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2012年10月17日 (水)

89.利根川・江戸川有識者会議(11)東大モデルの誤差(II)

こちらで慌てて書いた、東大モデルによる洪水の再現計算で
東大教授が「誤差」と呼ぶ流量は八ツ場ダムの効果よりも大きいことを、
文字では筆力が足りないので、日本学術会議が国交省に提出した回答の
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-21-k133.html 
東大モデルで出てきたグラフで説明します。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-k133-1-10.pdf

赤がシミュレーション(机上の計算)黒が実測です。
横軸が日にちで、縦軸が川に流れてきた流量
から出ている棒グラフが雨の量で、雨が増えると
折れ線グラフで、だんだん川に出てくる流量が増え、
雨が止むとそれが下がっていくこと(シミュレーション実測)を示しています。
一番てっぺんを「ピーク流量」といい、
このピークが再現できているかが、
このモデルが、実際の雨を再現できているかどうかを示す重要なところです。
まずは見てください。(クリックすると大きくなります。出典はこちらのP.180-181)

最初は合っている(適合している)けれど、あとになるとハズレている(誤差がある)ことが分かります。

1958年(昭和33年)の洪水の実績シミュレーション 

Tokyo_uni_model_1958
 
1959年(昭和34年)の実績シミュレーション

Tokyo_uni_model_1959   
1982年(昭和57年)の実績シミュレーション

Tokyo_uni_model_1982  

1998年(平成10年)の実績シミュレーション

Tokyo_uni_model_1998  

これをもって、小池教授は
「ピーク値でも観測値との誤差は十数パーセント以内となっている」ので
適合性がよい。国交省は正しいと言いました。

10月4日に関良基教授が指摘したのは
でもその誤差はこの流域における八ツ場ダムの効果より大きい」
それでよいのですか?ということです。最終的に
こうした「流量」が河川整備計画に中で位置づけられるダム建設の根拠となります。

その流量の裏付け計算であるにもかかわらず、その誤差がダムの効果よりも大きくていいのか?ということです。

誤差がどれぐらいのものかをみるためにグラフに線を引っ張って見てみると
以下の通りです。目を凝らして目盛りをみるとその誤差は11200-9700=1500程度

Tokyo_uni_model_1998

八ツ場ダムの効果は雨の降り方によってはゼロ。
多くとも600トン/秒だとされてきました。
上記の東大モデルは流量の裏付け計算であるにもかかわらず、
その誤差がダムの効果よりも大きくていいのか?ということです。

これに対し、東大の小池教授からのストレートな回答はありませんでした。

このモデルに対しては10月14日に、再度関委員、大熊孝委員からも疑問が呈されましたが、小池教授からの明解な回答はありませんでした。

ちなみに梶原健嗣さんの検証によれば
平均でも504~551トン/秒だったはずの八ツ場ダムの効果
国交省は日本学術会議が検証した後に、1176トン/秒に変えていました(~。~;)。
この点については梶原さんのブログをご参考ください。http://blogs.yahoo.co.jp/spmpy497/2258666.html

さて、ここでの最大の問題は何か?
この計算が合うということと、
川が安全になるということはまったく違う問題であるということです。
ところが、日本の河川行政はこうした河川工学を隠れみのにして行われてきました。

過去、どのような被害がどこで出たのかを教訓に
今はどこが危ないのかを情報共有して、
その上でどのような予算の範囲で何をすべきかを流域住民と共に決めるべきであり、
「技術」の出番は早くとも同時並行か最後でよいにもかかわらず、
ほとんど誰も分からないテクニカルターム(専門用語)で国民を煙に巻いて
そのために河川工学者を使い、河川行政を行ってきました。

ピーク流量がどれぐらいになり、どれぐらいのピーク流量までダムで貯めるか
という現場とは遠い論議を展開して、
実は誤差の範囲のストライクゾーンの狭いダム建設にこだわってきたのです。

普通の人に分かる言葉で語ること、それが今の学者に最も必要とされる能力ではないでしょうか。

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