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2012年9月

2012年9月27日 (木)

76.利根川・江戸川有識者会議(2)出された論点

エッセイじゃなくて、取材メモ状態が続くがお許しを。

2012年9月25日、利根川水系河川整備計画を策定する
流域5ブロックの有識者会議の一つ、「利根川・江戸川」ブロックの有識者会は、
つい先日まで国土交通省水管理・国土保全局で
河川計画課河川計画調整室長をしていた泊宏氏が、
関東地方整備局河川部長となって取り仕切ることになった。

Photo_3
経緯を説明する関東地方整備局 泊宏河川部長

これまでの経緯説明の後、座長問題の後、本題に入った(以下、敬称略)。

しかし、議題自体に唐突感があり、問題視する意見が続いた。
前にも書いたように、1997年以来策定がサボタージュされてきた
河川整備計画にはさまざまな要素が含まれる。

今回は4年4ヶ月中断していたかと思うと、突然、

「目標流量は年超過確率1/70~1/80でいかがですか?」
それは、八斗島という基準点を毎秒17000トンの流量が流れるぐらいの大雨です。
ご意見ください、という。

Photo_6

出典http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000066985.pdf

年超過確率1/70~1/80とは、
毎年1/70~1/80の確率で発生する雨」といったり
70年~80年に1回以上の確率で発生する雨」といったりする雨の大きさで

改めて関東地方整備局に一般の人に分かりやすい表現を電話で確認したけど
折返しますtelephoneってことになっちゃったぐらい、
実は「河川計画課」の人もサっと説明できない代物だ。)@0@(。

ダムや堤防による対策で「大雨が降っても大丈夫!」と言える程度の雨の規模を、
わざわざ川の流量に換算して出しているのだが、

簡単に言えば、過去の小さい雨で川に流出した量をもとに
さまざまな係数を掛け合わせて
これが大きな雨だったらどれぐらいの雨となるか」と計算ではじいた想定です。

ところが、川底の状況、川原に生える木や草はもちろん、
砂か、土か、岩盤かという土壌や地質、そして、
はげ山か森か町か田んぼかなど、降り注ぐ野山の状況も変わる。
こんなたくさんの要素をかかえる自然を「計算」で
正確に測ることは困難だと謙虚に受け止めるのが科学である。

結局のところ、数字の操作(改ざん)が簡単にできてしまうために、
過大でダムを作り続けるための理屈であると批判の的であり続けた。

また、そんな議論に終始して、その間、どこの堤防がどれだけ危ないのか、
どんな土地が浸水被害を受けやすいのかといった
本当に安全につながる議論はそっちのけで、各地で被害者を出し続けてきた。
それが日本の「治水」のあり方だった

有識者会議の中でも、
「特定の数字に基づく対策で本当の安全が確保ができるのか」と批判されることとなった。
その他の抽出された河川整備計画上の課題や論点をまとめると
おおよそ以下のようなものだ。

1)環境、生態系
2)低水管理(水利権問題)、
3)時間と予算の制約、
4)雨量からの流量を算出することの妥当性(日本学術会議の検証)
5)森林の経年変化(成長)による流量低減効果
6)火山岩層が雨を吸い込む力が計算で考慮されていない点
7)カスリン台風時の氾濫の状況

これらの論点は次回に持ち越された。

以上がレポートで、以下は自分用の論点記録メモ

正確な議事録や全資料はこちら↓でご確認ください。
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000202.html

● 河川整備計画は低水(管理)の問題もある。私はその専門。(岡本)

● 河川工学から遠く身を置く者からすると、目標流量に限定している。治水安全というテクニカルな領域の問題に限定してしまうと、安全度は本来多元的、多義的な概念。限定すると広く英知を集めることができない。特定の数字に基づく対策だけを追求すると、本当の安全が確保ができるのか。河川を巡る自然環境、社会環境は大きく変わっている。雨の降り方、高齢化、地方から人が消えていく。(鷲谷)

● 基本高水流量の検証を日本学術会議で行い、国土交通省に回答を出した。総合確率法について疑問が呈された。昭和57年のモデルを検証しようと思ったら資料がなかった。今計画に使われているモデルは間違いないと確認した。疑問があれば報告を読んで理解していただければ。(小池)

● パブコメgeminiを見ると、目標流量を定めること自体が、治水安全上、意味がないという意見が多い。住民の安全が図れるのかということから議論したい。河川法でそうなっているとの回答だが、主権在民の国だから、聞き流すだけではパブコメを出した方が納得しない。(関)
● 国土交通省は、目標流量を決めた上で、時間と予算制約の中で河川整備計画を立てると回答している。国土交通白書によれば2040年には新規事業を起こす財政的な余裕がない。200年かかっても300年かかってもできない計画を立てても意味はない。30年で予算制約の中でできることを考えなければ。(関)
● 日本学術会議で小池先生は、(洪水想定に使われる)貯留関数法は50年前に考案された枯れた手法だとおっしゃったが、蓋を開けると貯留関数法を使っていた。知り合いの物理学者はこれはサイエンスではないという。左辺がm3の雨量の単位、右辺が量を時間で割ったもの。体積と体積/時間をイコールで結んでいる。総合確率法にも問題がある(関)。
● 私の専門は森林。日本学術会議は森林が成長しても洪水のピーク流量は変化がないと結論してしまったが、私は異議を唱えている。「水と森に関する国際会議」で東京大学の愛知演習林の蔵治光一郎講師ら若い研修者が、愛知演習林のデータから1930年代のはげ山だった頃と最近の洪水を比べ、流量の変化を見ると、平均14%ぐらい減った。利根川でも、1950年から2010年まで、森林の成長によって13.7%、ピーク流量減っている。しかし、日本学術会議はそれを無視してしまった。(関)
● 貯留関数法は、中規模洪水(のモデル)を使って計算すると大規模になるほど高くなることが明らかな計算方法。地質ごとに雨水の透水性が異なるが、火山岩層の地質の状況を反映しきっていない。(関)

● 宮本座長のリクエストで関発言への小池、虫明コメント。
● これまでの経緯が分からない。整備計画はどんなものでどれぐらいのスケジュールでやるものか。(清水)
● 私は会議を時間内に動かすのが役割(宮村)
● 今日いただけなかった意見は事務局に明後日までにください(事務局)
● キャスリン台風のときの氾濫はどうあったのかを次回示していただきたい(大熊)

ロジスティクスの問題
● 次回以降の開催予定が10月4日、16日、25日と理解している委員と、
そのうちのどれかだと理解している委員がいるが、国交省は未定だという。

以下は会議後の宮村座長ぶらさがり会見

記者:運営についての問題について。
宮村:案内が来たのが遅かった。
記者:今後の議論は?
宮村:僕がやるのは会議の進行。希望を言えば、共通認識がない。
記者:事業着工の要件になっているが、時間をかけて議論をするのかどうか。
宮村:個人的意見は持っていない。
記者:会議開催案内については1週間前に(行う)ということで今日は共通認識が得られたと考えていいか。
宮村:短いと思う。今後については共通認識を持って欲しいと思う。
記者:今日出た議題は尽くされたのか。メールで終わりではない?
宮村:次回に持ち越し。
記者:目標流量をあらかじめ定めることへの異論が出たが。
宮村:個人的意見を言うことは控えることにした。
記者:議論をこれから尽くしていくことが大切だということですよね。
宮村:そうそう。
記者:500年経っても達成できない基本高水が時間的、財政的制約の中で定められていることについての問題も議論されるんですよね。
宮村:うん。さきほども出たの。だからそういうことが共通認識になればそれはそれでいい。会を進められる。
記者:森林が育つと(川への流出)流量が減るという新しい研究成果は今後の議論になるか?
宮村:という意見が出ればね。だけど私はその学会には行き気もありませんし、皆意見違うんですよ。皆同じ意見なんて変だよ。個人的にはみなあるんですよ。会議で間違っているか、あってるかを決めるわけにいかないんです。この会議はみんなで意見を聴く会ですから。決めろということではないですから。意見を聴くことの司会をやっている。
記者:意見書をまとめるといった考えは?
宮村:考えていない。与えられた課題は進行役ですからね。

「あと1問」と国交省。

記者:河川法16条の2の運用の仕方は、流域によって違いますが、淀川流域委員会のように有識者も住民も地域特性に詳しい住民も含めた議論を行うということによって、より多重的な深い議論、あるいは皆が共通理解を持てるだけの議論をするところもありますが、利根川について行われていることはどのようにお考えでしょうか。
宮村:私は利根川は利根川のやり方があると思う。
記者:理想的だと思われますか?
宮村:理想ってないもん。
記者:先生としては理想像がないということでしょうか。河川法のあり方として。
宮村:だから僕はね、決めようというときに色々意見があるわけです。そういうときにどういうふうにしてね決めたらいいのかというのはそれは悩みですよ。だけど、淀川方式がいいと何回も聴かれるが、いいということを前提に聴くからさ。それで違うということを言うと批判されているように聞こえるが、淀川は淀川でいいじゃないですか。
記者:要は、行政は行政、学者は学者、住民は住民で聴くというのは、河川管理者にとって都合がいい、いいところ取りができるからそういうやり方が
宮村:と、アナタは思っているんだ。
記者:私は思っていますので、
宮村:アナタはそう思っているんで、私はそう思っていない。

telephoneコールバックされてきた答えは、
「30年間に少なくとも1回は年超過確率1/70の洪水が発生する確率が35%です。
30年間に少なくとも1回は年超過確率1/80の洪水が発生する確率が31%です」
というもの@0@。
私の問いは「一般の人に分かりやすい表現は?」だったが相談した私がバカだった。

gemini論争の的になっている「目標流量」だけでパブコメをすることへの批判は高かった。

ここ(PDF)を見れば分かる。
(1、6、10、12、13、14、15、16、19、20、
 23、24、26、27、29、32、33、34、37、38、
40、43、45、46、47、48、49・・・・
全体で93通のパブコメが寄せられ、半分まで見たが、目標流量批判の多いこと!)

