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2012年7月19日 (木)

42.うるさいジャーナリストを排除する方法

大きな山、小さな山、同時並行で複数の仕事。7月17日、
大きな山が一つ終わって、次の大きな山に登る前の小山と対峙する合間に
気になっていることを解消しに、2つの別の取材を終えてから東電会見にいった。

フリーランスのジャーナリスト木野龍逸さんが
東電敷地内への立ち入り(会見)から排除されたことについて

それがフェアな判断なのかどうか、を判断しにいきました。
その判断に使ったのは二つの質問です。
・ ルールはルール?東電はルールを守っているのか?
・ 東電株主総会を発信した人は木野氏と同じ扱いを受けているのか?

やり取りの「取材メモ」を出しておきます。

7月17日東電会見
http://www.tepco.co.jp/tepconews/library/movie-01j.html
→定例会見(一週間分)→2012/7/17(火) 一週間は見ることが可能

■ルールはルール?東電はルールを守っているのか?
(略)13:18あたり~
Q:今日出されている資料で、保安規則違反があるというお知らせがあるが、この他に今までどういう法令あるいは規則に違反をしているかリストをいただきたい。

東電(松本純一原子力・立地本部長代理):リストは作っていないが、こういった保安規定違反があったという事実につきましてはすべて公表しておりますので、ホームページをご覧いただきますと、「保安規定違反」で検索されると引っかかってくると思います。

Q:その他の法令違反については、今、思い付くもので結構だが上げていただけますでしょうか。前に松本さんに伺ったと思うが、海洋に放射線物質がばらまかれているという状態、これは法令違反であるとおっしゃられていたが、このような形のもの、どれぐらいあるか、今、思い付く限りでいいのですが、上げていただけませんでしょうか。

松本:そうですね。過去のもので言いますと、私ども保安規定違反というのは何回かやっておりまして、年に一二回程度はございます。今回のケースで言いますと、至近のもので言いますと、福島第一で今年の2月に行われた保安検査で、いわゆる保全計画にしたがった予備品のリストですとか、保全計画が適切に作成されていなかったということで保安規定になったということが至近ではございます。

Q:原子炉規制法で、原子炉周辺で働いている人以外が被曝をする。炉規法違反ですよね。

松本:うん。法違反かどうかはちょっとあの分かりかねますけど、違反かどうかを確認するのは、基本的には私どもではなくて、今で言いますと、政府、保安院さんの方にはなりますけれども。

Q:1年4か月の間に、かなりの汚染が広がっていると思うんですけれども、たとえば、茨城県産の林産水産物。随分、出荷停止になっているものがあります。補償がまだされていないものもあるわけですよね。こういったものというのは、要は損害を与えているということで、その規制によって出荷できなくなっている。その原因となっているのは東電の福島第一原発だと思っているんですけれども、そういった意味で、迷惑をかけているものから逆算をして何法に違反をしているのかということで、是非リストをあげていただきたいんですが、自主的に。

松本:3月11日以降のお話しということであれば少し状況としては難しいと思っている。
さきほど海洋放出の件、ご指摘がございましたが、当時は、放射線の放出量の観点から言いますと、当時、福島第一で決めております法案規定を超えている総量、あるいは濃度限度を超えた形での放出という形で保安規定に反している状況と私申し上げましたけれども、そのときにやったことは炉規法の64条、危険値の措置で対応させていただいておりますので、そのこと自身が炉規法に違反しているということには当たらないのではないかと言うふうには思っています。

(解説:当時は「保安規定違反」ではなく明確に「法違反状態」であると松本さんは答えた)

Q:最後の質問です。木野龍逸さんが今、この会見から排除されていますが、福田さんという方ですか、ルールはルールだとおっしゃっていました。木野龍逸さんが東電の株主総会でスマートフォンで配信をしたことのルール違反と、炉規法違反の罪とどちらが重いと思われますでしょうか

松本:どちらがどっちだと一概には言えないと思います。私どもと致しましては当時3月11日から、海洋放出につきましては、4月のはじめの64条を適用しての海洋放出でございますし、事故後、建屋の爆発等、原子炉が損失をしましたことに起因しまして大量の放射性物質を放出してしまったっていうことはございますけれども、こちらの法的問題と木野さんが私どもの施設の中で現在立ち入りをお断りさせていただいていることについては、まったく別の問題だと思っております。

Q:別問題はもちろんなんですが、何万にもの人の人生を狂わせていること自体と、それからそのことを思って、少しでも外部の方に情報を知らせようと1ジャーナリストがやった行為。これは一種の内部通報にも通ずるようなものだと思うんですけれども、その軽重の判断ができないと松本さんはお考えですか。

