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2012年10月 6日 (土)

79.利根川・江戸川有識者会議(5)低水管理の最終

そして利根川・江戸川有識者会議でスルーされてきた低水管理の話である。

高水管理(や原発政策)と同じで、先進国なみの住民参加プロセスはなく、
河川ムラだけで(審議会にだけお墨付きを得て河川管理者(国交省)が)決めてしまうルールである。

たとえば、利根川水系河川整備基本方針(P.32)では、
利根川本流については「栗橋」というところが基準点となって、
ここを毎秒何トン流れるようにすれば
水を使う権利を得た人が取水できて、しかも
動植物が生息するだけ(漁業や塩害防止のためのときもある)の水位が維持できるかと計算し、ダムの放流量を決める。

極端なことを言えば、それらの水量を確保するためには
あとで渇水のリスクがあっても、おかまいなしにガンガン放流してよい。

なぜか?それが決まりだからだ。
河川法上の用語で言うと
第1条「流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされる」
目的達成のためだ。

岡本雅美・元日本大学教授の表現を借りて、それを噛み砕いて言えば、
河川管理には高水管理と低水管理があり、
河川管理者は低水管理のために、
 (1) 河川管理者が許可した水利権分の水をダムから放流し、
 (2) 流水の正常な機能を維持するための水をダムから放流し
 (3) 異常渇水の時だけは、関係者で渇水調整に合意し、情報を発する。

たとえば、私が「大本営発表」と批判した「渇水」を作り出すのは簡単だ。
 まず、この夏は小雨になりそうだなと思っても、
 河川法第1条を忠実に守り(1)と(2)の理由で放流し続ける。
 そしてギリギリになって(3)を発令して、渇水です、取水制限ですと騒ぐ。
 一方で、合意外のところではガンガン放流するという具合だ。
ダムが空になるのは、(1)と(2)の低水管理によるものであり、
あれはあれで、空になることで機能を果たしているのだ。

良心的な河川管理者の身になって言ってあげれば
洪水調整も渇水調整もなかなか難しいですねということになるが
ダムの必要性を演出したいと思えば悪意の河川管理も可能であり、
それを知らないと、「渇水」だ!という単純な報道になる。

だから、小学校で教わる「ダムの機能」はみんなの頭の中に、
洪水のときは貯めて、渇水のときは放流する」イメージが
植え付けられているのだけど、

もの凄く不思議なことなのだが、ダムは
想定外の洪水では放流し、渇水調整前に空になる
というのが現実の世界なのである。

さらに言えば、
「想定外の洪水では放流して、直下流に浸水被害を起こし、
 
渇水が起きる前から河川環境を守るためにガンガン放流し、
 
渇水調整の発表がある頃にはダムはスッカラカンになる。」

これが高じて、そのためにダムが建設されるという「自己目的化」も各地で起きている。

だから、低水管理はスルーすべきではない論点なのである。 

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