なお、各紙の報道は八ツ場あしたの会がここにまとめている。

75.利根川・江戸川有識者会議(1)有識者の矜持

2012年9月25日、利根川水系河川整備計画を策定する
流域5ブロックの有識者会議の一つ
「利根川・江戸川」ブロックの有識者会を関東地方整備局が開催した。

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(開始前。傍聴席に背中を向けて座り委員を待つ国交省関東地方整備局河川部の面々)

「利根川治水の歴史が変わるか?」と思ったのは、
4年4ヶ月ぶりに「利根川・江戸川有識者会議」が再開されるにあたって、
「座長」を互選で決め直すこととなった瞬間だ(以下、敬称略)。

・4年4ヶ月ぶりの再開であること
・座長の選び直しについて要請があったこと
・3人の新しい委員が加わり、同所属でのメンバーの入れ替えがあったこと
・ 歴史の評価に耐えなければならない委員会であること

こうした理由から大熊孝、野呂法夫、関良基から座長の選び直しが提案された。
事務局はこの提案を受けて何故か「それでは引き続き宮村先生に」となりかけたが、

・ 座長をやりたい方がいたら所信を述べて、
 挙手で決めることが委員としての責任、責務ではないか。(野呂)
・言い出しっぺになったので、立候補する。(大熊)
・宮村先生を推薦させていただく。(清水)

という流れで、立候補した者、推薦された者の2名が挙手で選ばれることになった。

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(立っている人物(大熊)から左へ岡本、宮村、小池、小滝、坂田、清水、関)

結果的には、21人中、3対4で、宮村座長続行となった。
しかし、会議の性質がこの時ほど鮮明になったことはない。

二人の河川工学者の所信は次のようなものだった。

宮村忠

「推薦を受けました。
 私はいいか悪いか希望があるわけではありません。
 今までの流れとして第一回から私だったんで。」

大熊孝

「利根川整備基本方針と整備計画自体に問題があると考えている。
 今の計画ではあと何年たっても完成しない。
 100年200年1000年経っても完成しない。
 利根川、石狩川、信濃川、吉野川でも同じ構造。
 日本の河川工学に問題があると考える。
 完成しない河川整備基本方針の中で
 20~30年の河川整備計画を考えることに矛盾があると考えている。
 その意味で河川整備基本方針から考えるべきではないかと第一点考えている。

 利根川の流域ではそれぞれの地先の人々の命を第一に、
 それが救われる方法を考えたい。
 新潟では五十嵐川、刈谷田川が破堤し、
 12人の方が寝たきりの方が寝たまま水が来て
 床上浸水、天井まで届くような浸水で亡くなられている。
 河川工学を専門とする人間にとして慚愧にたえられない。
 まず人命を尊重した治水を考えていきたいと思っている。

 ダムは川の生態系を破壊するものと考えてきた。
 日本がここまで発展する上で、必要なダムはたくさんあった。
 ただ生態系を破壊し、地域文化を破壊していると考えている。
 川にお願いをして作らせてもらう態度が必要だった。
 ダムについては根本的に疑義を持っている。」

対照的なこの二つの「所信」に対し、
どのような挙手がなされるのか。次の瞬間、驚いた。

もとより、21人中14人しか出席していない(以下の消し線が欠席者)。
ところが、手を挙げない者がいた。
・理念を示さず、惰性で推薦を引き受けた有識者か
・河川工学者としての反省と理念と矜持を示した有識者か

法定手続に参加する機会を与えられた有識者でありながら
思考停止を決め込む「有識者」が存在するのだ。

宮村忠に挙手したのが
  清水義彦、小池俊雄、小瀧潔、虫明功臣
大熊孝に挙手したのが
  野呂法夫、関良基、鷲谷いづみ

利根川・江戸川有識者(および思考停止者)会議名簿
   「消し線」は欠席、×は判断せず。

 淺枝 隆 (埼玉大学大学院教授)
 石野 栄一 (株式会社埼玉新聞社編集局長)
 江崎 保男 (兵庫県立大学教授)
 大熊 孝 (新潟大学名誉教授)※
×岡本 雅美 (元日本大学教授)
×川上 俊也 (株式会社茨城新聞社編集局次長)
 小池 俊雄 (東京大学大学院教授)※
 小瀧 潔 (千葉県水産総合研究センター内水面水産研究所長)
×阪田 正一 (立正大学特任教授)
 佐々木 寧 (埼玉大学名誉教授)
 清水 義彦 (群馬大学大学院教授)
×須田 雅彦 (株式会社上毛新聞社論説室論説副委員長)※※
 関 良基 (拓殖大学准教授)※
 野呂 法夫 (株式会社中日新聞社東京新聞特別報道部次長)
 福岡 捷二 (中央大学研究開発機構教授)
 藤吉 洋一郎 (大妻女子大学教授)
 宮村 忠 (関東学院大学名誉教授)
 虫明 功臣 (東京大学名誉教授)
 山越 克雄 (株式会社下野新聞論説委員
 鷲谷 いづみ (東京大学大学院教授)
×渡辺 鉱 (株式会社千葉日報社論説員)※※

※ 新たな委員(利根川水系の洪水流出に関する分野の学識経験者)
※※所属機関からの申し出を踏まえ交代

歴史はなんでもない一つの会議で大きく変わる。
普通に二つの所信を当たり前に判断できる頭脳が多数あれば
日本の治水のあり方を首都圏から変える第一歩になった。

委員の追加は民主党政権でようやく実現したものだ。
思考停止した有識者は変化を恐れる臆病者なのか。

一方でダムありきではなく「人命を第一に考える」治水のあり方が河川工学者の口から
利根川について議論される国の会議の場で表明されたこと自体が
私の記憶の限りでは初めてであり、大きな前進でもある。

なお 座長の選び直しの要請の根拠となった昨年11月に開催された「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書(素案)」に対する学識経験を有する者の意見聴取の場 (今回とメンバーの多数が重なっている)で行われた会議進行は以下のようなものだ。

○宮村座長
ありがとうございました。大分岡本節で、もう発言はないだろうと思います
○宮村座長
ありがとうございました。お答えはなくてもいいと思います。
○宮村座長
答えなくてもいいし、答えてくださってもいいし。
○宮村座長
野呂さんの意見は、そのまま意見として。あまり極端なアジ的なあれも、今ここではやらないように。ほかの方、どうぞ意見があったらやってください。どうですか。どうぞ。
○宮村座長
これについてはさんざん議論されてきて、大変申しわけないですが私もコメントだけしますと、先ほど地元の人たちの話が清水さんから出ましたけれども、これからやるときに地元がどう苦労するかというより、今までさんざん苦労して、ふと全然地元とは関係なくとまって、さあ客観的に検証しろと言われても、地元の人は非常につらいと思います。苦労してきた地元に対して思うと、もうほじくり返すような議論はいい加減にしてくれというのが私の個人的な意見で、そんなことを含めて、今日いただいた意見をこの委員会の意見として予定どおり報告書として、しかもそれは委員名を書くんですか。どうするんですか。

全体をご覧になりたい方はこちら。リンクが切れた場合はこちらを「2012114.pdf」をダウンロード 

2012年9月25日 (火)

74.規約確認に30分をかけた非公開会議

9月25日(火)、今日は一瞬、利根川治水の歴史が変わるかと思った。
このことはあとで書く。

その前座のような昨日の9月24日(月) 15時00分からの
「利根川・江戸川河川整備計画関係都県会議(仮称)」 はひどかった。
9月21日(金)午後に突然アナウンスされた。

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上記のような案内があり、まさか規約の確認に30分もかかるまいと思ったら、
一都五県の会議メンバーは、傍聴者の待つ部屋とは別室で、本当に30分をかけた。
その間、傍聴席では人々は待ちほうけていた。

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実質前日の通知であり、私は霞ヶ関で4時半の取材予定が既に入っていたので、
3時半になってやっと配布された資料だけもらい、
委員達が入ってきた写真だけ撮って、この部屋を後にした。

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規約を見ると、会の名称、目的、組織、情報公開、事務局について定めてあるだけで
どうやったらこの「確認」にこの6人で30分かかるのかという代物だ。

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会議の目的であった資料の中身は
今日開催された、「第5回利根川・江戸川有識者会議」で配布されたものと同一だ。

「利根川・江戸川における今後20年~30年で目指す安全の水準についての考え方」という、
日本語として理解しがたいタイトルで、
単に「年超過確率1/70~1/80」という河川工学者しか分からない言葉が説明されている。

「年超過確率1/70~1/80」は、
「全国の他の河川における水準と比較して相対的に高い水準です」という説明があるが、

今、どの地域がどのような洪水の危険に曝されているのかという現状説明も何もない。
「年超過確率1/70~1/80」を達成するのに、
国と地方でいくらの財政負担でどのようなことをする必要があり、
それは、社会、経済、環境にどのような影響や利益があるのかという説明もない。

どんな質疑があったのかを、最後まで傍聴した人に聞くと、
一言づつ「1/70~1/80の目標を早く達成してください」というコメントを述べただけだったというから、
結果的に見れば、「自治体にもご賛同をいただいた」という形を残すためだけにやった会議だ。

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こうした「行政計画」を策定していく「会議」の恐ろしいところはどこか?

行政が既成事実を作りあげる過程を「どうせこんなもの」とマスコミも市民も慣らされて、
その異常なあり方に疑問を呈す「怒り」を忘れてしまうことだ。もちろん、私も含めて。

2012年9月24日 (月)

73.原子力規制委員会

2012月9月19日、原子力規制委員会(http://www.nsr.go.jp/)が
発足したことを伝えるニュースは出た。私自身は
今すぐこの件を紙媒体で書く予定がないので取材メモを公表しておく。

(メディア・スクラムができるテーマは極力取材しない主義だが、
 原発事故に関しては、問われるべき質問が問われない場面があり、
 最初が肝心なので、本来やるべき仕事をそっちのけで、自己嫌悪しながら行ってきた。)

会議そのものは合議体のあり方や緊急時の対応など用意されたシナリオに沿って
シャンシャンと進み、発足式は原子力規制委員各自から抱負が語られ、想定内だった。

委員としての資質が本当の意味で現れ始めたのは記者会見の後半だった。
http://www.youtube.com/watch?v=LllgYHWnuwM(2時間余りの動画)
委員長を含む3人委員が「欠格用件」に当たるとの指摘について(0:50~)、
原発再稼働、暫定基準に代える安全基準について、バックフィット(1:02~)
核心的な質問に入ったところで打ち切られそうになるところ、
フリーの田中龍作氏が「ダメですよ」と主張をして
手をあげていた記者全員が1人1問、前から順に尋ねられることになった。
私は、後ろの列にいて、以下のどれかを質問しようと待ちかまえた。

1)取材者だけで一般傍聴をさせないのは何故か?(→2回目から傍聴させる方針を示し、実際に決まった)
2)なぜ、今日からさっそく大飯原発について議論をしないのか?
3)20mSv問題をどうするか
(政府(原子力災害対策本部)は2011年4月19日に
福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」で、
  国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109を一つの目安に、
 「非常事態収束後の参考レベルの1-20mSv/年を
  学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安とし、
  今後できる限り、児童生徒等の受ける線量を減らしていく」とした。
  「避難」したくてもさせたくても経済的な理由や仕事の事情などで、
 住み続けることを余儀なくされている人々がいる政府の方針に対する批判が、昨年以来、続行している)

1)、2)は他紙から問われ、彼らのスタンスが引き出されたので
3)について、「原子力ムラ住民」と激しく批判されてきた3人に問うことにした。
委員たちの本心が出やすいように、あえて「心身」という言葉を入れて質問した。

Q:子どもが20mSv以内の範囲に居住させられている。
この委員会として、安全基準をこれからどうしていくか?

