60 情報流通のインフラ整備
東電側から「国立公文書館」の言葉が出たの続きです。
フリーランス連絡会の3つの申し入れに対し、
回答期限である8月31日、連絡先を引き受けている寺澤有氏のもとへ
内閣官房、経済産業省から回答が届いたのだそうだ。
共有してもらった回答をそのまま以下に抜き書きしておく。
=== === === ====
■ 申し入れ1
東電・政府合同会見の最低月1回の開催
□原子力安全・保安院 電力安全広報課の回答
昨年のステップ2完了時の政府・東電統合対策室合同記者会見の場で、細野大臣から「個別の記者会見という形でこれかも積極的な情報提供、そして皆さんからのご質問に答えることは続けさせていただく」旨を申し上げている。現状において、閣議後会見や府省等による定例の会見が頻繁に実施されており、引き続き、個別の記者会見を通じた積極的な情報発信等に心がけていきたい。
■ 申し入れ2
福島第一原発関係資料の公文書管理法に基づく政府(国立公文書館)管理
□資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課の回答
映像の公開により、例えば、一般社員やその家族の安全が脅かされたりすることのないよう、一定の手立てが講じられることが必要であり、そうした観点を踏まえつつ、東京電力が国立公文書館に寄贈することが可能かどうか検討しているものと承知している。
■ 申し入れ3
東電を含む、税を投入した私企業等の情報公開法の制定
□経済産業省大臣官房情報公開推進室の回答
情報公開法は、「国民」と「政府」の関係を前提として、行政機関等を対象に、その保有する文書に対する開示請求権を定めることにより、情報の公開を推進するものであり、公的資金が投入されているとはいえ、私企業をこの情報公開の枠組みの対象とすることは法体系上困難であると考える。
一方で、公的資金が投入されている企業が、そうでない一般的な企業以上に、自主的かつ積極的にその情報を公開していくべきことは当然であると考える
=== === ===抜き書き終わり====
1と2は想定内の回答で、機会のあるごとにプッシュしていくしかない。
3のスットボケぶりは興味深い。
日本の情報公開法には、行政機関を対象にした情報公開法と
独立行政法人を対象にした独立行政法人情報公開法の二つがある。
第一、第二の情報公開法の枠組みに入れることはできないことなど承知の上で、
第三の情報公開法が必要ではないかという意味なのだが、スットボケた回答になっている。
この申し入れの背景には
経産省の情報公開推進室が指摘しているように、東電が
「一般的な企業以上に、自主的かつ積極的にその情報を公開していくべき」であるにもかかわらず、重要なテレビ会議画像を名ばかり公開で済まそうとしたこと、
「東電情報公開法があってもいいぐらいだ」と
東電株主代表訴訟の弁護人、海渡雄一弁護士が
3.11後の東電テレビ会議動画の保全を求める会見で述べておられたこと、
それに、
その株主総会が公開で開催されるべきところ、非公開だったために
配信を試みたフリーランスジャーナリスト木野龍逸氏を
東電が未だに東電施設から締め出していること、
その他、書ききれないほどの諸々の事情がある。
それぞれが一瞬にして忘れ去られてしまいがちなほどに
毎日、たくさんの問題が起きている。
それだけに、情報流通のインフラ整備をきちんとしておかないとダメなのだ。
取材者の仕事は仕入れた情報を分かりやすくより多くの人と共有することだ。
その任務を放棄するつもりはないが、
取材者が気づけることは国民全体が気づけることの一部でしかない。
報道に携わる者は、情報流通のインフラ整備について人一倍神経質を注ぎ込まなければと思う。
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