そんなわけで、2012年10月26日、国土交通大臣会見に行ってきました。
会見では「幹事社」といって会見を取り仕切るメディア2社が
大臣の真ん前、ど真ん中、一列目に座ります。この日の幹事社は産経と読売です。
産経のかたがなんども私を振り返り、
目で「なげぇぞ、いつまで質問してんだ!」ビームを送ってくるのを
かいくぐりながらの質問となりました。
大臣の回答はほぼ逐語音おこし、質問内容はラフです。
正式版は、後日ウェブでご覧ください。
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin.html
なお、私が「トン」と言ってしまっているのは、
流量「m3/秒」の意味です。
Q:利根川・江戸川有識者会議で、複数の有識者から
氾濫図に間違いがあると指摘されている問題についてです。
カスリーン台風で氾濫図したことになっている流量ですが、
川に戻したとして2.万1千トンと言われ、
実際に観測・推定されたのは1万7千トンでしかない。
その乖離を埋めるため、
洪水が山まで押し寄せてきたことになっています。
何が問題かと言えば、
八ッ場ダムの効果は500トン、最近1000トンと言い始めているようですが、
それなのに、2,1引く1.7で4000トンの乖離があります。
その点を理解されているかということと、
それを指摘している有識者とともに現場へ行かれてはどうでしょうか。
羽田大臣:
昭和22年の群馬県の被害図であるという前提をもとに、
こういうものだと説明をして出している。
これが正しいとか正しくないというより、
こういうものがあるとご紹介した。
ですからこれを出すことで捏造しようとか、
利根川の流量の算出に用いているわけではない。
Q:その利根川の算出で2.1に近いものが出てきているわけですが、
そもそも2.1で、違う飽和雨量を入れて算出して大きく2.1にしていたという指摘があって、
それで日本学術会議に検証などをお願いしたのが馬淵大臣時代なんです。
(経緯フロー図はこちら)
ところが日本学術会議で検証されたときの分科会の小池委員長は、
飽和雨量の数値の操作があったかどうかは検証しませんと
(学術術会議時のぶら下がり取材で)おっしゃった。
実際に検証しなかったんです。
で、新しい国交省モデルを出してきて、
その国交省モデルでもまた2.1に近いものがでましたと。
これず~っとですね、去年から1年間続いている問題なので、
決着をつける意味では、大臣が現場に行かれるべきはないですか。
乖離を説明している22年の群馬県が出している資料、
前提を出しているからいいんだとおっしゃいますが、それが間違っている。
群馬県の資料が間違っているんです。
そのことはおっしゃらずに出典を出しているからいいんだと
問題をすり替えていらっしゃいますけれども、
それはまずいんじゃないでしょうかという提起をされているんですが。
いかがですか、現地に行かれては。
羽田大臣:
そこはもう少し事務方から話をきいてみます。
今の段階で私が現地にいくといいことではないのではないか。
~~~~~~
というわけで、一目瞭然で誰がウソをついているか分かる現場に
行かない?行けない?のは何故なのか。
指摘を鵜呑みにしろと言っているのではない。
官僚の説明と、批判的に現場検証を行った有識者の説明と
分かれているのだから現場確認をして判断してはどうかという質問が
どうして、
「そこはもう少し事務方から話をきいてみます」という答えになるのか、
分かりません。
私ももう少し質問の仕方も上達させていこう。しかし、
もしも、浸水があったかなかったかを記録した公文書の間違いが
官僚によって歪められたまま、
是正されずに後世に残されるということはどういうことなのか、
もう少し、直感と感性を磨いていただけないか、そんなふうに思います。
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