その答えは動画で生の声で聞いていただきたい。
動画1:34~中村委員 
動画1:35~更田委員
動画1:36~田中委員長

見直しに向けた段取りが回答としてスラスラと出ればよいと思っていた。
3人に共通していたのは、個人的にどう考えるかという見解止まりだった。
あたかも誰か他に規制する人がいて、
自分たちはいつものご意見番の意識でいる姿勢が垣間見られた。

今後の基準について聞いているのにもかかわらず、
最高責任者である田中委員長の回答も他人事で
これまで福島で自分がやってきた対策についての体験談だった。
今後を大きく左右する強大な権力を持つ「初代原子力規制委員長」の
職責
を担ったことを匂わせる「思考」に切り替わっていないように見えた。

マイクはすでに事務局に戻したので、大声で叫んだ。
Q:基準をどう定めますかという質問です。対策ではなく。
(その声はマイクに拾われていないので、自分でメモっておく。)
A:き、基準はこれからだと思うんですよね。
 基準はここまではいいとか、ここまでは悪いということではない・・・。

 (略)生声を聞いてください。(動画1:36~)

Q:じゃぁ基準は現状維持だということですか?(声がマイクに拾われていない)
A:き、基準、基準、基準は、その20mSvっていうのは、
現存被曝状況にあるということで、
それがいつまでもその状況でいいっていうことではないと

Q:ではより厳格化されるということで、いいんですね?(声がマイクに拾われていない)
A:厳格化されるって簡単に言いますけれども、
現実に今、福島におかれている状況の中では、まぁ、
実際にできるだけそれを少なくするという努力をするということを、まぁ
多分、行われるということ。これは規制委員会の仕事ではありませんけれども
できるだけ少なくしていただくようにするということを求めていきたいと思っています。
(~1:41)

斑目・原子力安全委員会との質疑が蘇った。委員たちは
放射能ゴミの基準について「放射線審議会」の仕事だとのスタンスを述べるに留まり、
傍観者であり続けた経緯がある。
参考 http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/info/20110808.pdf

会見終了直後、
「原子力規制委員会設置法」第4条(下記の太字部分)を読み上げて
「原子力規制委員会の仕事です」と指摘した。

==================

原子力規制委員会設置法
(任務)第三条 
原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ること(略)を任務とする。
(所掌事務)第四条 
1 原子力規制委員会は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
放射線障害の防止に関する技術的基準の斉一を図ることに関すること。
2  原子力規制委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、原子力利用における安全の確保に関する事項について勧告し、及びその勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。

==================

すると田中委員長の口からも、「放射線審議会」の言葉が出てきた。(動画2:01~)
たしかに、放射線障害防止の技術的基準は、
「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」に基づいて、
文部科学大臣に任命される「放射線審議会」が定める。

しかし、原子力規制委員会は、「放射線障害防止の技術的基準」が不十分だと思えば、
原子力規制委員会設置法に基づいて、「関係行政機関の長に対し、
原子力利用における安全の確保に関する事項について勧告」できる権限を持つ。

ど真ん中の仕事である。

チェルノブイリでも年間5mSv以下の長期被曝による健康被害が問題になっている。
直ちに文部科学大臣に対し、基準の見直しを勧告すべきだと思う。

なぜか?

この日、定例会、発足式、そして、私の質問の番が回ってくるまでの会見で、
中村委員は「これからは分からないことは分からないと言うことが大事」と述べ、
更田委員は「待つことなく攻めていく(規制をかけていく、の意味だと思われる)」と述べ
田中委員長は「政治的な判断ではなく科学的な判断を行う」と抱負を述べたからだ。

「20mSvは高すぎる」という島崎意見あり(アワプラ白石さんの質問への回答1:50~)、
「私の知識では申し上げられるレベルではない」という更田意見あり、
「いつまでもその状況でいいっていうことではない」と田中委員長も言う。
科学的にはっきり「大丈夫」かどうか「分からない」のであれば、
中村委員に言うように、分からないことは「分からない」と明確にし、
「政治的な判断」で決まった基準を現状維持するのではなく、
安全サイドに立って、予防原則に基づいて、見直しを勧告すべきだ。

それが抱負で述べたことに相応しい「仕事」であり、
環境に未成年をおいておくような「原子力規制」を続けるなら、
それは、これまでの「安全神話」と何ら変わらない。

2012年9月23日 (日)

72.「河川管理者は関東地方整備局長」であるという呪文

川の話に限らない。

誰であれば「住民」の意見を代表することができるのかというのは
民主主義の永遠のテーマである。

○「知事」は投票率が50%程度でも、有権者の代表か?
  「知事」は自治体経営の観点からの意見をいうのか?
  「知事」は政治献金と票をくれる人を代弁するのか?
  「知事」は(時に国からの出向者がトップを務める)担当部局の職員の
  代弁者となってしまっていないか。
○ 関係住民は誰か?
○ 誰が利益を受けるか?誰が害を受けるか?利害関係者は誰か?
○ 利害関係者に未来世代が入るとして誰がそれを代弁できるか?
○誰が「専門家」か?「専門家」の役割は何か?
○その「専門」は、政策決定を最適化するために意味のある専門か?

公共政策の決定権者が常に心がけておかないといけないことは、
「民意」を補うための注意深すぎるほどの工夫だと思う。

たとえば「河川管理者」は誰の意見をどうやったら反映できるのか?
そして、「河川管理者」とは誰なのか?

前のコマで書いた利根川・江戸川有識者会議 では
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000052.html

==============================
河川管理者である関東地方整備局長が、
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(案)」を作成するにあたり、
河川法第16条の2第3項の趣旨に基づき
学識経験を有する者等の意見を聴く場として設置するものです。
(審議等により何らかの決定を行うものではありません。)
==============================

これは正しいか?

河川整備計画を作る手続を定めた「河川法第16条の2」では
河川に関し学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。
公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
関係都道府県知事又は関係市町村長の意見を聴かなければならない。

● 第16条の2の3.4.5の主語は「河川管理者」だ。
「河川管理者」とは誰かと言えば、原則として
一級河川は「国土交通大臣」で、二級河川は「都道府県知事」となっている。
(河川法7条、9条、10条)

● たとえば利根川で言えば、河川管理者は
法律の運用上、河川法施行令53条で国土交通省関東地方整備局長だと定めるが、実は
国土交通省関東地方整備局長は「国土交通大臣の目鼻口手足」に他ならない。

●では国土交通大臣とは誰かと言えば、
国民に選ばれた「民意」(または民意を反映しない大臣であれば「ねじれた民意」)の塊であり、
選挙で選んだ政治家の一人に他ならない。
つまり、「河川管理者」とは本来は、皮肉なことに現在、聞き置かれ、
意思決定から排除されている(が言い過ぎなら無視されている)人々の代表だ。
大臣は行政組織の監督者として総理大臣に任命された人物であり、
河川官僚の代表者でもなければ代弁者でもない。

● 河川整備計画の策定手続は、いわば、
国民の代表である大臣が、民意をくんで意思決定をする尊い手続だ。
ところが、法律をきちんと読まずに、現実を見ていると、
あたかも、「国土交通省関東地方整備局」が河川管理者として住民の上に君臨し、
住民の意見を反映させる(聞きおく)かのような手続となっている。

●でもそうでなはない。
「河川官僚」と「住民」は対立しているように見える場合であっても、
きちんと考えれば、
河川管理者は「大臣(=国民の代表/官僚の管理監督者)の目鼻口手足」であり、
河川官僚は大臣(意志決定者)が、住民の意見を反映するのを補佐しているに過ぎない。
本来は住民と対立したり排除したり無視したりする関係ではありえない。

●では専門家の役割は何か。
河川管理者である大臣(国民の代表)が国民のために賢い政策決定を行うために
知恵や知見を提示することだ。

だから、こちらに示したように利根川・江戸川有識者会議の案内で
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000052.html
==============================
河川管理者である関東地方整備局長が、
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(案)」を作成するにあたり、
河川法第16条の2第3項の趣旨に基づき
学識経験を有する者等の意見を聴く場として設置するものです。
==============================
と、関東地方整備局が自分の直属のボスを主語にして書くのは自由だが、
官僚の裁量に依存して成立する政令ではなく(河川法施行令53条で権限が委任されているにしても)
法律に忠実に「国土交通大臣が」と書いて、
自分達河川官僚が常に国民(の代表)を補佐する手足であるということを
肝に銘じるべきではないかと思うのだが、どうだろう?

71.住民と分断された有識者会議に意味はあるか(後半)?

25日に開催すると21日にリリースされたこの会議の話、後半です。

利根川・江戸川有識者会議
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000052.html 
日時:2012年9月25日(火) 10時00分から
場所:日本青年館 3階国際ホール  (東京都新宿区霞ヶ丘7-1)
最寄り駅:「千駄ヶ谷駅」「信濃町駅」「外苑前駅」「国立競技場駅」

利根川・江戸川有識者会議 委員 (並びと●○の印は私が加筆。以下で解説)

●淺枝 隆 (埼玉大学大学院教授)
江崎 保男 (兵庫県立大学教授)
○大熊 孝 (新潟大学名誉教授)※
岡本 雅美 (元日本大学教授)
● 小池 俊雄 (東京大学大学院教授)※
小瀧 潔 (千葉県水産総合研究センター内水面水産研究所長)
阪田 正一 (立正大学特任教授)
佐々木 寧 (埼玉大学名誉教授)
清水 義彦 (群馬大学大学院教授)
○関 良基 (拓殖大学准教授)※
●福岡 捷二 (中央大学研究開発機構教授)
藤吉 洋一郎 (大妻女子大学教授)
●宮村 忠 (関東学院大学名誉教授)
●虫明 功臣 (東京大学名誉教授)
鷲谷 いづみ (東京大学大学院教授)

石野 栄一 (株式会社埼玉新聞社編集局長)
川上 俊也 (株式会社茨城新聞社編集局次長)
須田 雅彦 (株式会社上毛新聞社論説室論説副委員長)※※
野呂 法夫 (株式会社中日新聞社東京新聞特別報道部次長)
山越 克雄 (株式会社下野新聞論説委員)
渡辺 鉱 (株式会社千葉日報社論説員)※※

オブザーバー
関係都県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都)
※ 新たな委員(利根川水系の洪水流出に関する分野の学識経験者)
※※所属機関からの申し出を踏まえ交代

これは一体なんの会議か?

上記案内URLをクリックしていただくと分かるが
以下のように書かれている。
==============================
河川管理者である関東地方整備局長が、
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(案)」を作成するにあたり、
河川法第16条の2第3項の趣旨に基づき
学識経験を有する者等の意見を聴く場として設置するものです。
(審議等により何らかの決定を行うものではありません。)
==============================

どんな会議になりそうか1(以下、敬称略)
元の名簿で50音順に並んでいたものをアカデミアとマスコミにわけて、
八ツ場ダムをはじめ多くのダム関連事業の受注法人の理事と
これまで「過大」であると批判されてきた水需要や想定の目標流量の
見直しの機会や責任を与えられながら
積極的に黙認もしくはお墨付きを与えてきた立場の人物に●印、
今回初めて委員として任命され、
ダムありきの結論に明確に異論を唱えてきた人物に○印をつけてみた。
賛成反対という近視眼的な解説で言えば、推進に偏っている。

どんな会議になりそうか2
オブザーバーを除き、全員が1分喋るだけで21分。3分づつで1時間強。
おそらく40分ぐらい「ご説明」があって、1時間強で2時間の会議か?
実質、何も言わせず、かつ多様なご意見をいただいた既成事実を作る会議デザインだが
改善の余地はある。

どんな意見を持っている人か
まず、これをご参考いただきたいが、
利根川の支流・吾妻川から流れ出る八斗島(やったじま)地点で想定される流量を巡って
公文書改ざん」があったことが、馬淵国土交通大臣時代に明らかにされた。
(問題とされたのは過大さゆえに八ツ場ダムが必要となる、
つまり結論が先にあって資料が作られたと考えられているからだ)

Photo

○そのことを八ツ場ダムの住民訴訟の中で証言したのが関良基
意見書「森林の機能を無視した国土交通省による基本高水計算の誤謬」
http://www.yamba.jpn.org/shiryo/tokyo_k/tokyo_k_g_iken_seki.pdf
意見書2「利根川の基本高水流量毎秒22,000の計算モデルの虚構」
http://www.yamba.jpn.org/shiryo/tokyo_k/tokyo_k_g_iken_seki_2.pdf

