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2012年10月

2012年10月28日 (日)

100.利根川・江戸川有識者会議(20)明かされ始めたブラックボックスⅠ

第7回利根川・江戸川有識者会議(平成24年10月16日)における、
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000207.html
関良基委員による情報提供と質問のまとめです。

難しい話なので、その【前提】を整理しておきます。

【前提】

利根川の治水計画は昭和22年にカスリーン台風で下流に大きな被害が出たことに
http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/kyoukun/rep/1947-kathleenTYPHOON/
大きく影響されています。しかも、この台風では堤防が決壊し、
どれだけの洪水が川に押し寄せたのかという記録がありません。
覆水盆に返らずですが、川にかえしたら最大26000m3/秒が流れたという説がありました。

そしてそれを再現計算するモデルができて、計算が行われ
過大だ、妥当だという議論が行われてきました。

再現計算するモデルを議論する上での特徴は
 過大だと批判する側は情報を十分に持っておらず、
 一方で、妥当だと主張する国交省はブラックボックスを抱え、
 説明責任を果たして来なかったことです。

その意味で、第7回会議(平成24年10月16日)で、
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000207.html
関委員は、ブラックボックスがどこにあったかを
分かりやすく説明されました。
そこで、大見出しと小見出しをつけていくことにします。

=================================
関良基委員によるブラックボックスについての情報提供と質問

国交省による80分の1確率の目標流量にあたる17000
という根拠の計算の仕方がおかしいと考え、
どこがおかしくてどこを変えれば正しい値が出るかを計算した。

1. 地質の差で、山に降って川に流れてくる量が違うこと

●「第四紀火山岩」の考慮

群馬県は、最近、数万年の間に噴火した火山の噴出物が堆積してできた地層が多い。
雨水をザルのように浸透させ、降った雨が、
川に出てくるよりも地下にドンドン浸透していくという状況だ。

日本学術会議で、谷誠委員と窪田順平委員が作った図(クリックで拡大)を見ると

Photo_7

出典http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/giji-kihontakamizu.html
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/takamizu/pdf/haifusiryou09-2.pdf 

八ツ場ダムが建設される吾妻川は第四紀火山噴出物で覆われており、
降った雨の32%(「傾きが0.32」と表現)しか出てこないことになっている。
国交省は今回、降った雨の40%ぐらいが出てくるという計算をして、
基本高水が21000トンという数字になっている。

しかし、昭和44年、国交省が最初に計算をしたときは26000だった。
どうして下がったのか国民は知らされないままだったが、
国交省のデータを使い、第四紀火山噴出物を考慮せず
100%川に出てくると計算すると26000になる。

地質が雨水の浸透に影響を与え、川に出てくる量が異なるというのは
虫明先生(有識者会議のメンバー)の専門だ。
(これについては反論およびその反論があとで展開される)

●「新第三紀層」「花崗岩類」の非考慮

群馬県の地質図を見ると、
第四紀層、第四紀火山噴出物の回りに新第三紀層が広がっている。
新第三紀は第四紀の前の年代だ。

国交省は、第四紀は40%に変えたものの、
新第三紀層へ降った雨は100%流れてくるという仮定で計算している。

また、花崗岩類も水を浸透させやすく、70%しか出てこない。
これは日本学術会議の谷誠委員の見解で、
森林総研の試験地で、奥利根・宝川というところで
花崗岩類で0.68、つまり68%しか出てこないと示している。
これを国交省は100%出てくると計算している。

Photo_8

出典http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/giji-kihontakamizu.html
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/takamizu/pdf/haifusiryou09-2.pdf 

国交省が目標流量としている流量は80年に1度で17000だが、
花崗岩類と第三紀層を70%として計算した場合にこれは16663になる。

パラメータを恣意的に100%と仮定したモデルを作ると
その分、目標流量は過大になる。

この続きはまた後刻または明日以降に書くことにします。

2. 飽和雨量によって、山に降って川に流れてくる量が違うこと
3. 小池委員の反論
4. 小池委員の反論への関委員の反論
5.虫明委員の反論
6.虫明委員の反論への関委員への反論

99.利根川・江戸川有識者会議(19)地方が先をいく治水のあり方

繰り返しになりますが、治水にしても利水にしても
少なくとも日本においては、ダムのストライクゾーンが小さい
ということを繰り返し書いてきました。

これは事実や河川工学者から学んできたことです。
たとえば、『ダムが国を滅ぼす』(扶桑社)で、
京大名誉教授の今本博建・元淀川水系流域委員会委員長も
「ダムが必要」なんてウソだった!という表現で書いています。
もちろん同教授の語る大事なことは、ウソかどうかという次元ではなく、
ではどのような方法で、人々の命を洪水から守るかということです。

想定した洪水までは責任を持つ(=ダムを作る/堤防の高さを確保する)のではなく、
想定外の洪水であっても、堤防破堤による破壊力で人が死なないようにすることだ
という考えです。地域で住民参加で決めようということです。

一部、地方自治体の方がこの点では先へ行っていますが、
 兵庫県例 愛知県例 

霞ヶ関の「河川行政」では、まだまだ
その一歩手前の、流量がどうしたこうしたという
数字の多寡についてのやり取りが続いています。

なぜならば、どう見ても
ダム計画を裏付けるためだけの大きな洪水流量があったことにされ、
それを裏付けるための計算方法が存在しているからです。

第7回利根川・江戸川有識者会議(平成24年10月16日)では、
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000207.html
大熊委員の質問に続いて、関良基委員が質問をしました。
次のコマではそれに対する小池委員の答えについて考えてみます。

===========================

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 たった7水系のためにある法律です。
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98.解けそうにない「誤解」があるので(ボヤキ)

ちょっと横道へそれるが
解いておいた方がよい誤解を持たれたままなので書いておきます。

お目にかかったことのない人によるブログが、
ご本人にとっては非意図的にかもしれないが、
不気味なネガティブキャンペーンになっている。

長野県が村井仁県政にあった当時、
「浅川ダムの穴あきダム計画では、洪水の軽減効果は、
 私の取材によれば5ミリ程度です。」
と私がどこかで書いたのを捉えて、「誤解がある」「無責任だ」と批判し、
持論を展開されている。

そこで、すぐに県職員の言葉が情報源であることを書いた記事を示した。
(『浅川ダムは5ミリの「減災」にしかならない」』週刊金曜日2007年3月30日号)
ところが、「誤解」だというブログは、今も訂正もされずに放置されている。

結論から言えば、このときの職員の言葉(私の記事)は、
データを伴って本当だったことが改めて証明された。3年後のことだ。
先に証拠を示しておきます(クリックで拡大)。
Photo_6

出典は長野県庁(PDFのP.35)
http://www.pref.nagano.lg.jp/doboku/kanri/shomu/hokoku.htm

これはどうやって出てきたかと言えば、
長野県・吉村午良県政で始まった治水・利水の県営ダムから、
田中康夫県政の「脱ダム」、
村井仁県政で水を貯めない穴あきダム(治水専用のダム)と紆余曲折し、
2010年9月に「県民の皆様へ説明責任を果たしたい」との公約で当選した
現・安陪守一知事が、前政権の本体着工を前提に論点整理を行って
「継続」を決めたときに出た。

このナンセンスな決定については

長野県の負の遺産、浅川ダム
──治水へのマイナス効果をどう見るのか──

「世界」2012年2月号 で書いたので、そちらで見ていただきたいが、

上記の長野県資料で二つの事実が明らかになった。

1.基準となる地点での最高水位が
  ダムができても約1センチしか下がらない。

2.ダムがない方が早く水位が下がり始め、
    氾濫時間はダムがあった方が1.5時間も長い

こんな公共事業が成り立つなんて、許し難く、信じられないが、
信じられない人は報告書なり知事なりにあたって確認をして欲しい。

体制に対峙しながら発信することは容易ではないし、
何かと誤解をかけられるのは仕方がない。
しかし、それらしい言い方で 、
他人の信用性を落とそうとする人が存在することは
なんとも切ない。

97.利根川・江戸川有識者会議(18)記者クラブ視線と大臣の認識Ⅱ

そんなわけで、2012年10月26日、国土交通大臣会見に行ってきました。

会見では「幹事社」といって会見を取り仕切るメディア2社が
大臣の真ん前、ど真ん中、一列目に座ります。この日の幹事社は産経と読売です。

産経のかたがなんども私を振り返り、
目で「なげぇぞ、いつまで質問してんだ!」ビームを送ってくるのを
かいくぐりながらの質問となりました。

大臣の回答はほぼ逐語音おこし、質問内容はラフです。
正式版は、後日ウェブでご覧ください。
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin.html 
 なお、私が「トン」と言ってしまっているのは、
 流量「m3/秒」の意味です。

Q:利根川・江戸川有識者会議で、複数の有識者から
氾濫図に間違いがあると指摘されている問題についてです。

カスリーン台風で氾濫図したことになっている流量ですが、
 川に戻したとして2.万1千トンと言われ、
 実際に観測・推定されたのは1万7千トンでしかない。

その乖離を埋めるため
洪水が山まで押し寄せてきた
ことになっています。

何が問題かと言えば、
八ッ場ダムの効果は500トン、最近1000トンと言い始めているようですが、
それなのに、2,1引く1.74000トンの乖離があります。

その点を理解されているかということと、
それを指摘している有識者とともに現場へ行かれてはどうでしょうか。

羽田大臣:

昭和22年の群馬県の被害図であるという前提をもとに、
こういうものだと説明をして出している。
これが正しいとか正しくないというより、
こういうものがあるとご紹介した。
ですからこれを出すことで捏造しようとか、
利根川の流量の算出に用いているわけではない。

Q:その利根川の算出で2.1に近いものが出てきているわけですが、
そもそも2.1で、違う飽和雨量を入れて算出して大きく2.1にしていたという指摘があって、
それで日本学術会議に検証などをお願いしたのが馬淵大臣時代なんです。
(経緯フロー図はこちら

ところが日本学術会議で検証されたときの分科会の小池委員長は、
飽和雨量の数値の操作があったかどうかは検証しません
(学術術会議時のぶら下がり取材で)おっしゃった。
実際に検証しなかったんです。

で、新しい国交省モデルを出してきて、
その国交省モデルでもまた2.1に近いものがでましたと。
これず~っとですね、去年から1年間続いている問題なので、
決着をつける意味では、大臣が現場に行かれるべきはないですか。

乖離を説明している22年の群馬県が出している資料、
前提を出しているからいいんだとおっしゃいますが、それが間違っている。
群馬県の資料が間違っているんです。

そのことはおっしゃらずに出典を出しているからいいんだと
問題をすり替えていらっしゃいますけれども、
それはまずいんじゃないでしょうかという提起
をされているんですが。

いかがですか、現地に行かれては。

羽田大臣:

