53.陳情型審議会
もう先週の話だが、8月9日、17時から社会資本整備審議会河川分科会の
「安全を持続的に確保するための今後の河川管理のあり方検討小委員会」の審議を聞きに行った。
目的は、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」との違いを見定めること。
事前のプレスリリースにあった諮問内容を見てもさっぱり分からない。
ただし、その直前に継続取材中の利根川水系ホルムアルデヒド騒動
その後の検討会(環境省)の取材をしたので、あくまでそのついでである。
取材をする必要があるかないかを見極めるためだ。
開始後30秒、局長挨拶を聞いてその必要はなさそうだと確信する。
日頃の河川官僚たちの仕事ぶりが見える会議ではある。
局長挨拶、諮問、説明資料から判断して、
この審議会の目的は、網羅的な予算の獲得にしか思えない。
官僚の資料説明が終わり、やっと審議。
前半は「一人一回は発言をしてもらう」との司会役、
福岡捷二・中央大学研究開発機構教授の指名により、学者の発言が続いた。
当然ながら、はっきりしない会議のミッションを確認する質問がなされる。
聞いていて椅子から転げ落ちそうになったのは、
あちこちの審議会を掛け持ちして慣れ切った学者の発言だ。
「この会はアレですか?大胆なことをやろうとしているのか、
そうでないのか?歩留まりが分からない」
後半はこれも指名により、
今度は国と自治体の元&現役の建設官僚の発言が続いた。
肩書きを一見するだけではわからないが、
13名の委員のうち4名が元河川官僚や建設官僚なのである。
1人目は岐阜県の建設官僚。彼は『このままにしておけば、
お金がないから危険ですと踏み込んで書けないか』と発言。
私は心の中で「やっぱりね」と発言。
2人目が元建設官僚の根本崇・千葉県野田市長。
ホルムアルデヒド問題、セシウム入りの下水汚泥の処理問題、
そして、草刈予算(年3回が2回に)削られて仕方がないが困るという話。
国からの予算取りはもちろん首長の仕事である。
(これらに対しては先述の「歩留まり」発言学者が
「所管を広げるつもりなのか」という意味の質問をしたが、
国交省からストレートな答えが返ってくるはずもない。
彼女は審議会慣れはしていても、
予算獲得のためにお喋りをするだけの審議会が存在する、
自分がそんなことに利用されているなどとは思ってもいないのかもしれない。)
3人目が愛媛大教授の肩書きで出ているが、
国交省近畿地方整備局長であった木下誠也氏である。
『維持管理予算で予算を減らされ問題。仕分けを仕分けしなければ』と
ストレートに予算確保の話である。
4人目は東京都の河川部長。都ならではの話の展開で終わり。
この間、審議会慣れしていない若手学者からはあ~なのか?こ~なのか?と
審議会のミッションと諮問者の意図を探る質問や発言が続いたが、
事務局からストレートな答えが返ってくるわけもない。
最後は司会役が自分の左隣に座らっている学者を指名して
その学者が総花的な感想を言って終わり。
国土交通省事務局が
議事録は発言者名を除いてウェブにのせると語って閉会。
こんな予算獲得のための会議に税金を使って増税なのである。
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