大熊孝は利根川の洪水想定について過大であることを、
博士課程時代から見抜き、現在も同様に復元流量に誤りがあると主張している。
http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-3f75.html(←拙文で恐縮だが)

小池俊雄、福岡捷二、宮村忠、虫明功臣 各氏は
過大であると批判される基本高水流量を含む利根川水系河川整備基本方針を
元河川局長が率いる小委員会で決定
したときのメンバーに名を連ねている。

● さらに、小池俊雄は、上記の改ざんについての検証を大臣から河川局長を通して
日本学術会議へ委嘱され、開催された「河川流出モデル・基本高水評価検討等分科会」 の委員長を務めた

ここでは、改ざんがあったかどうかはまったく取り合わずに終わった。
なぜなら、改ざん資料は、上記の改ざんデータをもとに作られ、
小池俊雄、福岡捷二、宮村忠、虫明功臣が委員に名を連ねていた会議に出されて
その改ざんを見抜けないまま、お墨付きを与えてしまっていたからだ。
これがその資料です。見抜けなかったことを認めたくない心理ですよね。

Photo_2
出典(第28回河川整備基本方針検討小委員会 資料1「利根川に関する補足説明資料」P.7目)

●滑稽なことに、日本学術会議での検証が始まり、
過大な流量をはじいた資料を小池委員長らが国交省に請求をすると資料がないことになった。
常識で考えれば、改ざんしたことがバレたから、隠したと考えるのが普通だが、
この分科会は、国交省がシレっと新たに出したデータで算出した値にお墨付きを与えた。
(その計算を行ったコンサルと分科会の関係は略)

一方で、住民はしっかりと一部の関係資料を開示請求で入手。
国交省は、一部を非開示にしたが開示訴訟で負け、住民は勝利を収めた。
http://www.yamba.jpn.org/shiryo/johokokai/johokokai_hanketsu_hokoku.pdf
一方で、国交省側は公文書偽造でも、告発されている。

利根川流域1都五県の地方紙の論説クラスの記者も委員だが、この会議を読者に知らせたのは、ネット上で検索する限りは、以下の通りで下野新聞のみ。

八ッ場ダム建設:着工条件、利根川整備計画で25日に有識者会議 /群馬
毎日新聞 2012年09月22日 地方版
八ツ場ダムで25日有識者会合 利根川水系洪水を再検証
西日本新聞 - ‎2012年9月21日‎
有識者会議4年ぶり再開へ 25日に国交省 八ツ場ダム着工の前提議論
下野新聞 - ‎2012年9月21日‎
4年ぶりに有識者会議=八ツ場ダム本体着工で-国交省
時事通信 - ‎2012年9月21日‎

ちなみに、上記の「改ざん疑惑」を報じた新聞はこれまでに東京新聞だけ。

●要となる委員長になる可能性が高いのは第4回まで委員長だった宮村忠だが
ダム・インタビューで、これからは「線(堤防)から点(ダム)」「八ツ場ダムは必要だ」と
http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranB/TPage.cgi?id=504
立場が鮮明だ。

どんな空気が流れるか?
以上述べたように、利根川・江戸川有識者会議は
学者と新聞という妙な組み合わせで、住民だけは自由に討議する場がない。

さらにおかしなことは、この前日に、
◇利根川・江戸川河川整備計画関係都県会議(仮称)
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000051.html
が設置・開催される。

「1都5県において、相互の立場を理解しつつ検討内容の認識を深めるために」とある。
河川法には定められていない手続であり、河川官僚の裁量手続だ。

さて、住民と分断された有識者会議に意味はあるかという問いである。
答えは、意味がある。しかし、このままでは意味があると感じるのは、
この会議をデザインした側であり、

関心を持ってきた住民側は指をくわえて静かに傍聴させられ、
不信と不満が渦巻くという状況が予測される。

しかし、開かれた住民参加のありように向けて
大きな飛躍と改善のチャンスを持っていると考えれば、そこに意味は見いだせる。

利根川流域の一人でも多くの人に見守ってもらいたいと思う。

Photo_3

出典:利根川水系河川整備基本方針の資料(122頁のPDF)より

(・・・しかし、こうしてみると、福島第一原発から放出された放射線物質が降り注いだ流域であると実感せざるをない。)

2012年9月22日 (土)

70.住民と分断された有識者会議に意味はあるか(前半)?

国土交通省関東地方整備局がゴソゴソ動き始めたので
1997年から2012年までの河川行政のあり方について
利根川を例にザックリとまとめておきます。

かつて取材も傍聴もさせない密室「河川審議会」で
お墨付きを得て策定されていた「工事実施基本計画」が、1997年の河川法改正で、
「治水、利水、環境」の観点を包含した以下の二段階の手続に分かれた。

  河川整備基本方針(第16条)<傍聴のみ>
  河川整備計画(第16条の2 4項)<関係住民の意見を反映させるために必要な措置>

Photo

出典:国交省資料
http://www.kkr.mlit.go.jp/wakayama/ryuiki_iinkai/ryuiki/study/pdf/2.pdf

実際には、旧体制と大差なく、「治水」「河川工学」が主役で、
「環境」はなおざり、「利水」議論はゼロに等しい。
住民参加を排除した霞ヶ関の机上で作られる河川整備基本方針が大手を振るう。
官僚の裁量が色濃く、法律が正しく運用されてない典型だと言える。

しかし、辛酸をなめ尽くし、故郷をダムに沈められた人々を含め
先陣達の屍の上に勝ち取られた改正である。
河川整備計画(第16条の2 4項)<関係住民の意見を反映させるために必要な措置>は、
その実効性を巡っての攻防が各地で続いてきた。

1997年に改正されたのに2012年の現在まで、
河川整備計画の策定はサボタージュされてきたのが利根川だ。

その間、住民側は実質的な参加・協議を求めてさまざまな努力を試みた。
例)http://tonegawashimin.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/index.html

途中まで手続をしてパブコメが行われたが
現在までに頂いた意見と河川管理者の見解(すべての意見に対して)(2008年5月23日)
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/index00000024.html

今回の原発ゼロ政策のように
「八ツ場ダム反対」の意見が多数よせられた。
「原発ゼロ」はゴマカシだらけではあっても「結論」を出した。
ところが、国交省の場合は2008年5月にフリーズし、結論を出さず、
ひたすら事業を続け、政権交代をすると、今度は、
「政権交代」のせいで策定作業が止まったとウソをつき始めた。

有識者会議も第4回(2008年5月23日)で止まったままだった。
http://www.ktr.mlit.go.jp/tonejo/seibi/kaigi.htm

1997年河川法改正の経過措置(附則2条)で、
河川整備計画を策定するまでは、旧法に基づく工事実施基本計画を
河川整備計画と見なすとされているのを悪用してきたのだ。

八ツ場ダム本体着工の要件として、河川整備計画の策定が求められて初めて
今回、その中断していた作業を仕方なく始めた、という流れだ。

4年も経てば社会状況も川の環境も変わる。1から始めるべきところ
第5回(2012年9月25日)「利根川・江戸川有識者会議」となっている。
http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000052.html
住民意見を受けての河川管理計画の決定を4年間も
サボタージュしてた挙げ句がこれだ。

そして、今回も相変わらず、従来のやり方を踏襲しようとしている。
行政も住民も学者も交えて議論・協議すればよいものを、
わざわざ分断し、傍聴者も集めたくないらしく、開催間際で案内が流れた。

●有識者は有識者(人選でコントロール)、
  9月25日(火)について21日(金)午後に突然の開催案内
  http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000052.html
●行政は行政(しがらみと予算でコントロール)、
  9月24日(月)について21日(金)午後に突然の開催案内
  利根川・江戸川河川整備計画関係都県会議(仮称)の設置及び開催について
  http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/river_00000051.html
● 住民意見はまたまた聞きおく方式で放置(2012年5月25日)している。
  http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000200.html
  説明会すら開かず↑、たった6枚の↓
  「全国の他の河川における水準と比較して相対的に高い水準(年超過確率)」
  という「これでどうやって身を守れるのか、環境を守れるのか?」分からない資料
  http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000066802.pdf
でパブコメを集めた。問題は3つ。
1. 4年間の社会状況(人口、経済、国家財政、利水の必要性)の変化の説明がない。
2. 4年前にパブコメをした際より、目標流量を大きくしているがその説明もない。
「ダムの必要性を増すための操作」と批判されているが説明がない。
3. 放置したまま、有識者と行政の会議を開こうとしている。

これでは行政と住民の溝は埋まらず、
洪水による被害がどこに起きそうなのかという根本的な情報の共有もままならない。

次のコマで有識者会議はどのようなものになりそうかを帰宅後に書きたいと思います。

なお、河川管理を巡る住民参加の攻防については
今年2月に開いた「河川管理を誰が決めるか?日本の場合、米国の場合」
カワシフ 河川管理を誰が決めるか?宮本博司さんとトーク(動画)
http://www.youtube.com/watch?v=Ga8ViizN2LY&feature=player_embedded 
をご覧いただけると、その一端が垣間見られると思います。(ヨレヨレの自分が出ていて恥ずかしいが、内容はピカイチ)

本日は高崎市で

 「本当に造っていいですか? 八ッ場ダム」
 ~「ダム湛水による危険性」と「水没する貴重な遺跡」~
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1704

がありますが、先約があり行けないのが残念です。

2012年9月21日 (金)

69.但し書き操作

前のコマの「但し書き操作」を読んだ方から
椿山ダム(和歌山県)での但し書き操作による被害も取り上げて欲しいと連絡がありました。
取材にいく余裕がありませんが、ネットで検索をしてみました。

このブログが、写真(必見)で生々しく伝えてくださっていますので
リンクを張らせていただきます。

2011-09-06 02:49:27
夜中に響いた避難勧告・・・(椿山ダム)
http://ameblo.jp/coextensive04/entry-11008958336.html

また、

和歌山椿山ダム、台風12号でダムがあっても大きな被害
http://yambasaitama.blog38.fc2.com/blog-entry-1539.html
では、八ツ場ダムをストップさせる埼玉の会の嶋津暉之氏が

ダムがなければ4時間をかけて流れた流量が
ダムから1時間で一気に流されたとの明解な分析を行い、
次のように述べています。

「計画を超える洪水が来たときはダムは避難する時間を与えず、
 人命を守る上で大きなマイナス要因になるものなのです」

ダムの「但し書き操作」が、このような被害の形で
人に知られていくのは、不幸なことですね。

洪水から人を守るはずのダム直下の集落は
逆に「洪水が来たらすぐ逃げなければならない」という
皮肉な事実が積み重なっていっています。

2012年9月20日 (木)

68.「ダムは水位を下げる」は原則

福島みずほ参議院議員が9月7日に提出した
八ツ場ダムが利根川の水位を低下させる効果に関する質問主意書」への
政府答弁(9月18日)が掲載された。何が分かったか、概略をまとめてみる。
質問 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/180/syuh/s180260.htm 
答弁 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/180/toup/t180260.pdf

質問は、これまで「八ツ場ダムが川の水位を下げる効果」について言及した、
さまざまな立場の人々(推進・反対/行政・議員・専門家)の発言を網羅しながら
国交省の関与や認識、検討状況を尋ねている。

答弁によって明らかになったのは、
国交省が八ツ場ダムについて「水位が低下する」と言及するときは
一般論であり治水の原則論に過ぎず(一部を除いては)、
具体的な計算や根拠は、組織内外で把握も共有もしていないことになっていることだ。
特に、八ツ場ダムを含む上流ダム群の効果や、
江戸川分岐点より下流での効果は、尋ねられても答えることもできない。
また、他者が水位の低減効果について発言をしても
その正誤を判断する根拠すら持っていない
根拠を持たないのは、その作業に時間を要し、困難だからだと言う

江戸川・利根川の分岐点よりも上流で32~65センチ

さらに、八ツ場ダム建設のきっかけとなった昭和22年台風による堤防決壊の原因は、
複数の橋桁が障害となって水位が上がったことだった
その深水は50センチというから、
をもしも単純に相殺したとすれば、八ツ場ダム建設には治水上、ほとんど意味がないと言われても仕方がなくはないか?