そこはもう少し事務方から話をきいてみます。
今の段階で私が現地にいくといいことではないのではないか。

~~~~~~

というわけで、一目瞭然で誰がウソをついているか分かる現場に
行かない?行けない?のは何故なのか。

指摘を鵜呑みにしろと言っているのではない。
官僚の説明と、批判的に現場検証を行った有識者の説明
分かれているのだから現場確認をして判断してはどうかという質問

どうして、
「そこはもう少し事務方から話をきいてみます」という答えになるのか、
分かりません。

私ももう少し質問の仕方も上達させていこう。しかし、

もしも、浸水があったかなかったかを記録した公文書の間違いが
官僚によって歪められたまま、
是正されずに後世に残されるということはどういうことなのか、

もう少し、直感と感性を磨いていただけないか、そんなふうに思います。

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96.利根川・江戸川有識者会議(17)捏造氾濫図についての大臣の認識Ⅰ

利根川の話に戻ります。

利根川の吾妻川流域で、
  (ところで、八ツ場ダム予定地では11月3、4日ネーチャーウォークが開催されます。
   秋の吾妻渓谷や現場がどうなっているかを見るチャンスsunです)
昭和22年に群馬県が作った
タテヨコのサイズが歪んだ正確でない氾濫図をもとに
国交省が日本学術会議に提出すべく作り直して
ついに山に洪水が登る地図になってしまったことを巡り、
国土交通大臣の認識が問われています。

  (これについては梶原健嗣さんの
  「捏造氾濫図が明らかになるまで」が明解↓
  http://blogs.yahoo.co.jp/spmpy497/7596419.html) 

先日、定例会見で記者に問われ、羽田雄一郎大臣は次のように答えていました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2012年10月19日(金) 11:48 ~ 12:16
国土交通省会見室 羽田 雄一郎 大臣
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin121019.html

(問)八ッ場ダムの関連ですが、利根川の河川整備計画を検討する有識者会議で、信憑性の疑われるような氾濫図が資料提供されて、それでなくても見直しを求める人達の不信は強いところにこのようなものが出てきて、さらに不信が強まったのかなという感じがするのですが、大臣の所感と氾濫図を撤回させる考えというのはあるのかどうか教えてください。

(答)新聞報道で知った訳でありますけれども、報道のあった氾濫図は、国土交通省から日本学術会議等に浸水図としてお示ししているものでありますけれども、これは群馬県が昭和22年に作成した群馬県水害被害図を基に、いくつかの前提を明示した上で提示しているものと聞いており、捏造という指摘には当たらないと考えてます。
ただこの浸水図は利根川の河川整備計画の目標流量の算出にも用いていないと承知をしており、八ッ場ダム建設推進の狙いというような指摘も、私としては当たらないと考えております。詳細については事務方にお聞きいただければと思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

大臣がこのことを新聞報道があってから初めて
慌ててブリーフされた(もしくはされたことにしている)のだということが分かります。

民主党の存在意義が問われ続けている問題であり、
逐一報告するよう命じておくべきことだと思うのですが・・・。

目標流量の算出に用いていないと言っても、
目標流量と同じ値である17,000m3/sとしている観測推定値と
計算値21,000m3/sを説明する4,000m3/sを説明するデータは
この捏造図を除いて他にはない
にも関わらず、
その意味はブリーフされていないことになります

それは説明者が国交省である限り、当然のことですが、
官僚の説明を鵜呑みにする姿勢こそは旧政権のものでした。

最近、選挙モードの報道が増えていて、司会などが
民主党政権は国民に期待されて政権を取ったのを裏切った」と
喋っているのをよく耳にします。
しかし、もう、忘れてしまったのでしょうか、
「もう自民党はたくさんだ!」という消去法こそが
民主党が政権をとれた本当の理由ではなかったでしょうか。

その事実を踏まえなかったことが、民主党の最大の失敗の理由ではないでしょうか。
自民党と同じことをやっていては捨てられるという単純なことが
どうして分からなかったのでしょうか。

上記の定例会見に私も足を運ぶべきでしたが、行かなかったことを後悔・・・
しても仕方がないので、先週金曜日に行ってきました。
(続く)

=======================

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95.代替案のあるサンルダムよりサクラマスの遡上する川を!

10月26日、北海道自然保護協会ら6つの自然保護団体が
10月29日(月)18:00~20:00に開かれる
今後の治水対策のあり方に関する有識者会議
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000562.html
に対して、サンルダムに関する検討についての要望書を送った。
要点は以下の通り。 

1. 北海道開発局住民アンケートではダム希望は7%にすぎない
 1998年に北海道開発局が、天塩川流域約5,000世帯に行なったアンケート結果では、洪水・土砂災害に対する安全性で危険と思う意見は2%だった。

2. 地域振興のためにダム建設をすすめるのは許されるか?
 サンルダム建設をもっとも強く主張しているのは、ダム建設の現場である下川町だが、治水ではなく、地域振興のために要望している。

3. サンルダム建設ではなく、名寄川の河道掘削案がベスト。
 北海道開発局が作成した代替案では、サンルダム案(1案)と河道掘削案(2案)の主な違いは河道掘削量で、2案は1案より約180億円多いが、ダム案にはデメリットがある。世界的に魚道でサケ類の保全に成功した例はない。サクラマス、ヤマメの漁獲量と遊漁などの損害、魚道建造費とその維持管理費を含めると、少し長い目で見ると180億円の差は逆転する。

4. 漁協との約束、前川北大名誉教授の意見を尊重すべき
 2012年8月23日に行なわれた、有識者の意見聴取などで出た漁協や有識者からの意見を尊重すべきだなど。要請書はこちら。「121026sanru.doc」をダウンロード

私が天塩川の支流サンル川に行ったのは2007年だ。
丁度今の時期だ。朝のパリっとした空気は今でも覚えている。

(写真はクリックで拡大)

付け替え道路の橋脚が墓石のように立っていた。
Photo

Photo_2

「サンル」とはアイヌ語でサンルペシペの省略形で、
「浜に出る越路」の意味。浜とはオホーツク海のことだ。

Photo_4
その言葉に導かれ、予定地の湖尻へ向かうとすぐに原野が現れた。

Photo_3

枝川がたくさんあり、産卵期には川という川にサクラマスが遡上して
卵を産む。サンル川の川底は産卵にピッタリだからだ。

Photo_5

流域5,000世帯の2%しか望まないダム建設のために
それを奪うのは余りにも、非生産的、傲慢ではないか。

未来に残したいのは代替案のあるダムではなくてかけがえのない川ではないか。

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2012年10月23日 (火)

94.利根川・江戸川有識者会議(16)ずっとウソだったんだぜ(加筆)

続きに戻る前に・・・

なぜ、利根川・江戸川有識者会議でのやり取りを
(1)~(15)までしつこく取り上げているのかと言えば、
一言で言えば、ウソをそのままにしておけないからだ。

ウソは大きければ大きいほど「ウソ」だとは気づかないというが、
専門性が高ければ高いほど、そのウソをウソだと言える人は減る。

国はウソをつかないという性善説でお任せして黙認してしまうからだ。

今回のウソは専門性が高い上に、黙認者たちによる権威付けを
たくさんしているのでさらに質が悪い。

以下に政権交代以来の流れをフロー図(以下改訂版)にしてみた。(クリックで拡大)

Photo

(1)利根川に関する補足説明資料平成17年12月6日国土交通省 河川局
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/051206/pdf/s1.pdf(P.6左下)
(2)馬淵大臣会見要旨2010年11月5日(金) 10:05 ~ 10:30

http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin101105.html
「10月22日の会見におきまして、
 昭和55年度に利根川水系工事実施基本計画を策定した際に、
 八斗島地点における基本高水のピーク流量毎秒22,000トンを定めるに当たって
「観測史上最大流量」を計算した時の詳細な資料を徹底的に調査するよう指示したと、
 このように申し上げました。
 現時点でこの資料一括としての資料は確認できませんでした」。

↑改訂版です

日本学術会議がお墨付きを与えた後、
このフローには入れなかったが、さらに社会資本整備審議会の
第四十四回河川分科会(2011年9月5日)もまたお墨付きを与えた。
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s202_kasen01.html 
こうして権威付けをして、
これが八ツ場ダム計画の妥当性を証明したことになってきた。
しかし、その根拠は上記のようなものだ。

そして、元の捏造が指摘された資料の元はと言えば、
昭和55年(利根川水系工事実施基本計画)に遡る。

まさにここも「ずっとウソだったんぜmusicの世界なのだ。

そして、捏造だと言われれば”紛失”して新モデルを出すが、
またそこに間違いがあると指摘しても確認にも行かず済まそうとする。
http://seisaku-essay.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-dc6b.html 
新モデルにお墨付きを与えたモデルへの疑問は東大話法で煙に巻かれ、解消しない。
http://seisaku-essay.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-90ed.html
日本の公共事業は「ほんとウソだったんだぜmusicの上に成り立っている。
それを放置できない。

と、ジャーナリストとして思う。ここから加筆です
そして、なぜ、フロー図を必死で作ろうかと思ったかと言うと、
問題が複雑過ぎて、この問題を初めて追う記者はついてこれないことは
間違いないからだ。記者が無理ならもちろん利根川流域の住民も。

ポンチ絵なども作って解説のための記者会見をしたらどうですか?
と問題に取り組んでいる市民団体に提案をし、
自由報道協会なんかにも打診してみたりして(お返事がないな・・・)
お節介を焼いている最中です。

そんなの物書きのノリを超えているなじゃない?
という批判はあるだろう。
オマエはアクティビストだろ、という批判もあるだろう。
でも、別に気にしない。誤解ならいつか解けるから。

水俣病に取り組んだ原田正純医師はこんなようなことを言っていた。
不正確で記憶のまま↓
「中立っていうのは国(県、チッソ)と患者が対等なら言えること。
 でも対等じゃないんだから、中立だったら国(県、チッソ)に加担することになる」

だから、頑張ろう!目覚めた市民!
周知の通り何かと間違いながら、走りながらで偉そうなことはいえないが、
(仕事で手は抜かないがsun、ブログは手抜きが多いrain

物書きの仕事は、先を行く目覚めた人々のインタープリターとして
難しいことを噛み砕いて物を書き、
あとからもっと大勢の人を連れて問題の現場へ駆けつけること。

というわけで、この問題をもっと知りたくなった方は

「ひょんなことから巻き込まれて」(ご本人いわく)いる関良基さんの
「代替案のための弁証法的空間」 http://blog.goo.ne.jp/reforestation

後方支援をされている梶原健嗣さんの
「捏造氾濫図が明らかになるまで」4回シリーズへ GO! です。
http://blogs.yahoo.co.jp/spmpy497/7596419.html 

ここまで加筆でした↑

2012年10月21日 (日)

昨日、『水資源開発促進法 立法と公共事業』が出ました

築地書館から『水資源開発促進法 立法と公共事業』が出ました。
http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1450-7.html
目次は上記の右下の『表示する』をクリックすると出てきます。

1962年から現在までを映す鏡として
行政監視の基礎知識から隠されている裏舞台まで
約3年かけて事実を掘り出して淡々と書きました。

誰に読んでもらいたいか、ですが、以下の皆々様です。

・ 現役国会議員と国会議員を目指す若者(役割を終えた法律の廃止のために)
・ 事業仕分けに取り組む方(「政策仕分け」への転換が必要だから)
・ 会計検査院の使い方を知りたい国会議員や一般の方々(活かしたいから)
・ 行政府で働く方(鏡に映った姿を見て欲しいから)
・ 司法府で働く方(存在感を増して欲しいから)
・ 日本経済を牽引してきた地方公共団体の職員と議員(できることがたくさんあるから)
・ ゼネコンを含む各種法人の方(鏡に映った姿を見て欲しいから)
・ 組織票で投票を行ってきた有権者(鏡に映った姿を見て欲しいから)
・ 高度成長期に活躍された方(未来のために教訓を語って欲しいからしいから)
・ 同業者(この分野に深く関心を寄せる記者に増えて欲しいから)

あらゆる公共事業に通じる構図を書いています。

自分は何をすればいいかを考えてくださるヒントになれば幸いです。
ご批判、ご意見、ご感想を寄せていただければ更に嬉しいです。
政野淳子(まさのあつこ) ジャーナリスト

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2012年10月20日 (土)

93.利根川・江戸川有識者会議(15)これが東大話法かぁ~

続きです。

国交省の資料には、国交省の説明では納得しえない
「乖離」や「矛盾」がいくつもある。

そして、その「乖離」は
河川ムラで相互補完<誤解>をさせるものでしか説明がつかないことが見えてきた。

国交省の過大な氾濫図や氾濫量の算出と連動し、
それが真実らしく思えてしまう誤解を起こさせ、補完しているとしか思えないのが、
京大モデル東大モデルによる流出解析だ。

説明してくれとシンプルに頼んでいるのが大熊氏で、
数字が操作されている、と考えれば説明ができるとしているのが関氏である。

後者については後日補足をするが(sweat01仕事がたまる一方だ)、
ここでは国交省から回答を得られない大熊氏が、
同様に矛盾をかかえたまま
関氏の質問に真摯に応えていない小池氏に対して
真摯に行った質問とその答えを記録しておく。

実は、この間、その記録を別の研究者に見てもらった。
すると次のような感想がおくられてきた。

 東大話法を思い出してしまいました。
 東大と京大がつくったシステムは、
 アメリカで再解析された情報を全て入れることができて、
 それを利用することができるので、
 関先生のやるようなおおざっぱな計算ではなく、より緻密なもので、
 と煙にまいていると感じました。

 ところが、そのときの雨等のローカルなデータはないから、
 それはこちらで考えなければならない、
 と肝心なところをぬけぬけと言い抜けてしまうという、
 実に東大話法だと思った次第です。

なるほど、それが世の中で話題になっている<東大話法>なのかと
妙に納得した。先入観を与えてはなんだが、
これが<東大話法>なのだと思いながら聞かないと、
とても一般の人にはついていけないから、申し訳ないがこの感想を先に
掲載させていただいた。

先入観を持ちたくない方はこちら→「prof. Toshio Koike's remarks .doc」をダウンロード

大熊氏の質問はこうである。

「何度も言うように、2.2万トンと1.7万トンの乖離が
 説明できるようにやってください。(国交省に向かって4度目の追及)
 説明できるように流出解析をやってくださいと言っているわけです。

 小池さんにお願いしたい。
 平成10年に流出解析していただいたらどうなるのか。
 今までの小池さんの説明だけでは納得できない。

 昭和33年は合っているが、最近の洪水である平成10年はズレている
 平成10年にパラメータを合わせて、昭和33年がどう再現されるか
 やってみてくれませんか?」

(そして、この背景には関氏が回答を得られなかった「誤差」の問題もある。
http://seisaku-essay.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/ii-5482.html )

これに対する”前半”だけで十数分朗々と続いた小池氏の答えを読んでいただく上で、
何が質問だったか煙に巻かれないよう、分類しておきたい。
大熊氏に聞かれたことと答えを「とする
・「下線太字は演技がかった強調口調になっているところ。
印象づけたいのだろうが、聞かれたこととは関係ない答えを「」とする。
関氏に聞かれたことと答えを「とする。(色弱の方にちょっと分かりにくいかもしれない。お許しを)
太字は上記感想の「肝心なところをぬけぬけと言い抜け」たところである。
大文字は忙しい人
ここだけ読めば本質は分かるのではないかと私が思うところである。

というわけで前フリが長くなったが、これが東大話法らしいです。

小池俊雄・東大教授の発言(~大熊氏の質問に答えて)

「いくつかご指摘がありました。
大熊先生から最初にありました。
ちょっと勘違いされておられるようなので。

私のモデルはこれは2002年、3年のデータでチューニングをして。
過去に。ですから2002年。最近のデータでチューニングしたものが、

最近のデータで外れているとご指摘があったものでございます

それで、
この東京大学のモデル京都大学のモデルをなぜ使ったのかを
簡単にご説明したいと思いますが

関先生を専門家として学術会議でお呼びしました。
そのときにいくつかご指摘がありまして、
一つは飽和雨量、特にキャスリン台風のときの飽和雨量の算定がおかしいのではないか。
それから二山洪水、カスリーン台風は二山洪水。
それを貯留関数で表現するのはおかしいのではないか。というようなご指摘。
さきほどご指摘ありましたが、地質が考慮されていない。
それから森林の話はがありますが、これはまた後でお話しさせていただきます。

それで、こういうことを解析しようとしますと、
流域の土壌の中で水の動きがあるのか
飽和雨量というのは二つの要素でつなぎます。
それは、直前の雨が降ったかどうか、
それからどれぐらいの長い日にちをかけて
土の中の水分が蒸発したり蒸散したり、流下したり。この二つで決まるが、
この検討で使われている貯留関数モデル、こういうものではイベントモデルといいますが、
こういうものでは表現できません。
長期にわたって連続的に計算のできる物理的なモデルが必要でございます。

で、それが私どもの京都大学と東京大学のモデルでございます。
ところがこれはどういうふうに計算するかと申しますと、
土の中で蒸発したりするわけですから、
それを計算するには、
気温だとか、太陽の日射だとか、
それから雲がありますと赤外線で暖まります、
こういうようなものを全部計算しないといけない。

ところが、昭和33年とか34年にそういうデータがございませんので、
通常では計算できません。

ところがですねぇ、気象予測の技術が進みまして、
地球全部の気象を計算するという計算システムができあがっていますが、
最先端のそういうモデルを使って
過去から今の最先端のモデルと当時集められるデータをぜ~~んぶ集めてきて、
地球全体の気象の毎日毎日の計算をするということが行われてきています。

これはアメリカとヨーロッパと、っから日本が先進国でありまして
この計算で、1948年から現在までの計算が行われています。
専門用語で再解析と言います。

で、え~これはアメリカ大気海洋庁の環境予測センター、え、
国立環境予測センター、エンセプトと私たち呼んでおりますが
それが1948年から全っ計算をしておりましてですね。
これが一番長い定量的なデータです。
しかし、これは全球を解析しておりますので、

日本で見ますと、5つか4つぐらいの大きな格子になってしまって
とても利根川の解析には使えません。

ところがカリフォルニア大学のサンディエゴ校の
スクリプツ研究所のグループが
日本付近でこのデータを使って10キロのこれは

ダウンス―リングと言うんですけれども
大きな格子のデータから細かい格子のデータを

1948年から現在まで作ってくれておりまして、
このデータを膨大なデータなんですが、私どものこういうデータを
管理するシステム、ディアスと言いますが
そこにアーカイブしてございます。

で、これが使えますので、それでは
2002年から2003年にチューニングしたモデルを使って
昭和33年ですね、1958年59年という

昔の流れを再現するということをやりました。

で、さきほど、大熊先生がご指摘になったのは実は
平成10年を昭和57年も、その計算でやっている。

ただし、この計算、日射とか赤外、風はまぁ信用できるんですが
雨はやはり非常にローカルに降りますので、
雨のデータだけについては国土交通省から、ま、100点、

120点ぐらいあるデータでしょうか。これをいただきまして、
あの、私どもの、お~、この~、報告書にも記載しておりますがぁ、
これを細かな格子のデータにいたしましてぇ、
昭和33年から入れて計算を致しました

で、こういうふうに致しますと、これは、あの、イベントではなくて、
え~、まぁ、前回も申しましたがぁ、6月から10月まで、連続的に計算しました。
そうしますと、雨が降る洪水の前の余剰水分の状況とかがぁ、
ちゃんとでております。

で、え~、まぁ、ご指摘のあったぁ、飽和雨量の問題とか二山洪水の問題が、