松本:はい。今のところできないと思っておりますし、当時の私どもでは、事前の録音録画に関しましてはご遠慮いただきたいということで何度かお伝えさせていただいておりますので、にもかかわらず、そういった録音配信をされたということに関しましては、少なくとも私は適切ではないと思っております。

(別テーマの質問)

■26:00~
回答する記者団の佐藤さん:関連してお聞かせください。東京電力が放射性物質を外界に出していることと木野さんが株主総会で配信したことの同じルール違反の重大性について「一概には言えない」という答えでしたけれども、常識的に考えて放射性物質をまいているという方が重いかと思うんですが、そういうことも言えない状態にある。ということは、表明できない状態にあるということでいいんでしょうか。

松本:少し補足というかご説明させていただければと思いますけれども、少なくとも二つのことを比べるようなことではないと思っています。今回大量の放射性物質を放出してしまったことの法律的な立場とそれからフリージャーナリストの木野さんが会見に当社の施設に立ち入りをお断りしている件については、比べるものではないと思っています。

佐藤さんの追撃質問続く(佐藤さん、追撃質問をありがとうございます。)(略)

■東電株主総会を発信した人は木野氏と同じ扱いを受けているのか?
40:00~
Q:株主総会の件です。猪瀬東京都副知事がお話しをされたとき、このコマというのは報道してよい部分だったのかどうか確認です。
松本:あのぉ、また(松本、寺澤譲り合う)
東電(寺澤):そこは株主の方が撮られたものだと思いますけれども。

Q:それを私はテレビで拝見をしましたけれども、放映したところは何局でしょうか。
寺澤:そこまでは私どもの方も調べておりません。ただ、いずれにしましても、え~、報道機関の方が、報道機関の記者の方が自分で撮影したという根拠のあるものはありませんでした。

Q:調べていないと仰いましたが、放映はされている。
寺澤:それは見ておりますけれども細かなところ、どこの社がやったかということは逐一は調べているわけではありません。

Q:インターネットメディアとかスマートフォンよりもテレビメディアの方が影響力が大きいと思うんですが、ルール違反としては。そういう意味では。
寺澤:@*#~
Q:ルールはルールとおっしゃるのであれば放映することを含めて、公平に扱うべきだと思いますけれどもいかがでしょうか、松本さん。

松本:ふぁい。あの少しご説明させていただきますけれども。今回私どもが問題だと思っているのは、度重ねて株主総会での録音録画はご遠慮いただきたいとお願いしているのにも関わらず、そういったことを実行されたということでございまして、まずそこが問題だというふうに思っております。したがって株主総会場、すべての方がそういった行為が行われているかどうかはチェックができませんでしたが、今回は少なくとも木野さんがそういった行為がやられていることが確認されましたので、現場でご注意さしあげると共にそういったことが守られない以上、東電施設での立ち入りをお断りしていただいたということでございまして、放映するかどうか、放映したかどうかを問題にしていません

Q:じゃぁ放映してもよかったんですか。

松本:放映することに関してましては、いわゆる株主総会に関しましては以前から申し上げている通り、株主の皆様の自由なご議論させていただきたいということで録音、録画、放送などについてはお断りしている状況ではございますけれども、その後の放映につきましては、どうかというふうにご質問であればそういうことはやめていただきたいと思っておりますが、私どもとしましてはまぁ木野さんの件につきましては先ほど述べましたようにそういう行為を行ったということを問題視しているところです。

Q:撮された株主の方は、テレビ局の方に頼まれて撮ったのではないでしょうか。

松本:その辺は分かりません。

Q:どうして調べないんでしょうか。

松本:その方が特定できない以上、私どもとしては調べようがございませんので、あのテレビ局さん新聞社さんもそうでございますけれども、おそらく、情報のソースについては経験上、私どもでは入手できないと思っております。そういった問い合わせは致しておりません。

---私の取材メモは以上。この後も、回答する記者団の佐藤さんが、他に注意を受けた株主の方は何人いるかなど、追撃質問をされた(見たい方は上記URLからお早めに)。

そして、気になっていた私の疑問は以下のような答えを得た。

■ルールはルール?東電はルールを守っているのか?
NO (そして、この後は保安院取材に移りました)
■東電株主総会を発信した人は木野氏と同じ扱いを受けているのか?
NO そして、論理が破綻している。

このやり取りから、
東電にとってはうるさい木野氏を排除する口実に東電株主総会を使ったのだろうと、私は判断しました。

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