そのようにまとめるに到った【質問答弁】を付き合わせると以下の通り。

【1の質問】
2009年2月19日衆議院予算委員会における永岡桂子議員の質問に当時の河川局長
「八ツ場ダムを初め、上流ダム群の洪水調節により洪水時の水位を低下させる」
と答弁したことについて。「具体的にどのような条件の下で、
どの程度の「水位の低下」が起きるか」を質問。
【1の答え】「水位の低下」は一般論。

【2の質問】
2011年12月1日の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」委員の質問に、
国交省は、利根川と江戸川に分岐する「江戸川の分岐点」より上流では
八ツ場ダムによる水位の低下について
「一番小さいところで32センチから33センチ、
一番大きいところで65センチぐらいの水位低下量がある」と答弁。
これに塩川鉄也衆議院議員が「八ツ場ダムの検証における治水に関する質問主意書」で、
この地点の下流で水位を下げる効果について尋ねると「算出していない」と答弁。
そこで、算出するか、算出しない理由は何かを質問。
【2の答え】計算に係る作業等に時間を要するため、困難。

【3の質問】
2010年3月16日の衆議院国土交通委員会での八ツ場ダム問題に関する参考人質疑で、
水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之氏の国交省開示資料に基づく計算によれば
利根川の治水基準点(八斗島)で、「最大13センチメートル」の水位が低下。
堤防の一番てっぺんから四メーター以上あったと指摘。
これを否定する根拠はあるかという質問。
【3の答え】承知していないため、お答えは困難。

【4の質問】
2010年3月16日の衆議院国土交通委員会での八ツ場ダム問題に関する参考人質疑で、
虫明功臣法政大学客員教授が、
「八ツ場ダムの流域に大きな洪水があれば、
数十センチ、三十センチから四十センチの水位を下げる」と指摘。
同教授の計算は、利根川のどの地点、どのような条件で算出されたか。
より下流に行けば行くほど水位を下げる効果は減じるのではないかを質問
【4の答え】承知していないため、お答えは困難。

【5の質問】
2010年4月13日の参議院国土交通委員会で山内俊夫議員の発言、
「江戸川区、そして埼玉、千葉、この一帯の人たちの財産を守っている(略)、
現場へ入っていただければ、多分八ツ場ダムの効能、ここらも分かってくると思う」
についての具体的な計算結果はあるかを質問。
【5の答え】国交省として算出結果を示す資料は確認していない。

【6の質問】
2009年12月11日、群馬県議会で意見聴取された土屋信行江戸川区土木部長(当時)は、
1.「八ツ場ダムでは2400立法メートルの水をもつ」と発言。条件は?
2.3,「八斗島から下でダムの無い分を河道で全て流そうとすると、引き堤の用地買収、
そして家屋補償等ありますので、利根川本川で1兆3千億円。
江戸川では7500億円。あわせて2兆5百億円が必要です。
ダム一箇所で守ればポイントで守れるんです」との発言の裏付けを質問。
4 国土交通省が江戸川区に、八ツ場ダムが江戸川区において水位を具体的に
何センチメートル下げる効果をもつと説明したことがあるかを質問。
【6の答え】
1.「2400立法メートルの水をもつ」の意味が不明
2~4. 国交省が江戸川区に八ツ場ダムの効果の根拠を
提供した事実も、提供された事実も、説明した事実もない。