どういうメカニズムで起こっているかということを、
私どもは説明しようとして、このモデルを適用致しました。

で、そうやって適用しましたら、え~、前回もお話ししましたが、
6月から10月まで大変よく、ぅ~合っている

え~、2002年3年のデーターでぇ、適用したぁものがぁ、
昭和33年のデータ58年のデータまで大変よく合っている。
合っている合っていないじゃ、なかなか難しいので、
私どもは科学技術の中ではNashの係数というものを使って
それを評価しました。それも前回お話ししましたので、ご覧、ご記憶だと思いますが
こういうもので見ますと
この再現精度が極めて良い、ということが分かります。

で、ただ、今回いただきましたご指摘の中にも、平成10年が10%、
さきほど大熊先生からもございましたがぁ、
そういうピークぅがぁ、まぁずれるということは
、さきほど
お話ししましたようにぃ、
全球の計算結果からダウンスケールして出てきた結果を入れて、
こう過去から現在まで均一な形で計算をするということをやったから、
そのイベントだけを合わせるということだけでは
いろいろな方法がありますけれども、
全体の水の現象を、水が流れる現象を表すにはこういう方法が妥当ということ。

で、え~、この方法を使えるのは実は、東京大学のモデルだけでございましてぇ、
え~、京都大学のモデルはぁ、土壌水分を直接計算していないものですからぁ。
私どもが計算した土壌水分をぉ、京都大学で入れてぇ、
そして6ヶ月計算した。キネマティックウェブモデルと言われるものでございます。

でぇ、報告書の中を見ていただきますと、
なぜか東京大学のモデルだけよくご指摘があるんですけれどもぉ、
京都大学のモデル、もぉ、計算結果を、この6ヶ月、計算して
それぞれの洪水のときだけの、まぁ計算結果を出しておりますが、
こういうふうにして計算しておりますのでぇ、えーと
ピークが10%から15%ぐらいずれているところがございます。

このピークのバラツキが、さきほど大熊先生がおっしゃいましたが、
系統的なものであれば、そういう解析で、え~、確かに
ま、たとえば、あの、計算結果が系統的に過大評価をするということであれば、

え~と、これ、最っ近のモデルで、最近のデータでチューニングしているので、
え~と、そのぉ、平成10年が、ということがなかなか説明ができないんですね

ですから、私どもはこれはぁ、
あの、このバラツキの範囲である、いうふうに考えました。

で、一方、今回頂いたご指摘の中には、
キャスリン台風のときに差をもってやっているではないか。
その差よりも、大きい可能性があるというご指摘でございましたが、

さきほど申しましたように、
たいっへん残念なことに、このデータ、全球データは
1948年、昭和23年以降しかないんです。
私ども、あと1年っだったんですがぁ、
え~、昭和22年のデータがございませんでした。

でぇ、それで、私ども、データがありませんので、
昭和22年の計算を、そういう雨が降る前、土壌水分がどういう状態であったか、
要するに飽和雨量を合理的に算定するにはどうしたらいいのかということを
審議会、あぁ分科会の中では議論を致しまして、
過去四回のぉ、その計算結果。その計算ず~っとやってきて
9月のカスリーン台風が来る前までその計算でやってきて、
9月のカスリーン台風の雨を入れてやる。そうすると、え~
ま、4つの土壌水分状態になっていているわけで、
そこから洪水を計算すると、報告書の中でお示しているような幅になった。
いうわけで。それが報告書の内容でございます。

ということで、まず、あのぉ最初に大熊先生にお話を、がございましたが、
こういう分布型の連続時間モデル、という、
ま、これは私ども、最初に報告書の中でもぉ、
今、流域モデルはどういう状況です、ということを書いてあって、
貯留関数のようなイベント型モデル、
どうしても、いろいろな仮定を置かなければいけないモデル、と
こういう物理的な基盤を持つ、連続的な分布型の連続時間モデル、
こういうもの、があります。
で、最後に、ある種、提言ということお話し、記述しておりますが、
まぁ、あのぉ、なかなかこういうモデルというのは、
過去にデータがないと適用できなかったんですが、今申し上げたように、
それに代わるデータが作られてきておりますので、
こういう科学技術のぉ、ぉ、先端的な知見をもとに
えのぉ、計画を作り、そして、国民の皆さんに理解いただけるような努力をして欲しい
ということを附帯意見として申し上げた次第でございます。

それで、それが前半部分です。
関委員から今、お話しがあったことでございますが、
いくつか誤解があるのではないかと思いますが。」

小池氏の回答、次回以降に続く・・・(多分、もっと簡略に)

92.利根川・江戸川有識者会議(14)説明できない国交省の不都合な真実

真実は小説よりも奇なり。

東大話法に突入するまでの記録が必要である。

第7回(2012年10月14日)利根川・江戸川有識者会議で、
氾濫していないのに氾濫したことになっている氾濫図と
東大モデルが微妙に絡み合っていることが、見えてきた。
頭脳(追及)と頭脳(逃げ)のぶつかり合いだった。

soccer1st Round

有識者会議としてこの図をどうするのか

大熊孝氏は、苛立ったように同僚委員たちに提起した。

「2.2(2.1)万トンと1,7万トンに大きな乖離がある。
その乖離を埋めようとすると、
無理な氾濫図が必要になるということだと思う。(略)
Photo_2

出典http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000067340.pdf

そこで、荒川さん(国交省事務局)に現地を見られましたかと言ったら、
『上流域ですか』と返事があったが、私は『現地を見たか』を質問した。
行かれたかどうか。氾濫図にも相当な税金を使っている。
そのままにしておいていいとは考えない。ご回答をお願いします」

ところが、国交省は現地を確かめたかどうかの回答はしない。

国交省は、その(P.5)で流量がどう算出されたか(P.8~)を回答した。
・昭和22年の9月洪水での利根川上流の氾濫を示す資料がほとんどない。
・唯一入手できた群馬県の水害被害図で浸水被害に分類されている。
・『カスリン颱風の研究』で浸水深が記載された市町村に限定して試算。
・ 試算の結果は1.7千トンの算出には用いていない。(回答1回目)

司会の宮村忠氏は沈黙。そこで、

soccer2nd Round

大熊孝氏、再び、

2.2万トンから1,7万トンの乖離を説明できる氾濫はなかったと私は言っている。
それによっては、目標流量70分の1から80分の1も変わる
だから現地へ行ったかと聞いたら、机上で計算したという回答しか返ってこない
前回10月4日から何日かあります。どなたか現地確認いきましたか。事務局で」

すると今度は、国交省関東地整の泊宏・河川部長が声を震わせ、
同じ回答を繰り返す。そして、最後にこう付け加えた。

これそのものを使って、ご意見をお聞きしようとしている目標流量の
 算出に使っているわけではありません。

 この資料についてご意見があることは承ります」(回答2回目)

司会・宮村忠氏 「・・・・」(沈黙)

この事態に、野呂法夫委員が、自分は行って確かめて、氾濫図の誤りは
大熊氏の指摘した通りだったことを述べた。
(それが東京新聞記事  http://t.co/ZIfgEgnV)になっている)

野呂氏、「計算には用いていない、参考資料だと言うが、
  撤回して廃棄すべきではないか。
  関東地方整備局が有識者会議に参考資料として出したものが正しいのか、
  こんな資料をもって議論しなければならないのかと言わざるをえない。
  これからすぐに現地を見て、良識を発揮していただきたい」と助言。

ところがここで、司会・宮村忠氏が初めて口を挟む。しかし、あろうことか、

「もう一度資料について確認の意味で説明をしておいてください」と国交省に要求。
国交省は壊れたレコードのように(←死語?)3度同じことを説明した。(回答3回目)

soccer3rd Round

大熊孝氏、呆れ果てながら、力を振り絞って、4度目の追及に入る。

「計算に用いていないというが、7000万トン氾濫したという数字が出ている。
 有識者会議でこういう間違った資料を出されて、
 それをそのまま残しておくことはできません。
 撤回して欲しいと思います。」

司会・宮村忠氏 「・・・・」(沈黙)

そこで再び野呂氏

「同じ話ですが、今日も資料2をいただき、
私が素人目に読んで見ても、
6頁の上に、「氾濫量とその合計値6000万を示す」と書いてある。
あぁ6千なんだと思ってしまう。
錯誤というか、誤認というか、誤謬というか、
誤解を与え兼ねないと思うんですよ。

大熊委員が指摘されて、私も現地を見て、あぁっと思ってですね。
もし、委員の方、お忙しいですけど、歩いてみてはいかがでしょうか。
そうでなければ、治水安全度の議論に入れないと思うんですよね。」

司会・宮村忠氏 「なにか答え・・」

国交省関東地整の泊宏・河川部長
「大熊委員が誤解をされていればマズイので・・・」と同じ説明の4度目。(回答4回目)

soccer4th Round

大熊氏、諦めずに4度目、

「私がなぜこのことを一生懸命行言っているか。
 9月25日にいただいた.資料3-3

Photo_3

相当の浸水が生じていたと推定される状態の流量です」と
と書かれているわけです。その後で2.2万トンがでてくる。

それだけの氾濫はないと私は言っている。
そこに大きな問題がある。その(問題指摘の)説明として、      http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000067336.pdf (3頁)
10月の頭に質問し、その回答として、前回資料4が出された。

何度も言うように、2.2万トンと1.7万トンの乖離が
説明できるようにやってください。」

振り絞るように言って、気を取り直し、なぜその説明が必要かということで、
小池俊雄氏・東大モデルの議論にはいっていった・・・。

再現するだけでくたびれるので、同じ質問を4度繰り返した大熊氏はさぞかしくたびれたことだろう。

91.利根川・江戸川有識者会議(13)これまでのあらすじ

過去、氾濫していなかったのに氾濫したことになっている氾濫図の話
東大のモデルの誤差の話は、巧妙に絡み合っているので
その関係を書いていきますが、

その前にこれまでのあらすじを書いておきます。

国交省は2012年9月、4年4ヶ月ぶりに
利根川・江戸川有識者会議を突然再開し、
利根川水系河川整備計画を策定するため、
河川法第16条の2に基づいて
「学識経験を有する者の意見」を聴く行政手続きを再開した。

しかし、この行政手続には、意見を聴かれている側から主に二つの問題が指摘されてきた。

第一に、国交省関東地方整備局は、
環境保全、利水、治水と三拍子揃っていなければならない河川整備計画のうち、
治水、しかも、目標流量をいままでよりも高くする案を、
高くする(=低かった目標は内部資料でしかない)という説明もなく、
「相対的に高い水準とする」と分かりにくい資料を出してきた。
これです↓→http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000066985.pdf

Photo  

複数の委員から「他と切り離して目標流量だけを定めるのは
おかしいのではないか
」との異論が出され続けている。

第二に、100歩譲って目標流量に意見するにしても、おかしな点がある。
第5回第6回第7回 で複数の委員からそう指摘されることとなった。

意見を聴かれている内容(資料)に疑義があるという指摘である。

指摘に対して説明責任を求められた立場が二つある。

1)河川行政を任されている国交省の説明責任。

2)その国交省の目標流量のもととなるデータ
(疑義が提示され続け解決していないデータ)
にお墨付きを与えた日本学術会議の
土木工学・建築学委員会 河川流出モデル・基本高水評価検討等分科会で
委員長を務めた小池俊雄・東大教授だ。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-21-k133.html
(この目次(失礼!表紙)に全分科会メンバーが書いてある)

第5回から新たに利根川・江戸川有識者会議に加わった。
今回は一委員でしかない小池委員にも説明責任が求められている形になった。

なぜならば、日本学術会議の
土木工学・建築学委員会 河川流出モデル・基本高水評価検討等分科会では、
小池俊雄・東大教授が司り、そこで国交省データに疑義を唱えた
大熊孝・新潟大名誉教授関良基准教授の話は聞きおかれていた。

しかし、今回は奇しくも、対等な同じ利根川・江戸川有識者会議委員である。

国交省およびこの会議の宮村忠氏は、会議および資料の中で何度も
「この場は、「学識経験を有する者の意見」を河川管理者が聴く場であり
結論を出す場ではない」と繰り返してきた。

しかし、その国交省が聴いている目標流量の元となる資料に疑義があったことを
指摘され、放置されていた大熊氏、関氏は、当然のことながら
この件を問わざるをえない。

そんな中で、再び明らかにされてきたのが、
氾濫していないのに氾濫したことになっている氾濫図の話であり、
そのことは、東大モデルの誤差とも巧妙に絡み合っているので
その関係を書いていきます。

2012年10月19日 (金)

90.利根川・江戸川有識者会議(12)訂正と追加

寝る時間がなくなってしまったので、ブログを書く時間もなくなり、
訂正リクエストへのご対応が遅くなってしまいました。スミマセン。

前のコマで最後に1998年(平成10年)の実績とシミュレーションの
目盛りを読んだときに、定規を当てて
誤差は10500-9600=900程度としたのですが、
誤差は11500-9600=1900程度あるんじゃないの?とコメントが来て、
次に11200-9700=1500程度ではないか?とのご意見が来て、
ちょっとその間、心がよそへ行っていたので、もう一度確認しまして、

誤差は11200-9700=1500トン/毎秒程度に直しました。訂正およびお詫びします。
「にしました」というのは、
元のデータであるこちら(P.180-181)に数字は書かれていないからです。
(1目盛り600で読みにくいしsweat01誤差の読み方に誤差があるsweat01

Tokyo_uni_model_1998_2

それで、この誤差(小池俊雄教授は10月14日には「バラツキ」と表現をされました)
とは、どの程度大きなものか?
梶原健嗣さんにコピペの許可をいただいたので、以下を張り付けますが、
過去にあった洪水で八ツ場ダムがあったらこんな効果を発揮したという計算で
見れば分かるとおりです。

Photo

出典:梶原健嗣「戦後ダム開発の論理と構造~利根川水系を中心に~」http://blogs.yahoo.co.jp/spmpy497/2152453.htm

さて、この誤差を巡って、利根川・江戸川有識者会議では
関良基委員が、誤差の方が八ツ場ダムの効果よりも大きいと指摘し、
大熊孝委員からは、最近の大きな洪水である1998(平成10年)に合うように
パラメータを設定して他のを再計算して欲しいというリクエストが出ました。
その答えは次のコマで本日帰宅後に記します。

2012年10月17日 (水)

89.利根川・江戸川有識者会議(11)東大モデルの誤差(II)

こちらで慌てて書いた、東大モデルによる洪水の再現計算で
東大教授が「誤差」と呼ぶ流量は八ツ場ダムの効果よりも大きいことを、
文字では筆力が足りないので、日本学術会議が国交省に提出した回答の
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-21-k133.html 
東大モデルで出てきたグラフで説明します。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-k133-1-10.pdf

赤がシミュレーション(机上の計算)黒が実測です。
横軸が日にちで、縦軸が川に流れてきた流量
から出ている棒グラフが雨の量で、雨が増えると
折れ線グラフで、だんだん川に出てくる流量が増え、
雨が止むとそれが下がっていくこと(シミュレーション実測)を示しています。
一番てっぺんを「ピーク流量」といい、
このピークが再現できているかが、
このモデルが、実際の雨を再現できているかどうかを示す重要なところです。
まずは見てください。(クリックすると大きくなります。出典はこちらのP.180-181)

最初は合っている(適合している)けれど、あとになるとハズレている(誤差がある)ことが分かります。

1958年(昭和33年)の洪水の実績シミュレーション 

Tokyo_uni_model_1958
 
1959年(昭和34年)の実績シミュレーション

Tokyo_uni_model_1959   
1982年(昭和57年)の実績シミュレーション

Tokyo_uni_model_1982  

1998年(平成10年)の実績シミュレーション

Tokyo_uni_model_1998  

これをもって、小池教授は
「ピーク値でも観測値との誤差は十数パーセント以内となっている」ので
適合性がよい。国交省は正しいと言いました。

10月4日に関良基教授が指摘したのは
でもその誤差はこの流域における八ツ場ダムの効果より大きい」
それでよいのですか?ということです。最終的に
こうした「流量」が河川整備計画に中で位置づけられるダム建設の根拠となります。

その流量の裏付け計算であるにもかかわらず、その誤差がダムの効果よりも大きくていいのか?ということです。

誤差がどれぐらいのものかをみるためにグラフに線を引っ張って見てみると
以下の通りです。目を凝らして目盛りをみるとその誤差は11200-9700=1500程度

Tokyo_uni_model_1998

八ツ場ダムの効果は雨の降り方によってはゼロ。
多くとも600トン/秒だとされてきました。
上記の東大モデルは流量の裏付け計算であるにもかかわらず、
その誤差がダムの効果よりも大きくていいのか?ということです。

これに対し、東大の小池教授からのストレートな回答はありませんでした。

このモデルに対しては10月14日に、再度関委員、大熊孝委員からも疑問が呈されましたが、小池教授からの明解な回答はありませんでした。

ちなみに梶原健嗣さんの検証によれば
平均でも504~551トン/秒だったはずの八ツ場ダムの効果
国交省は日本学術会議が検証した後に、1176トン/秒に変えていました(~。~;)。
この点については梶原さんのブログをご参考ください。http://blogs.yahoo.co.jp/spmpy497/2258666.html

さて、ここでの最大の問題は何か?
この計算が合うということと、
川が安全になるということはまったく違う問題であるということです。
ところが、日本の河川行政はこうした河川工学を隠れみのにして行われてきました。

過去、どのような被害がどこで出たのかを教訓に
今はどこが危ないのかを情報共有して、
その上でどのような予算の範囲で何をすべきかを流域住民と共に決めるべきであり、
「技術」の出番は早くとも同時並行か最後でよいにもかかわらず、
ほとんど誰も分からないテクニカルターム(専門用語)で国民を煙に巻いて
そのために河川工学者を使い、河川行政を行ってきました。

ピーク流量がどれぐらいになり、どれぐらいのピーク流量までダムで貯めるか
という現場とは遠い論議を展開して、
実は誤差の範囲のストライクゾーンの狭いダム建設にこだわってきたのです。

普通の人に分かる言葉で語ること、それが今の学者に最も必要とされる能力ではないでしょうか。

88.利根川・江戸川有識者会議(10)終わらない悪夢

寝オチしてしまった。
夢の中で仕事をして「終わった~!」とスッキリして目が覚める。
が、その幸せなひとときは10秒ぐらいで、「はぁ~夢か・・・」と終わる。

さて、昨日(10月16日)行われた第7回の利根川・江戸川有識者会議
前のコマとその前のコマで書いた前回の議論が再び中心となった。

その有識者会議取材で私がどのように触発されたかということを
自分が忘れないように、学者系のMLに書いたことを別のMLで感想として
書いたことを記録として残しておきます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
昨日の利根川・江戸川有識者会議で、
座長のやる気のない、官僚に言われたままの、
性能の悪いロボット程度の司会ぶりを見ていてキレました。

一方で、盛んに議論をいどむ大熊孝氏、関良基氏、野呂法夫氏の
3人の熱意を見ていて(詳細を書かなければ傍聴されていない方には
分からないかと思いますが)、この姿が本当だと思いました。

あの雰囲気の悪い有識者会議の中で、
正論を闘わせるのは本当に苦痛であろうと心中を察します。

そして、考えてみると、

福島第一原発事故が起きたのは、政策決定プロセスに深く関与しながら、
当たり前の独自の思考をせず、むしろ思考を停止させ
官僚のシナリオに沿った結論を導くことに加担してきたムラ社会の
「学者」のせいだと
言っても過言ではないのではないか・・・。

次から次へと問題が浮上するのに、
その場で解決しようとせず、官僚まかせで先送りに加担し、
半世紀が経った八ツ場ダムはその典型だと思います。
その犠牲になっているのは長野原町であり、納税者です。
 
こういう構図はどこにでも存在し、半世紀にわたる問題が解決されないまま
あらたな、今後半世紀に渡るであろう問題が生まれています。

その原因も、常に、会議メンバーに霞ヶ関が選んだ有識者だけを「有識者」と見なし、
その「有識者」同志は議論をしない、できない、させない、いわゆる
「霞ヶ関ムラ病」に罹った有識者にあると、ツクヅク昨日、感じました。

新旧の問題の双方を、今の世代が解決していかなければ、

次世代は、あたかも累積赤字のように、
八ツ場ダム問題放射能ゴミ問題も抱えることになります。 

学者系?のMLで私はこれまで郷にいれば郷に入るように
とてもおとなしくしていたのですが、
「議論しない学界」に加担することから決別しようと、以下をふっかけ?ました。

利根川流域の「新」問題として、こちらにも情報提供します。

