« 69.但し書き操作 | トップページ | 71.住民と分断された有識者会議に意味はあるか(後半)? »

2012年9月22日 (土)

70.住民と分断された有識者会議に意味はあるか(前半)?

国土交通省関東地方整備局がゴソゴソ動き始めたので
1997年から2012年までの河川行政のあり方について
利根川を例にザックリとまとめておきます。

かつて取材も傍聴もさせない密室「河川審議会」で
お墨付きを得て策定されていた「工事実施基本計画」が、1997年の河川法改正で、
「治水、利水、環境」の観点を包含した以下の二段階の手続に分かれた。

  河川整備基本方針(第16条)<傍聴のみ>
  河川整備計画(第16条の2 4項)<関係住民の意見を反映させるために必要な措置>

Photo

出典:国交省資料
http://www.kkr.mlit.go.jp/wakayama/ryuiki_iinkai/ryuiki/study/pdf/2.pdf

実際には、旧体制と大差なく、「治水」「河川工学」が主役で、
「環境」はなおざり、「利水」議論はゼロに等しい。
住民参加を排除した霞ヶ関の机上で作られる河川整備基本方針が大手を振るう。
官僚の裁量が色濃く、法律が正しく運用されてない典型だと言える。

しかし、辛酸をなめ尽くし、故郷をダムに沈められた人々を含め
先陣達の屍の上に勝ち取られた改正である。
河川整備計画(第16条の2 4項)<関係住民の意見を反映させるために必要な措置>は、
その実効性を巡っての攻防が各地で続いてきた。

1997年に改正されたのに2012年の現在まで、
河川整備計画の策定はサボタージュされてきたのが利根川だ。

その間、住民側は実質的な参加・協議を求めてさまざまな努力を試みた。
例)http://tonegawashimin.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/index.html

途中まで手続をしてパブコメが行われたが
現在までに頂いた意見と河川管理者の見解(すべての意見に対して)(2008年5月23日)
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/index00000024.html

今回の原発ゼロ政策のように
「八ツ場ダム反対」の意見が多数よせられた。
「原発ゼロ」はゴマカシだらけではあっても「結論」を出した。
ところが、国交省の場合は2008年5月にフリーズし、結論を出さず、
ひたすら事業を続け、政権交代をすると、今度は、
「政権交代」のせいで策定作業が止まったとウソをつき始めた。

有識者会議も第4回(2008年5月23日)で止まったままだった。
http://www.ktr.mlit.go.jp/tonejo/seibi/kaigi.htm

1997年河川法改正の経過措置(附則2条)で、
河川整備計画を策定するまでは、旧法に基づく工事実施基本計画を
河川整備計画と見なすとされているのを悪用してきたのだ。

八ツ場ダム本体着工の要件として、河川整備計画の策定が求められて初めて
今回、その中断していた作業を仕方なく始めた、という流れだ。

4年も経てば社会状況も川の環境も変わる。1から始めるべきところ
第5回(2012年9月25日)「利根川・江戸川有識者会議」となっている。
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000052.html
住民意見を受けての河川管理計画の決定を4年間も
サボタージュしてた挙げ句がこれだ。

そして、今回も相変わらず、従来のやり方を踏襲しようとしている。
行政も住民も学者も交えて議論・協議すればよいものを、
わざわざ分断し、傍聴者も集めたくないらしく、開催間際で案内が流れた。

●有識者は有識者(人選でコントロール)、
  9月25日(火)について21日(金)午後に突然の開催案内
  http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000052.html
●行政は行政(しがらみと予算でコントロール)、
  9月24日(月)について21日(金)午後に突然の開催案内
  利根川・江戸川河川整備計画関係都県会議(仮称)の設置及び開催について
  http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000051.html
● 住民意見はまたまた聞きおく方式で放置(2012年5月25日)している。
  http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000200.html
  説明会すら開かず↑、たった6枚の↓
  「全国の他の河川における水準と比較して相対的に高い水準(年超過確率)」
  という「これでどうやって身を守れるのか、環境を守れるのか?」分からない資料
  http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000066802.pdf
でパブコメを集めた。問題は3つ。
1. 4年間の社会状況(人口、経済、国家財政、利水の必要性)の変化の説明がない。
2. 4年前にパブコメをした際より、目標流量を大きくしているがその説明もない。
「ダムの必要性を増すための操作」と批判されているが説明がない。
3. 放置したまま、有識者と行政の会議を開こうとしている。

これでは行政と住民の溝は埋まらず、
洪水による被害がどこに起きそうなのかという根本的な情報の共有もままならない。

次のコマで有識者会議はどのようなものになりそうかを帰宅後に書きたいと思います。

なお、河川管理を巡る住民参加の攻防については
今年2月に開いた「河川管理を誰が決めるか?日本の場合、米国の場合」
カワシフ 河川管理を誰が決めるか?宮本博司さんとトーク(動画)
http://www.youtube.com/watch?v=Ga8ViizN2LY&feature=player_embedded 
をご覧いただけると、その一端が垣間見られると思います。(ヨレヨレの自分が出ていて恥ずかしいが、内容はピカイチ)

本日は高崎市で

 「本当に造っていいですか? 八ッ場ダム」
 ~「ダム湛水による危険性」と「水没する貴重な遺跡」~
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1704

がありますが、先約があり行けないのが残念です。

« 69.但し書き操作 | トップページ | 71.住民と分断された有識者会議に意味はあるか(後半)? »

川は誰のものか」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1651265/47168253

この記事へのトラックバック一覧です: 70.住民と分断された有識者会議に意味はあるか(前半)?:

« 69.但し書き操作 | トップページ | 71.住民と分断された有識者会議に意味はあるか(後半)? »

2015年6月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
無料ブログはココログ