【7の質問】
2009年12月11日、群馬県議会で意見聴取された
宮村忠関東学院大学工学部教授(当時)は、昭和22年のカスリーン台風について、
「利根川は、もちろん洪水の流れで非常に多くの流木が流れたそうです。
これが橋に引っかかると、
水位が一メートルから二メートル位すぐに上がってしまいます。
これが原因ではないかという説もある。
これは分からないですよ。利根川の堤防が切れたことの理由は。
だけど、他で、至る所で、橋に引っかかった。
橋が流れてくれれば助かった、ということなんです。」と発言。
1~3.国土交通省は、同説を検証したことがあるか。どのような結論を得たのか。
流木が橋に引っかかったことが破堤の原因であった可能性を
国民に説明したことがあるかと質問。
4~6.八ツ場ダムの効果について、「少しでも水位が下がることは、
ものすごいよいことです。これが4センチメートルだろうが、
5センチメートルだろうが、10センチメートルだろうが」と宮村教授が発言。
国土交通省も,水位が下がることは何センチメートルであっても重要だと考えるか、
その考えを流域住民や水防活動を行っている人々に説明したことがあるかを質問。
【7の答え】
1~3.昭和23年1月に建設院関東地方建設局(当時)がとりまとめた
「カスリーン洪水(昭和22年9月)と利根川本川東村堤防決潰について」で
合流点における水位の異常なる上昇に加えて
更に栗橋における国道4号線の橋梁およびこれに並行する東北本線鉄道橋
ならびにその2,2キロメートル上流にある東武線橋梁の三橋がいずれも桁を洗い、
これらが多少堰上げたことも手伝って決潰地点付近の水位は堤防高を超え、
おおよそ延長1300メートルにわたって溢流をはじめ
最大水深は0.5メートルに達したと推定せられている。
かくして溢流した水は徐々に堤防の裏小弾を崩壊し、
次第にこれが拡大しついに幅200~350メートルにおよぶ
大決潰請口を生ずるにいたったのである。
」と記録されている。
4~6.水位を下げて洪水を安全に流すことが治水の原則
原則について、様々な機会を通じて周知してきたところである。

~~~~~~
以上。

ちなみに、国交省が作成した説明資料や開催した会議で
橋で水が堰上げて利根川の堤防が切れた話を私は聞いたことがありませんでした。

この話を聞いたのは市民団体の利根川堤防ツアーに参加したときで
その話をしてくださったのは大熊孝新潟大学名誉教授です。↓
http://tonegawashimin.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-0800.html

67.ストライクゾーンの狭いダム~八ツ場ダムではどうか

ダムは雨を貯めて洪水を防ぎ、渇水時には川を潤すとの「宣伝」が行われてきた。
 「渇水」の宣伝のことはしつこいほど書いたので、
 今度は「治水」の宣伝について書いておきたい。

ダムの効果は「ストライクゾーンが狭い」と言われる。
丁度いい場所に、丁度よい降り方をしてくれる大雨にしか、効果を発揮しないからだ。

普通の大雨ならダムは要らない。
しかし、ダムの容量を越える大雨が降ると「想定外」といって機能しなくなる。

つまり、ダムから溢れて危険なので、
入ってきただけの水の放流(ただし書き操作という)が行われるからだ。

高い位置から一気に放流し、破壊的な威力で下流に押し寄せて
下流に被害をもたらすこともある。
●たとえば鹿児島県の鶴田ダムの例(勝手にリンクさせていただきます)
 動画http://www.woopie.jp/video/watch/f2134c803f0c4279
 画像http://www.satsuma-net.jp/contents.cfm?id=1153
●裁判になっている北海道の二風谷ダムのような例もある
 http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_ab2b.html

では、雨が丁度よい降り方をしてくれると
下流にとって素晴らしい効果があるのかと言えば、そうでもない。

たとえば、
秋田県で国が進めようとしている成瀬ダムでは
県の負担は260億円もするのに、秋田市内で下がる水位はたった5㎝程度だ。

ところが、こんなふうに何センチ下がりますよと教えてくれる自治体は
格別親切な自治体であって、実に不思議なことだが、
ダム事業者である国交省はなかなか教えてくれない。

国交省の最大の関心事は、不思議なことに、どれだけ水位が下がるかではない。
治水の目安に使うある一地点(基準点という)で
ダムで一時的に水を貯めて放流を遅らせること(ピークカットという)によって
毎秒何トンの水を流すか(何トンに制御するか)(目標流量という)だ。
  つまりダムがなければ毎秒○○トン流れるところを
  ○○ダムができると毎秒○○トンに減らすことができるという具合。

ところが、その結果として、実際に下流でどれぐらい水位が下がるのかという
本当の意味での効果については、無口になり語ろうとしない

また、どれぐらい以上の雨になると「但し書き操作」に入り、
ダムが用をなさなくなるかという情報も明かさない。

それなのに、水位を「計画高水位」以下に下げなければならない。
  そのためにダムを作らなければならない。
  そうしなければ堤防が決壊すると脅しながら「宣伝」するのだが、
なぜか、その「宣伝」には具体的な数値が伴わない。

計画高水位よりも下に下げないといくら「余裕高」があっても堤防が壊れる、
1センチでも2センチでも水位を下げたいと言うだけは言う。

ところが「ではこのダムでは下流で水位が何センチ下がるか」と聞くと、
「計算していません」という答えが返ってくる。まったく論理的ではなかった。

八ツ場ダムではどうか

浅間山の麓から流れ出る吾妻川中流に計画されている
八ツ場ダムでも同様で、果たして本流・利根川の下流で
何センチの水位低下の効果をもたらすか、
どれぐらいのストライクゾーンを持つ事業なのかは
案外、利根川流域住民には知られて来なかった。

これについて、福島瑞穂参議院議員が
八ツ場ダムが利根川の水位を低下させる効果に関する質問主意書」を
9月7日に提出した。

参議院のウェブサイトには未掲載だが、政府答弁を入手した。
次のコマでそれについて書いておきたい。

ところで、余談的妄想だが、

吉竹幸則さんが書いた「報道弾圧」(2011年、東京図書出版)には
長良川河口堰について、「河床年報」を手に入れた吉竹記者が
粗度係数をコンピュータに入れて計算したら
建設省(当時)が宣伝し(脅し)ていた大水のときに「安全水位を1メートル弱上回る」には
ウソがあることが分かり、それを報道しようとしたら、
社内で握りつぶされてしまった話が書いてある。

ひょっとして、国交省(建設省)が水位が何センチ下がるかを計算していないと
公表しなくなったのは、この時のことがきっかけではないかと思ってしまった。

水位のことを(あまりに効果が低いので)言えなくなってしまったのではないか?
原発を「安全だ」と思わせたかった原子力ムラ住民と、
原発を「安全だ」と本当に信じ込んでいた原子力ムラ住民がいるように、
本当はストライクゾーンが狭いダムに
「大きな効果」があると思わせたい河川ムラがあるのではないかと思ってしまった。

2012年9月18日 (火)

67.農業用水と渇水

渇水に関連して
農業用水についてのわかりやすいグラフを以下に張り付けておきます。
これは利根川の水利用の内訳グラフです(★)。

Photo

見ての通り利用されている利根川の水の8割は農業用水です。

米国ではいち早くダム建設が終焉に向かいましたが、
その理由の一つには、もし都市用水が足りないとしても
農業用水を一部融通すればそれで足りるではないかという考え方がありました。
日本でもこの考え方を学ぶことが可能だったはずですが・・・。

繰り返しになりますが、農業用水と今回の渇水騒動との関係については
八ツ場あしたの会の解説に出てくる
折れ線グラフ↓と一緒に見ていただけるとなおよく分かります。
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1715
さらに上級編として、その土台となる情報としてこちらも必読です。
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1709

★出典は2005年に国土交通省が利根川の河川整備基本方針を策定していたときの資料
「利根川水系の流域及び河川の概要(案)」(122頁のPDF P.58)です。
図 5-1 利根川の利水量945.3m3/sの内訳(発電を除く)
 除いてある発電分は2,496m3/sです。(利根川が如何に発電に利用されているか、分かりますね。発電は上流部における水無川(環境破壊)の原因となった後、下流で上記のような利用が行われます。)

2012年9月17日 (月)

66.ラジオレスナーから届いたメモ

今朝、メーリングリストで受け取ったメールにこんなものがあった。
(改行と太字はいじらせていただきました)

つけたしを文末に追加

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日経BP社 統合コンテンツ局長の渋谷和宏氏が
今朝のTBSラジオで面白い話をしていました。

利根川水系8ダムの平気貯水率が38%で過去3番目のひどい渇水で、
10%取水制限が始まったが、給水制限には至っていないので、
都民の生活に影響はなく、東京都水道局のホームページには、
「水道局では、利根川水系の貯水量の低下に伴い、9月3日に、
「東京都水道局渇水対策本部」を設置しました。
都民の皆さまには、より一層の節水に御協力をお願いします。」
とは書いてあっても、このまま降らないといつごろには給水制限になるから、
どれだけ節水してくださいというような書き方ではなく、
深刻さがうかがえないので、あることを勘ぐってしまうというのです。

あることとは、2010年度の東京都の1日最大給水量は490万トンだが、
最大だったのは1978年の645万トンだった、水源は680万トン持っている

しかし東京都は右肩上がりの水需要予測の下に
水源の確保に投資してしまっているが、
人口減少と節水機器の普及が予想され、
2020年度には490万トンより低いと見るのが常識的だ、
だから本当は水余りの状態にあり、過剰投資が批判されている、
都民に真剣に節水を呼びかけたら、節水行動が定着してしまい、
ますます水余りが明白になってしまう、
だから節水をあまり真剣にやってほしくないのが本音ではないのかということです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ラジオをこんなふうに咄嗟にメモることができることに感嘆します。
内容にも同感です(万が一、この方の聞き間違えなどお気づきの方はお知らせくださいませ)
節水なんかされたら(赤字で)困る水道事業者は今後は続出だと考えてもいいですね。
水源を開発し過ぎる(過剰投資し過ぎる)と水は余る。
人口が減り、節水意識、節水技術でもっと余る。

神奈川県でもあった話です。宮ケ瀬ダム開発に乗った川崎市は、
美味しい井戸の水や、身近な多摩川の水を放棄して
「契約」で使わなくては仕方がない遠くのダムから水を引いてきます。
参考→http://yambasaitama.blog38.fc2.com/blog-entry-1661.html

東京都(石原知事)が、利根川で水がもっと欲しいというのが本当なら
川崎市が使わない水をもらえば皆助かる。
でも、それをしないで八ツ場ダムが必要だと言い続けたのは何故か?
答えは「科学する心」があれば専門家でなくても分かるはずですね。

利根川、荒川、多摩川と東京都の位置が分かるように、国交省資料から地図を張り付けておきます

Photo

出典:利根川水系河川整備基本方針の資料(PDF 59/122頁)より

さて、上記を取材に出かける直前に放り込み、書き込んだ人に
お名前を出しても差し支えないかを聞くと構わないというお返事と
以下の付け足しが来ましたので追加します。

======================
渋谷さんの話の後で、森本毅郎氏が
「それってほかの問題と似た構造じゃありませんか」といい、
「そうなんです。電力会社も全く同じことをやってきたんです。
需要が増えると予測して、どんどん発電設備を増やしちゃうんです」と続きます。
======================
以上、高橋比呂志さんの書き込みのご紹介でした。

2012年9月16日 (日)

65.官のウソと学報の思考停止<河川ムラの場合>

渇水の正体とダム推進の理屈は同じなのでおさらいしておきます。

渇水の正体

今回の渇水大本営発表は「降雨量が平年の2割程度」という理由で、
利根川の支流・渡良瀬川で用心深く、取水制限を始めるというところからジワジワ始まった。

 平成24年8月31日 16時00分【渡良瀬川の取水制限について】
 http://www.ktr.mlit.go.jp/saigai/kyoku_dis00000063.html
 10パーセント取水制限(上水・農業用水) 
 開始日時:平成24年9月1日(土) 9時00分~

しかし、↑見れば分かるように、工業用水には影響なし、
田植期なら農家も困るだろうが、収穫期に取水が10%減っても困らない。
野菜はいつになく安く、今年の夏は大豊作(過ぎるくらい)だった。

農業用水については八ツ場あしたの会「利根川の取水制限」の解説をオススメする。

次に利根川上流8ダムについて、渇水対策支部が作られ、渇水キャンペーンを次のように盛り上げていった。
 平成24年8月31日 13:00 【準備体制】↓
 平成24年9月3日 14:00 【警戒体制】↓
 平成24年9月11日 9:00 【緊急体制】↓
  本日9時をもって利根川についても一律10%の取水制限
  http://www.ktr.mlit.go.jp/saigai/tonedamu_dis00010.html

しかし、本当に利根川に水が足りないなら多摩川から水を買ったらどうだという
代替案に国が耳を真剣に傾けたという話は一切聞かない。
大川隆司弁護士の話(動画13分)→ http://t.co/U06t2niD

(本来、こういう霞ヶ関が思い付かないソフトな提案や知恵を国民から集めるためにも住民参加が重要なのだが、逆に言えば、提案や知恵を取り入れてしまうと新しいダムが一つも必要ないことが分かってしまうから、参加させたくないのだと思わざるをえない。)

つまり、本当に実現したいのは「渇水対策」ではなく、「ダム建設」なのだ。
課題と行動が合理的に結びついていないとき、そこにはウソがある。

● ダム推進の正体

渇水キャンペーンは、常日頃の報道や官学の癒着構造の延長でしかない。

国土交通省関東地方整備局が2010年10月から2011年11月までかけて
八ツ場ダムの検証を行った際もそうだった。
ダムを含む17もの代替案には、大川弁護士が提案するような、
隣の多摩川から水を買う話は一つも含まれなかった。

静岡県の富士川や長野県の千曲川から導水する
非現実的な代替案との比較しか提示されなかった。

ハズされていた最安値の八ツ場ダム代替案: (←是非ご参照を)

にもかかわらず、マスコミのほとんどは
八ツ場ダム建設が最も有利 国交省整備局が総合評価(共同通信2011/09/13 11:10)