~~~~~~~~~~~

まさのあつこ(政野淳子)です。

意見交換ができれば幸いと思い、インプットします。

指定廃棄物の最終処分場の候補地にされた地域から
以下のように「白紙撤回」が求められています。

矢板市長 高萩市長と共同歩調…処分場問題(2012年10月11日  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tochigi/news/20121010-OYT8T01603.htm 
最終処分場撤回求め 国会議員らに要望書 矢板市議会 栃木2012.10.13 02:01
http://sankei.jp.msn.com/region/news/121013/tcg12101302020000-n1.htm 

国(環境省)が決めた処分地の決定方法は、愚かとしか言いようのない時代錯誤の押し付けです。報道はされない醜い地域間紛争(押し付け合い)が耳に入ってきています。このままのやり方では、地域社会が壊れ、処分地も決まりません。

このまま「指定廃棄物」やそれ以上の放射能濃度を帯びた廃棄物が放置されれば、住民や労働者の健康被害リスクを放置することもつながります。

ジタバタしても、すでに原発事故は起き、放射能汚染物はそこに存在しています。
無関心ではいけないと「国民が目覚めた」今こそ、オープンでフェアな政策および事業決定プロセスを導入できるときではないでしょうか。

なぜ、そのような方向へ向かっていかないのでしょうか。
どうすれば建設的な方向へ進むでしょうか。考えてみました。

【問題と解決の糸口】

1.マスコミ--現象しか報道しない。

  起きている問題の根本原因がどこにあるのかまで深堀しないので
  読者、視聴者に自分のこととして考える機会の提供につながりません。
  「政治ショー」としてドラマやクイズ番組と同列で右から左へと
  流れていきます。
  また有識者は一過性のコメンテーターとしか登場しません。
  その「現象報道」に続く、根本原因を見せる調査報道に
  力を入れていただきたいものです。

2.市長--「NIMBY」の思考を出ていない。

  「処分地」の撤回という下位の決定事項ではなく、
  その上位の処分「方針」そのものを撤回させ、
  よりオープンで公正な決定方法を再考、採用させるべきところです。
  NIMBYで終わらず、
  「弱者に秘密裏に押し付ける」という国のやり方を転換させる方向、つまり
  環境・健康・社会・経済的な影響があるこうした施策については
  誰もが参加が可能な、関心を高めること可能な決定方法を
  導入すべきだという世論を足もとから作っていただきたいと思います。

