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2012年9月23日 (日)

72.「河川管理者は関東地方整備局長」であるという呪文

川の話に限らない。

誰であれば「住民」の意見を代表することができるのかというのは
民主主義の永遠のテーマである。

○「知事」は投票率が50%程度でも、有権者の代表か?
  「知事」は自治体経営の観点からの意見をいうのか?
  「知事」は政治献金と票をくれる人を代弁するのか?
  「知事」は(時に国からの出向者がトップを務める)担当部局の職員の
  代弁者となってしまっていないか。
○ 関係住民は誰か?
○ 誰が利益を受けるか?誰が害を受けるか?利害関係者は誰か?
○ 利害関係者に未来世代が入るとして誰がそれを代弁できるか?
○誰が「専門家」か?「専門家」の役割は何か?
○その「専門」は、政策決定を最適化するために意味のある専門か?

公共政策の決定権者が常に心がけておかないといけないことは、
「民意」を補うための注意深すぎるほどの工夫だと思う。

たとえば「河川管理者」は誰の意見をどうやったら反映できるのか?
そして、「河川管理者」とは誰なのか?

前のコマで書いた利根川・江戸川有識者会議 では
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000052.html

==============================
河川管理者である関東地方整備局長が、
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(案)」を作成するにあたり、
河川法第16条の2第3項の趣旨に基づき
学識経験を有する者等の意見を聴く場として設置するものです。
(審議等により何らかの決定を行うものではありません。)
==============================

これは正しいか?

河川整備計画を作る手続を定めた「河川法第16条の2」では
河川に関し学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。
公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
関係都道府県知事又は関係市町村長の意見を聴かなければならない。

● 第16条の2の3.4.5の主語は「河川管理者」だ。
「河川管理者」とは誰かと言えば、原則として
一級河川は「国土交通大臣」で、二級河川は「都道府県知事」となっている。
(河川法7条、9条、10条)

● たとえば利根川で言えば、河川管理者は
法律の運用上、河川法施行令53条で国土交通省関東地方整備局長だと定めるが、実は
国土交通省関東地方整備局長は「国土交通大臣の目鼻口手足」に他ならない。

●では国土交通大臣とは誰かと言えば、
国民に選ばれた「民意」(または民意を反映しない大臣であれば「ねじれた民意」)の塊であり、
選挙で選んだ政治家の一人に他ならない。
つまり、「河川管理者」とは本来は、皮肉なことに現在、聞き置かれ、
意思決定から排除されている(が言い過ぎなら無視されている)人々の代表だ。
大臣は行政組織の監督者として総理大臣に任命された人物であり、
河川官僚の代表者でもなければ代弁者でもない。

● 河川整備計画の策定手続は、いわば、
国民の代表である大臣が、民意をくんで意思決定をする尊い手続だ。
ところが、法律をきちんと読まずに、現実を見ていると、
あたかも、「国土交通省関東地方整備局」が河川管理者として住民の上に君臨し、
住民の意見を反映させる(聞きおく)かのような手続となっている。

●でもそうでなはない。
「河川官僚」と「住民」は対立しているように見える場合であっても、
きちんと考えれば、
河川管理者は「大臣(=国民の代表/官僚の管理監督者)の目鼻口手足」であり、
河川官僚は大臣(意志決定者)が、住民の意見を反映するのを補佐しているに過ぎない。
本来は住民と対立したり排除したり無視したりする関係ではありえない。

●では専門家の役割は何か。
河川管理者である大臣(国民の代表)が国民のために賢い政策決定を行うために
知恵や知見を提示することだ。

だから、こちらに示したように利根川・江戸川有識者会議の案内で
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000052.html
==============================
河川管理者である関東地方整備局長が、
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(案)」を作成するにあたり、
河川法第16条の2第3項の趣旨に基づき
学識経験を有する者等の意見を聴く場として設置するものです。
==============================
と、関東地方整備局が自分の直属のボスを主語にして書くのは自由だが、
官僚の裁量に依存して成立する政令ではなく(河川法施行令53条で権限が委任されているにしても)
法律に忠実に「国土交通大臣が」と書いて、
自分達河川官僚が常に国民(の代表)を補佐する手足であるということを
肝に銘じるべきではないかと思うのだが、どうだろう?

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