http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011091301000243.html
と報じた。

また、その検証が正しかったかどうかを見極める役割を自ら決めた、
今後の治水対策のあり方に関する“有識者会議” は、
これをよしとして、八ツ場ダム建設が最も有利という結論を追認した。

このとき情けなかったのは、“有識者”の顔をした学者が
「この決断というものが科学的な根拠によって出てくるわけでは必ずしもないわけでして、そこはまさに現在の我が国の政治システムなり何なりにおいてきちっとした形で国民の合意を得る形で決めていかなければいけない。」(第21回 平成23年12月7日)
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai21kai/dai21kai_gijiroku.pdf
と、科学的な判断を求められているにもかかわらず、それを放棄したことだ。

日本の今は官のウソと学報の思考停止の上に構築されている。

2012年9月13日 (木)

64.「取水制限」の利用方法~石原都知事の場合

相変わらずの「利根川渇水」報道に加えて
9月11日には「10%取水制限」も加わった。
http://www.ktr.mlit.go.jp/saigai/tonedamu_dis00010.html

節水の呼びかけはよいことだ。なぜなら、
高度浄水処理 をしているところは、
単に沈殿 させるのとは違いエネルギーも使うから省エネにもなる。

それに、今回の「10%取水制限」の大本営発表は、
いかに「渇水」がダム建設に利用されるかを検証する上で役立つ。

利根川水系一円(東京都、群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県、千葉県)の皆々様には
「10%取水制限」で生活にどんな影響があったかを記憶しておいて欲しい。
「10%取水制限」が、実は何の影響もないことをリアルタイムで実感して欲しい。
それが何日続くかも一緒に覚えておいて欲しい。
その情報が数年後に以下のように「利用」されたときに、
「はは~ん、こういうことだったか」と思って欲しい。

以下は、2010年8月6日(金)に石原都知事の定例会見でやり取りをした話です。
http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-b15c.html

この時は、「東京都はなぜ水需要予測の見直しをしないのか」を
都知事の口から聞き出すことが目的でした。
すると知事はその理由を語り始めます。以下に少し抜粋します。

【知事】それは八ツ場の問題に当然関係あることですから。
 ただ、数年前に東京では、二百十何日ですか、取水制限したんです。それ1回のことで、それで済んで、当分ないだろうという予測で済むのか済まないのか。あの時は、学校のプールも使えなくなったし、東京のビール会社も生産を停止した。もし八ツ場が仮にあったとしたなら、17日で済んだ取水制限が、117日、続いたんです。こういうものも、1つの公の水路に対する大事な前提条件じゃないかと私は思いますけれども。

【記者】いつもビールの工場が停止されたということをおっしゃるのですけれども、確認しましたところ、知事がおっしゃっていたその時期に、ビールで生産ができなくなったというところは、ほとんど見つからなかったということ……。

【知事】そう。僕は東京で2つの会社が、製造を停止じゃないけれども、生産量を従来よりも低めたという話は聞きましたけれど。

【記者】はい。あと、プールにしても、それで人命が失われるというようなことではなかった……。

【知事】もちろんそうです。

ここまででお分かりのように、

第一に、石原都知事はこのとき
「117日の取水制限」を都が水需要予測を見直さない理由にしました。変ですね。
同時に、「八ツ場が仮にあったとしたなら、17日で済んだ取水制限が、
117日、続いたんです」と、取水制限を新しいダム建設の必要性の理由にしました。

しかし、利根川流域住民の皆さん、
9月11日に「取水制限10%」が始まって今日で3日目ですが、
この3日間、何か生活に支障がありましたか?
「取水制限10%」と言うのは、今日のような日だと記憶しておいて欲しいのです。
「水が足りない」と言うのは「今日」のことです。
ダム建設の理由になっているのは「今日」のことです。
<電気が足りなくなる!と大飯原発を再稼働したのとオナジ構図の話です>

第二に、石原都知事はこの日まで、常に繰り返し、
ダムの必要性に、ビール工場と学校プールを使っていました。
この時の質問で、この答えがまさか返ってくるとは思ってもいませんでしたが、
ビール会社に「ビール工場停止」なんて事実はないことを
取材<疑問解消>していたことが役立ちました。そして、事実をもって質問をしたら、
「生産を停止」から「製造を停止じゃないけれども、
生産量を従来よりも低めたという話は聞きました」にトーンダウンしました。

続きです。質問をそらされたので
私はこの日の目的である質問「東京都はなぜ水需要予測の見直しをしないのか」に
戻そうとしました。すると質問が遮られ・・・・驚くべき方向へ話が展開します。↓

【記者】飲み水、あるいは生きていくための最低限のものという、ナショナルミニマム、あるいはローカルミニマムというものは、見直し……。

【知事】ただ、八ツ場の場合、行ってみて分かるでしょうけれど、あそこまで事業が進んでいるわけです。しかも、利水の問題だけじゃない。治水の問題もあって、埼玉(県知事)の上田(清司)君の話なんか聞いたらいいと思うけれども、堤防が非常に老朽化して、どうどうと浸水してきて、結局、それに対する対策というのは、堤防をつくり直すということで、べらぼうにお金がかかるから、その度に、地元の消防団が出て、ここはまずい、危ないということで土嚢を積んだりなんかしているらしいけれども、堤防の決壊もさることながら、前提となる浸水というのでしょうか、それが堤防の反対側に、わき上がってくるような状況というのはあるみたいだから、これまた八ツ場について考える1つの条件じゃないでしょうか。

東京都はなぜ水需要予測の見直しをしないのか」を聞いているのに
利水の話で分が悪くなって、なんと、
埼玉県の知事に治水<堤防が危ない>を聞きに行け、
という答えになってしまったのです。<あれれ?堤防が危ないからダムなの?ちゅう話でもあり>

昨今の空ダム報道と取水制限10%で、大変だ、という印象を持つでしょう。
あたかも明日にも断水か?やっぱりもっとダムが必要では?と思うでしょう。
でも「取水制限」であり「給水制限」ではない。
10%は節水の目安にはいいでしょう。でも「渇水」だと騒ぐのは何のためでしょうか。

困るのは、こういう大本営発表で報道が先走り、
生データを検証できるはずの不勉強なもしくは
政治的なアジェンダを持った政治家が考えることをやめて
騙されて、政策と住民をミスリードしてしまうことです。

話のオチ

ちなみに、「東京都はなぜ水需要予測の見直しをしないのか」という私の疑問は、
この直後、思わぬ形で解消します。

実は、東京都は見直しをしていなかったわけではなかったのです。
それどころか見直しをしていたことを隠していたのです。

2003年に行われた需要予測が大幅に(2割)外れたため、
2006年、2007年、2008年に1億円以上をかけて
密かに委託調査で予測を行っていたのです。
それを隠蔽し、公表していなかっただけでした。

なぜか?
調査結果は、需要が横ばいから減少傾向を示して本当のことを物語っていたからです。
新しいダムの不要性を証明するデータが出てしまったから隠したとしか思えない。
なぜ、そう思うか?なぜならば、

東京都は2012年3月に新しく需要予測を発表したのですが、
2006~2008年に行った調査結果を反映せず
なぜか2003年のオオハズレした予測をなぞる独自の需要予測を出したからです。

新しいダムをつくらなくても済む調査結果が出たのに
それを隠して、ダム建設を続ける。二重三重の無駄遣いです。

このことは、八ツ場ダム住民訴訟を続ける人々のねばり強い調査によって
世に訴えられ、つい最近、裁判でも論証されていますので、読んでください↓
http://seisaku-essay.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-a1fa.html

また、東京高裁に提出された
東京都水道局の新水需要予測に関する意見書(嶋津暉之証人)の
20~21ページのグラフを見ると、いかに東京都の水需要予測が非科学的か、
というより都が小学校の算数ができていないかが分かります。↓
http://www.yamba.jpn.org/shiryo/tokyo_k/tokyo_k_g_iken_shimazu_k49.pdf

ということで、忙しい方のためのExecutive Summery

2010年に「東京都はなぜ水需要予測の見直しをしないのか」
と都知事に尋ねた質問は、石原都知事が質問をそらしたがために、
「利水」では渇水による(誰が吹き込んだか知らないが)ビール生産停止のウソのため、
「治水」では埼玉県の老朽化堤防ために八ツ場ダムを必要とすると
知事が考えていることを明らかにしました。

その上、実は、水需要予測の見直しをしていたのに、
その結果が、ダム建設には都合の悪い「減少傾向」を示していたために
そっちは隠した上で、都合のよい需要予測を作り直して2012年3月に発表したという
もの凄いオチがつきました。

渇水キャンペーンには裏があるという話でした。

2012年9月 9日 (日)

63.発電と渇水と大本営発表

最近、利根川水系のダムの渇水が頻繁に報道される。

独立行政法人水資源機構の矢木沢ダムの貯水率が5~6%と
空っぽに近くなった画像がTVでは映し出される。

でも、大本営発表過ぎないか?という話である。

第一に、矢木沢ダムで検索して出てくるウェブサイト
矢木沢ダムの状況(PDF資料)
http://www.water.go.jp/kanto/numata/01_top/yagisawa.pdf
なんかをクリックしてしまうと
ちょっと難しい矢木沢ダムの「利水容量曲線」が出てくる。

しかしこれで平成6年と比べても、平成8年と比べても
今年平成24年は7月末まで目一杯利用が可能だったことがまず分かる。
8月からつるべ落としのように「利水できる容量」が減っているが
そうだとしたら、それは8月の間にたくさん「利水」したということになる。

第二に、もっと簡単な話で、「利水」の中身だが、
この矢木沢ダムは独立行政法人水資源機構のダムだが、
洪水調整、農業用水、水道、河川維持用水、発電の多目的のダムだ。

国土交通省は発電のデータをわかりやすくは載せているとは言えないが
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/realtimeindex2.html
探せば、矢木沢ダムは、過去2日は発電していないことがここで分かる。
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/live/yagisawa.html

でも、アレレ? すぐその下の藤原ダムでは
渇水だ~と騒いでいた過去2日もしっかり発電しているよ。
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/live/fujiwara.html
9日9日11:00現在に至っては
流入量(0.49)に対し放流量(12.71)が30倍の勢いでガンガン放流している。
http://220.97.206.144/numata-p/GamenDam.htm ←(リアルタイムで変化)

ダム位置図を見ると良く分けるけれど、
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/dammap.html
矢木沢ダムと藤原ダムは上下で近接している。

矢木沢ダムは、渇水騒ぎの前に下のダムにしっかり放流し
藤原ダムで現在、しっかり発電をしているという見方もできる。

隣の支流の奈良俣ダムでも過去2日、しっかり発電も放流もしている。
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/live/naramata.html

もっと言えば、首都圏のみずがめと言っても
実際に川から水を取って浄水するのはもっと下流で、

この利根川水系8ダムを見てクリックしてもらえば分かるけど
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/dammap.html

薗原ダムは貯水率70%以上で発電&放流中
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/live/sonohara.html
相俣ダムは貯水率27%以上で発電中(発電で水は川に戻るのでその分は放流)
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/live/aimata.html
下久保ダムも貯水率68%以上で発電&放流中
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/dammap.html

さらに隣の支流(渡良瀬川でも)貯水率38%で発電&放流中
http://www3.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/teikyo/realtime/live/kusaki.html
ちなみにその下の渡良瀬貯水池は貯水率93%以上。

実際に水を取るもっと下流を見てみよう。

最大の人口を抱える東京都から見れば
実は多摩川もあり、都民のためにこちらの水源は最後まで抱え込んでいる。

利根川でホルムアルデヒド問題が起きたときを覚えているでしょうか?
いざとなると取水を多摩川からの水に切り替えるわけですが、
普段は茨城、栃木、埼玉、千葉、群馬と共有している利根川の水を先に使う。

ここで見ればとてもよく分かる。
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/water/suigen.html
多摩川の小河内ダムは今日も82%
村山・山口貯水池79%と、まったく問題ない。

これで、渇水で大変です!(=もっとダムが必要では?)と
潜在意識に訴えかける世論誘導に
いかに簡単にマスメディアが乗ってしまうかも分かる。

さらに見ると、利根川と多摩川の間の荒川なんて、
荒川貯水地が貯水率101%
二瀬ダムが貯水率225%
全体で貯水率106%だってことも分かる。

ではもう一度。
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/water/suigen.html

原発がなければ電力が足りない!というプロパガンダが
ウソだったことはこの夏でもうバレバレだが、それと同様、
水が足りないという大本営発表もまずはウソだと疑ってかかって欲しい。

夏も終わり。節水しましょうキャンペーンを始めるのはいいとしても
全体像を見せるべきではないか。

利根川では八ッ場ダム南摩ダム霞ヶ浦導水路事業が必要だ
というキャンペーンも実施中だが、
こんなに暑く、小雨だった夏でも
今あるダム以上にはダムは必要でなかったことも国は認めるべきではないか。