↓この記事を読んだ方から
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=2508 
相談を受け、以下のような提案を行いました。
◆指定廃棄物の処理に関する解決の道筋
http://seisaku-essay.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2012/10/14/photo_2.jpg

1時間ほどで書き上げたものです。この問題は、
日本社会が抱える問題のすべてを包含していると言っても過言ではなく、
その解決策として機能しうる「あるべき環境影響評価法の姿」を思い描きならが書いたものです。

このようなものでなければ、この根深い問題は、解決すまいと思います。

お時間のある際に、上記◆と下記◆をご覧いただき、ご意見をいただければ幸いです。こうした頭の体操がなければ、この国の貧しい「環境影響評価法」はこの先も環境保全になんら寄与できない法律で終わっていくものと思われます。

◆栃木県における指定廃棄物の最終処分場候補地について(環境省9月3日)
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/waste_fds-candidate_tochigi120903-01.pdf 

参考:放射能ゴミの扱いについて(まさのあつこ)
http://seisaku-essay.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-b059.html 
(↑乱雑なメモ状態かつQ&Aしながらほとんど怒っており恐縮です)

2012年10月16日 (火)

87.利根川・江戸川有識者会議(9)東大モデルの誤差

土曜日中に書きたかったことの消化に本日までかかった。

● 第6回利根川・江戸川有識者会議(2012年10月4日)で
1)東大モデルが証明した緑のダム機能を東大教授が自ら「誤差」と読び
  しかも、その「誤差」は八ツ場ダムの効果よりも大きいこと。
2)昨年、指摘されたインチキな資料を関東地方整備局が
  再び平然と出してきたのに、それを引っ込めさせないこと

3)傍聴者の意見を認めるてはどうかという有識者会議委員の提案について
  国交省(事務局)が規約に反して運営を牛耳ったこと

10月12日、八ツ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟総会
 (会長・川内博史衆議院議員、事務局長・初鹿明博衆議院議員)が開催され、
 河川整備計画の策定内容と官房長裁定の解釈のとらえ方が議論となったこと

あと三つは指定廃棄物のことiPS細胞東電の新体制のこと

残りが
1)東大モデルが証明した緑のダム機能を東大教授が自ら「誤差」と呼び
  しかも、その「誤差」は八ツ場ダムの効果よりも大きいこと。 だ。

簡単に言うと、1) と2)には大きな関係がある。利根川の場合、
2) はこちらで書いたように「氾濫戻し流量」が当てずっぽうである。
しかも、国交省はそれが計算上も、100年の整備方針と一致していることにしてきた。

その、計算方法が正しいことを確かめるために
1)のようにシミュレーションモデル(さまざまな係数を使った計算式)を作って、
他の洪水の「再現計算」を行って、その「当てずっぽう」が正しいかどうかを確かめる。

そして、これを正しい計算方法として、洪水の予測をする・・・つまり、

本当は、雨が上流でたくさん降ったら、水位がたくさん上がる
しかし、その雨がいつどこに降るかはわからない
だから本当は、常に自然に耳を傾けようというのが鉄則だが、

いつどこにふるとも分からない雨を計算式を作って予測して「適合性がある」と言うのが、
日本の河川工学の役割で、そんな視野狭窄した河川工学を隠れみのにして
ダム事業を進めるというのが日本の河川行政だった。さて、

こちらここで書いたように、 
そんな視野狭窄した河川工学で使った数値が操作されて過大な予測になっていたことが
バレて(これは政権交代の成果)、日本学術会議で検証することになった。

ところが日本学術会議は、このとき操作あったかどうかは横へ置いてしまって、
新しいモデルを作って検証してみるという腰が引けた検証を行った。

検証メンバーを人選したのが、操作をしたコンサルに「部屋」を持っている人物だったということと無関係だったとは思えない。さて、「人選」され、

日本学術会議で、その分科会の委員長を務めたのが、東大の小池俊雄教授だ。
→ http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-21-k133.html

小池教授はオリジナルな東大モデルを作り、
5ヶ月間かけて計算したところ(P.177
低水から高水まで長期にわたって適合性がよく、
Nashの係数は0.8以上の高い数値となっている。
ピーク値でも観測地との誤差は十数パーセント以内となっている。」

と結論し、いわば、「当てずっぽう」は正しかったという回答へとつながっている。

大臣の諮問→河川局長の諮問→回答がズレて終わっていることは特筆すべきだが・・・。

しかし、その誤差と呼ぶものは、上流で森林が経年変化(成長)した量ではないかと指摘されている。指摘したのは関良基さん達だ。裁判でも証言した。

http://www.yamba.sakura.ne.jp/shiryo/tokyo_k/tokyo_k_g_iken_seki_1201.pdf

ところが、その疑問が解消されないままに、国交省は
日本学術会議の回答をオーソライズして八ツ場ダム着工のゴーサインにつなげた。

しかし、決着はついていないという議員らがいて
せめてその数値が取り扱われる利根川水系河川整備計画の策定するときには、
この件を批判的に見ることができる有識者を入れよという推薦が行われ、
そして、新しい委員が選ばれた。ところが、蓋をあけると、検証される側である
日本学術会議の小池俊雄・東大教授が、国交省によって投入されていた。

だから、日本学術会議および、それを隠れみのにして
国交省が説明責任を果たしてこなかったことが今回の利根川水系河川整備計画の策定における「有識者」の意見でも論議になっている。

そういう構図なのだ。これが次に書くことの前提であるが時間が無くなった。

ただし関良基さんが10月4日の利根川・江戸川有識者会議で述べたことは
ここで書かれたことに通じている。是非、読んで欲しい。
http://www.yamba.sakura.ne.jp/shiryo/tokyo_k/tokyo_k_g_iken_seki_1201.pdf

2012年10月15日 (月)

86.利根川・江戸川有識者会議(8) 誤氾濫図の再々提出

そしてやっと第6回利根川・江戸川有識者会議(2012年10月4日)の話だが、
恐ろしく時間がないので、その日のツイートと
リツリートで思い出した過去の動画を羅列し、あとで時間があったら補足する。

いわんとするところはつまり、 

「氾濫していないところが氾濫した想定をもとに
洪水予測が行われている」と指摘されているのに

現地に確認にいかない人たちが河川管理者として、

必要性に疑念を持たれているダム事業を進めている問題。

40年以上前の博士論文での指摘、 

日本学術会議での1年半前の指摘

にも関わらずまたまた懲りずに、訂正もすることなく

10月4日利根川・江戸川有識者会議
間違った氾濫図を出してきたよという話です。↓

第6回利根川・江戸川有識者会議(2012年10月4日)の中の↓

8.資料-4 4.昭和22年9月洪水の氾濫量の推定について(参考)※[PDF:3000KB]
 ※日本学術会議土木工学・建築学委員会河川流出モデル・基本高水評価検討等分科会第9回補足資料(抜粋)として出してきた資料


10月4日、帰り道の私のツイート概要↓

●今日の利根川江戸川河川整備計画有識者会議に以前、捏造だよと指摘された資料がまた出た。昭和22年の洪水氾濫図をもとに国交省が作り直した資料には、もとの図では氾濫していない所まで氾濫している。しかも、そこは丘の上。この資料を撤回しろと指摘され、(続

●国交省関東地方整備局河川部長泊宏さんは「当時の正解な資料がなく、ある資料で作った」と。その当時の資料にもあやまりが指摘されているのに、ひど過ぎる。(続

●そんな不確実性の高い昭和22年のデータは落すべきじゃないですかと、宮村忠座長にぶら下がり取材で尋ねたが、そうは思わないそうだ。(続

●八ッ場ダムの必要性を主張できる唯一の実際の大洪水データから作った「捏造氾濫図」を捨てられない国交省を擁護しているとしか思えない。それが捏造だと指摘され、捏造ではないと否定すらできず、ある資料で作りました、としか言わない国交省なのに。(続

●どんだけのウソの上に築かれた国だろうか。

●これで思い出したんですが、私、昨年、日本学術会議で大熊先生がこの指摘した後、現地取材して確認したんですよ。ここ丘じゃん、国交省の捏造じゃん!って。写真をブログに載せないと→自分メモ @kajiken76 「カスリン台風、捏造氾濫問題」まとめを書きました。

●@kajiken76動画をリンク張ったほうが早くないですかね。

というツイートやRTがあったが、間に地方取材が入り間が空いた。
はじめて目にする人にとっては、動画ですら本質的な問題をつかむのは難しいので、
前提となる解説をつけたかったが、ボヤボヤしていうる内に次回の会議が明日に迫った。
暫定版として、以下に動画を示します。

2011年3月29日に日本学術会議で3つの問題指摘をした大熊孝委員の解説
http://www.youtube.com/watch?v=XQ99cTwZChc&feature=relmfu 
忙しい人のためのピンポイント情報
7:45~9:44 溢れていないところに溢れている話

◆↑この解説をお願いした者として、その現場を確認してきた緊急報告
http://www.youtube.com/watch?v=N6L8kUv5Z10&feature=relmfu
忙しい人のためのピンポイント情報
2:30~、5:17~など現地写真と国交省が日本学術会議に提出した地図の違い
9:50~大熊先生曰く「40年前に指摘した間違い、また40年後に同じような間違いをしている(略)40年前と同じことをやっている。ショックです

◆ ↑これらの報告を踏まえ
「洪水になっていない所が洪水になった資料を日本学術会議に出した。
反論できるところがあるなら反論して」と国会議員に反論の機会を与えられて
答えるが反論できていない 国土交通省水管理・国土保全局河川計画課 
忙しい人のためのピンポイント情報 4:45~ 弁解
http://www.youtube.com/watch?v=3rBzR672koI&feature=relmfu

これにちなんで、少しだけ
治水のあり方を変えなければならないわけを書いておく。
ダム事業を巡っては不毛な議論が続いている。

八ツ場ダム計画の場合は、
カスリーン台風がどれぐらい大きかったかというところからスタートしている。
ところが、これには大きな問題がある。
当時、観測所が流されてしまったので、実測値が誰にも分からない。

そこで、「氾濫戻し流量」と言って、溢れた量を推定する。
その「推定」を合わせて、「2.2万トン/秒だった」ということにして
その一部を上流で貯めるのだ、という理屈で八ツ場ダムの計画がある。

しかし、実は「氾濫戻し流量」は、歴史を紐解くと信じがたいことに
ダム計画の有無によって大きくなったり小さくなったりした

2.2万トン/秒より大きくて消えた例
沼田ダムという大きなダム計画があったときには
2.2万トン/秒ではなくて、2.69トン/秒だったという数値があった。
これは沼田ダム計画(水没世帯が多すぎて)が消えるとともに消えた(苦笑)。

2.2万トン/秒より小さくて存在が抹消された例
1)末松栄・元関東地方建設局長が九州大学で博士論文として発表した「利根川の解析」、2)群馬県作成の「カスリーン台風の研究」、
3)利根川増補計画の立案の中心人物だった富永正義・内務省技官が「河川」という雑誌で発表してきた「利根川に於ける重要課題(上)、(中)、(下)」(昭和41年4,6,7月号)
4)大熊孝・現新潟大学名誉教授による1974年の博士論文「利根川における治水の変遷と水害に関する実証的調査研究 (旧建設省の倉庫に「極秘」と判が押され保管された)
http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-3f75.html 

などである。

これだけをもってしても「基本高水」なるものが随分いい加減なものだと分かる。
「氾濫戻し」の資料として使われている資料が、
40年前(博士論文)、1年半前(日本学術会議)、今回(利根川江戸川有識者会議)と
3度、間違っていると指摘されたことが問題なのではない。

最大の問題は、問題が指摘され、正誤は現場にいけば一目瞭然で分かるのに
いって確かめようともしない人たちが、「河川管理者」でいることである。

現場でどこが危ないのという本当の防災より、インチキな資料でしか立証できないダム事業の根拠をこねくり回すことが河川管理者の仕事だったことだ。

2012年10月14日 (日)

85.利根川・江戸川有識者会議(7) 河川法16条の2 3項の解釈

「有識者会議」と名付けられて召集されたからには
有識者としての役割を果たしたい!
と思ってくれる有識者が参加する会議を見るのはドキドキする。
行政ベッタリの守旧派委員との手に汗を握る対立を
見ることができるからだ。10月4日にもそんなことが起きた。
当人達にしてみれば捨て身の覚悟が必要なのであり、ひたすら頭が下がる。

一回目のことはこちらで書いた。
 75.利根川・江戸川有識者会議(1)有識者の矜持
 資料はこちら→第5回利根川・江戸川有識者会議(2012年9月25日)

そして、2回目のことがまだ書けていなかったが、これから書く。
資料はこちら→第6回利根川・江戸川有識者会議(2012年10月4日)
今回は、有識者会議の運営についての改革案が提案された。関良基委員から
学識を有する傍聴者の意見も聴くべきではないか」との提案が行われ、
宮村忠座長は関東地方整備局の泊宏河川部長の意見を聞き入れ、
裁決を行わないように進行しようとしたり、淺枝隆委員が話を逸らそうとしたりした。

