100.利根川・江戸川有識者会議(20)明かされ始めたブラックボックスⅠ
第7回利根川・江戸川有識者会議(平成24年10月16日)における、
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000207.html。
関良基委員による情報提供と質問のまとめです。
難しい話なので、その【前提】を整理しておきます。
【前提】
利根川の治水計画は昭和22年にカスリーン台風で下流に大きな被害が出たことに
http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/kyoukun/rep/1947-kathleenTYPHOON/
大きく影響されています。しかも、この台風では堤防が決壊し、
どれだけの洪水が川に押し寄せたのかという記録がありません。
覆水盆に返らずですが、川にかえしたら最大26000m3/秒が流れたという説がありました。
そしてそれを再現計算するモデルができて、計算が行われ
過大だ、妥当だという議論が行われてきました。
再現計算するモデルを議論する上での特徴は
過大だと批判する側は情報を十分に持っておらず、
一方で、妥当だと主張する国交省はブラックボックスを抱え、
説明責任を果たして来なかったことです。
その意味で、第7回会議(平成24年10月16日)で、
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000207.html
関委員は、ブラックボックスがどこにあったかを
分かりやすく説明されました。
そこで、大見出しと小見出しをつけていくことにします。
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関良基委員によるブラックボックスについての情報提供と質問
国交省による80分の1確率の目標流量にあたる17000
という根拠の計算の仕方がおかしいと考え、
どこがおかしくてどこを変えれば正しい値が出るかを計算した。
1. 地質の差で、山に降って川に流れてくる量が違うこと
●「第四紀火山岩」の考慮
群馬県は、最近、数万年の間に噴火した火山の噴出物が堆積してできた地層が多い。
雨水をザルのように浸透させ、降った雨が、
川に出てくるよりも地下にドンドン浸透していくという状況だ。
日本学術会議で、谷誠委員と窪田順平委員が作った図(クリックで拡大)を見ると
出典http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/giji-kihontakamizu.html
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/takamizu/pdf/haifusiryou09-2.pdf
八ツ場ダムが建設される吾妻川は第四紀火山噴出物で覆われており、
降った雨の32%(「傾きが0.32」と表現)しか出てこないことになっている。
国交省は今回、降った雨の40%ぐらいが出てくるという計算をして、
基本高水が21000トンという数字になっている。
しかし、昭和44年、国交省が最初に計算をしたときは26000だった。
どうして下がったのか国民は知らされないままだったが、
国交省のデータを使い、第四紀火山噴出物を考慮せず
100%川に出てくると計算すると26000になる。
地質が雨水の浸透に影響を与え、川に出てくる量が異なるというのは
虫明先生(有識者会議のメンバー)の専門だ。
(これについては反論およびその反論があとで展開される)
●「新第三紀層」「花崗岩類」の非考慮
群馬県の地質図を見ると、
第四紀層、第四紀火山噴出物の回りに新第三紀層が広がっている。
新第三紀は第四紀の前の年代だ。
国交省は、第四紀は40%に変えたものの、
新第三紀層へ降った雨は100%流れてくるという仮定で計算している。
また、花崗岩類も水を浸透させやすく、70%しか出てこない。
これは日本学術会議の谷誠委員の見解で、
森林総研の試験地で、奥利根・宝川というところで
花崗岩類で0.68、つまり68%しか出てこないと示している。
これを国交省は100%出てくると計算している。
出典http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/giji-kihontakamizu.html
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/takamizu/pdf/haifusiryou09-2.pdf
国交省が目標流量としている流量は80年に1度で17000だが、
花崗岩類と第三紀層を70%として計算した場合にこれは16663になる。
パラメータを恣意的に100%と仮定したモデルを作ると
その分、目標流量は過大になる。
この続きはまた後刻または明日以降に書くことにします。
2. 飽和雨量によって、山に降って川に流れてくる量が違うこと
3. 小池委員の反論
4. 小池委員の反論への関委員の反論
5.虫明委員の反論
6.虫明委員の反論への関委員への反論
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