2012年9月 6日 (木)

62,四日市に学んでいない東電、沖縄に学ばない公文書管理

過去と現在の複数の取材を同時に進めると
日本社会が「何も学んでいない!」ことへの驚きでたじろぐ。

企業の責任
7月末に取材した四日市公害訴訟のシンポについて
Actio10月号向けに記事にした。原告勝訴の判決の中にはこう出てくる。

「少なくとも人間の生命・身体に危険のあることを知りうる汚染物質の排出については、企業は経済性を度外視して、世界最高の技術・知識を動員して防止措置を講ずべきであり、そのような装置を怠れば過失を免れないと解するべきである」

社会が何も学ばなかった結果が「規制の虜」となった福島第一原発事故だったのだ。

公文書管理
「機密を開示せよ 裁かれる沖縄密約」西山太吉(岩波書店)2010年9月
を読んでいるさなかに

8月29日にMV22オスプレイの配備に関する辺野古基地問題の防衛省・外務省ヒアリングを取材した。(沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団、沖縄・生物多様性市民ネットワーク、沖縄一坪反戦地主会・関東ブロック、日本自然保護協会と国会議員によるもの)。

若干の違いはあっても、問題の根っこはまったく同じだった。
これは今週の週刊金曜日のアンテナ記事になる。

● 上記の本を本日後刻、移動しながら全部読み終わったら、次は
「報道弾圧」元朝日新聞記者 吉竹幸則(東京図書出版)2011年12月
を読む(一気に密度濃く読もうと思ってまだ読んでいない)。

この本は、私が1995年に社会の片隅から追い始めたことに先行して
社会のど真ん中で起きていた河川行政を巡る
「報道の裏側」の謎解きになるのではないかと期待している。

2012年9月 2日 (日)

61.八ツ場ダム本体着工に向けた要件の現状

8月21日、久しぶりに大臣会見に行った。
(この報道でどんな成果がでているかリトマス紙を垂らしたことをこちらで書いたのは、その次の8月24日会見だった。訂正してお詫び)

大臣のスタンスを確かめることが目的。八ツ場ダムについての見解だ。

多くの報道では八ツ場ダムはすでに「中止宣言」が撤回されたことになっている。

しかし、実際には「国交省」と「民主党政策調査会」の考え方が割れたため、
藤村官房長官の裁定で以下の要件がついて、本体着工には待ったがかかっている。

1. ダム建設予定地だった地域に対する生活再建の法案をとりまとめる。
2. 利根川水系河川整備計画を策定する。
3.本体着工についてはその上で判断する。

国土交通大臣は、民主党政権下で
前原→馬淵→大畠→前田→羽田と5人目となっている。

昨年12月には、この裁定にもかかわらず、前田・前国土交通大臣が暴走して
ご当地である群馬県長野原町で自民党議員たちと仲良く万歳三唱をしてしまった。
このパフォーマンスに乗せられた多くの報道は、
八ツ場ダムは本体着工にまっしぐらだと思っている。

しかし、実際にはそうではなく、大小のハードルがある。
マスコミの理解が追いつかないのは仕方がないとして大臣はどうなのか。

1は、八ツ場ダムに限らず、ダム事業(予算配分)が中止されたとしても
必要な「生活再建事業」が滞りなく進められるためのもの。

2は、1997年(1999年施行)の改正河川法で
策定されていなければならなかったダム事業の上位計画だ。

どちらも社会情勢の変化を考えれば
自民党政権下でも必要でありながら
国土交通省がサボってきたものだ。

羽田大臣への質問の結果、

1の生活再建法案を審議入りさせ通す意欲は
お世辞にも高いものとは言えないということが分かった。

2の利根川水系河川整備計画の策定時に開催される有識者会議については
前回、2006年に同計画の策定をやりかけたときと同様、
社整審なみの公開性で開催されるであろうことは確認できた。

また、最近とみに問題視されるようになった利益相反問題では
ダム事業受注業者である「ダム水源地環境整備センター」の理事が
前回、計画策定をやりかけたときには含まれていたが、今回は、
「問題があるということであればしっかりと検討した上でと考えております」という
回答が得られたことは悪くなかった。

以下、該当箇所を抜き書きをしておく。

2012年8月21日(火)10:37~10:56
国土交通省会見室 羽田雄一郎大臣
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin120821.html

(問)6月4日の就任会見以来、八ッ場ダムに関しては藤村官房長官の裁定に従われるという御見解だと思いますが、その裁定にありました生活再建法案は提出はされていますがまだ審議入りしていないということの受け止めと、もう一つの要件である利根川水系の整備計画については、審議会並の傍聴を認めるという方向でよろしいでしょうか。

(答)基本的には河川整備計画を作るということが早急に求められていると考えておりますし、私も生活再建については、しっかりと取り組んでいかなければならないと、視察をさせていただいて、特に感じました。
そういった意味では、しっかりと河川整備計画についても進めていければと思っておりますし、結論についてもしっかりと出していく時期が来るのだと考えております。
今現在、河川整備計画をいつまでという段階ではありませんが、官房長官裁定を踏まえて、河川整備計画の策定を早急に進めていき、その中で、まずは全体像を速やかにお示しできるように努力していきたいと考えているところです。

(問)傍聴についてはいかがでしょうか。通常の社会資本整備審議会で普通に傍聴させて頂いておりますが、それと同等の傍聴のやり方ということですか。
(答)特に今までと変えるつもりはございません。

(問)社会資本整備審議会並みの傍聴、公開ということでよろしいですか。
(答)その方向だと思いますが。

(問)生活再建については、今行われている生活再建事業というものは、ダム事業の中での生活再建だと思うのですが、それであると、要するに2要件をクリアした後で政府としては本体着工するかどうか決めるということになっていますので、藤村官房長官裁定を見ますと、そこでの判断ということになりますと、その条件を早くクリアするということが重要で、それによってダム事業としての生活再建になるのか、それとも、ダム事業を止めるということでの生活再建法案の実行になっていくのかということになると思うのですが、整理をしますと、今のところはダム事業としての生活再建事業が進んでいるという状況ですが、その辺はどうお考えですか。
(答)ダム事業が進むかどうかに関わらず、もう既に移転等も進んでおりますし、しっかりと生活再建については、責任を持って行っていかなければならないと思います。

(問)利根川水系の河川整備計画を作成する際に、学識経験者等の意見を聞きますが、昨今利益相反ということが問題になっており、例えば従来の会議に、ダム水源地環境整備センターの理事をされている学者が含まれていたりするのですが、そういったことは今回チェックされる理解でよろしいでしょうか。
(答)その議論は私のところに上がってきておりませんので、事務方から聞いて頂ければと思います。

(問)大臣のお考えとしては如何でしょうか。
ダム事業等を受注している公益法人の方が出席される事について、一般論で結構です。
(答)色々な方から意見を聞くことが大切だと思います。
問題があるということであればしっかりと検討した上でと考えております。

60 情報流通のインフラ整備

東電側から「国立公文書館」の言葉が出たの続きです。

フリーランス連絡会の3つの申し入れに対し、
回答期限である8月31日、連絡先を引き受けている寺澤有氏のもとへ
内閣官房、経済産業省から回答が届いたのだそうだ。

共有してもらった回答をそのまま以下に抜き書きしておく。

===  ===  === ====

申し入れ1
東電・政府合同会見の最低月1回の開催

□原子力安全・保安院 電力安全広報課の回答
 昨年のステップ2完了時の政府・東電統合対策室合同記者会見の場で、細野大臣から「個別の記者会見という形でこれかも積極的な情報提供、そして皆さんからのご質問に答えることは続けさせていただく」旨を申し上げている。現状において、閣議後会見や府省等による定例の会見が頻繁に実施されており、引き続き、個別の記者会見を通じた積極的な情報発信等に心がけていきたい。

申し入れ2
福島第一原発関係資料の公文書管理法に基づく政府(国立公文書館)管理

□資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課の回答
 映像の公開により、例えば、一般社員やその家族の安全が脅かされたりすることのないよう、一定の手立てが講じられることが必要であり、そうした観点を踏まえつつ、東京電力が国立公文書館に寄贈することが可能かどうか検討しているものと承知している。

申し入れ3
東電を含む、税を投入した私企業等の情報公開法の制定

□経済産業省大臣官房情報公開推進室の回答
 情報公開法は、「国民」と「政府」の関係を前提として、行政機関等を対象に、その保有する文書に対する開示請求権を定めることにより、情報の公開を推進するものであり、公的資金が投入されているとはいえ、私企業をこの情報公開の枠組みの対象とすることは法体系上困難であると考える。
 一方で、公的資金が投入されている企業が、そうでない一般的な企業以上に、自主的かつ積極的にその情報を公開していくべきことは当然であると考える

===  ===  ===抜き書き終わり====

1と2は想定内の回答で、機会のあるごとにプッシュしていくしかない。
3のスットボケぶりは興味深い。
日本の情報公開法には、行政機関を対象にした情報公開法と
独立行政法人を対象にした独立行政法人情報公開法の二つがある。
第一、第二の情報公開法の枠組みに入れることはできないことなど承知の上で、
第三の情報公開法が必要ではないかという意味なのだが、スットボケた回答になっている。

この申し入れの背景には
経産省の情報公開推進室が指摘しているように、東電が
「一般的な企業以上に、自主的かつ積極的にその情報を公開していくべき」であるにもかかわらず、重要なテレビ会議画像を名ばかり公開で済まそうとしたこと、

「東電情報公開法があってもいいぐらいだ」と
東電株主代表訴訟の弁護人、海渡雄一弁護士が
3.11後の東電テレビ会議動画の保全を求める会見で述べておられたこと、

それに、

その株主総会が公開で開催されるべきところ、非公開だったために
配信を試みたフリーランスジャーナリスト木野龍逸氏を
東電が未だに東電施設から締め出していること、

その他、書ききれないほどの諸々の事情がある。
それぞれが一瞬にして忘れ去られてしまいがちなほどに
毎日、たくさんの問題が起きている。

それだけに、情報流通のインフラ整備をきちんとしておかないとダメなのだ。

取材者の仕事は仕入れた情報を分かりやすくより多くの人と共有することだ。
その任務を放棄するつもりはないが、
取材者が気づけることは国民全体が気づけることの一部でしかない。

報道に携わる者は、情報流通のインフラ整備について人一倍神経質を注ぎ込まなければと思う。

59.国会記者事務所の使用について(文書掲載)

情報を媒介するメディアとして申し分のない活動をしている
NPO法人OurPlanet-TV(代表理事白石草)=アワプラが、
官邸前の金曜デモを俯瞰する映像を取るために、
官邸前にドンと建っている「国会記者会館」の屋上を使わせて欲しいと頼んだ「事件」をご存じだろうか。

本来なら「ハイ、どうぞ」で済むはずのことが、
済まなかったために、記者クラブ裁判に発展している。

そのことはこちらの記事で書いたのでお読みいただきたい。
「金曜デモ」撮影求めて仮処分申請
国会記者会が屋上使用拒否(週刊金曜日2012年7月27日号)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120807-00000301-kinyobi-soci

記事を書きながら、なぜ「常識」で考えればアワプラに屋上を使わせるという
なんの差し障りもないはずのことにNOと言えてしまうのか

その根拠は何かと、衆議院に開示請求をしてみた。

(国会を対象とした情報公開法は未だないが、
衆議院事務局の保有する議院行政文書の開示等に関する事務取扱規程ならある。)

請求をしたのは「国会記者会と衆議院とで取り交わした
国会記者会館の使用に関する規約または合意内容等に類するもの」。
出てきたのはこの文書→国会記者事務所の使用について(6頁)PDF

国民の知る権利に直結するのでそのまま掲載しておきます。

↑これをもとに先週の週刊金曜日(下記)で記事を書いたが、誌面が足りなかったので、考えるべき多重の意味を書き連ねておく。

1.マスメディアは金曜デモを当初ほとんど報道しようとなかった。

2.国会記者会は報道し続けてきたインターネットメディアの屋上使用を拒んだ。

3.国民の知る権利を拡大することが存在意義である1メディアが
   裁判所に公正な判断を訴えたのにもかかわらず、
   東京地裁は確固たる根拠を求めもせずに
   国会記者会や衆議院の言い分を鵜呑みに
して、取材する権利を却下した。
   それは、存在意義を却下し、メディアに死ねと言っているようなものだと気づいていない。

4.この件に疑問を持った1ジャーナリストが行った一枚の情報公開請求ですら、
  マスメディア(国会記者会)による屋上使用拒否には根拠がないことが分かるのに、
  東京高裁はその根拠文書の提出すら求めずして、アワプラの抗告を即日却下した。

5.アワプラはその後、衆議院に対してもう一度真っ正面から、
  たった5メートル四方の屋上使用を申請した(涙ぐましい)のにも関わらず、
  衆議院はそれをまた拒んだ。
  上記に掲載したように、拒む根拠はないことは百も承知なので屁理屈で。
  国権の最高機関がこんなザマなのだ。どうする国民?

6.この後、別のフリーランスジャーナリスト三人も、国会記者会に対し
  たった10分の屋上使用(代表取材)を求めてみたにもかかわらず、
  これも拒否されている。記者会は10分たりとも既得権を譲りたくないのである。

何を意味するか?
1.マスメディアは自らが機能不全に陥っていることを深刻視していない。

2.裁判所は常識でものが考えられないバケモノになった。

3.既得権者は、既得権を脅かす者(新たなメディアやフリーランス記者)から既得権益を守るために、持ちつ持たれつでかばい合う状態にある。

4.新しいメディアやフリーランス記者は、常に既得権者と闘わなければ、おちおち伝えたいことも伝えたいように伝えることができない。

これはすべて、「国民の知る権利」の阻害につながっている。

関係記事

■国会記者会館屋上の使用拒否に根拠なし 
衆議院の苦しい言い訳(週刊金曜日8月31日号のアンテナ・目次では現れません)
http://www.kinyobi.co.jp/news/wp-content/uploads/2012/08/120831-003trim.pdf

■NPO法人OurPlanet-TVのこの件に関するウェブサイト
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1410

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