しかし、関委員の再三のリクエストで、ついに採決を取ることになった。
規約の第9条には
「この規約に定めるもののほか、会議の運営に関し必要な事項について委員総数の2分の1以上の同意を得て行うものとする」とあるから、そうせざるを得ない。
ところが、賛成には挙手をさせたが、反対の決は泊河川部長が
この場は国交省が意見を聴く場であり国交省が決めると繰り返して断固阻止をした。
結局、結果は以下の通りであった。

利根川・江戸川 有/無識者会議名簿
      「消し線」は欠席、○は傍聴者意見を聴くことに賛成  ×は不明

×淺枝 隆 (埼玉大学大学院教授)
 石野 栄一 (株式会社埼玉新聞社編集局長)
 江崎 保男 (兵庫県立大学教授)
○大熊 孝 (新潟大学名誉教授)
 岡本 雅美 (元日本大学教授)
 川上 俊也 (株式会社茨城新聞社編集局次長)
×小池 俊雄 (東京大学大学院教授)
×小瀧 潔 (千葉県水産総合研究センター内水面水産研究所長)
 阪田 正一 (立正大学特任教授)
 佐々木 寧 (埼玉大学名誉教授)
×清水 義彦 (群馬大学大学院教授)
 須田 雅彦 (株式会社上毛新聞社論説室論説副委員長)
○関 良基 (拓殖大学准教授)
○野呂 法夫 (株式会社中日新聞社東京新聞特別報道部次長)
 福岡 捷二 (中央大学研究開発機構教授)
 藤吉 洋一郎 (大妻女子大学教授)
×宮村 忠 (関東学院大学名誉教授)
 虫明 功臣 (東京大学名誉教授)
 山越 克雄 (株式会社下野新聞論説委員)
○鷲谷 いづみ (東京大学大学院教授)
×渡辺 鉱 (株式会社千葉日報社論説員)

つまり、21人中11人が欠席。
10人中4人が傍聴者意見を聴くことに賛成。
宮村座長は残り5人の態度を表明させないままに終わった。
前回は座長の互選という「挙手」しにくい判断で
「挙手」をしなかった委員が多く、河川行政の歴史が変わり損ねた

しかし、今回は比較的「挙手」がしやすい事柄だった。

最後に10分でも15分でもいいから傍聴者からの意見も聴くべきだと思います」(関良基委員)

それだけに泊河川部長は、自ら規約違反を犯してまで身を挺して挙手をさせず、
賛成が「過半に達していない」と宮村座長が事態を収拾した形となった。
挙手をすれば「反対」の方が少なかった可能性は大きかっただろう。
再考の余地が生まれたはずである。

なんせ出席した10人のうち4人は賛成だったのだ。

このモヤモヤ感は、10月12日に開催された
八ツ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」総会後の
ぶら下がり取材で若干晴れた。目からウロコが落ちるコメントを得たからだ。

議連会長の川内博史衆議院議員は、利根川水系河川整備計画策定の場に
ダム事業に批判的な委員を入れるように推薦したと述べ、
(その結果、大熊孝委員と関良基委員が入ったのだ)
その際、局長に対し、「推薦したが、入らなかった有識者はどうするのか」と聞くと
別途、話を聞くと約束をしたのだと言う。

「その約束は守ってもらう」と川内議員は述べた。

その理由として、河川法16条の2 3項では
「『河川管理者は、河川整備計画の案を作成しようとする場合において
必要があると認めるときは、
河川に関し学識経験を有する者の意見を
聴かなければならない。』
となっているが有識者会議を開けとは書いていない
と言う。

翻って考えれば、頑なに傍聴者意見を拒む理由はない。
傍聴者の意見も参考にすればよりよい河川整備計画の策定に役立つのではないかと
考える有識者の意見を拒む理由もない。

その逆で、頑なに拒むのは、河川官僚が意見(人選)をコントロールして、
河川官僚の意のままに計画を策定したいという意図の現れだろうと思わざるをえない。

ところで、話が前後するが、
この日、同議連は、国土交通省水管理・国土保全局河川計画課と治水課から
利根川水系河川整備計画の策定状況についてヒアリングを受けた。

論議の中心となったのは
○国土交通省が現在進めようとしている河川整備計画の策定内容と
 (本流と4支流の5ブロックのうち、本流の「目標流量」だけ
  という異常なまでの狭い範囲だけを議論のテーブルに載せている)
○ 藤村官房長裁定(利根川水系河川整備計画)の解釈
のとらえ方だった。

これについては、傍聴をしていた嶋津暉之氏から
「河川法の通達(河川法の一部を改正する法律等の運用について)では
 河川整備計画の策定は『水系ごとを基本とすること』と書いてあるから
本流の目標流量だけを定めるのはおかしい」との指摘が出された。

川内議員が「それでは議連としてこの通達通りに水系全体で河川整備計画を作るよう
大臣に対して要請してはどうか」と提案し、
議連としてそのように要請を行う結論に達した。

議連終了後、本流の目標流量だけに限って意見聴取をしてきた
国交省のやり方に疑問を呈してきた嶋津暉之氏に感想を聞くと、
「ホッとしました」と安堵の笑顔を見せていた。

永田町は総じて閑散として、地元で選挙モードに入っている。そんな中、
行政の監視機能を発揮する国会議員達が少なくとも10人近くはいた。

もう一つの用事を済ませて、外へ出ると、
金曜日夕方の官邸前デモに備えて警官が警備体制を整えていた。

84.放射能ゴミの扱いについて

福島第一原発から飛んできた放射能がもとで出てくる
「指定廃棄物」の処理問題が暗礁に乗り上げている。
暗礁に乗り上げて当たり前のやり方を繰り返しているから当たり前だ。

これ を読んだ永田町ムラ住人から相談を受けたので、
「ドラスティックなアイデアならある」と言うと聞きたいと言うので
1時間ほどで提案を書き上げて持っていった。

「ドラスティック」と言っても、民主主義国家として当然の案でしかない。

こうした提案をしても反映された試しがなく、徒労感ばかり増すので、
今回は相談された先にことわった上で公開させていただくことにする。

これが最適な策であると胸を張るつもりはなく、よりよい提案となるよう叩いていただければ幸い。こういったプロセスすらなく独断で決めようとした環境省(政策決定者)が参考にしてくれれば、私の深い徒労感も軽減するというものだ・・・。

アイデアは「国が決めた処理方針を白紙に戻す」ところから始まる。
カギは、全員参加での合意形成で、かつ
処理しない(ゼロ・オプション)場合の代替案の提案であり、
合意形成の場に参加できなかった人の異議申し立て権を確保することが最重要だ。

Photo_2

提案相手からはお金がかかるではないかという指摘と、以下のような質問が出た。

Q:電源構成なんて誰でも知っているでしょう。
 地域(電力会社)によって少し違います。自分の地域でどうなのかということを正確に知る必要があります。自分も原子力を使っているということをあえて、自治体単位で知った上で考えることが重要なんですよ。自分の無関心も福島第一原発事故の原因なんです。そのことから受け止めないと始まりません。それでも原子力を使い続けるのかということに関わるんです。
自分の知的レベルで「誰でも知っている」と考えるのは大きな間違い。

Q:航空モニタリング結果 (自治体ごと)について、すでに公表されていることを切り取って、わざわざ明らかにしたら意図的な情報に見える(色が濃いところに持っていけという意図に思える)。
 事実を知らせて何が悪いですか?
・公表されていることを知らない人がほとんどでしょう?隠しているに等しい。
 濃いところはそもそも住むべきところじゃないのではないですか?チェルノブイリ事故からも明らかでしょう?
・もう少し、国民を信頼したらどうです?

Q:どの市町村も真っ黒な地図(どこもダメというネガティブマップ)を県に差し出してくるでしょ?
 それならそれでいいんです。真っ黒な地図からスタートすればいいんです。
 もう一度持ち帰って優先順序で濃淡をつける。本当に守らなければならないものは何なのか、ゼロから考える。
 エゴをむき出して皆で議論をすればいいんですよ。
 NIMBYむき出しでいいんです。
 全部ダメなら、そのかわり、自県で処理しないのであれば、どうすべきかの代替案を出す。仮置き場に置いておくのか、他へ持っていくのか。
 根が深いんです。エネルギー選択まで関わるんですよ。

Q:福島には持っていかないという前提すら白紙に戻すのか。最後は福島に持っていけという議論になるのではないか。
 福島県も交えて議論すればいいが、日本人は優しいんです。そんな結論になるでしょうか。
 私自身は居住不能地域を設定してそこに持っていくのが合理的だと思います。居住不可能地域の設定については政府・東電会見で細野さんに質問をしたこともあります。私は冷たい人間ですが、日本人は優しいです。どこかに押し付けようという話になるでしょうか。わかりません。だからすべてを公開して率直に議論するしかないんです。

Q:最終的に決まらなくても、環境省(国)の責任ではないという案なのか
 何言ってるんですか。環境省の所管ですから最後まで責任があるんですよ。

ちゃんとした決め方で決めないと100年戦争ですよ、と言って帰ってきた。

記事にも書いたが、「指定廃棄物」は法律で定義されているだけで、
処理方法は環境省の裁量で決まっている。そして
奇妙な形で、法的拘束力のない押しつけになっている。

それをどう変えるかは、
日本の「政策形成」プロセスのすべてと整合すべきで、
これから書かなければならない八ツ場ダムの上位計画である
利根川水系河川整備計画の策定にも通じる。

「政策形成」プロセスの抜本改革こそが、
長期自民党政権が成し遂げるべきで、成し遂げなかったことであり、
それに続く平和ボケしたお任せ民主主義の上に樹立した民主党政権が
こぞって取り組むべき課題だった。

政策形成プロセスの改革はどこから始めてもいいが、
すべての分野でやがては通過しなければならない。

ところが、困ったことに、

現在の為政者は弱い者が泣き寝入りすると「偽りの学習」をし続けており、
例えば、長く続く官邸前デモすら、それが何を意味しているのかすら分からず、
いつかは消え、秩序が回復されると思ってふんずり返っている。

どうしましょうかね?

83.人体実験が可能な国

センセーショナルなタイトルにして申し訳ないが、

先週、日本人研究者(?)によりiPS細胞で治療が行われたという報道が
一夜明けて、一転、「米国で「iPS細胞実用化」大ウソ!
発表の日本人研究者ノラリクラリ学会発表も中止」  jcast_news

と報道された。

国際社会で赤っ恥をかいたこういう時でなければ、
日本では関心が高まらず、臨床研究におけるルール作りが放置され、
研究者の「倫理」任せで、被験者の保護制度が整備されない
から
書いておきたい。

今回のようなことは、いつかは起きてもおかしくはない事件だった。
日本では「臨床研究」に関する制度の整備が遅れ、研究者の意識も低いままだからだ。

研究段階にある医療やクスリを実際の治療に役立てていくときの
被験者を保護するためのルールがしっかりしているとは言えないのだ。

諸外国では過去の恥ずかしい失敗(人体実験)に学び、
米国では1974年に国家研究法が、
欧州では2004年までに国内制度を整備するEU指令が出て
臨床研究の被験者を保護する法律ができていった。

ところが日本では、いまだに、「研究にブレーキがかかる」などの
医療ムラの論理で、医師の良心頼みの「指針」で済まされている。
そういう土壌の上で、今回の事件は起きたと考えるべきだ。

数年前に廃刊になってしまったが、月刊誌「論座」(朝日新聞)において
置き去りにされる被験者--臨床研究に求められる一元的な保護法制」で
「クスリ」を例に書いたが、これは治療技術でも同じことだ。

良心的な医師・研究者が、このことをどのように問題視してきたかを
自分が書いた記事から抜粋させていただく
(ここでの抜粋についてご当人たちの了解は得ていない。肩書きは当時)。

● 独立行政法人科学技術振興機構研究開発戦略センターの井村裕夫氏は、米国の医療雑誌の編集委員を務めた経験から「日本の臨床研究は海外で評価されない。大学の先生が『密室』で自分の考えでやるからです。外から見えないと臨床研究のレベルが上がらない」と法制化の必要性を訴える。
● 九州大学大学院の笹栗俊之教授(臨床薬理学)は福岡県内の病院の倫理審査委員会(IRB)で行ったアンケート調査について次のように語っている。「審査対象範囲内の研究はもれなく委員会に申請されているか」との問いに対し、治験についてはほとんどが「はい」と答えたが、治験以外の研究については3分の1が「分からない」と回答。研究者らがすべての臨床研究にIRB審査が必要であることを知らない。「治験にはGCPの厳格な規定があるのに比べ、治験以外の研究は、事実上、無法状態という実態が明らかになった」
● 国立がんセンター中央病院の藤原康弘医師も「米国では一流学術誌に臨床研究の成果を載せることで、未承認薬を保険診療の対象とする道が開かれているほどだ」とし、密室で行われている日本の臨床研究を制度へ組み込み、研究の透明性を高めることによって、医師と患者双方がメリットを得られると語る。

このようなことから、井村、藤原両氏らがメンバーを務めるJSTの「臨床研究に関する委員会」は07年にライフサイエンス推進議員連盟(会長・尾身幸次衆議院議員)主催のシンポジウムで「臨床研究基本法」制定を提案していた。しかし吹っ飛んだ。

国会では「治験、臨床試験を区別することなく法制化することが必要不可欠だ」と問われた舛添厚労大臣(当時)が「人権を守りながら今の臨床実験であるとか治験がやれるかということを早急に検討してまいりたい」(参院厚生労働委員会08年1月)と答弁したまま終わっている。辞めた大臣が責任を持って一国会議員として仕事をするのはムリな話なのだろうか?

