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2012年4月28日 (土)

11.くたびれる“無意識”自爆者会議

4月26日、国土交通省水管理・国土保全局河川計画課を事務局とする
第22回「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が開催された。

これは、政権交代後に
「できるだけダムにたよらない治水への政策転換を進める」との考えで、
「今後の治水理念を構築し、提言すること」を目的に
2009年12月に前原誠司国土交通大臣(当時)が設置した諮問機関だ。

しかしその役割は、政策転換についての諮問(答申と書いていたが訂正およびお詫び)
とはかけ離れ、矮小化されてきた。

矮小化された役割の一つは、
ダム事業者(国土交通省、独立行政法人水資源機構、道府県)が
ダム建設計画を継続するか中止するかを「自己評価」する方法を決めたこと。
この方法は「今後の治水対策のあり方について 中間とりまとめ」として
2010年9月に馬淵澄夫国土交通大臣(当時)に提出された。これだ。

矮小化された役割の二つ目は、
ダム事業者が大臣に提出した「自己評価」結果を、
国土交通省から説明を受け、その自己評価が
「中間とりまとめ」に基づいた形で行われていたかどうかを確認すること。
確認されれば、ダム事業者の評価結果がそのまま大臣に手渡されて、
個別のダムについての有識者会議の役割が終わる。

全部で83ダムの自己評価が行われている最中だが、
26日の会議の議題は、「補助ダム」といって、
道府県が事業者であるダムに国が補助金を出しているうちの4ダムだった。
内ヶ谷ダム、安威川ダム、石木ダム、儀間川総合開発事業タイ原ダムで、
内ヶ谷ダム、安威川ダム、石木ダムのすべてに反対がある。
中でも最も激しい反対運動が30年以上、展開されているのが石木ダムだ。

そのため地権者が傍聴を求めて(当たり前だ)訪れたが、
会議は「傍聴を許すよりも流会」を選んで幻の22回となり、
今回は実は23回目だ。
ちゃかした連続写真をこちらhttp://bit.ly/HVx0jv に載せている。

26日の会議でも、石木ダムの地権者だけでなく、
内ヶ谷ダム、安威川ダムに関心を持つ人も
傍聴を求めて、高い運賃を払ってわざわざ訪れていたが
もろとも全員、河川官僚の人間バリケードに阻まれて有識者は知らないはずだ。

結論から言うと、各ダム事業者からの報告は、
内ヶ谷ダム、安威川ダム、石木ダムについては「継続」、
タイ原ダムは「中止」というものだった。しかし、
座長・中川博次京都大学名誉教授が
それらに単純にお墨付きをつけようとしたところ、
1人の委員(鈴木雅一・東京大学大学院農学生命科学研究科教授)が待ったをかけた。

その結果、「石木ダムには地域の同意を得られるよう希望する」と
「異例中の異例」とも言える厳しい意見がつけられた。

紆余曲折のプロセスが重要なので記しておく。
こうなったのは、鈴木委員の淡々とした指摘による。

1.「中間とりまとめ」は、事業の「実現性」について
  「土地所有者等の協力の見通しはどうか」を書けと書いてある。
2. 石木ダムは長年進んでいない。
3. 工程表には平成28年に完成と書いてある。

そして、流会した幻の22回の有識者会議では、傍聴を求めた地権者が
「私たちは30年、反対してきたんです」
「絶対諦めませんよ。ダムは絶対つくらせません!」と
有識者会議に向かって、力の限り叫んでいた。
その声が、耳にこびりついていないわけがない。画像はこちら

平成28年完成という工程表との整合性のなさ、
鈴木委員の指摘はその一点に絞られていた。

勝負あった!私はココロの中で勝手に叫んだのだけど、
ビックリしたのはこの次の瞬間だった。

座長・中川博次京都大学名誉教授が
なんでもないことのように
「今まで、全国のダムを検証してきましたが、
共通の考え方がととのったものばかりではなかったと思う」と述べたのだ。

実は、会議の冒頭で、同座長は、
有識者会議の役割は、ダムの是非を問うことではない、
「中間とりまとめにそって検討されたかどうかを検証する」ことだと言っていた。

地権者の反対が強いダムについて審議するにあたっての
前もっての責任逃れだと感じながら私は聞いていた。

その中川座長が、石木ダムは中間とりまとめに沿っていないと指摘された途端、
サラリとなんでもないことのように、

「今まで、全国のダムを検証してきましたが、
共通の考え方がととのったものばかりではなかったと思う」と述べたのだ。

石木ダムについて「勝負があった!」だけではなく、
これまでの全国のダム検証がいい加減だったという雑感を
座長自らが暴露してしまったようなものだった。

滑稽なのは、座長はそれを失言とも思っていないらしく、
その発言を二度三度繰り返したことだ。

非論理性をさらしたのは他の委員も同様だった。

石木ダムは平成28年に完成する実現性がない、
それを踏まえて議論を発展させるならまだ分かるが、
そのことはまるで目に入らないかのように

◆道上正(矢見←漢字変換できず)鳥取大学名誉教授は
「それをもってダムはどうということは言えないと思う」と言い、

◆三本木健治明海大学名誉教授は
「どこまで政治的なことを視野に入れるかわからない」「実現性は範囲が広い」
「工程表は予定。予定は未定」「県の主体性。それが地域民主主義だ。」と言い、

◆宇野尚雄・岐阜大学名誉教授は
「逃げるつもりはないが、我々には分からない。
地元で理解を深めていただくしかない」と言い、

◆山田正中央大学理工学部教授は
「時間がかかっている(略)ことは、
これ(石木ダム)だけじゃなくて共通の問題」と言った。

○中間とりまとめを1年かけて作り、
○それに沿って、事業者に自己評価させ、
○その自己評価が、中間とりまとめに沿っていたかどうかをチェックする、

政権交代以来、ジワジワと矮小化されてきた役割すらもすっ飛んでしまった。
こんな議論をやっているので、公開できないわけである。

本来は公開されるべきであり、
傍聴させて欲しいと訪れたのに
リアルタイムで聴けなかった人々のために
取材メモを公開することにする。
「note_on_120426_mt.doc」をダウンロード

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川は誰のものか」カテゴリの記事

コメント

上野様 コメントをありがとうございます。

河川「法違反」とは言えないと思いますが、実はそれこそが問題です。

裁量行政そのものだからです。

第一に、行政文書における情報公開法の非開示事由に相当するような、多くの人が常識的に納得できるような正当な理由もなく、「静かに議論したい」というだけの理由で傍聴者を締め出すのは、知性を持つ者として理解ができません。

第二に、会議公開法が日本にまだないことは問題です。

第三に、法律に定めがないからといって「非公開」にできると考え、後日公開しますが、100人を越える人間バリケードを作って傍聴者を拒絶した事実が、伴いますので、

バカにつける薬はない、という一言に尽きるできごとでした。

まさのさま いつも御苦労様です。おかげで、会議の重大さがよくわかりました。今回の、傍聴拒否は、基本的には、河川法違反でもあるわけで、社会的共通資本造りについての、市民社会の未成熟さを示しています。市民不在の、水辺作り、これは、官僚組織が、市民運動を抑圧しているわけで、誠に不当千万。土台,地域住民不在の、河川計画など許せない。御報告は、無責任の体系を、明らかにしてくれました。ありがとう。
『命のあらん限り反対しなければならない』《正造)

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