49.東電の『撒き餌』と『踏み絵』
身体は一つなので脳みそを細切れにする日々。
週刊金曜日2012年8月3日906号はリニア中央新幹線特集です。
同じ旧国鉄でありながらJR東日本があんな状態の時に、
こんな急発進の仕方をしたのか・・・と3.11後の動きをひたすら掘り起こした。
この号の金曜アンテナには
150時間のテレビ会議録画を30時間で見せますと発表した
引き算ができない東電の「名ばかり公開」問題を書いた。
報道陣に激しく文句を言われて30時間の限定を
1ヶ月に延ばしはしたものの、その他の限定条件はそのまま。
今テレビ等に流れているのは東電が、別途、わざわざ「編集」して
配布した『撒き餌』のような画像。その『撒き餌』に飛びつかせて
一方で、撮影録音禁止に同意したらという『踏み絵』つきの密室で
東電のパソコンとイヤホンで見せるというイヤラシイ公開方法を昨日から東電は始めている。
先週、東電と経済産業省の会見に行って
東電の相澤善吾副社長と、枝野経済産業大臣に相次いで
公文書管理法に基づいて国立公文書館に歴史文書として
すべてを提供してはどうか、させてはどうかと聞いたが
双方とも「詳細に勉強する」と言っていた。
この件は昨年4月に細野豪志(当時)首相補佐官、園田補佐官、
保安院にも質問したことであり、政府としてやる気がないことは
分かっている。かつまた国会事故調にもクローズドなブリーフィング
(国会事故調の報告書が出た日はなぜか2時間程度のクローズドな
ブリーフィングがあった)においても質問し、回答自体は公開の会見の場で得ている。
幸い、会見で東電からは「処分しない」(捨てない)との言質を取っており、
その言葉自体が信用できないと言えば信用できないが、
対応したかしなかったかは、すべて紙に歴史に残していく。
(もちろん、歴史に残っても現状が変わらなければ意味はないので
要所要所で会見に参加して問うべきを問い、過去に問うたことをリマインドするわけだが)
ちなみに私は断続的にこの問題を取材し、書いているので、
150時間分を1ヶ月をかけて見ることができる「特権」を得ている。
でも、この「特権」は多くのフリーランス記者のうるさい取材の
延長線上にあるのであり、かつまた、たまたま
「国民の知る権利」に奉仕するメディアの一角にいるものとして得たものでしかない。
国民が得るべき知る権利を得られるよう代弁していくことは、
自分がその画像を見る自由を得ることと同等かそれ以上に重要だ。
本来マスコミは「こんな限定公開は許さない」と団結すべきところである。
しかし、競争関係にあるマスコミにとっては限定公開でも飛びつかざるをえない。
踏み絵を踏む者と踏ませる者はどちらがより卑劣かといえば踏ませる東電である。
しかし、その卑劣な東電に踏み絵を踏まされるマスコミが
国民の知る権利に奉仕する存在意義を満たすことができないからといって
国民の知る権利が侵害されてよいわけがない。
東電が、マスコミへの情報提供と国民の知る権利を
混同してもらっては困るので、今後も言い続けるしかない。
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