ところで、臨床研究(試験)について門外漢だった私が、これを書いたのは、
患者のために公益通報をしたがために、
アカデミックハラスメントを受けた医師との出会いからだ。

私が出会った医師・打出喜義さんの上司は、
金沢大学病院で患者の同意を取らずに臨床試験をした上に、
裁判で訴えられると文書を偽造した。しかし、
偽造前の文書を持っていた打出喜義医師が
患者のために「公益通報」をして、上司は敗訴。
ところが、上司は大学病院からはなんの処分も受けず、
逆に、公益通報をした医師の方が「内部告発者」(裏切り者)として
アカデミックハラスメントを受けた。

なんなのか?と辿ると、日本では結局、
医薬品の販売承認を受けるための「治験」では厳しい手続を経るが、
「臨床試験・研究」では法律がない。
被験者の知る権利や健康が保護するためには「指針」しかなく
要は、研究者のモラル頼みであるという背景があることが浮かび上がった。

その後、指針は強化されたが、結局、今回のような事件が起きる土壌が医療界にある。
それは「臨床研究」についての意識の甘さが根底にあるからではないか。

当時、指針の強化ではなく、法制化が必要ではないかとのスタンスで取材し続けたが、
力が足りなかった。

次の選挙で落ちる議員はたくさんいるんだから、
最後にご奉仕しようという議員がいたら、医師会からの票は得られないが、
これを機に一仕事してから落ちてくれないだろうか・・・。

82.馬脚を現した東電の「原子力改革監視委員会」

昨日のうちに手がつけられなかったことを順不同で書く。第一に、
10月12日、東電の新体制が目指している結論がすでに見えてきて残念なこと。

結論から言う。東電「原子力改革監視委員会」の設置は
柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を狙ったものだと言わざるを得ない。
順を追って書く。

この委員会の設置が9月11日に発表されたときのことについては、
東電が原子力改革新体制を発表―報告書を読んでない新幹部
(9月21日号の週刊金曜日の金曜アンテナ)で書いたが、
この時、東電が私たち取材陣に口頭で説明した新体制とは以下の通りだった。

(1)取締役会の諮問機関として「原子力改革監視委員会」が対策を提言
(2)社内外の実務家・専門家からなる「調査検証プロジェクトチーム」が
  四つの事故調査報告を踏まえて(1)と一体で事故を検証
(3)結果と提言を受けて、廣瀬社長を長とする
「原子力改革特別タスクフォース」で実行する体制である。

図でも次のように示されていた。

Photo

出典:http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1219542_1834.html 
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120911j0101.pdf

ところが、蓋を開けてみると、
原子力改革監視委員会」の位置づけはそれとはまったく違う。
東電アーカイブ(見せたい姿だけ公開している)と
IWJさんのユーストリームを見て気づいた。
http://www.ustream.tv/recorded/26083038
http://www.ustream.tv/recorded/26084013

1.「原発は安全で地震には耐えた」でスタートしている

原子力改革監視委員会に就任したデール・クライン氏(元米国NRC委員長)は、
「独立していることが重要だ」と冒頭(自社アーカイブで放映)では述べながら、
記者の質問に答えて(自社アーカイブでは見せていない)
原子力発電所は安全であると考えている」というスタンスを明確にし、
地震に対する耐性はあり、津波がバックアップシステムを損傷した」と語っている。
東電が出した報告書を前提にしている。
地震で壊れたことは残された最大の検証ポイントの一つであるにもかかわらず、
地震では被害がなかったことを「顔合わせ」に来た日に言う人が委員長に就任した。
国会事故調報告でそこは課題として残したはずの櫻井正史氏(元国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員、元名古屋高等検察庁検事長)も同席していながら
異を唱えていない。

2.監視対象者(東電)に誘導され、独立していない。

9月11日に示された改革スキームとはベクトルが違う。
「原子力改革監視委員会」は9時半から12時まで会議を開催したが、
彼ら自身は「顔合わせ」をしたに過ぎず、
実際には、原子力改革特別タスクフォース
(タスクフォース長・廣瀬直己東電社長)から「原子力改革の進め方」の
レクチャーを受けた形になっている。
 (IWJ http://www.ustream.tv/recorded/26084013   10:30~) 

つまり、「原子力改革監視委員会」がまだ何もしていない段階で、
タスクフォースが「原子力改革監視委員会」を誘導している形だ。
東電の52%は国有化され、こうした委員会開催も
その半分が税金で開催されているはずが、東電に先導され、
互選で決まったというデール・クライン委員長は自ら「独立した委員会だ」と
自己紹介しながら、「すでに改革は始まっている」と
顔合わせの日に語ってしまう構図へと最初から変容している。

3.誤つぶやきのお詫びおよび訂正

ちまたには「東電が社内事故調の見解を一変し反省」
という情報が流れ、私も9月11日に取材に行った意味があったのかなと思い、
==========================
まさのあつこ @masanoatsuko
9月11日に東電会長・社長を追及したが→ http://t.co/6fCOJTYh
今日までに少し反省したらしいhttp://t.co/sruhCiPt 07:42 PM - 12 Oct 12
==========================
とツイートしたのだが、申し訳ないがこのつぶやきは全く「誤つぶやき」だった。

原子力改革特別タスクフォース(タスクフォース長は廣瀬直己東電社長)が
「原子力改革の進め方」を発表して、この↓P.7に
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/121012j0101.pdf 
事故を振り返ってみると、問題は事前の備えができていなかったこと」と
赤字で書いたことは間違いない。しかしこれは
1と2を織り込んだ「原子力改革監視委員会」に先んじた自主的な反省であり、
「原子力改革監視委員会」を誘導する形になっている。
国民が望んでいる真相究明後の反省ではない。誤つぶやきをお詫びして訂正する。

4.誘導される結論<柏崎刈羽原子力発電所再稼働>があからさまに見えている。

今後も「原子力改革監視委員会」を誘導するであろう「原子力改革特別タスクフォース」は、
記者による質問で以下のような構成であることが分かっている。

ブラックボックスで独立委員会を誘導する総勢30人
・常勤10名(原子力部門半数、原子力部門以外の部門半数)
・ 緊急時の対応、海外の電力会社に勤務し安全文化、緊急時対応を専門とする外部コンサルタント(在日米軍、日本の自衛隊、海外電力会社勤務経験者、国内のリスクコミュニケーション専門家)に問い合わせ・議論をする。

このような匿名文化を払拭し、責任体制を明らかにすることが
改革の第一歩であるにもかかわらず、
外国人二人、国会事故調元委員、大前研一氏、東電会長という奇妙な人々を
表の看板「原子力改革監視委員会」に掲げて、
実際はブラックボックスに入れたどこの馬の骨とも(失礼!)
明らかにされない30人が、東電の「原子力改革」を牛耳ることになる。

そして、その第一回目の誘導資料として、32頁の資料の23頁目から
安全対策の取り組み(柏崎刈羽原子力発電所の例)が紹介されている。

新体制は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を目的としているのではないか
という点について、9月11日に、新潟日報の記者ともう一人の記者が
何度か疑問を呈していた(それが記事になっているかどうかは分からない)。

彼らの直感は当たっていたと、私は思う。

2012年10月13日 (土)

81.本日のアウトプット・リスト(体力次第)

第7回「利根川・江戸川有識者会議」
2012年10月16日(火)15:00から日本青年館3Fで行われる前に
本日中にまとめておきたいことが押し寄せて、昨日からずっと
頭の中でジャムっている。予告編を書いて整理する。

第6回利根川・江戸川有識者会議(2012年10月4日)
1)東大モデルが証明した緑のダム機能を東大教授が自ら「誤差」と読び
  しかも、その「誤差」は八ツ場ダムの効果よりも大きいこと。
2)昨年、指摘されたインチキな資料を関東地方整備局が
  再び平然と出してきたのに、それを引っ込めさせないこと
3)傍聴者の意見を認めるてはどうかという有識者会議委員の提案について
  国交省(事務局)が規約に反して運営を牛耳ったこと

●10月12日、八ツ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟総会
 (会長・川内博史衆議院議員、事務局長・初鹿明博衆議院議員)が開催され、
 河川整備計画の策定内容と官房長裁定の解釈のとらえ方が議論となったこと

●10月12日、「指定廃棄物」の取扱いについて提案を行ってきたこと

●10月12日、iPS細胞実用化の誤報を契機に日本が整備すべき制度のこと

●10月12日、東電の新体制が目指している結論がすでに見えてきて残念なこと

これらとは別に抱えている仕事のうち
早急に進めなければならない3つを進めながら
上記をどうしても書いておきたい・・・。

その前に空っぽになった冷蔵庫の中身の買い出しに行かなければ。

明日は明日でやることがある。これを全部今日、できるかどうかは疑問・・・。
そう思いながらも、今日書くことで、明日は少し違う世界が作れるかもしれない、
と思うことを諦めることができない病。

結局は、体力が続かず、挫折を繰り返し、ぶざまな姿を曝し続けるのだが・・・。

知人が先週の火曜日に亡くなった。

前のめりで死ぬしても、私はどこまで世の中に寄与してから死ぬのかなと考える。

2012年10月 6日 (土)

80.利根川・江戸川有識者会議(6)速報を追えるところ

10月4日の第6回利根川・江戸川有識者会議は、関東地方整備局から
いつもよりは1日早い(トホホ)3日前に開催案内が流れた。
資料はこちらhttp://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000204.html

私は発信が鈍いので、これに関する最新情報がいち早く網羅できるページは以下の通り。
 関東地方整備局
 八ツ場あしたの会
 八ツ場ダムをストップさせる埼玉の会
 どうする、利根川? どうなる、利根川? どうする、私たち!?

●委員に加わった関良基さんが、意見書を出しています。必読です。
八ッ場ダム93通のパブコメを受けての意見書(9月28日)
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/975ee4d7e8f024b9d235768bc03b1452
目標流量の議論の前に考えるべきこと(9月28日)
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/975ee4d7e8f024b9d235768bc03b1452 
「緑のダム」効果 大雨時ほど鮮明 東大演習林での研究結果(9月25日)
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/da6f3c16a35f2ede3b413981a3662a71 
4年半ぶりの利根川・江戸川有識者会議の開催について(9月25日)
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/0846e94f5d0f5b155bbbc897aef705e2 

● また、利根川市民流域委員会が「利根川・江戸川有識者会議」に
出し続けている要請書は以下で見ることができます。

利根川水系河川整備計画の策定に関する要請(1)
(計画策定の基本的な事項について)
http://tonegawashimin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-9084.html 
利根川水系河川整備計画の策定に関する要請(2)
(治水安全度と目標流量について)
http://tonegawashimin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-0b18.html 
利根川水系河川整備計画の策定に関する要請(3)
(利根川水系全体の河川整備計画の策定と有識者会議運営の改善)
http://tonegawashimin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-261c.html
利根川水系河川整備計画の策定に関する要請(4)
(日本学術会議の検討報告への疑問)
http://tonegawashimin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-2a6e.html

● 私自身も、目標流量という偏った論点だけを出してきたことについて
批判だけしているのは潔くないと考えて、以下の提案書を10月4日、
エイヤと書き、事務方さんにお願いをして有識者に配布をしてもらった。
取材者が議論に貢献してはいけないという遠慮がこの国をダメにすると思うからだ。

3.11後に策定される利根川水系河川整備計画に関する提案書

利根川・江戸川有識者会議 委員各位
利根川・江戸川河川整備計画関係都県会議 委員各位
関東地方整備局長 森北佳昭様、河川部長 泊宏様

利根川水系河川整備計画策定にあたり、当方が取材・研究活動を通して得た政府情報をもとに、ご提案を申し上げたく、以下、ご配慮のほど宜しくお願い致します

2006年の計画策定手続開始からは6年、この間の国家財政、人口構成、環境の変化が著しいことは言うまでもありません。ことに東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質汚染の広がりは、官民のモニタリング調査によって実態が把握されつつあります。文部科学省を事務局とした「統合モニタリング計画」では、各省が分担してモニタリングを行うものの、公共水域の底質の放射線物質は移動し、除去しても森林・土壌から流入し続ける等の理由で、陸地の除染が優先されています。水域の底質の放射線物質によって影響を受ける生態系を含めた河川環境の保全は保留状態にあると言っても過言ではありません。

一方で、国と自治体の双方で、河川事業から派生する浄水、同じ国交省所管の下水事業で、放射性物質が高濃度に濃縮された汚泥処理に人員や財政が割かれる状況が始まっています。最終処理費まで含めた税負担を勘案し、財政上の抑制定が河川整備においても政府の一機関として求められるべきところです。

また、地震活動の活発化と集中豪雨の頻発化による複合的災害も考慮した優先順序づけが必要になってきているところです。

そこで以下、提案します。

1. 利根川流域における河川・湖沼・ダムにおける放射性物質による汚染状況についての住民との情報共有。そのために、利根川水系河川整備計画の中に河川管理上の課題として「統合モニタリング計画」を位置づけ、汚染状況を可視化すること。(理由①「河川環境の整備と保全」は河川法に位置づけられている重要事項です。理由②社会や自然状況の変化に応じて自然資源の順応的な管理を行うことが国際的には進んでおり、日本でも2010年3月に閣議決定された「生物多様性国家戦略2010」(P.59)で、「人間がその構成要素となっている生態系は複雑で絶えず変化し続けているものであることを認識し、その構造と機能を維持できる範囲内で自然資源の管理と利用を順応的に行うことが原則」とされています。)

