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2012年4月28日 (土)

10.第4のオザワ事件

常識的に考えれば無罪になるだろうと思いながらも、
さじ加減でひょっとしたら有罪になるだろうかと思っていた。

問題は三層になっている。
1) 政治資金規正法違反が疑われ、不起訴処分になった。
2) 検察審査会の「起訴相当」と議決された。
3) それに基づく「強制起訴」による裁判が行われ無罪になった。

もの凄く単純化していえば、
1)政治資金規正法違反が疑われ、不起訴処分になった。
このことが不服なら、政治資金規正法の改正に動かなければならない。
政治資金規正法はザル法で、収支報告書に記載ミスがあっても、
基本的に修正すればそれでOKという甘い法律だ。
意図的・非意図的を問わず違法性を疑われて「記載ミス」を修正して
事なきを得た灰色政治家はゴマンといる。
オザワだけが起訴されたのなら、それは恣意性が疑われる。
オザワを起訴、有罪としたいなら、
この「記載ミスを修正したらセーフ」のグレーゾーン法を白黒法に
改正するのが先だ。しかし、そうすれば、「明日の我が身」になるので
国会は政治資金規正法が改正されない方が便利なのである。
この問題を国民はどうしたいのか?

2)検察審査会に元々の裁判で出てこなかった事実が出てきた時点で
検察審査会の意義が検察によって汚染されたと見るべきだ。
検察審査会は、検察官が不起訴処分を行ったときに
その不起訴処分について、恣意的なお目こぼしがないだろうか、とか、
判断ミスがないだろうかとか、をくじ引きで選ばれた一般市民が判断するものだ。
しがらみのない違う目で判断をすることに意義があるので、
「不起訴」となったときと同じ材料が出されなければならない。
ところが、オザワ事件では、違う材料が出てきたというのを
郷原信郎氏が書いているものを読んで知った。
(生資料を読んだわけではないのであしからず)
この時点で歪んでいた。

3)案の定、その検察審査会に新たに提出された材料に
東京地検特捜部の方の捜査報告書に虚偽記載があったことが明らかになった。
強制起訴そのものが、「検察審査会」汚染によって成り立っていたことになる。
「検察審査会」という素人集団を
「東京地検特捜部」というプロが利用して強制起訴に持ち込んだ事件だ。
しかも、たまには“正義”は勝つもので、
東京地検特捜部の虚偽記載はバレた。

ところが今、第4の問題が持ち上がっていることに気づいた。

4) 元東京地検特捜部検事の不起訴問題
時事通信が書いてウォールストリートジャーナルが取り上げている。
http://jp.wsj.com/Japan/node_433209
検察当局が捜査報告書に虚偽記載を根拠に反して「不起訴」にするなら、
これこそは「検察審査会」に同じ材料を提出の上、
見てもらう必要があるのは言うまでもない。

マスコミは一斉に「オザワ」を中心に“政局”分析を行っている。

しかし、長い目で見たら、
この第4の問題を正していくことの方が重大ではないか。

また、1)の問題と関わるが、公職選挙法と同じくグレーゾーン法で
政局に利用されがちな政治資金規正法を是正すること。

これら二つの方が長い目で見ると、より重要ではないか?

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