17.原発を再稼働しなければ会社破綻?
「需給検証委員会」第一回に提出されたISEPの飯田哲也さんの資料(P.15)によれば
東京電力では、2011年夏の最大電力は2010比で18%減だった。
東京電力は昨年、「計画停電」をするといって人々を騒がせたが、
停電は最初(2011年3月14日)から限定的な地域でしか実施しなかったし、
計画したわりには停電しない「計画無停電」状態となり、
翌月4月8日には「原則不実施」となり、その後の停電は一回もなかった。
それでさえ、関東ではほとんどの人が「これぐらいは当然だ」と思う範囲で
18%減を達成できたと記憶しているのではないか。
7月1日からは再生可能エネルギーの固定価格買取制度の実施も始まる。
原発の再稼働を止め、もう一夏乗り越えて、
新たなエネルギー(ビジネス)を伸ばすチャンスだと考えた方がスッキリする。
関東で「節電」できた実績と、「停電」は脅し(ウソ)だったという実績は重い。
関東でできたなら関西でできないわけがない。
ところが、これとは別に、
原発稼働を望む人々が考えている別の「問題」が見えてきた。
「問題」は、脱原発が可能になった暁の電力会社の「資産減」だという見方だ。
自分たちが潰れるのが嫌なので、脱原発ができない。
しかし、そうは言えないから、
「冬の電力不足」や「夏の電力不足」を演出してきたのだと考えると分かりやすい。
東電事故の原因が分からなくても、大飯原発の安全対策が済んでいなくても、
再稼働をしたいのは何故なのかと、理解できなかった。
しかし、原発を抱える電力会社の本当の理由が
「再稼働しないと早晩、会社が破綻する」という
「問題」だと分かれば、途端に分かりやすい。
原発を再稼働しなければ会社が潰れる、だから
原発を再稼働するという結論が先にあるわけだ。
それならば、問題の解決に必要なステップは次のようなものではないか。
原発ありきの電力会社を現状維持するか、
再稼働をやめる選択で、結果的に電力会社を再構築することになるか。
これは社会として選び取るべき選択肢であり、
決して需給問題に矮小化すべき問題ではない。
しかし、そういう率直な問題提起ができているのかと言えばそうではなく、
電力が足りるかの議論にすり替えられてきた。
電力会社が原発を再稼働しないと会社は破綻する、
というなら、破綻させてはいけない理由と、破綻させても
社会として公益を増す理由や方策にはどのようなものがあるか、
必要なのはそういう議論なのではないか。
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