2. 1および1に基づく対策、住民を含めた情報の共有・協議の場作りに必要な予算措置を行うための河川整備にかかる全体的な財政抑制。(理由:「関係住民の意見を反映」することは河川整備計画を策定するにあたっての重要事項です。)

3. 国土交通省の「平成24 年7月の九州の豪雨災害を踏まえ、全国109水系の直轄河川管理区間における堤防の緊急点検結果」(別紙:流域住民に分かりやすい情報整理)やそれ以前に行われてきた詳細点検結果(利根川では62%が要対策区間)に基づいて、河川整備の優先順序つけを、住民との情報共有・協議の場を設定した上で、利根川水系河川整備計画を策定すること。これは、河川法の重要な目的の一つである「公共の安全を保持」することに寄与します。(理由:「降雨量、地形、地質その他の事情によりしばしば洪水による災害が発生している区域につき、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するために必要な措置を講ずること」は河川整備計画上の重要事項です。)

まさのあつこ(フリーランス・ジャーナリスト)

別紙こちらこちらなど

10月4日、これを出して帰りにつぶやいたのはこんなことです。

●今日の利根川江戸川河川整備計画有識者会議に以前、捏造だよと指摘された資料がまた出た。昭和22年の洪水氾濫図をもとに国交省が作り直した資料には、もとの図では氾濫していない所まで氾濫している。しかも、そこは丘の上。この資料を撤回しろと指摘され、(続

●国交省関東地方整備局河川部長泊宏さんは「当時の正解な資料がなく、ある資料で作った」と。その当時の資料にもあやまりが指摘されているのに、さらに転写で丘まで氾濫させて、大きな洪水があったことにして、ダムの必要性を演出。ひど過ぎる。(続

●そんな不確実性の高い昭和22年のデータは落すべきじゃないですかと、宮村忠座長にぶら下がり取材で尋ねたが、そうは思わないそうだ。(続

●八ッ場ダムの必要性を主張できる唯一の実際の大洪水データから作った「捏造氾濫図」を捨てられない国交省を擁護しているとしか思えない。それが捏造だと指摘され、捏造ではないと否定すらできず、ある資料で作りました、としか言わない国交省なのに。(続

●どんだけのウソの上に築かれた国だろうか。

79.利根川・江戸川有識者会議(5)低水管理の最終

そして利根川・江戸川有識者会議でスルーされてきた低水管理の話である。

高水管理(や原発政策)と同じで、先進国なみの住民参加プロセスはなく、
河川ムラだけで(審議会にだけお墨付きを得て河川管理者(国交省)が)決めてしまうルールである。

たとえば、利根川水系河川整備基本方針(P.32)では、
利根川本流については「栗橋」というところが基準点となって、
ここを毎秒何トン流れるようにすれば
水を使う権利を得た人が取水できて、しかも
動植物が生息するだけ(漁業や塩害防止のためのときもある)の水位が維持できるかと計算し、ダムの放流量を決める。

極端なことを言えば、それらの水量を確保するためには
あとで渇水のリスクがあっても、おかまいなしにガンガン放流してよい。

なぜか?それが決まりだからだ。
河川法上の用語で言うと
第1条「流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされる」
目的達成のためだ。

岡本雅美・元日本大学教授の表現を借りて、それを噛み砕いて言えば、
河川管理には高水管理と低水管理があり、
河川管理者は低水管理のために、
 (1) 河川管理者が許可した水利権分の水をダムから放流し、
 (2) 流水の正常な機能を維持するための水をダムから放流し
 (3) 異常渇水の時だけは、関係者で渇水調整に合意し、情報を発する。

たとえば、私が「大本営発表」と批判した「渇水」を作り出すのは簡単だ。
 まず、この夏は小雨になりそうだなと思っても、
 河川法第1条を忠実に守り(1)と(2)の理由で放流し続ける。
 そしてギリギリになって(3)を発令して、渇水です、取水制限ですと騒ぐ。
 一方で、合意外のところではガンガン放流するという具合だ。
ダムが空になるのは、(1)と(2)の低水管理によるものであり、
あれはあれで、空になることで機能を果たしているのだ。

良心的な河川管理者の身になって言ってあげれば
洪水調整も渇水調整もなかなか難しいですねということになるが
ダムの必要性を演出したいと思えば悪意の河川管理も可能であり、
それを知らないと、「渇水」だ!という単純な報道になる。

だから、小学校で教わる「ダムの機能」はみんなの頭の中に、
洪水のときは貯めて、渇水のときは放流する」イメージが
植え付けられているのだけど、

もの凄く不思議なことなのだが、ダムは
想定外の洪水では放流し、渇水調整前に空になる
というのが現実の世界なのである。

さらに言えば、
「想定外の洪水では放流して、直下流に浸水被害を起こし、
 
渇水が起きる前から河川環境を守るためにガンガン放流し、
 
渇水調整の発表がある頃にはダムはスッカラカンになる。」

これが高じて、そのためにダムが建設されるという「自己目的化」も各地で起きている。

だから、低水管理はスルーすべきではない論点なのである。 

78.利根川・江戸川有識者会議(4)低水管理 続き

それで低水管理の話だ。
二つ前のコマで整理した論点うち、低水管理の話は
岡本雅美・元日本大学教授がほぼ毎回、持ち出しても、無視され続けてきた話である。

常に高水管理(治水)の妥当性ばかりが熱く論議されてきた。こんな感じだ。↓

常に、河川官僚と河川工学者(河川ムラ)が
(1)100年に1回起きる洪水とか、200年に1回起きる洪水とか、
   対処する洪水の規模を(河川ムラの常識=惰性で)独断で決めて、
(2)100年だか200年だかの基本高水(=ダムがない場合に洪水が来たときの流量)
   机上の計算で(係数を駆使して)決めて、
(3)ダムで貯める量、河道を広げたりして流す量を、
  単純にわけて「治水」だと言い張ってきた。しかし、たとえば利根川(P.21)であれば、
  ダムがない場合に毎秒22,000千トンが八斗島(やったじま)を流れるところを
  ダムで貯める量(5,500)河道を広げて流す量(16,500)で対処すると言ってきた。
(4)しかし、(1)(2)(3)はすべて想定の重なりに過ぎず、非現実的だと批判されてきた。

3つの論点がある。

論点1.決定プロセスの問題

200年に1回の洪水に対処するって?
 西暦1812年の人間たちに私たちは治水を期待しただろうか?
 西暦2212年までに起きる洪水対策を子孫は私たちに期待するだろうか?

100年に1回の洪水に対処するって?
 西暦1912年の人間たちに私たちは治水を期待しただろうか?
 西暦2112年までに起きる洪水対策を子孫は私たちに期待するだろうか?

それとも30年に1回の洪水にきっちり対処するか?
 これは重要な政策判断なのだが、
 これは国会でも議論しない、パブリックコメントでも聞かない、
 河川法16条で審議会にお墨付きをもらって国交省が独断で決めてきた。(上記の(1))
 何が妥当か国民の意見を聴いたらどうなの?という話。

 これには「河川管理者が責任を持って決める」と答えてきたが責任を取ってきたのか?
 責任をとらない、とれないから裁判に訴えられてきたではないかという話。

論点2.ダムで貯める量の計算が合わない問題

今まで利根川本流の上流域で6つのダムを作ってきたが(お疲れさま!)
この治水能力は6つ合わせても毎秒1,000トン程度で、
比較的大きいと宣伝されている八ツ場ダムでも毎秒600トン程度。
ダムで貯めるという毎秒5,500千トン-(1,000+600)
残り毎秒3,900トンをどうするの?という問題で、
これは国交省に聞いても「努力する」とかゴマカシの答えしか返ってこない。
もうダムの適地もなければお金もないから、
毎秒5,500千トンを貯めるのは絵に描いた餅だという話だという話。
実行するのだと言うならどれだけ山河を壊すのかという話。

論点3.そもそも流量を決めることに意味があるのかという問題

・毎秒22,000千トンという机上の計算は組織内外から疑われている。
・100歩譲り、毎秒22,000千トンが正しかったとして、
 それを超える洪水がきたらアウトだねというストライクゾーンの小ささ
 それで洪水被害起きる事例は少なくない。
・30年に1度の目標と政策判断すればダムは不要になる。
・一方で半世紀かけても完成しないダムを作りつづける「治水」は誰のものか?
・たとえば20年30年に1度の洪水でも壊れない堤防整備が先ではないかという話。

だいたいこの3つの論点に集約されるが、
突き詰めれば、ダムを作るための「治水」じゃなくて、
命を守れる治水のあり方に変えようとというのが、
この問題に関心をもつ良識派の合意到達点だ。

ところが、この良識派の合意到達点は意思決定プロセスからは阻害されてきた

これはこれで重要なことであるがために、「低水管理」の話は常に疎かだったのだ。

(続く)

2012年10月 1日 (月)

77.利根川・江戸川有識者会議(3)低水管理

「洪水」と関係に深い「基本高水」問題は、
かなりの人の知るところとなった。しかし、
渇水」と関係の深い「低水」問題は全くと言っていいほど知られていない。

前のコマで整理した利根川・江戸川有識者会議で出された論点のうち、
岡本雅美・元日本大学教授が専門である「低水管理」がそれだ。
岡本氏は機会あるごとに、「低水」について触れるが、スルーされている。

国交省が2011年11月4日に開催した八ツ場ダムの検証会議のときもそうだ。
 
この方は、言いたいことを全部盛り込んで、
いろいろな人(行政や学者)や事柄(高水)に配慮しながら話すために
本当に重要なことが人に伝わらない癖がある。
しかし、議事録の中から余計なことの大半を削ぎ落としてつなげると、
低水」については、岡本氏は以下のようなことを言っている。
赤字を読んでください。紫字は高水の話です。

どのレベルに対忚するのかというのが必ず問題になるわけです

利水に関しても、10年に1回は水利権の流量がとれないことがあるけれども、
これはやむを得ない。10年のうち9年を担保するようなものをつくろうと

それを正確に統計学的に統計学者が納得するようなことを言おうと思ったら、
尐なくともその10倍のデータが必要なわけです。ところが、
そんなことは実際にはできないことなので、じゃあどうしているか

公共事業というのはまず必要性がなきゃいけない。(略)
その合理的な根拠がなきゃいけない

合理的の中には、例えば毎秒1万7,000トンというのを
ダムの効果をはじくときにどうやって合理性を担保するかというと

虫明先生以下お歴々がご出席ですが、
こういう学識経験者が現代の学術、科学技術では
大体そういう計算方法とか流出のモデルを使うことが最も妥当であろう
というものをお受けして、それを河川構造令、
あるいは技術指針という格好で固定して、
それでもって合理性があると認定せざるを得ない
(略)。

例えば(略)10年の渇水をどう評定していくか(略)
学識経験者の基本的には現在の科学技術の示すところに従ってやっていく。
したがって、それは当然進歩する場合もあるわけで(略
)、
裏から言うと、河川部局の方々に裁量権があるのは、
1つはどのレベルの対忚をつけていくか。(略

例えば我々は虫明さんや宮村さんと同じで年を食っているので、
年利根川とつき合っていますと、当初は100年高水と言っていたのが、
あるときから利根川は重要だから200年に対忚
しようという声が聞かれました。

利水に関してついでに申し上げますと、
利水は全国どこでもやるときには10年渇水年、
10年に9年は担保できるということでやってきているんですが、
こと利根川に関しては、とてもダムの容量が足りない、
渇水補給の手段がないということで

実は河川整備計画では20年ないし30年の間は5年に1回パンクする危険を
想定目標としているわけです

そして、どの程度のレベルで考えるかということに関しては
ある程度の裁量ができますが、これはもっと総合的な裁量で、

私も清水委員と同様に利根川は被害物件等重要度が全然違うんだから、
もっと安全率を上げるべきだろうと思いますが
現在の行政の能力では200年どころか100年も無理で、
50年に下げざるを得ないという算術ができている。

抜粋は以上ですが、
高水」と「低水」は、河川官僚の裁量に合わせた便宜的な評価に過ぎないこと、
より高い目標が好ましいが、現実性がないこと、を語っています。

しかし、それでも高い目標を目指すすべきか、現実味のある目標とすべきかの
大事な結論を自分では示さない(中立性を保とうとする)ために、
誰にとってもつかみ所のない話に聞こえてしまう。整理して言えば、

行政が結論を決めればその結論に合わせた根拠を考えられる。
基本高水も低水もその程度のものでしかない、ということだ。

慣れた話の聞き手であれば、語り手を促し議論を深めるのでしょうが、
宮村氏の場合は、以下のように(議事録のP.20)切り捨ててしまった。

○宮村座長
ありがとうございました。大分岡本節で、もう発言はないだろうと思います。
では、ほかの方にお願いしましょう。

では、岡本氏の言う「低水(利水、渇水)管理」とはどのようなものか、
だいぶ前になりますが、じっくりと取材をさせてもらったことがあるので、
次のコマで解説をしておきたいと思います。

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